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2008年07月31日

NO・1095二人の大使の日本へのラブコール

 一昨夜、二人の大使に誘われて、六本木のレストランで夕食を共にした。一人はイラク大使もう一人はモーリタニア大使だった。二人は大の日本びいきなのだ。
 イラク大使は、イラク国民のほとんどが、イラク石油の開発を、日本企業が進めてくれることを望んでいると語り、これまでの日本企業の功績を、たたえてくれた。
 そして、これからイラクは治安の安定化と共に、本格的な石油開発を進めていきたいと語り、そのためには、日本の民間企業を、政府が後押ししてくれることを、望んでいると語っていた。
 イラクは現在世界で、最も石油の可採埋蔵量の、多い国だとみなされている。一説によれば、3500億バーレルの可採埋蔵量があるといわれているが、5000億バーレルだという説もある。
 現在はサウジアラビアが、世界一の可採埋蔵量を有している、といわれているが、そのサウジアラビアの可採埋蔵量は、2600億バーレルで20年前から変わっていない。
常識で考えれば、サウジアラビアの可採埋蔵量は、それよりも減少しているはずだ。しかも、サウジアラビアは石油価格の調整役として、スイング・プデューサーの役割を果たしてきているだけに、大幅に可採埋蔵量は減っているはずなのだが。
サダム体制の時代に、サダムの親戚の女性と結婚している外交官が、日本に駐在していたが、彼とは親しい付き合いをしていた。彼はバグダッド地域の地下にも、膨大な石油が眠っていると話していた。
その話をすると、イラク大使はその通りだと語り、現在、日本の企業が試掘しているところだと語っていた。この地域には500億バーレルの石油が、眠っているということだ。
イラク大使は日本企業との間に、石油開発から精製までを、共同で進めたいと、マリキー首相が強く希望していると語っていた。そのためには、日本とイラクとの政府間合意が、結ばれることが最も好ましいとも語っていた。
日本企業がイラクに進出を控えているのは、企業のトップが万が一の場合に責任をとりたくないことと、外務省の対応に原因があるのではないか。イラクに駐在していたある日本大使は、イラクの治安が大幅に改善したから、民間企業に出て行って欲しいと語っていたが、外務省の海外安全情報を見ると、相変わらずイラクは、危険地帯であり退避勧告になっている。大使の発言と外務省の立場とは、異なるということだ。
 もう一人はモーリタニアの大使だったが、彼は何年か前に、日本政府がモーリタニアの地下資源調査をしてくれ、金、ダイヤモンド、鉄、銀などの鉱物資源があることを確認してくれた。
しかし、カナダやオーストラリアの企業は、モーリタニアでこれらの鉱物資源の開発を進めているが、日本企業は出てきてくれないと話していた。何とか、日本企業が出てきてくれることを望むということだ。
以前、元商社に勤めている友人と話しているときに、彼は一本100万円以上もする大型のタイヤが、モーリタニア向けに、飛ぶように売れていたと話していた。これは鉱山で使用される車両に使うものだ。
モーリタニアの大使から、私にぜひモーリタニアを訪問し、貴方の目で見たモーリタニアの社会、治安、経済の可能性など、総合的な報告を出して欲しいといわれた。多分、彼の意向に沿うよう、11月頃までにはモーリタニアを訪問することになるだろう。日本企業の皆さんに、ぜひモーリタニアへの関心を、抱いていただきたいものだ。その参考になる報告が出来ればと、今から望んでいる。
大雨が降っていたことで、帰路はイラク大使の車に、便乗させてもらった。イラク大使は車中で「日本企業は仕事の完成度を中心にし、儲けはその後と考えるが、欧米企業は儲けることが優先し、仕事の完成度が主目的ではない。
モーリタニアのような新興国には、日本のような正直な国の企業に、進出していってもらいたいと望んでいる。イラク国民も日本の企業が来てくれることを、心待ちにしているのだ。」と語っていた。日本はこうした国の期待に、応えるべきではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:14 | パーマリンク

2008年07月30日

NO・1094何時ものパレスチナ政府の金欠病

 パレスチナ自治政府のファッヤード首相が、パレスチナ自治政府の資金難について語っている。
いわく「パレスチナ自治政府は資金難に陥り、7月分のサラリーが払えない。このままの状態で行けば、パレスチナ自治政府は公務員や警察の支持を失い、危険な状態になる。他方、ハマースはイランやラジカルな援助者から、巨額の資金援助を受けている。」というのだ。
パレスチナ自治政府の説明によれば、2007年12月に開催されたパリのパレスチナ支援会議では、77億ドルの約束をしたにも拘らず、受け取った金額は9億ドルだったというのだ。
2008年にパレスチナ自治政府が受け取る、寄付の金額は30億ドルだったが、受け取った金額はこの35パーセントでしかないということだ。これでは15万人いるパレスチナ公務員に、サラリーが払えないばかりか、パレスチナ政府の下にある、各種団体や組織も運営していけないということだ。
そして、約束の金額を援助してくれていない国として、パレスチナ自治政府側はアラブ諸国を挙げている。たとえば、サウジアラビア政府は3年間で、5億ドルを援助してくれるといっていたが、その20パーセントにも満たない金額を、送ってくれただけだということだ。
クウエイトもまた、8千万ドルを約束していたが、その約束の金額には、達していないということだ。カタールも2億ドルの援助を約束していながら、ファタハとハマースの対立が激化したことを理由に、援助が止まっているということだ。
アラブ諸国にしてみれば、パレスチナ自治政府が援助金を、幹部の間で好きなように浪費しているのに、寄付をするのは馬鹿らしい、ということであろう。ファタハとハマースの問題も、そもそもはファタハ(マハムード・アッバース議長のグループ)が浪費していることが、分裂の理由のひとつだった。
その分裂を解消せず、しかも、ファタハ幹部の浪費が続くなかでは、援助を期待するほうが、無理なのではないか。つまり、アラブ諸国の資金援助が少なくなっても、自業自得であろうということだ。パレスチナ自治政府は援助国を非難する前に、まず自分の襟を正すべきであろう。
パレスチナ自治政府の幹部が、好きなように浪費しても、黙って援助を続けているのは、日本政府ぐらいなものであろう。日本政府はパレスチナ自治政府が、正しく援助金を使っているというが、パレスチナ人にはどうにでも、つじつまが合わせられるのだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:03 | パーマリンク

