2010年09月02日
NO・1751「ブレア元首相の著書がイラク戦争の秘密を明かす」
イギリスのブレア元首相が、自著の本を出版した。タイトルはジャーニー(旅路)とでも訳すのだろうか、彼のこれまでの行動を、記録に留めた本のようだ。この本は736ページからなる、まさに大著だということだ。
そのなかで、ブレア元首相は13章から22章まで、合計約110ページを、アメリカのタカ派について、書いているということだ。述べるまでも無く、アメリカのタカ派とは、デイック・チェイニー氏と、ネオコンのことであろう。
ブレア元首相の本によれば、デイック・チェイニー氏は、サダム体制の打倒を、早い段階から考えていたようだ。それは、1998年ごろ、つまりクリントン氏が大統領の時代から、始まっていたようだ。
そして、デイック・チェインー氏は、単にサダム体制を倒すばかりではなく、世界そのものを変えようと、思っていたということだ。彼の計画では、イラクのサダム体制ばかりではなく、シリアのアサド体制、イランのイスラム体制に加え、レバノンのヘズブラやパレスチナのハマースも、打倒すべき敵と、捉えていたということだ。
この本の話は、アラビア語のアル・ハヤート紙で紹介されたものだが、どうやら、アメリカはそれほど早急に、サダム体制を打倒する気では、なかったようだが、ブレア氏の働きかけで、サダム体制打倒が早まった、ということのようだ。
ブッシュ・シニアが湾岸戦争の開始を、躊躇しているときに、尻を叩いてけしかけたのは、サッチャー元首相だといわれていたが、ブレア氏もサッチャー人気に、あやかりたいのであろうか。
この本の内容について知りたい人は、英語版か、多分近日中に、日本語版が出ることであろうから、それを読むべきであろう。ただし、イギリス人は常にある種の計算をして、行動するということを、念頭に入れて読まないと、大きな勘違いを、してしまう可能性があろう。
外国、なかでもイギリスは国ごと戦略的であり、その国の首相を務める人物は、当然戦略家である。そうであるとすれば、彼らの発言や著書は、しかるべき効果を狙って、発表されるということだ。
残念ながら、いまの日本人には本を疑って読む、という習慣と能力は、皆無に等しいのではないだろうか。活字は信頼に値する、と幼児から刷り込まれているために、起こっている現象であろう。
そう考えると、本を読むことを、安易に進められない、ということであろうか。いずれにしろ、736ページということは、日本語版が正確に訳さていれば、800ページを優に超えるのではないか。それをじっくり、考えながら読みきるのは、容易ではあるまい。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:20 | パーマリンク
NO・1750「ブレア元首相のイラン攻撃擁護論」
イギリスのブレア元首相が、イランに対する軍事攻撃を、容認する発言を行った。容認発言というよりは、直截的に言うならば「攻撃すべし」という、内容になっている。
ブレア元首相はイランが核兵器開発を進めており、このままで推移していけば、イランは核兵器を持つことになるから、極めて危険だというのだ。そしてその危険は、アメリカやイギリスというよりも、まず周辺のアラブ諸国にとって、第一番目に危険なものとなることを、警告している。
この発言がなされたのは、あるいはクウエイトのシェイク・ジャーベル、ムバーラク国防相の発言に、怒りを感じてなされたものかもしれない。シェイク・ジャーベル、ムバーラク国防相はイラン攻撃で、クウエイトはイラン攻撃の、ランチ・パッドにはならない、と発言しているのだ。
ブレア元首相にしてみれば、アメリカやイギリスがこれまで、膨大な費用とちの犠牲を払って、イラクやアフガニスタンを攻撃し、今、イランとの緊張関係にあるのは、自国の防衛よりも、湾岸諸国の防衛のためなのだ、ということになるようだ。
ブレア元首相は、イランが核兵器を所有することになれば、それはイスラム・テロを力づけ、周辺の王制諸国は軒並みに、体制を崩壊されてしまう、ということであろう。
