2010年03月11日

NO・1517イラク選挙後の状況・当分は安定か

 イラクの選挙が3月7日に実施された。この選挙には有権者のおよそ62パーセントが参加し、その投票総数は2000万票とされている。
 前回、2005年の選挙では76パーセント程度の投票数だったが、今回はアメリカが関与せず、イラク人自身の手で実施されたということから、賞賛に値するものだ、というのが内外の評価だ。
 さて問題はこの選挙の最終結果が、いつ発表されるのか。そして、その投票結果が、今後のイラク国内にどのような状況を、生み出すのかということだ。当初、予定されていた中間発表は、水曜日(3月10日)であったが、一日遅れて木曜日(3月11日)になる模様だ。
 しかし、それは中間発表であり、最終的なものではない。選挙の最終結果は、3月末に発表されるという見通しだが、この結果発表の遅延をめぐり、種々の憶測が、飛び始めている。
すでに、INA(イラク国民同盟)はアメリカが投票数に、集計段階で関与し、得票数を操作する、という疑念を発表している。INAに言わせれば、30パーセント開票段階での、中間発表が遅れたのは、アメリカが得票数を操作する、意図があるからだというのだ。
 アメリカに対する不信感は、INAばかりではなく、他の政党にもあろう。しかし、イラク国内諸政党間の問題は、当分は棚上げされるのではないか、と思われる。マリキー首相は拒否権を発動しないのであれば、内閣に参加できるとしているし、今回の選挙では前回とは異なり、スンニー派も積極的に、投票に参加している。スンニー派議員の内閣入りも、十分ありうる状況になってきている。
 シーア派の政党も、内閣入りを口にし始め、拒否権は発動しない方向であることを、明らかにしている。問題は、選挙後の治安がどうなるのか、ということだが、イラク内相は治安維持に問題はないよう、最大の努力をする、と語っている。
 こうなると、当分の間、イラク国内各政党各派は連帯し、新たな国造りに向かうということになるが、そうなると、アメリカ軍には一日でも早く出て行って欲しい、というイラク人の国民感情が、前面に出てこよう。
 アメリカはこのイラク国民の感情を受け止め、素直にイラクから撤退していくのだろうか。もしそうでない場合には、これまでとか異なる、イラク対アメリカの戦いが始まる、危険性があるということだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:40 | パーマリンク

2010年03月10日

NO・1516ハタミ元大統領出国禁止か?

 イランの大統領を務め、日本でもよく知られるハタミ師が、いまイランからの出国を、さし止めされている、という情報が流れている。この情報は革命防衛隊筋から、出てきているのだが、果たしてどうなのか。
 ハタミ師の立場は現在、決して政府から歓迎されるものではない。なぜならば、昨年6月の大統領選挙で、彼はアハマド・ネジャド候補(現大統領)ではなく、ムサヴィ氏を推していたからだ。
 選挙の後も、ハタミ師はアハマド・ネジャド体制に対する、批判を行ってもいた。その結果、アハマド・ネジャド大統領を支持する革命防衛隊は、ハタミ師に対して、厳しい見方をしているのであろう。
 イラン外務省高官は、この情報を否定し、ハタミ師が国外に出ることは、何ら規制されていないと語っている。事実、イラン外務省はハタミ師が最近、パスポートのページを増やす手続きを行った際に、何の問題もなくそれに、応じているということだ。
 しかし、イラン情報部の高官は、ハタミ師が国外に出ることを、禁止されていると語っている。つまり、それは公式には、ハタミ師の自由な出国が認められているとしながらも、実質は不可能な状態になっている、ということではないか。
 ハタミ師に対してそのような措置が、裏側でとられているということは、ムサヴィ氏やカロウビ師も、同じような扱いなのではないか。イラン国内では、アハマド・ネジャド大統領の体制が、日に日に反体制側の代表的な人士に対し、締め付けを強化してきている、ということであろう。
 そのことは、イランがいま国内的に、結束する必要がある、ということであろう。イランの核をめぐるアメリカの締め付け、イスラエルの追い込みは、否応なしにイランを、緊張させているのではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:52 | パーマリンク