2008年07月29日

NO・1093溺れる犬に石を投げるようなスーダン状況

 スーダンのオマル・バシール大統領が、国際司法裁判所から、虐殺の犯罪人として起訴されている。現職の大統領が国際司法裁判所から、起訴されるというケースは、今まで無かったらしい。
 そうであるとすれば、相当の悪人ということになるのだが、どうも実感がわかない。それは、スーダン人に対して私が持っている、先入観によるものかもしれない、スーダン人には温厚で、親切な人たちが多いのだ。
 しかし、今回の場合、彼はダルフールの近くの町に軍隊を送り、虐殺を命令したというのだ。しかし、その犠牲者は伝えられるところによれば、数人程度ということであり、虐殺というほどの人数では、無いような気がするのだが。
 もし、これまでのダルフールでの戦闘の犠牲者や、難民の犠牲者を含めるのであれば、数万あるいは数十万人ということになろうが、それは何もバシール大統領だけを、悪人にするというわけには行くまい。それを言うのであれば、ブッシュ大統領はイラクに侵攻し、既に100万人を越える犠牲者を生み出しているのだ。
 そうした国際司法裁判所の動きを見てか、来年スーダンで予定されている大統領選挙には、現在の段階から数人が、立候補を口にし始めている。一人はサルファ・キル氏で、彼はスーダン人民解放運動のリーダーだ。
 もう一人はオマル・バシール大統領の側近であろう、現職の副大統領だというのだ。
 スーダン人民解放運動は、来年の選挙前には、ダルフール問題を解決したいと考えており、スーダンが安定した状態のなかで、全土を挙げて選挙を実施したいということであろう。そのためには、オマル・バシール大統領が国際司法裁判所によって、逮捕される必要があるということであろう。
 この話しが現実的だとすれば、オマル・バシール大統領が率いるスーダンの与党国民会議のなかにも、オマル・バシール大統領と異なる意見を持った者が、複数いるということであろうし、他の野党も、この構想を支持しているということであろう。
 こうしたスーダン内部の動きと、国際司法裁判所の追及を前に、オマル・バシール大統領はリビアのカダフィ大佐に、相談を持ちかけているが、場合によっては、リビアへの亡命を考えているかもしれない。
加えて、オマル・バシール大統領はトルコで開催される、アフリカ会議にも出席する予定だということだ。まさに、藁をもつかむ心境なのであろう。このほかにも、サウジアラビアのアブドッラー国王と、エジプトのムバーラク大統領に親書を送ってもいる。
つまり、オマル・バシール大統領は、国際司法裁判所の動きが、早まったと受け止めているのであろう。では何故いまの段階になって、バシール大統領外しが急速に進み始めたのであろうか。それについては、7月中旬に書いた「中東TODAYのNO・1074」をご覧いただきたい。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:10 | パーマリンク

2008年07月27日

NO1092イラン脅威論を否定し始めたイスラエルの真意

 イスラエルはいままで、イランを脅威と感じ、イランが開発するであろう核兵器を、未然に防ぐための空爆が、必要であることを強調してきた。盟友のアメリカに対しても、イランの核施設破壊を、何度も呼びかけてきている。
 しかし、ここに来てイスラエルは、イランが脅威ではないという発言を、し始めている。第一に、イランがロシアからS−300ミサイルを入手するのは、一部は9月に届くが、残りは年末だとみている。
 これに対して、アメリカはS−300のロシアからイランへの移送は、来年になるだろうと見ているようだ。そうなると、アメリカもイスラエルも、イランに対する軍事行動は、当分採らなくていい、ということになるのだが。
 イスラエルはイランのミサイルについて、撃墜できるとも主張している。イランに対して、現時点で攻撃を加えることは、場合によっては、レバノンのヘズブラやシリアを刺激し、戦域を拡大しかねない。したがって、イラン攻撃は最終的な手段として、とっておくべきだと主張する者も出てきている。
 ここ数週間の間、あるいは数日間の間に、イスラエル国内の意見がこうもトーン・ダウンしたのはなぜだろうか。イスラエルはイランがウラニュームの濃縮に使われる遠心分離機を、6000基に増加したという主張に対しても、アハマド・ネジャド大統領が大げさに言ったのだと切り捨てている。
先日行われた長距離ミサイルの発射実験についても、画像に手が加えられたものであり、数秒間以内の連射は嘘であり、ビデオ映像は本物ではないとも主張している。
しかし、このイスラエルとアメリカの豹変を、そのまま信じていいのだろうか。案外イランを油断させるための罠かもしれない。イランは前にも書いたとおり、「攻撃無し論者」と「攻撃されても勝つ論者」に分かれており、いたって呑気に構えている部分があるからだ。世の中それほど甘くはないと思うのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:57 | パーマリンク

