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2009年06月02日

マニフェストの信ぴょう性を評価する仕組みを!   


1、近付く選挙とマニフェスト(選挙公約)

民主党の代表が代わり、選挙に向けたマニフェスト作りが大きな話題となってきた。選挙公約、あるいは政策綱領と訳されるマニフェストは、選挙の際に選挙民に示され、選挙民はそれに従って政党や候補者を判断する。当選した政治家や与党となった政党は、毎年その達成状況について国民に報告、国民は達成状況を評価して、次の選挙の投票に当って参考にする。早稲田大学の北川正恭教授が我が国で提唱され、すっかり定着した。起源は実質的な2大政党制政党が機能している英国で、選挙に際して与野党は詳細な議論を経たマニフェストを作成・公表している。右か左か、白か黒か、対立軸を際立たせる形で作られているため、国民の判断の重要な材料となり、実際に政権交代を引き起こす要因となっている。このように、マニフェストは国民の政権選択には欠かせないものだ。

2、消費税の取扱い

次期総選挙のマニフェストで最大の注目点は、盛りだくさんの政策の財源問題を如何するのかという点、具体的には、消費税引き上げ問題を与野党がどう表現するかということだ。政府・与党は税制改革中期プログラムのなかで、消費税引き上げを含む抜本的税制改革の実行を明記し、法律の付則として法定されたが、選挙公約にどう書くのか、あらためて与党内で大きな議論となるだろう。一方野党の方も、「消費税引き上げはなし」で大判振る舞いの政策公約ということでは済まないであろう。
消費税収が全て年金・医療・介護・少子化対策として国民に還元されるのであれば、増税による需要削減効果も限定的で、むしろ安心感のほうが大きく我々の消費行動も大きくは変わらないかもしれない。「小さな政府」こそが効率を上げ経済成長につながる、という新自由主義的な考え方はすでに時代の潮流から遅れつつあり、中福祉・中負担の国民により暖かな政府を作るという考え方が世界的にも増えつつある。世界的な思想転換の潮目を迎えている。
そうはいっても、政府・官僚に対する不信感が蔓延する現状では、消費税率の引き上げをマニフェストに書き込むことには大きな抵抗があるだろう。しかし、国民に暖かい政策をコミットするならその財源をあわせて示すことが政権政党の責務で、それが選挙マニフェストに反映されることによって、国民にとって選択の材料となる。

3、マニフェストの信憑性の評価を

問題は、有権者がマニフェストの信憑性、掲げられている政策の効果、財源計算は正しいのか、その方法は現実的か等々の問題をいかに判断するのかということである。
ヒントとなるのは、オーストラリアの事例である。オーストラリアでは、総選挙にあたっての与野党の選挙公約について、財務省と予算行政管理省が費用計算を行い、その結果を公表することが義務付けられている。そしてこの情報は、投票のための判断材料として活用されるのである。
具体的な手順は次の通りである。まず与党・野党の党首から、選挙公約の費用計算の要求が財務省等になされる。財務省は、歳入に影響を与える政策を、予算行政管理省は、歳出に影響を与える政策を担当し、費用計算を行う。当年を含めた4年間の数値が、計算方法とあわせて公表される。
例えば野党が奨学金の増額について選挙公約をすると、歳出に影響を与える政策ということで予算行政管理省が、その政策に必要な金額を前提を置きつつ4年間でいくらと試算し、財政収支に及ぼす影響を公表する。
 増税を掲げて選挙すると常に不利になる、ということにならないためには、我が国でも、与野党双方のマニフェストの財源を客観的・中立的に計算し公表するという仕組みがあるべきだ。国会の衆参議院事務局がこのような仕事を引き受けるということも一案だし、それが無理ならシンクタンクがこれまでの経験に基づきその役割を担うことがあってもよい。

投稿者: 森信茂樹 日時: 15:00 | パーマリンク | コメント (0) | トラックバック (0)

 
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