しかし、イランと隣接するクウエイトにしてみれば、自国内にアメリカ軍の基地を抱えており、もし、イランとの戦争が始まり、クウエイト内の基地を使用されれば、第一番に攻撃される、危険にさらされているのは、自国だという恐怖感があるのだろう。
そうしたクウエイトの不安に、まさに喝を入れたが、ブレア元首相の今回の発言であろう。確かに、イランが核兵器を開発しても、それをアメリカやイギリスまで飛ばすには、まだまだ時間がかかるだろう。
しかし、核兵器を所有したということで、イランが元気を増せば、イランの支援するレバノンのヘズブラや、パレスチナのハマース、そして、湾岸諸国の二等市民扱いを受け続けてきたシーア派国民が、立ち上がる危険性は、多分にあろう。
ブレア元首相はそのことを、クウエイトのシェイク・ジャーベル、ムバーラク国防相の発言が出たところで強調し、湾岸諸国全部に対し、アメリアとイギリスの対イラン政策に、黙って従え、と言いたいのであろう。
湾岸諸国ではいま、イランの勢力が増し、シーア派の動きが、活発化していることは確かだし、アルカーイダ(?)の危険性も、すぐそこまで迫っている。湾岸諸国は、ブレア元首相の言うように、アメリカ・イギリスの対イラン政策に追従するのが得策か、あるいは独自の外交を展開すべきなのか、選択は正念場を迎えているということであろう。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:13 | パーマリンク
2010年09月01日
NO・1749 「イスラエルのインテリ集団入植地での活動拒否」
イスラエルの150人の学者が、西岸地区の非合法入植地での講演など、アカデミックな活動を、拒否することを宣言した。これは、昨今のイスラエルの国際的孤立のなかでは、起こるべくして起こってきた動きであろう。
これに先立ち、芸術家タレントなどの、53人からなる集団も、入植地での活動を、拒否することを宣言している。この場合は、アリエル市での催し物を、拒否したことに端を発している。
こうした動きは、あるいはネタニヤフ首相とマハムード・アッバース議長とが、アメリカのオバマ大統領によって、強引な和平のための、直接交渉を飲まされたことと、関連しているのではないか。
なぜならば、マハムード・アッバース議長はこの直接交渉の成否は、イスラエル側が、入植地建設を凍結するか否かにかかっている、と言っているからだ。確かに、和平の交渉をしていると同時期に、非合法の入植活動がイスラエル人によって、西岸地区で進められたのでは、マハムード・アッバース議長はパレスチナ人に対して、会議参加の正当性を説明できなくなろう。
すでに会議の始まる以前から、パレスチナの著名人の多数が、直接交渉に参加することに反対していたし、パレスチナ各組織も反対していた。この直接会議なるものが、何の成果も生まないだろうというのがその理由だが、アラブ連盟のアムル・ムーサ事務総長は、会議開催前の段階で、会議開催の意味がない、成果はない、と言い切っている。
イスラエルのインテリや芸術家たちが、今回入植地での活動を拒否したことは、一見、イスラエル人の譲歩、妥協のように見えるが、そればかりではあるまい。イスラエルが妥協しそうだという雰囲気を世界に伝え、交渉を結果的には支えることになる、可能性があるからだ。
もう一つ考えられることは、イランや強硬派アラブが主張するように、イスラエルの頑迷な、パレスチナ問題への対応は、結果的にイスラエルの破滅につながる、という不安によるのではないか。世界、なかでもヨーロッパ諸国では、露骨なまでのイスラエル批判が、最近になって広がってきているからだ。
今回、入植地での活動を拒否したインテリのなかには、イスラエルは1967年のラインにまで撤退すべきだ、という意見もあるが、既に入植者の数は50万人を超え、100以上の入植地がある状態では、なかなかそうもいくまい。