NO・1091イランが6000基の遠心分離機揃える

 イスラエルのエルサレム・ポスト紙が、イランのファルス通信の情報として伝えたところによれば、イランのアハマド・ネジャド大統領は土曜日、アメリカに対する勝利宣言とも取れる発表をした。イランの北部の町マシャドで、アハマド・ネジャド大統領は、イランが6000基の遠心分離機を、揃えたことを宣言した。
 述べるまでもなく、この遠心分離機は、ウラニュ−ムの濃縮に使われるものだ。4月の段階では3000基だったものが、その後、国連の核査察団は5月の段階で、イランが3500基の遠心分離機を、揃えたことを報告している。
 しかも、これまで使用していた濃縮の設備P−1ではなく、もっと精度の高く効率のいい、IR−2を現在では使用しており、効率は2倍以上になっているというのだ。
したがって、イランはいまウラニュームの濃縮で、テスト段階ではなく、産業レベルにまで、濃縮が可能になっているということであろう。そして、この濃縮作業のの結果、イランは既に、核兵器生産が出来る段階に、到達しているということだ。
 アハマド・ネジャド大統領は、アメリカがこれまで、濃縮を止めることを、イランと話し合う条件だとしてきたものを、イランが濃縮を止めていない状態で、スイスの会議にウイリアム・バーンズ国務次官を送ったことで、アメリカはイランに妥協したのだ、と勝利宣言をしていた。
 問題はこのアハマド・ネジャド大統領の、あくまでも強気の姿勢に対し、アメリカはどう対応するのか。そして、最もイランの核に脅威を抱いているイスラエルは、どう出るのであろうかということだ。
イランとアメリカ・イスラエルとの間では、刻一刻と緊張と危険が、高まっているのではないのか。
 
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:43 | パーマリンク

2008年07月26日

NO・1090トルコ与党AKPの将来予測

 7月28日の月曜日、トルコの憲法裁判所は与党AKP(開発公正党)に対する、審理をめぐる判断を出すことになっている。つまり、AKPが憲法に違反しているか否かを、審理するか否かを明らかにするのだ。
 AKPは今年に入り、スカーフを公共の場で着用することを許可したが、憲法裁判所はこれを、トルコ共和国の世俗主義に反する、憲法違反だとする訴訟を受け付けていた。
 この裁判がもしAKPは有罪であり、トルコ共和国の憲法に反するという結論を出せば、与党AKP出身のギュル大統領、エルドアン首相を始め、70人ほどの国会議員が、政治活動停止命令を受けることになる。もちろん、AKPそのものも違反であり、解を命じられることになる。
 この問題はこれまで何度も取り上げたので、これ以上状況説明をしない。それよりも、どのような結論が出るのかを、大胆に予測してみたい。アメリカは明確に、AKPの解散に反対している。EUもまた同じように、AKPが解散命令を受けるのでは、トルコのEUへの参加は、大幅に遅れると警告している。
 つまり、アメリカもヨーロッパ諸国も、現在のトルコの与党AKPを、明確に支持しているということだ。それには以下のような理由がある。
 アメリカはトルコをロシア、中央アジア、イラン、イラクからの、石油・ガスの集積地にしようと考えているが、これを実現するには、現在の与党AKPが最も協力的であり、しかも、国をまとめる力も強いと判断している。
現実に、AKPはこのエネルギー輸送のため、関係諸国との良好な関係を構築した上で、幾つものパイプ・ライン建設を実施してきている。そのなかでも、カザフスタンの石油を、地中海に運ぶことが出来るBTCパイプ・ラインは、カザフスタンの石油をバクーまでタンカーで運ぶことにより、完全にロシアを経由しないルートを、開発することが出来ているのだ。
アメリカやヨーロッパにとって、このトルコの与党の行動は、歓迎すべきものであろう。このことによって、ロシアのヨーロッパに対する圧力を軽減し、中央アジア諸国に対する、影響力も軽減できるからだ。
もうひとつアメリカにとって、トルコが重要なのは、イラクへの対応で、近い将来、トルコがアメリカの一部を、肩代わりをするであろうということだ。アメリカ軍の一部がイラクから撤退するであろうし、イギリス軍も来年にはほぼ全軍を、撤退させることをほのめかしている。それは、必ずしもイラク国内の治安状況が、よくなるからではない。ほかの理由によろう。
そうなるとどうしても、イラクに近いトルコに、期待しなければならなくなるということだ。もし、AKPが与党の立場を失い、野党にでもなったら、アメリカは再度、新しいトルコの与党との間で、そのことをゼロから協議しなければならなくなろう。それでは時間的に間に合わないのだ。
こうしたアメリカやEUの事情を考えると、トルコの憲法裁判所もそう簡単に、AKPを非合法として解散させることは、出来ないのではないか。AKPはいま最悪の場合に備え、来年3月の予定の選挙を、今年11月に早めることによって、対応することも準備している。
いずれの結果が出るかは、もうすぐ分かるのだが、あえて予測をしてみた。予測通りであることが、結果的には日本にとっても、プラスであると思われるのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:45 | パーマリンク

NO・1089親が親ならリビア版

 北アフリカの地中海に面した国リビアは、80年代世界の耳目を集めた。述べるまでもなく、カダフィ大佐の傍若無人の振る舞いと、これに劣らぬアメリカの、レーガン大統領のリビア対応によってだ。
 レーガン大統領はカダフィ大佐を「狂犬」と呼び、カダフィ大佐はアメリカに挑戦すると豪語していた。その後に起こったパンナム機爆破事件や、フランス機の爆破事件は、リビアの犯行とされた。
 以来、アメリカは先進諸国に働きかけ、リビアに制裁措置を採った。結果はリビアが降参し、アメリカとの関係を、修復することになった。その代償は巨額に及んだ。パンナム機の爆破については、リビア以外の犯行説が幾つかあったが、リビアはパンナム機の乗客で犠牲となった遺族に、保証金を支払ったのだ。
 彼の息子は何人かいるが、日本を訪問したのは2人、そのうちの一人サイフ・ル・イスラームは、きわめて常識的な考えを持っている人物だ。彼は父カダフィ大佐に対し、考えを変えるように何度も助言したが、聞き入れられなかった。
 それを見ているほかの息子たちは、わがまま放題で父親譲りの、乱暴者で通っている。今回も3男のハンニバルが、スイスのホテルで女性を殴打し、スイス警察が逮捕したが、外交官特権で間も無く釈放されている。
 ハンニバルは以前にも、同様の暴力事件を起こしている。しかし、リビアが産油国であり、ヨーロッパはリビアの石油に依存していることから、強硬な対応がとれないで来た。
 今回のケースでは、リビア側がスイスに対し、謝罪を求め石油の供給をストップした。これでは、ハンニバルが暴力事件について、反省などするはずがない。ヨーロッパの小国スイスが、この事件を最終的にどう処理するのか、関心がもたれるところだ。
 日本政府は彼のような人物に対し、入国を認めないのが正解であろう。入国後に事件を起こされ、結果的に無罪放免にしたのでは、日本が笑いものにされるからだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 10:37 | パーマリンク