2010年03月09日

NO・1515アラブの自由選挙は建前・イラク選挙ははた迷惑

 IAEAの事務局長として、世界的な活躍をし、ノーベル賞も受賞したムハンマド・エルバラダイ氏が、母国エジプトに帰り、大統領選挙への出馬の意向を明らかにした。
そのことは、この欄で何度か書いたので、多少の事情はお分かりいただけたろう。 つまり、アラブ世界の中で最も進歩的なエジプトですら、実は自由選挙はありえないのだ。
 湾岸の王国では、自由選挙どころか、選挙そのものが無い国も多い。あるいは、選挙は形式的には行われるが、ほとんどは国王の指名で決まる、というケースもある。共和国でも同様で、裏で大統領から指名を受けた者が、選挙の型式を踏んで、国会議員になる場合が少なくない。
 こうしたアラブ諸国の選挙事情から、今回イラクで行われた選挙をめぐり、周辺諸国からは、あまり芳しくない受け止め方が、なされているようだ。
 当然のことながら、アラブ各国の国民は、自由な選挙を実施して欲しいと願っている。しかし、政府はそうはしてくれないのだ。そこで、今回イラクで自由な選挙が行われたことが、アラブ各国の国民に少なからぬ影響を、与えることになったと思われる。
 もし、自由な選挙がアラブ各国で実施された場合、どのようなことが起こるのであろうか。第一には、立候補者には知性や教養というよりも、土地の名士が選ばれるということだ。もし、彼に対抗馬がいれば、金やモノを配って、買収するのは当然のこととなる。
 そして結果が出た段階では、落選者側の部族やグループが、当選者側のメンバーに対する、武力攻撃を行うこともあるのだ。あるいは、選挙の投票が行われる以前の段階から、武力衝突が起こることもあるのだ。
 共和国ではこうした事情から、指名による候補者の選出と、その後の選挙といった、パターンが生まれてくるのだ。つまり、政府は混雑や武力衝突を避けるために、事前に候補者を整理したうえで、選挙活動をさせ投票させるというものだ。
 残念だが、アラブ諸国では部族や血族の結束が、いまだに非常に強く、それが直接的に選挙に影響を及ぼすことになる。したがって、政府が薦める手法は、あながち間違いではない、ということになってしまうのだ。
 それでも、国民は自由選挙を希望する。したがって、今回のイラクの自由選挙は、アラブ各国政府にとっては、全くもって迷惑な話ということになる。
 イラクでは選挙が自由に行われたとは言うものの、立候補者は部族、宗派、グループなどによって選ばれたわけであり、選挙結果がその後の衝突を、生み出す危険性は、他の国の場合と同じだ。しかし、名目的であれ実質であれ、自由選挙が行われたことに対する、嫉妬は他のアラブ諸国の国民の間で広がろう。アラブは嫉妬の世界でもあるのだから。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 21:14 | パーマリンク