いずれが真意かは別に、イスラエル国民の間から、行き過ぎたイスラエル国民と、政府のパレスチナに対する浸食に、抗議の声と行動が起こったことは、評価すべきであろう。「奢れる者は久しからず」という言葉は、洋の東西を問うまい。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:33 | パーマリンク
2010年08月31日
NO・1748「イラン人へ・口から出る言葉はその人の品性を表す」
イスラムは宗教であり、生きていく上で必要な、全てを教えてくれているのだ、とイスラムの学識者たちは言う。イランの学識者たちも、同じことを言うのであろう。その通りだ、イスラムは信仰としての宗教、という側面だけではなく、人が生きていくうえで必要な、全てのことを教えているはずだ。
イランのシーア派には多く学者がおり、その学者たちは学識の深さによって、何階級にも分けられている。そうであるとすれば、その学者たちには信徒に対し、正しいイスラムを指導する責任があろう。
しかし、残念なことに、最近のイランから聞こえてくる言葉には、あまり品性を感じられない場合が多い。例えばフランス大統領夫人について、イランのケイハン紙は相当常識を逸脱した、表現を使って批判している。
それは、イランのケイハン紙側に言わせれば、フランスの言葉に対する、お返しだというだろう。だがそれは、相手の低いレベルに、自分を引きずり下ろした、ということではないのか。
また、イランはイスラエルやアメリカが、イランを攻撃した場合、イスラエルのデモナ原発を、攻撃すると語ったが、そのことは、イスラム法で許されることなのだろうか。
もちろん、イスラエルにしてみれば、デモナの原発を攻撃されることは、悪夢の極みであり、地獄絵であろう。それだけに、このイランの警告は、それなりの効果を、生み出すだろう。
日本には「売り言葉に買い言葉」というのがあるが、その場合は、まさにお互いが理屈にもならない、誹謗中傷をしあっている状態を、言うのではないか。イランにはハメネイ師という、大変に学識の深い、イスラム教の学者がいるのだから、そのハメネイ師に敬意を表せるような発言を、外部の敵に対しても向けるべきではないのか。
それがハメネイ師とイスラムに対する、敬意であるはずなのだが。同時にハメネイ師は、激高して感情的な言葉を繰り返す、イランの政治家やマスコミに対し、イスラム本来の常識と礼儀に戻るべきだ、と諭すべきではないのか。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:18 | パーマリンク
2010年08月30日
NO・1747「馬鹿げているM・アッバース議長の言い草」
アメリカの強い圧力のなかで、パレスチナ自治政府議長のマハムード・アッバース氏が、イスラエルとの無条件の、直接交渉を受託した。
無条件ということは、条件が設定されていないということであり、それを土台に話し合いが進められるとすれば、話し合いの間に、新たな現実が積み重ねられていくことであろう。例えば、入植地の建設を凍結するという条件は、イスラエルとアメリカによって、拒否されている。
ネタニヤフ首相は、直接交渉の進展過程で、それはある種の結論に達するのであって、直接交渉の冒頭に入植凍結問題を引き出すのであれば、話し合いは進まなくなってしまうとした。
ここで問題なのは、過去にもそうであったように、イスラエル政府が認めない、いわば無許可の入植が進むということだ。入植者たちは政府の許可を得ずに入植し、そこの住宅を建設してしまうのだ。
過去にこうした不法入植者に対し、イスラエル政府は強硬措置をとっており、入植者の住宅を破壊したこともあるが、そうした強硬措置が取られたのは、全てではない。最近では、イランやレバノンのヘズブラ、シリア、パレスチナのハマースなどとの緊張のなかで、イスラエル国民は相当強硬、頑迷になってきている。
ネタニヤフ首相が、そうしたイスラエル国民の意識を無視して、入植を凍結するようなことになれば、当然相当の反発を受けることであろう。アメリカがごり押しで、ネタニヤフ首相に入植地の凍結を迫ることは、中間選挙を前にしては、難しいのではないか。