2008年07月24日

NO・1088イランロシア製S−300対空ミサイル配備へ

 イランがロシアから、最新鋭の対空マルチ・ターゲット・ミサイルを輸入し、配備することになった。既にこのS−300対空マルチ・ターゲット・ミサイルは、イランが核施設防衛のために、配備しているが、今後は大量に輸入し、防衛をより一層確、実なものにしようということであろう。
 しかし、このS−300ミサイルが、イランに届くのは、今年末のようだ。それは、場合によっては、イスラエルやアメリカの攻撃が行われるとすれば、間に合わないかもしれないということになる。
イスラエルやアメリカによる、イランに対する攻撃は、早ければ9月の終わりから10月にかけて、遅くとも10月末から11月の前半に、実施されると予測されているからだ。
ロシアはもちろん、このイスラエルやアメリカの意向を知っている。つまり、そのことを分かった上で、イランに対するミサイルの引渡しを、遅らせているのかもしれない。ロシアは自国製のミサイルを、イランにはベラルーシ経由で、届けることになっているようだ。
つまり、ロシアはあたかもイランを支援しているようなふりをして、イランにミサイルを売りつけ、イランがそれを必要とするときまでには、引き渡さないのではないか。
そうであれば、イスラエルもアメリカもロシアのイランに対する、ミサイル売却に文句を言うまい。一番馬鹿を見るのは、イラン政府と国民、ということではないのか。
イスラエルは先に行った、地中海空域での軍事訓練で、クレタ島に配備しているS−300を対象に、機能を停止させるノウハウを得たようだ。したがって、イスラエルがイランを攻撃する際に、たとえイランがS−300の入手を早めたとしても、あまり効果は期待できない、ということかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:57 | パーマリンク

NO・1087シリア訪米団長のキャンセルは何を意味するのか

 今週中に、シリアの代表団がアメリカを訪問し、国務省の高官らとゴラン高原問題などを、話し合う予定になっていた。
 このため、シリアの訪米代表団の団長には、ゴラン高原の交渉トップが選ばれていた。彼の名はリヤード・ダウーデイ氏で、イスラエルとのゴラン高原交渉のシリア側最高責任者であり、外務省のアドバイザーでもある。
しかし、彼の訪米は突然キャンセルされ、彼の後任団長には、シリア首相のアドバイザーであるアハマド・ターキ氏が就いた。
アメリカ側は今回のシリアの訪米団を重視し、国務省のデービッド・ウエルチ国務次官補が対応することになっていた。しかし、シリア側の団長の交代により、デービッド・ウエルチ氏との会談は、キャンセル可能性が高くなり、しかるべき国務省の高官が、これに当たることになりそうだ。
アメリカ側としては、アメリカのシリア・イスラエル問題に対する姿勢を、明確にシリア側に対して、説明するつもりのようだ。
シリア側の団長に予定されていた、リヤード・ダウーデイ氏の突然の訪米キャンセルは、シリア・イラン関係にあるようだ。つまり、アメリカ側はアラブ諸国に対して、イランとの関係を断絶するよう、圧力をかけており、シリアはそれに明確な答えを、出したくないからではないかと思われる。
イランとアメリカとの関係が、日に日に緊張を高めているなかで、シリアに対するイスラエルの先制攻撃が、予測されることも一因であろう。シリアとすれば、イランとの関係を絶つことにより、イスラエルとの緊張関係に終止符を打ちたいと思う反面、そのことが結果的に、イランの後押しを期待できなくなり、国内の反体制派の巻き返しに会う危険性もあろう。
シリアはいま、非常に難しい状況に、追い込まれているということではないか。トルコの仲介によるイスラエルとの和平交渉も、継続されてはいるが、相変わらず間接交渉の段階から、抜け切れないでいる。シリアの国内政治には、レバノンやイラン、パレスチナといった、複雑な要素が絡んでいるのだ。
いずれにしろ、シリアは次第に危険の淵に、立ち始めているのではないか。イランに対する軍事攻撃が、実際に起こるとすれば、シリアは確実に先制攻撃を、受けることになるからだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:53 | パーマリンク