2010年03月08日

NO・1514パレスチナ自治政府の入植地への対応はザル

 パレスチナ自治政府がヨルダン川西岸の住民に対し、二つの厳しい決定を下した。一つは、イスラエル人が住み着く、ヨルダン川西岸の入植地住宅建設に従事することを、禁止する決定だ。
 しかし、問題は入植地の住宅建設に、従事することを禁じた後、パレスチナ自治政府はパレスチナ人建築労働者に、新たな代替の仕事を与えることはできないのだ。つまり、入植地の住宅建設に従事することを禁ずるということは、明日からの生活の糧を得る道を、断つということなのだ。
 以前から、ヨルダン川西岸地区でのイスラエル人による、入植地建設で働く労働者の多くが、パレスチナ人であることに、何とも言えない挫折感を感じてきたが、パレスチナ人にしてみれば、それ以外に生きる術が無いのだから仕方がない、ということになるのだ。
 では、パレスチナ自治政府は今回の決定について、具体的にどうしようというのだろうか。実は入植地建設に従事することを、パレスチナ自治政府は禁止する決定を下したものの、この決定に従わない者を処罰する罰則は、決められていないようだ。
 つまり、世間体を考えた決定であり、実際にヨルダン川西岸地区での、入植地の建設を遅らせるとか、阻止することを狙ったものではない、ということになる。これまで入植地の住宅建設に、従事していたパレスチナ人たちは、今までと同様に建設現場に向かい、仕事を続けるということだ。
 もう一つの決定は、ヨルダン川西岸のイスラエル人入植地で生産されたものを、西岸のパレスチナ人の店では、販売してはならないというものだ。しかし、そうなるとパレスチナ自治政府は、周辺のアラブ諸国や欧米から、輸入しなければならなくなる。
 そうした場合、輸送コストなどを考慮すると、パレスチナ人は価格の高い商品を、買わなければならなくなるかもしれない。あるいはまた、鮮度の低いもの、古いものも買わざるを得ないかもしれない。パレスチナの商人やパレスチナ自治政府が、イスラエル人の入植地以外から輸入しようとすれば、イスラエル政府によって、通関で手間取らせられることも、十分に起こりうるのだ。
 現在、ヨルダン川西岸地区が西岸にある、イスラエル人の入植地から購入している製品の合計金額は、年間で200億円から500億円にも上るようだ。そうだとすれば、既に流通経路も確立しており、生産者と販売者、そして消費者の間に、信頼関係が成り立っている、ということではないのか。
 西岸で入植地の製品を、販売することを禁止しても、それは徹底できないだろう。もしも徹底した場合、物資の不足や流通に問題が発生するだろうが、パレスチナ自治政府には、対応のしようが無かろう。パレスチナ自治政府が入植地で生産された一部物品の、流通を抑えたと言われているが、それはごく一部にすぎないだろう。インドで起こった、イギリス製品ボイコットのような動きは、すでに便利さとぜいたくさを覚えてしまった、パレスチナ人には不可能ではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:23 | パーマリンク