そうした状況を考えた場合、イスラエルとパレスチナ自治政府との直接交渉は、問題の所在が明らかになるだけであり、進展をほとんど期待できないのではないか。すでに、アラブ連盟のアムル・ムーサ事務総長は、交渉の失敗を予測している。
こうした実情を、マハムード・アッバース議長は、予測できないのだろうか?彼も当然予測できていたはずだ。だからこそ彼は、交渉が失敗したらそれは、イスラエルだけの責任だ、と語ったのだ。
しかし、それで済むのだろうか。マハムード・アッバース議長には、交渉を成功に導いていく、何の手だてもない、ということなのだろうか。そうであるとすれば、アメリカとイスラエルの圧力に負けていやいやながら、彼は直接交渉の場に、単に参加したということにはならないか。
マハムード・アッバース議長の、この会議への姿勢は、近い将来、パレスチナ国家を設立するという意欲を、全く感じさせないものではないのか。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:57 | パーマリンク
2010年08月28日
NO1746「想像以上に進んでいるトルコ政府とPKKの交渉」
世界同時不況の中で、トルコは例外的な復興を続けている。輸出額は増大し、それに伴って、国内の失業率も、低下しているようだ。周辺諸国との外交も、大きな成果を遂げ、ビザなし交流の国が増えている。
そうしたなか、世界のトルコ研究者は、トルコがいま、オスマン帝国の復活を、目指しているのではないか、という憶測まで、口に出し始めている。それはかつての、オスマン帝国版図の国々の多くが、トルコとの間でビザを廃止した結果、トルコ人ビジネスマンはこれらの国々に、自由に出入りできるようになったからだ。
ギュル大統領、エルドアン首相、そしてダウトール外相という、絶妙なトライアングル構成からなるトルコ政治は、内外で大きな成果を、挙げているということだ。その成果のスピードは驚異的であり、アラブの多くの国々は、トルコを激賞するようになってきている。
しかし、そのトルコにとってクルド問題、もっと直接的に表現するならば、PKK(クルド労働党)に対する対応が、なかなか成果の上がらない、頭痛の種であり続けてきた。PKKが結成された1984年以来、トルコ国内ではPKKによるテロが頻発し、軍人民間人のなかから、4万人を越える犠牲者が、出たと報告されている。
トルコにとって、クルド問題は永遠に解決できない問題、という認識があることも事実だった。しかし、ここに来て、クルド問題には意外な解決に向けた動きが、成果を挙げつつあるようだ。
最近になって、トルコ政府がPKKやPKKのオジャラン議長と、コンタクトを取っているという情報が、流れ始めた。それは、野党側から流されたものだが、この情報に対し、エルドアン首相は半ば認める発言をしている。
政府はコンタクトを取っていないが、MIT(情報部)がコンタクトをとることはあるという表現でだ。
彼に言わせれば、政府としてのコンタクトは取られなくとも、情報部や軍、警察などがコンタクトを取って、政府が平和的なクルド問題の、解決を図ることに寄与することは、ありうるというのだ。
実際には1999年以来、MITと呼ばれるトルコの情報機関のスタッフが、オジャラン議長にもPKKとも、再三にわたってコンタクトを、取ってきていたようだ。
8月13日にPKK側が宣言した、ラマダン停戦は、トルコ政府側がオジャラン議長とコンタクトを取り、オジャラン議長が和平路線を口にしたことがきっかけだった、という推測が事情通によって語られている。
それでは何故この時期に、これまで秘密裏に行われていた、オジャラン議長やPKK側とのコンタクトが、表沙汰になってきたのであろうか。実はこれは与党AKPが進める、憲法改正に向けた、国民投票と直結する問題だからだ。