2008年07月23日

NO・1086イランもインフレ国民は暴発しないのか

 BBCのサイトに、イランの最近のインフレに関する、情報が掲載されていた。それによると、生活物資は過去2−3ヶ月で、2倍から3倍に値上がりし、一部商品については、不買運動が起こっているとのことだ。紅茶については、輸入が止まるといううわさが広がり、買いだめの客が店に殺到し、品切れになり価格が暴騰したというのだ。
 ある夫婦が、住宅を購入してから子供を生もうと思い、金をため半額を払って、残りをローン支払いにしていたらしいのだ、金利が上がり二人のサラリーを一緒にして、やっと払う状態になり、遂に親元に同居し、残金を払いきったという話も紹介されていた。
 問題はこうした傾向は、世界の何処の国でも起こっているわけだが、それに耐え切れる国と、耐え切れない国が、出てくるということだ。耐え切れない国では、国民が戦争を待望するようになっている。6月に出かけたエジプトでは、多くの国民が現状から逃避したいために、戦争が起こることを、心待ちにしていたのだ。
 イランの場合も同様であろう。イランは産油国であることから、非産油国に比べ少しはましだろうが、それは程度の差に過ぎない。そうなると、イランでも思いのほか戦争待望の感情が、国民の間で広がっているかも知れない。
 ジュネーブ会議後、2週間の猶予を受けたイランが、どう返答するかによっては、今後、国連の決議でイラン制裁が行われ、海上封鎖などもありえよう。そうなった場合、革命防衛隊の一部が、アメリカの艦船に、自爆攻撃をすることもありえよう。
 その瞬間に、アメリカはイランに対する、報復空爆を開始し戦争となろう。つまり、いまのイランの国内状況は、戦争をぜひとも避けよう、というムードだけではないのだということだ。
 世界の多くの国では、国民たちがイラン国民と同様の、感情を抱いていることも事実だ。日本はその意味では、まだ耐えうる範囲内の経済悪化であり、冷静に状況を捉えているといえよう。そうである以上、日本は積極的に戦争回避の、努力をすべきであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 02:32 | パーマリンク

2008年07月22日

NO・1085イスラエルのための戦争の意味するものは

イランの核濃縮に関する頑なな対応は、欧米諸国を激怒させている。EU主催の会議には、イランのサイード・ジャラーリ代表が、たった二枚の紙切れを持って来たに過ぎなかったと語り、ライス国務長官も、イランが会議に真剣でなかったと非難している。
この非難の後に続いた言葉が問題だ。イギリスのブラウン首相はイスラエルの議会クネセトで演説し「自分はイスラエルの友人であったし、これからもそうであり続ける。イランを放置するわけには行かない。」といった内容の発言している。
ライス国務長官も「イランに与えられたのは二週間だけだ。」と語り、この二週間後に、イランに対しアメリカが採る制裁を警告している。
共和党の大統領候補マケイン氏にいたっては「ホロコーストを繰り返してはならない。」と声高に唱えている。
問題はこれらイスラエル支持の発言が、異常としか言いようがないほどまでに、興奮したものであり、劇場的なのだ。
これではイランに対する、アメリカの軍事攻撃は必死であり、その結果生まれるであろう、多数のイラン国民の犠牲も、世界経済の破滅も、全てはイスラエルを守る、ユダヤ人を守るためのもの、ということになってしまいはしないかということだ。
アメリカによるイランに対する攻撃が、短期間で終わり、イランのホメイニ体制(ベラヤトファギ)が崩れ、アメリカが唱えるように、イランが民主的な国家に生まれ変わるのであれば、あるいは万々歳なのかもしれない。
もしイランに対する攻撃が、アメリカの予想とは異なり、長期化し、アメリカ側にも大きな被害が発生し、戦争が原因で石油の価格が高騰し、それが長期に及んだ場合、世界経済が大きなダメージを受けるとするならば、その責任の追及は、全てユダヤ人とイスラエルに向かうのではないか。
イランの核開発はイスラエルにとって、確かに最も大きな不安であろう。しかし、だからといって白黒の結論を出す戦争は、避けるべきではないか。悪い表現が許されるならば、懲罰的攻撃でとどめておくべきだということだ。
誰もが予測できるように、イランはもし戦争が始まれば、レバノンのヘズブラやパレスチナのハマースに対して、イスラエルに対する攻撃を促すだろう。同様に、イラクのシーア派に対しても、アメリカ軍に対する攻撃を、強化するように呼びかけるだろう。
一部ではあったとしても、ヨーロッパやアメリカ国内のアメリカ、イスラエルの権益に対する、テロ攻撃も予測されよう。そしてその動きは、イスラム諸国にも伝播するのではないか。
戦争は常に予想とは異なった方向に向かうものだ。そのことを頭に入れて、アメリカやイスラエルには行動してもらいたいものだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:44 | パーマリンク

2008年07月21日

NO・1084アメリカが戦争を始めるには

 最近、気になっていることがある。それは、「アメリカがイランに対して、戦争を仕掛けないだろう。」という予測をしている人たちの多くが、その理由にアメリカの経済状態が、悪いことを挙げている。
 もうひとつの理由は、「アメリカがイラクとアフガニスタンとで戦っている状態で、三つ目の戦争を始めるはずがない。」という予測だ。それを言うなら、最初のアフガニスタン戦争が、完全な勝利に至っていないのに、イラクとの戦争を始めたのも辻褄が合わなくなる。
 これまでの歴史を振り返ってみると、幾つもの国が、ほとんど破滅的な経済状態のなかで、戦争を始めたというケースは、幾らでもある。第四次中東戦争を始めたときのエジプトは、まさにそれであろう。
当時の日本大使は、日本人特派員たちに対して「こんな貧乏国が戦争を始めるわけがないだろう」と言った次の日に戦争が始まった、というジョークとも思える実際の話は有名だ。
大東亜戦争を始めたときの日本も、決して経済的に余裕があったわけでは、なかったのではないか。つまり、一国が戦争を決意するのは、その必要を強く感じた結果であって、決して経済的余裕からではないはずだ。
したがって、現在のアメリカの経済は疲弊しているから、アメリカがイランを攻撃しないだろう、という予測はすべきではなかろう。
アメリカは現在、アフガニスタンとイラクで、二つの戦争を同時に遂行しているから、三つ目の戦争を始めることはないという予測も、必ずしも正しくないのではないか。
戦争には色々なパターンがある。日本がやる全面戦争、つまり自滅型戦争もあれば、双方がある程度相手を攻撃して、話し合いに入る交渉の糸口を作るための戦争、恫喝のための戦争、相手に経済的損失を与えるための戦争など、戦争には色々の種類と、その目的があるのだ。
アメリカがイランを攻撃するとすれば、空爆に限定されたものである可能性が極めて高いだろう。イラン領土内に何十万人もの陸軍を送り込んで、陸上戦闘を展開することはあるまい。
アメリカはいま、イラクとの国境アフワーズと、アゼルバイジャン側と、バルチスタン側から、破壊工作を行っているものと思われるが、それに加え、イラン国民に大きなショックを与える、空爆を行うことによって、イラン国民に体制打倒を促すという作戦もあろう。
戦争を始めるのは、財布を見てから、ということは正しい判断ではなかろう。そして、いまアメリカ軍に足りないのは、陸上戦闘用の兵士であって、空軍や海軍ではないことを忘れてはなるまい。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:32 | パーマリンク