2010年03月07日

NO・1513アルメニア人虐殺問題が米とトルコの緊張生む

 いまから100年ほど前に起こったとされる、アルメニア人虐殺事件がアメリカで再燃した。1915年にオスマン帝国時代に起こったとされる問題だが、これについては幾つもの解釈がある。
 トルコ側は虐殺ではないとし、トルコとロシアとの戦いの中で、一部はロシア側に付いたアルメニア人によって、殺害されたのだと主張している、もちろんアルメニア側は虐殺だと主張し続けてきていた。トルコはまた、アルメニア人によってトルコ人も、大量に殺害された、とも主張してきている。
 しかし、最近になりトルコの外交努力もあり、トルコとアルメニアはこの問題について、冷静な対応を採り始めている。つまり、トルコとアルメニアの学者専門家による共同研究で、事実を明らかにしようという動きだ。 
 こうした共同研究の動きが、双方から出てきたのには、それなりの理由がある。アルメニアはコーカサスの南、トルコの東に位置しているが、海へのアクセスが全く無い。周辺を完全に他国によって、囲まれている内陸国家なのだ。
 このため、アルメニアはこれまで経済発展をしようとしても、多くの難問に直面せざるを得なかった。しかも、周辺諸国とアルメニアの関係は、決していいものではなかった。
 トルコとの間には虐殺問題が、約100年にも及んで横たわっており、東の隣国アゼルバイジャンとは、ナゴルノカラバフ問題を抱えている。南部はイランだが、この国との関係もよくない。加えて北に隣接するグルジアとの関係も、決していいものではないからだ。
 皮肉なことに、この地域でアルメニアに対して、比較的友好的な姿勢を示してくれ、経済的支援が可能な国は、虐殺問題を抱えている、人種も宗教も異なる、トルコだけであろう。
 アルメニアが最近、トルコとの関係改善を考え始めたのは、こうした事情からだ。まさに背に腹は変えられないということであろうか。トルコ側との国境が再開されれば、アルメニアの物資がトルコだけではなく、ヨーロッパ市場にも流れやすくなるのだ。
 トルコの建設技術や、多くの分野での開発技術は、アルメニアの産業振興、インフラ整備に不可欠であろう。トルコ人のビジネスマンが、アルメニアに進出してくれば、観光開発も可能となろう。
 そうしたアルメニアの事情を無視したような、今回の突然のアメリカ議会における、アルメニア人虐殺問題の復活は、当事者であるアルメニアにして見れば、いい迷惑なのではないか。
 誰がこの問題に火をつけたのか、という犯人探しをすれば、在米アルメニア人団体であり、それを支援するユダヤ人団体、ということになろう。在米アルメニア人団体にしてみれば、彼らがアルメニア人であり続ける上で、虐殺問題は団結の唯一のコアであろう。
ユダヤ人団体にしてみれば、虐殺がホロコーストだけではなく、起こったのだということになり、ホロコーストというユダヤ人の受けた、悲惨な過去がより明確なものに、なるからではないか。アルメニア問題がアメリカ議会で持ち上がった後、間も無くアラブのマスコミでは、ユダヤ人の策謀、という憶測ニュースが流れている。
結果的には、アメリカの下院議会はアルメニア人殺害事件を、虐殺事件と断定することを避けた。賢明な判断であろう。
もし、アメリカ政府がアルメニア問題を、虐殺事件と断定すれば、トルコはアメリカ軍がいま使用している、トルコ国内にあるインジルリク空軍基地の使用合意を、破棄したかもしれないからだ。それだけトルコにとっては、アルメニア人虐殺問題は大きな比重を占めている、歴史的な汚点ということであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 12:14 | パーマリンク

2010年03月06日

NO・1512ムバーラク大統領エルバラダイ氏の立候補容認だが

 エジプトのムバーラク大統領が82歳の高齢に到り、しかも30年にも及ぶ長期にわたって、大統領職に留まってきていただけに、内外で、彼の任期もそろそろ終わりか、という声が高い。
 これまで、エジプト国内では何とか、ムバーラク大統領に辞任してもらい、新しい大統領に替わってほしい、という考えを持つ人たちのなかから、種々の試みが行われてきた。キファーヤ(イナフ=ムバーラク大統領は十分やったから辞任してくれ)という運動は、その典型だった。
 こうしたエジプトの国民的な雰囲気のなかで、IAEAの事務局長を勤め、ノーベル平和賞を受賞した、エルバラダイ氏が大統領選挙に挑む、という憶測が流れ始めた。本人も十分にその意志があるのかもしれない。ただし、彼の立候補には、エジプトの憲法が変わり、国民が支持してくれるなら、という条件が付いているようだが。
 つまり、エルバラダイ氏は、全てのお膳立てが済み、お座敷が整ったら、上座に据わってもいいという、極めて他力本願的な意思表示のようだ。それはやはり、国際舞台で重要な役割を果たしてきたという自負心と、彼の身の安全を、考慮してのことではないか。
 外国の報道を見ていると、エルバラダイ氏がエジプトの次期大統領選挙に立候補するのは、ほぼ確実であり、当選の可能性も、極めて高いような内容になっているが、そう簡単ではあるまい。ムバーラク大統領はドイツ訪問時に、エルバラダイ氏の大統領選挙立候補について、記者団に対し、明確な返答をしている。
 ムバーラク大統領は、エルバラダイ氏が大統領に立候補することに問題は無いが、あくまでも憲法の許す範囲で、立候補すべきだと語っている。つまり、いずれかの政党に加わって、その党の推薦で立候補するか、個人で立候補するかのいずれかだ。
 もし政党に加わって立候補するとすれば、エジプトの現状からすれば、与党が大半を占めていることから、野党各派を結集する必要があるということだ。その掌握力がエルバラダイ氏にあるのか、野党各党がエルバラダイ氏支持で結束しうるのか、という問題が残っている。
 単独で立候補する場合には、やはり国会地方議会の議員の多数の支持を、取り付ける必要があるが、それは簡単ではあるまい。ここでも、与党が最大政党であることが、ネックになってくるだろう。
 ムバーラク大統領は記者団の中から出た「エルバラダイ氏はエジプトの英雄なのか?」という質問に対し、「今のエジプトは英雄を必要とない。エジプト国民皆が英雄なのだから。}と答えている。
 エルバラダイ氏は憲法の改正を、大統領選挙立候補の条件としているが、ムバーラク大統領はあくまでも、現行憲法で大統領選挙を行う方針だ。つまり、エルバラダイ氏とムバーラク大統領との間の食い違いは、変更されないということだ。そうなれば、エルバラダイ氏の大統領選挙への立候補は、立ち消えになるのではないか。
 唯一、ムバーラク大統領が大統領職を下りるとすれば、それは彼の健康問題であろう。彼が近く手術をする、という情報も流れ始めている。いまはムバーラク大統領が、健康を回復することを祈るのみだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 11:54 | パーマリンク