与党AKPは、クルド問題の解決に直結する、憲法改正を国民投票で実現し、軍の動きを大幅に縮小し、クルドとの和解を実現しよう、と思っているのだ。この与党の動きは、大筋でクルド側から、歓迎されているようだ。
与党の筋書きはこうであろう。
1:憲法改正を国民投票で実現する(そのためにクルド人を取り込む)
2:新憲法は来年発布される
3;クルドにある種の自治権を与える
4:トルコ東部の開発をクルドと協力して進める
オジャラン議長には終身刑が下っているし、PKKも次第に、外国からの援助が減ってきており、トルコ内クルド組織には、政府と妥協を図る組織が、増えてきている。PKKがクルドの代表的組織、という雰囲気は、既に大分縮小してきているのだ。
PKKとイラクのクルド自治政府との関係も、あまり芳しくなくなってきている。イラクのクルド自治政府は、トルコ政府との良好な関係を、PKKとの関係以上に、優先させるようになってきているのだ。PKKの拠点はイラクのクルド地区のカンデル山であり、次第に居心地が悪くなってきている、ということであろう。
こうしたことが、PKKをして妥協に到らしめる、下地になっているのかもしれない。願わくば、この交渉が成功に到って欲しいものだ。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:56 | パーマリンク
2010年08月27日
NO・1745「慾にはきりがないイランの核開発」
散々世界中が騒がせた後、イランはロシアの供給する燃料棒を、ブシェールの原発に挿入し始めた。このことについては、イランの核開発に、厳しい対応を取っていたアメリカも、ロシアの管理の下で、厳重に核兵器を開発する材料を、イラン国内に残さないことを条件に、渋々認めることとなった。
イランにしてみれば、しめしめということであろう。一旦、燃料棒が挿入されてしまえば、その原発に対して空爆を強行することは、出来なくなるからだ。アメリカのボルトン氏が「あと数日しか残されていない。」と大騒ぎしたのもそのためだった。しかし、さすがのイスラエルも、アメリカの賛同無しには、強硬手段を取る決断が、出来なかったのであろう。
そして、イランは核保有国への道を、一歩進めることが出来た。もちろん、そのことはイランが核兵器を持つ意思がある、ということを言っているのではない。あくまでも、その可能性を一段と高めたという意味だ。
しかし、今のイランはこれだけでは、済まないのではないか、と世界を疑惑に包む言動を、繰り返している。それはもちろん、国際政治の場での、一つの取引の技術ではあろうが、あまりにも危険過ぎはしないか、と不安になる。
ブシェールの原発に燃料棒が、挿入されることが決まって間もなく、イランの副大統領であり、原子力開発委員会委員長のアリー・アクバル・サーレヒ氏は、ブシェール原発への燃料棒挿入の後、ロシアとイランで燃料棒を、共同で生産したい、と言い出した。
そのことは、当然ロシア国内ではなく、イラン国内で生産したい、ということであろうから、世界から猛反発を受けることは必定だ。アリー・アクバル・サーレヒ委員長は「世界に対してイランは核エネルギー開発につながる、ウラン生産の能力を、示す必要がある。」といった内容の発言をしている。
そして「ロシアはイランの提案を検討中だ。」とも語っている。このアリー・アクバル・サーレヒ委員長の発言を、イスラエルやアメリカは、どう受け止めるであろうか。
そこまでイランの核研究が進んでいるのであれば、最早止めようがない、と思うか。あるいは、何としてもこれを、阻止しなければならない、と考えるか、そのいずれかではないか。そして可能性が高いのは、後者の方ではなかろうか。
アリー・アクバル・サーレヒ委員長は「イランがすでに20パーセントの濃度のウラニュームを、25キロ生産した。」とも語っている。これは表向き、医療用のものとされているが、もう少し濃度を上げれば、それは危険な核兵器の材料に、限りなく近づくということを、意味している。アリー・アクバル・サーレヒ委員長の発言は、政治的駆け引きなのか。あるいは「調子に乗りすぎた軽率な発言」なのか?