NO・1083予想通りのイラン非難を始めた米英

 先週の土曜日に、ジュネーブで開催された、イランの核問題をめぐる会議は、結果的に、イランに鼻であしらわれた感じで終わった。イランはこれといった、新たな提案を用意していなかった。
 サイード・ジャラーリ・イラン代表は、イランには核開発の権利がることを強調し、濃縮活動を止めることはないと言い切った。イランの側からすれば、その通りであろう。イランも他の国々同様に、核の平和利用をする権利があり、そのことを止められるいわれはないということだ。
 確かにその通りであろう。しかし、イランにとって不都合なことは、アメリカやイギリス、イスラエルなどは、イランの核開発は最終的に、平和利用だけではなく、核兵器の開発に繋がる、という強い懸念を抱いているということだ。
 ジュネーブの会議では、新たな妥協案がヨーロッパ諸国から出されたが、イランはその提案に対して、特別な関心を示さなかった。それでは何故、欧米の要人を集める必要が、あったのかということになろう。
 イギリスのブラウン首相は、訪問先のイスラエルでイランを非難し、アメリカのライス国務長官も激怒した。彼女は近い将来、イランは新たな制裁を受けることになろうと語っている。
 アメリカとイギリスを皮切りに、ヨーロッパのほとんどの国も、今回のイランの会議への対応を非難しよう。そして、その先にはイランを世界の海から完全に孤立させる、より厳しい制裁が待っていよう。そしてその後には、イランに対する軍事攻撃すらも懸念されよう。
 イスラエルの軍の高官が1週間に渡って、アメリカを訪問し、軍や国務省、ホワイト・ハウスの要人らと膝詰めの交渉をしてくることになっている。その内容は述べるまでもなく、イランに対する今後の対応であろう。
 イランが何処までも妥協をせずに行くのか、その根拠は、アメリカやイスラエルには、イランを攻撃する能力がないという見くびりからか。事態はイランが考えているほど、容易ではないのだが。
 イランの強硬派は、アメリカやイスラエルの攻撃があっても、反撃し勝利できると確信している。イランの穏健派は、イスラエルやアメリカが攻撃してくることは、無いだろうと踏んでいる。そのいずれも、イランをして楽観させているということが、最大の問題なのだ。これではイラン側からの妥協は期待できまい。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:15 | パーマリンク

2008年07月20日

NO・1082時間稼ぎはイラン?アメリカ?

 スイスのジュネーブで開催された、イランの核問題に関する会議は、結局、イランのサイード・ジャリーリ代表と、アメリカのウイリアム・バーンズ代表が、直接顔を合わせることなく終わった。
 EUの代表ソラナ氏が、両者の間を行き来して、会議を行ったのだが、結果は予想通り、イランはイランの立場を、アメリカはアメリカの立場を、表明したに過ぎなかったようだ。
 しかし、そうは言っても、何の成果もなかったわけではない。イランとアメリカには2週間の猶予期間が与えられ、双方は新たな対話の機会を持つことになったのだ。
その2週間後に、どのような妥協案がイラン側から出てくるのかを、世界は固唾を呑んで見守っているということであろう。
 しかし、イランがウラニュームの濃縮活動を止めるとは思えないことから、結果的には、次の会議でも成果が出ない、ということではないか。
 会議後に、ウイリアム・バーンズ氏は何らコメントすることはなかったが、ホワイトハウスのスポークスマンであるマコーマック氏は「戦争か妥協かを選択する時期が来たことを知れ】「われわれは真剣だ」といった内容の、コメントをしている。
 イラン側が2週間の猶予期間を受け入れたことは、イランに対して濃縮の期間を、与えたということでもあろう。そのイラン側の出方に、アメリカは我慢できるのか。
あるいは、アメリカはそれを口実にして、イランの頑迷な立場を世界に宣伝し、しかるべき新たな選択をするのか。いずれになるかは別に、あと少しで結論が出る時期が来よう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:13 | パーマリンク

2008年07月19日

NO・1081イラク国境のパレスチナ難民スーダン移送計画

 イラク国内の混乱が続く中で,一番危険な状況におかれていたのが,パレスチナ人だった。サダム体制の時代にイラクに移住し、仕事についていた人たちだ。彼らはイラン/イラク戦争時も,その後も苦しい経済状態のイラクで,歯を食いしばって生活してきた。
 そして,その後に起こったアメリカ軍によるイラク攻撃とその後は,これまで彼らが経験をしたこともない状態に置かれた.強奪,強姦,殺戮行為がイラク人によって,パレスチナ人たちに行われたのだ。
 このため、パレスチナ人たちはシリアとイラクの国境地域に逃れ、シリアからパレスチナ、ヨルダンへの移動を望んだが、シリア政府は彼らに対して、入国を認めなかった。それは、これらのパレスチナ人が、シリアに定住することを嫌ったからだ。シリアにはヤルムーク・キャンプという、古くから大規模なパレスチナ難民キャンプがある。
 ヨルダン政府も、この問題については口をつぐんでいる。現在でも、ヨルダンの居住者の70パーセント以上が、パレスチナ人であることから、出来るだけパレスチナ人の入国と定住を、認めたくないということであろう。
 しかし、イラク・シリア国境のパレスチナ難民が居住している場所は極めて悪い状態でありこれ以上放置できなくなったということであろうか。国連難民帰還が彼らを別の場所に移住させようと考え始めた。その候補地がスーダンの首都ハルツームだということだ。
 イラク・シリア国境のパレスチナ人の数は400人だということだが、それすらもアラブ諸国は、受け入れようとしていないのだ。これがアラブの現実なのだ。イラク・シリア国境で苦しい生活を続けている、パレスチナ難民の問題解決に、パレスチナ自治政府が積極的に動いている、という話は聞こえてこない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:01 | パーマリンク