2010年03月04日

NO・1511パキスタンの元情報トップがアメリカの工作をばらす

 アメリカのCIAとパキスタンのISIは、共に国を背負って立つ情報機関ということで、緊密な関係を維持してきていた。特に、アフガニスタン対応では、アメリカにとってパキスタンの情報部(ISI)は、最も信頼できるパートナーであった。
 しかし、ここ1−2年、両者の信頼関係には溝が発生し、お互いが邪魔しあったり、情報をリークし始めたりしている。アフガニスタンの原理主義者たちと、パキスタンの原理主義者たちの関係がいいことに加え、パキスタンの情報部は、アフガニスタンの各派との関係を維持しながら、対応を行ってきていた。
 最初のうちは、それはある意味では当然のこととして、アメリカも黙認してきたわけだが、だんだん我慢の限界に達したのかもしれない。あるいは、パキスタンの進め方と、アメリカのそれとの間に、食い違いが生まれてきたからであろうか。
 パキスタンの民間人に対する情け容赦のない、アメリカ軍の攻撃の仕方は、さすがに、パキスタンの軍人たちの琴線に、触れたのであろうか。
 パキスタンのISI(情報部)の、元トップであるグル将軍が、最近になって、アメリカの情報部の手口をばらし始めた。いわく、イランの反体制派であるジュンドッラーは、CIAの支援を受けている組織であり、イラン内部の不安定化を、狙ったものだと語っている。
 グル将軍は、アメリカにはパキスタンとイランとの関係を、こじらせようという意思もあるとも語った。つまり、これ以上、アメリカの言いなりになっていたのでは、パキスタンは自国の利害を、侵されると思ったのであろう。
 イランのスンニー派の反体制組織である、ジュンドッラーを指導しているアブドルマリク・リギ氏が、キルギス行きの飛行機に乗っていたところを、イラン側に捕まり、PTV(イランのプレステレビ)とのインタビューで、アメリカから無制限の支援を、約束されていたことを明かしている。
 アメリカと距離を置いたパキスタンの今後はどうなるのか、イランの将来と合わせ関心の持たれるところだ。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:35 | パーマリンク

2010年03月03日

 NO・1510イスラエルがマブフーフ暗殺で逆襲開始?