投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:28 | パーマリンク
2010年08月26日
NO・1744 「エジプト大統領候補を巡り与党分裂という情報」
次期エジプト大統領選挙に、立候補するかしないか、なかなか態度を鮮明にしないガマール氏(ムバーラク大統領の次男)に、彼の取り巻き連中たちが、業を煮やして、行動を起こし始めている。
ムバーラク大統領の健康問題が、ここにきてほとんど希望がなくなりかけ、早い時期に、ガマール氏が立候補を宣言し、行動を起こさなければ、出遅れになり、場合によっては他候補に敗れることもありうる、と取り巻き連中たちは、考えているようだ。
彼らはガマール氏の意向を確かめず、エジプト中にガマール氏擁立の、ポスターを張り巡らした。それは、ムスリム同胞団やガド党、エルバラダイ氏の支持団体から、攻撃を受ける対象になり、野党側は「ガマールにはエジプトは大きすぎる」というポスターを作り、国内いたるところに、張り出されることとなった。
ガマール氏がなかなか、立候補を口にしないのは、父親が終身大統領でありたい、という願望を尊重してだ、という説が流れているが、それに加え、彼自身の健康問題が、あるからであろう。
しかし、もしムバーラク大統領が、突然死亡するようなことになれば、ガマール氏当選の可能性は、非常に厳しいものになるだろう。日本とは異なり、弔い合戦での同情票を獲得して、選挙に勝つというパターンは、期待出来ないのがアラブ世界だ。悪い表現をするならば、アラブ世界とは、溺れる犬に石を投げつける、世界なのだ。
それにもかかわらず、ガマール氏の取り巻きが、活発な擁立行動を取ることに、国民民主党内のベテラン議員たちからは、反発が出ているようだ。最近流れてきた情報によれば、与党内で次期大統領候補の選出で、党内に分裂が生じているということだ。
現実はそれほど、センセーショナルなものとは思えないが、若者層の先走りは、ムバーラク大統領に対して、失礼だという感情は、ベテラン議員のなかにはあろう。
若いビジネスマンたちが、ガマール氏の支持基盤になっているのだが、彼らが躍起になって、ガマール氏を推す裏には、彼らの利権がからんでいることも否めない。ガマール氏の取り巻き連中の起こした、経済スキャンダルはこれまで、幾つも話題に上っていた。レバノン出身の美人歌手の委託殺人でも、ガマール氏と親しい大金持ちが、その命令を下したとして、現在獄中にある。彼が軽度の罪で済むか否かは、ガマール氏が大統領に就任できるか否かにも、かかっているのだ。
加えて、エジプト政府が宣言した、原発建設も当然のことながら、大統領選挙に絡んで来よう。ガマール氏の兄である、長男のアラーア氏の立候補も噂されており、取り巻きたちにしてみれば、気が気ではないだろう。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 13:53 | パーマリンク
2010年08月25日
NO・1743「それでも和平交渉に挑むM・アッバース議長」
アメリカが強力な圧力をかけ、イスラエルとパレスチナ自治政府に、和平交渉の座に就くように仕向けた。結果的に、これをパレスチナ自治政府の、マハムード・アッバース議長は受け入れた。
しかし、受け入れに至る段階で、多くのパレスチナ組織と、パレスチナ有力者著名人が、イスラエルとパレスチナ自治政府との、直接交渉の会議には出るべきでない、と反対していた。
それにもかかわらず、マハムード・アッバース議長は、この直接交渉に、出席を決めたのだ。直接交渉の前提として、パレスチナ内部からは、入植地の凍結や、パレスチナとイスラエルとの国境画定など、幾つもの条件案が出ていたが、そのいずれの条件も、イスラエル側からは受け入れられなかった。アメリカも無条件の交渉開始を、マハムード・アッバース議長に押し付けることに、成功した。
しかも、この直接交渉の結果、パレスチナ問題に大きな進展があるとは、誰も予想していない。アメリカのヒラリー国務長官は、困難なものになることを予測しているし、この会議に呼ばれたブレア元イギリス首相も、非常に困難なものになることを、見越している。
それではマハムード・アッバース議長は、何故この会議に出席することを、受託したのだろうか。彼ももちろん、直接交渉が極めて希望の無いものであることを、予測しているはずだ。マハムード・アッバース議長はこの会議から、パレスチナ問題を巡る、何らかの成果があることを期待して、出席するのではあるまい。
マハムード・アッバース議長は、この会議に出席することによって、親米派アラブの国々からの、援助を取り付けること、アメリカ政府が今後も、彼をパレスチナ自治政府の代表とみなしてくれること、そのことに加えて、彼の身辺の安全を保障してくれること。イスラエル政府が彼の身の安全を、保障してくれることを願ってであろう。