2008年07月18日

NO・1080モファズ運輸相の危険な発言

 イスラエルのモファズ運輸相が、極めて意味深長で、危険な内容の発言をしている。これは彼がエルサレムポス紙との、インタビューで語ったものだ。
 彼曰く「イランが核開発を止めないのであれば、イスラエルはイランを攻撃しなければならない。」というのだ。そして「イランに対する制裁は、効果が期待できない。したがって、イランを攻撃をして、核開発を止めるしかないのだ。】といった内容だ。
 そして、イスラエルは軍事力を行使して、イランの核開発が進むことを、阻止するしかないのだということだ。イスラエルにとって、イランが核保有国になることはまさに地獄であろう。それを阻止する手段は、軍事行動ということになるのだというのだ。
 彼モファズは、今月中にワシントンを訪問して、アメリカ政府高官で、イラン問題に関っている人たちと、話し合ってくるということだ。
彼は形式的には国連の、より厳しいイランに対する制裁も口にしているが、ほとんど効果がないこと、イランの立場に変化がないことを予測している。
このイランに対する、厳しい見方をしているモファズなる人物が、現役のイスラエルの閣僚であり、しかも9月の、与党カデマ党の党首選挙に、立候補する予定者なのだ。
そのことは彼が自動的に、イスラエルの首相候補でもあるということなのだ。そのような人物が、いまの時期に強硬発言をすることが、現在のイスラエルでは、国民の支持をより多く受けるという、彼自身の判断からの発言であろう。
このことから、いかにイスラエル国民が、イランの核兵器開発問題を、真剣に受け止め、不安を抱いているかが分かろう。したがって、アメリカ国務次官のウイリアム・バーンズ氏は、スイスのジュネーブで行われる、イランとの交渉で、よほど明確な答えを、イラン側から引き出さなければならない、ということになる。
世界の命運がかかっている、アメリカとイランとの真剣勝負の交渉に、アメリカは国務次官、イランからはサイード・ジャラーリ核交渉担当者が出席するというのだが、なんとなく二人とも役不足な気がしないでもないが。この役者二人を見ると、アメリカとイランは、本気で話し合う気があるのか、少しだけ疑問が沸いてくるが??
湾岸危機から湾岸戦争に移行するときの交渉は、アメリカ側からはベーカー国務長官が出席し、イラク側からはアジーズ外務大臣が出席したのではなかったか?

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:38 | パーマリンク

NO・1079ムッタキ外相オマーン・シリア・トルコ歴訪

 イランのムッタキ外相が、オマーン、シリア、トルコの歴訪に、16日出発した。オマーンではイランの核と、イラク問題が主な討議テーマであり、シリアではゴラン高原奪還の相談、そして、トルコではイランの核問題が、話し合われる予定だ。
 そこで、この時期にイランのムッタキ外相が、何故これら3カ国を歴訪するのかということになるが、これは実に計算された歴訪ではないかと思われる。
 オマーンはインド洋に面し、しかも、ホルムズ海峡に面した、アラビア半島の突端に飛び地を持つ、アラビア半島の一国だ。
しかも、同国はイエメンとズファール紛争があった次期に、イランと非常に友好的な関係を維持していた。当時、イランはオマーンに対し、軍事支援をしていたという経緯がある。
 しかし、最近では、オマーンはアメリカの艦隊に対し、自国の港湾の利用を許可し、食料や水の供給をしている国でもある。したがって、オマーンへの訪問は、アメリカ軍の動きに関する、相談であるものと思われる。
 オマーンの次の訪問国であるシリアは、イランと長い間きわめて良好な関係にある国だ。イランはシリアを通じて、レバノンのヘズブラに、資金や兵器を供給してもいる。
 そのシリアが、トルコの仲介でイスラエルとの、和平を模索し始めると、シリアとイランとの関係が、悪化するという懸念が、イランの国内から起こっている。シリアでのムッタキ外相の対話のテーマは、ゴラン高原の奪還ということだ。
ムッタキ外相の意味するところは、シリアに対して、イスラエルとの軍事緊張がなくなったわけではない、そのことを考えた上で行動しろ、というシリアに対するイスラエルとの関係での、ブレーキをかけに行くものと思われる。
 そして、最後の訪問国であるトルコに対しては、イランの核問題を話し合う予定になっている。これはまさに、イランとアメリカとの核をめぐる緊張を、緩和するために、トルコに対して種々の説明を行い、加えて仲介を再度依頼することに目的があるものと思われる。
 ムッタキ外相の3カ国歴訪と、各国での対話の話題は、いずれも、現在のイランが直面している、緊急課題に直結している。つまり、イランがいかに緊張した状態にあり、真剣に対応を考えているかを示しているものであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:14 | パーマリンク