 始めから裏があると思えてならなかった、ムハンマド・マブフーフ氏暗殺への各国の対応が、ここにきてようやく、表面化し始めたようだ。
 事件後間もなく、ドバイ警察はイスラエルのモサドによる犯行だ、と決めつけて、何度となく「モサド犯行説」を強調した。失礼ながらドバイ警察に、それほど迅速に犯人割り出しが、できるとは思えないのだが。
 イギリスなど容疑者が所持していたとされる、パスポートを使用された国々は、押し並べてイスラエル非難を始めた。イギリス、アイルランド、フランス、ドイツといった国々がそれだ。
 そればかりか、全ヨーロッパの国々が、イスラエル非難を始めてもいた。まさに、それまで抑え込まれていた、反ユダヤ感情を、ヨーロッパ人が一気に爆発させるには、うってつけの口実が、できたという感じさえしていた。
 こうしたヨーロッパ諸国の動きに対し、イスラエル政府は犯行を、認めも否定もしない、あいまいな対応をとってきている。イスラエル政府のそうした事件への対応が「ネタニヤフ首相暗殺部隊激励」「ネタニヤフ首相暗殺部隊を激賞」といった報道を生み出したのであろう。
 しかし、ここにきてイスラエルは、ハマースの幹部マハムード・ナセル氏の発言として「犯行はアラブ」ということを報じ始めている。情報元はアルクドス・ル・アラビー紙で、それをロイター通信が伝えたとしている。
 イスラエルのルサレムポストによれば、アラブのなかの穏健派諸国にとって、ムハンマド・マブフーフ氏は暗殺対象になっていた。エジプトやヨルダンの情報機関は、ムハンマド・マブフーフ氏の暗殺機会を、狙っていたというのだ。
 ムハンマド・マブフーフ氏はハマースの、武器調達の総責任者であり、イランとの関係が深く、ハマースばかりか、他のイスラム・グループにも、武器を調達していたということのようだ。
 ドバイ警察はFBIにも、捜査協力を依頼しているようだが、これからどのような事実(?)が出てくるのか、興味がそそられる。どうやら、この事件に関わっているのは、ハマース、イラン、イスラエル、ドバイだけではなさそうだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:39 | パーマリンク

2010年03月02日

NO・1509エルバラダイ氏はエジプト政治変革に一石を投じたか

 元IAEAの事務局長だったエルバラダイ氏は「エジプトの政治を変えるためには、憲法を改正し、自由に立候補ができるようにすべきだ、エジプトが変わるためには、エジプト国民皆が立ち上がらなければならない。」と語った。
次期大統領選挙に、出馬意向をちらつかせたエルバラダイ氏は、エジプト政治の変革に、一石を投じることができたのであろうか。エルバラダイ氏はエジプトに帰国し、多くの政治団体幹部や知識人と意見を交わし、自身の方針を明らかにしたようだ。
エルバラダイ氏の呼びかけに応じて、エジプトの主要野党である、ワフド党、タガンマア党、ナセル党、民主戦線党などが、合同会議を土曜日に開催し、憲法改正を実現する方法について、討議することを予定している。
エルバラダイ氏はインターネットやフェイスブックを活用し、できるだけ多くの国民層に、働きかけるべきだとも呼びかけ、特に青年層の活躍を期待した。もちろん、インテリ層に対しても、同様に期待している。
このエルバラダイ氏の呼びかけに応え、一部ジャーナリストの間からも「大統領職を、子息に継がせてはならない。」と主張する動きが再燃してもいる。一部、エルバラダイ氏を推す知識層の間には、エルバラダイ氏が元政府機構の一員であったことや、彼がラジカルではないことを、好感する者もいる。
しかし、ムバーラク大統領の側も、このエルバラダイ氏を中心とする新しい動きを、ただ眺めているわけではあるまい。彼は高齢を推して、最近エジプト各地を訪問しているが、それは次期選挙に向けた、キャンペーンであったともとれよう。
 エジプト最大の発行部数と長い歴史を誇るアルアハラーム新聞の編集長であるアブドルモナイム・サイド氏は「現体制が30年にも渡る長い間、この国を統治してきており、十分にスマートでずる賢くもある。エルバラダイ氏はナイーヴ過ぎる、蜃気楼を見ているだけではないのか。」と皮肉っている。
 また、アルマスリ・アルヨウム紙の編集長であるマグデイ・アルガッラード氏は「いかにして野党各派と話し合うかだ。彼らと個別に話し合って、どう野党の勢力をまとめるかが重要だ。」と語っている
いまの段階では、エルバラダイ氏の投げた一石が、エジプトの政治に大きな水の輪を作っていくのか、あるいは、大騒ぎしただけに終わるのか、判断のしようがない。
しかし、彼の動きにはもう一つ、自身の努力が欠けているように思えるのだが。エルバラダイ氏は「私を支援することは、貴方方自身を支援することになる。それがエジプトの政治を変えるのだ。」と語っているが、それだけではなく、彼自身の一層の努力が必要なのではないか。
エジプトに出入りするのではなく、エジプト国内に腰を据えて、政治と国家の変革に着手すべきではないのか。これまで多くの政治家たちが、その結果として逮捕されたり、弾圧を受けたりしてきていることを考えると、エルバラダイ氏が何の犠牲も払うことなく、大統領に当選するのは、夢物語のような気がするのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:49 | パーマリンク