つまり、今回、マハムード・アッバース議長が、直接交渉の場に出るのは、彼の個人的経済的メリットと、彼の身の安全確保が、目的ではないのか。
しかし、それと交換に、イスラエルによるヨルダン川西岸地区と、東エルサレムに対する入植活動は、止まることなく進められるだろう。イスラエル国内には、入植活動に反対するグループは、ほとんど存在しないし、アメリカも中間選挙をすぐ先に控え、ユダヤ・ロビーに対する配慮から、入植活動の凍結を、厳しく迫るとは思えない。
イスラエルのネタニヤフ首相は、「いま進められている入植活動は、政府が認めたものではない。あくまでも個人が勝手にやっているものだ。入植活動を停止させるように善処したい。」と言い逃れることが出来よう。あるいはその程度の配慮も、必要ないかもしれない。マハムード・アッバース議長は、完全に足元を、見透かされてしまっているのだから。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:08 | パーマリンク
2010年08月24日
NIO・1742「アラブの友人が語ったエジプト内情と次期大統領」
アラブの親しい友人が来日した。さっそく飯を食おうということになり、あるレストランで落ち合った。最初は相互の家族、仕事状況の話をしたり、冗談を言い合っていたのだが、途中からどうしても聞いてみたい、エジプトの状況を聞くことにした。
まず最初に聞いてみたのは、エジプトの庶民の生活状況だった。最近では食料品の高騰に加え、電気、水で困っているというニュースが、伝えられていたからだ。ナイルの大河を擁し、アスワン・ハイダムを持つエジプトが、何故水と電力に事欠くのか、ということが私の素朴な疑問だった。
この点については、ナイル沿岸諸国会議があり、エチオピアやスーダンがエジプトよりも、川上に位置している。このため、エチオピアがダムを造ると、エジプトに流れてくる水量は減り、発電量も減るというのだ。言われてみれば、確かに数ヶ月前、ナイル川の水の配分を巡って、問題が起こり妥協が生まれないままになっていた。
エチオピアがダムを造ることについて、彼はイスラエルがエジプトを困らせるために、エチオピアをけしかけているのだと語っていた。ナイル川はエジプトにとって、貴重な財産ではあるが、同時に危険な存在でもある。
何十年か前の話だが、イスラエルがエジプトに対し、アスワン・ハイダムを破壊することも出来る、と脅したことがある。もし、それが実行されれば、数時間後にはカイロの街のほとんどが、水面下に埋もれてしまうことになるのだ。それは現在、パキスタンが直面している、水害の規模に相当するのではないか。
食料の高騰は相当に大衆の生活を、脅かしていると言っていた。一番の問題は、巨万の富を持つごく一部の国民の反対側には、大多数の貧民層がいることだ。以前いたような中間層は、完全に消えたよと彼は語り、俺もその貧民層の一人さ、と自嘲的な笑いを浮かべていた。そのことは、いまのエジプトでは自然発生的な暴動が、いつ起こっても、不思議ではないということだ。
次期大統領候補については、至って明快な意見を聞かせてくれた。ムバーラク大統領は終身大統領で死にたい、と考えているため、ガマール(次男)は立候補を明らかにしていないのだ、ということだ。加えて、彼が病弱であることも、その理由だということだ。
いま大統領候補として話題になっている、元IAEA事務局長のムハンマド・エルバラダイ氏については、長期の外国暮らしのため、彼はすでにエジプト人ではなくなっている。例えば、彼が主催するホーム・パーテイで、突然姿が見えないので、どこに行ったのかと探すと、就寝の時間だから、自室に戻ったということだった。
こんなことは、エジプト人が開くホーム・パーテイでは絶対に起こり得ないというのだ。したがって、彼がエジプトの大統領になる可能性は、ゼロだろうということだ。
それではムスリム同胞団から、大統領候補者が出るのかというと、もし万が一当選しても、すぐに軍部がクーデターを起こして、その政権を潰すだろう。エジプトは軍部が最大の力を、今でも持っているんだ、ということだった。
そうなると、候補が予想される誰もが、出てこないことになるが、他方、ムバーラク大統領は最近、歩行に困難があり、講演も支離滅裂に、なってきているという話だ。そうなれば、次に考えられる人物は、軍部からか、ムバーラク家からかということになる。
友人はこれまで、政治に興味を示してこなかった、ムバーラク大統領の長男のアラーア氏が、最近になって、大統領後継者になることを、意識し始めているようだ。どうも彼がそのことを意識して、動き始めている様子が、うかがえると語っていた。彼の出現で、アラブの大国であるエジプトが、安定した権力の移行が出来るのならば、それに越したことはあるまいということか。
投稿者: 佐々木良昭 日時: 13:20 | パーマリンク