理事長メッセージ

 

   日本経済の長期停滞がなかなか終結しない中、世界経済もますます混乱を極めているようにみえます。追いつき型の経済成長を前提とした経済・政治・社会制度が破綻しつつあるにもかかわらず、それに代わる新しい制度はいまだ確立されていません。急速に進展する少子高齢化は、経済成長へのさらなる逆風となるだけではなく、現行制度の綻びをより顕著にし、世代間格差を助長しています。こうした問題が根本的に解決されることなく、先送りを重ねた結果として、将来世代の負担は重くなるばかりです。

 

   問題の根本的解決には、これまでの制度の不適合を徹底的に検証し、必要な制度変化のための諸政策への社会的合意を形成し、それらを着実に実行しながら、客観的で厳密な評価に基づく改善を重ねていく必要があります。人口減少の時代に入った日本に適合した経済成長のシステムを確立するための政策を迷いなく進めなければなりません。これは「課題先進国」日本が世界に先立って拓いていく責任のある道でもあります。

 

   資源・技術・制度など多くの観点から大きな転換期にある現在、東京財団は『政策をつくる、人を育てる、社会を変える』をミッションとして、「日本を世界に語る」取り組みを通じて、世界的視点で活動を続けていきます。

 

   非営利・独立の立場から、現状を的確に把握し、中長期の視点に立って問題の本質を探り、理論的・実証的根拠に基づいた具体的な方策を提言します。そして、方策の実現に向け、世の中に働きかけるとともに、広い視野と深い知恵を社会のために活かしていく志をもった人材を育てることで、日本をよりよくしていくことを目指します。

 

   設立20周年を迎える2017年には、国内最大規模かつ世界に通用する本格的な政策研究機関をあらたに設立し、日本そして世界が直面する重大な課題に取り組み、新たな飛躍を目指す方針です。

 

   皆さまのご支援、ご協力をお願い申し上げます。

 

   2016年7月  

 

東京財団理事長
星 岳雄


1983年東京大学教養学部卒。1988年米マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学Ph.D.取得。米カリフォルニア大学サンディエゴ校助教授、94年同准教授、2000年同教授。2012年から米スタンフォード大学FSIシニアフェロー(高橋寄附講座)。その間、大阪大学客員助教授(1997-1998)、日銀金融研究所客員研究員(1998)、米ユニオン・バンク外部取締役(2009-2014)などを務める。