2010年03月01日

no・1508イラン体制側と反体制側どちらが正しいのか

 ついにといっては何だ、がまさについにと言うにふさわしい発言が、イランの反体制側から出てきた。昨年の大統領に立候補して敗れた、ミル・フセイン・ムサヴィ氏が体制側に対して、最近、最も手厳しく最も過激な発言をした。
 ミル・フセイン・ムサヴィ氏は、イランの現体制を「カルト集団」だ、と非難したのだ。つまり、現在イランを統治している、ベラヤト・ファギ集団(イスラム法によって統治する集団)はカルトであって、正しいイスラム教に沿って国を統治しているのではない、と言い放ったのだ。
 ミル・フセイン・ムサヴィ氏は「このカルト集団によって、イランの民族主義やイラン主義は押さえ込まれたため、イラン国民は宗教の名によって行われる、カルト統治に寛容性を失ったのだ。」と語っている。この発言は「カラメ」という名のウエッブ・サイトとの、インタビューの中で語られたものだ。
 ミル・フセイン・ムサヴィ氏と対抗する側の、ハメネイ師は「昨年の6月12日に行われた、大統領選挙の結果を受け入れない者は、政治に参加する資格がない。」と切り捨てている。つまり、反体制派のリーダーであるミル・フセイン・ムサヴィ氏やカロウビ師は、イランの政治について、語る資格の無い者たちだ、ということだ。
 そうである以上は、この反体制側の二人が主導する、体制に対する批判の運動は、全て非合法ということになり、これまで以上の弾圧が、反体制派の人たちには、行われるということであろう。
 イランの体制側は、昨年激しかった反体制派のデモを、首尾よく押さえ込むことに成功し、今年の革命記念日では、一部の小規模な例外を除いて、ほぼ完全に押さえ込めた、という自信があるのであろう。
しかも、最近ではイスラエルやアメリカとの間で、戦争の可能性が高まっており、イラン国内は緊張に包まれている。そうした折に、反体制運動も民主化運動も、国民の多数派によって、否定されると考えているのであろう。
そうだとすれば、アメリカやイスラエルが、激しくイランの体制を非難することや、戦争の可能性をちらつかせることは、かえってイランの体制を、堅固なものにするのかも知れない。
アメリカの力による他国への介入と干渉は、どうもこのところ、反発を強めるだけで、効果を生み出していないのではないか。アフガニスタンでもイラクでも、同様の反応が見られるのだが、そのことを、アメリカは全く意に介していないようだ。
アメリカは力による押さえ込みを、続ければ続けるほど、世界中でアメリカに対する反発を強め、アメリカ自身は経済的にも精神的にも、軍事的にも疲弊していくのではないか。そうであるとすれば、一度立ち止まって、世界への対応を、再考すべきではないのか。今となっては、アメリカの力による支配に、何の抵抗も示さずに、屈服するのは世界では、日本人だけなのかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:09 | パーマリンク

 

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