2008年07月17日

NO・1078ブレアのガザ訪問中止は何を意味しているのか

 イギリスのブレア前首相が、パレスチナの西岸とガザを訪問することになっていたが、イスラエル政府の強い要望で、ガザ訪問をキャンセルした。
 ブレア前首相はガザを訪問するに当たって、ハマースとの会談は行わないと言っていた。訪問はあくまでも、ガザ住民の惨状を視察し、しかるべき人道援助をするためだったとされている。
 それでは何故、イスラエル政府はブレア前首相に対し、ガザ訪問を中止するよう、強い要請をしたのか、という疑問が沸いてくる。このことについて、イスラエルはブレア前首相が、ガザを訪問する予定にしていた時期に、ガザに対する軍事行動を起こす計画があったからだ、という情報がある。
 しかし、それはために流されている情報ではないか。イスラエルはガザ住民の惨状が、ブレア前首相によって外部に伝えられ、国際的にイスラエルに対する非難が起こることを、第一番に懸念したのではないか。
 イスラエルはいま、シリアとの緊張関係、レバノンのヘズブラとの緊張関係、イランとの強い敵対関係にある。そのような状況の下では、ひとつでもイスラエルに対する国際的非難の、原因となるものを抑えたい、ということがあるのではないか。
 ヘズブラとの捕虜交換で、イスラエルに帰ってきたのは、二人の兵士の遺体だけだった。他方、ヘズブラ側にはイスラエル人殺害犯の、クンタールが帰された。述べるまでも無く、ヘズブラは今回の交換を勝利と受け止めている。
 イスラエルはこのことも含め、何らかの失地挽回をしなければなるまい。そのような時期に、ブレア前首相にガザを訪問されることは、イスラエルとしては、なんとしても認めたくなかったのであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:25 | パーマリンク

NO・1077アメリカはイランをどうするのか

 緊張状態が散々繰り返された結果、やっとスイスのジュネーブで、アメリカ国務省のナンバー3(国務次官)であるのウイリアム・バーンズ氏と、イランの核交渉担当のサイード・ジャラーリ氏が、会談することになった。
 これはいままで、長く待たれていた、アメリカとイランの公式な会談として、評価するに値しよう。まさに、世界が待ち望んでいた動きだといえよう。この会談の結果、何らかの突破口が生まれれば、アメリカによるイランに対する、軍事攻撃は遠ざかり、世界経済は破滅から救われることになろう。
 アメリカ国内では、イランに対する対応をめぐって、強硬派のチェイニー副大統領と、穏健派のゲイツ国防長官・ライス国務長官が意見を異にしてきた。
今回、ウイリアム・バーンズ氏がイラン側の代表である、サイード・ジャラーリ氏と会談するということは、アメリカ政府内部で穏健派が勝利したように思える。(あるいは強硬派がラスト・チャンスを与えた)
 しかし、これは場合によっては、アメリカとイランとの緊張関係を解消するのではなく、決定的な状態に持ち込む、危険性も十分にあるものだ。それは、アメリカがいままで検討してきたオプションである、交渉による問題の解決が、失敗する可能性もあるからだ。
 イランは今回のアメリカ側との交渉で、ウラニュームの濃縮活動を中止することを、アメリカに約束するだろうか。それはありえないのではないかと思えてならない。
アメリカ側は最終的に、国際的な反対もあり、軍事行動には出られないだろう、とイランが判断し、時間稼ぎに出た場合、アメリカもさることながら、イスラエルは自国の将来に対する安全上の焦りから、単独ででも、軍事攻撃に出ないとは限らないからだ。
 しかも、アメリカはもしイランが時間稼ぎをしたりせず、明確なウラニュームの濃縮中止を約束しなければ、最終のオプションに移行しなければならなくなるだろう。ウイリアム・バーンズ氏はチェイニー副大統領に対して、明確な問題の進展があったことを報告しなければならないことから、イランとの間で妥協点を見出すことは簡単ではあるまい。
 しかも、それがアメリカ国内だけではなく、イスラエルにとっても、満足できるものでなければならないということだ。イスラエルの国内では、穏健派といわれるオルメルト首相が、自身のスキャンダルで、火達磨になっている状態であり、バラク国防相やもっと強硬派であるネタニヤフ元首相に、イラン対応で突き上げられている。
 いま世界は命運を、ウイリアム・バーンズ氏の外交手腕に、全てを委ねていると言っても過言ではあるまい。しかし、彼にそれだけの外交交渉の、力量があるのだろうか。あるいは、イラン側に冷静な計算が働いているのだろうか。イスラエルはたとえ、イランが何らかの妥協を示したとしても、それでよしとすることが、国内的に可能なのであろうか。今回のアメリカとイランとの、ジュネーブでの直接交渉は、決して不安を取り去ってくれるもの、とは言えないのではないか。
 思い出されるのは、1991年1月にジュネーブで行われた、イラクとアメリカの最終交渉のことだ。あの時、アメリカ側はイラクが絶対受け入れることの出来無い、条件を突きつけることによって、イラク攻撃の正当化を図ったのだ。そして、その結果は湾岸戦争となった。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:43 | パーマリンク

2008年07月16日

No・1076サウジがイランの代わりにロシア兵器輸入

イランとアメリカ・イスラエルとの緊張の中で、イランがロシアから高性能の地対空ミサイルを、購入することが懸念されている。
もし、イランがロシアから高性能の地対空ミサイルを購入すれば、イランはイスラエルやアメリカからの空爆を、防ぐことが出来るようになるからだ。そのことは間単に考えれば、アメリカやイスラエルのイランに対する爆撃機による空爆や、ミサイル攻撃は大幅にその効果を低減させる、ということを意味している。
したがって、ロシアが何時イランに対して、地対空ミサイルを引き渡すのか、イランがそれをどこに配備し、それが何時完了するのかが、アメリカ・イスラエルの間で真剣に検討されていた。
ここに来て、サウジアラビアがロシアに対し、T-90型戦車150両、軍用ヘリコプター160機の購入を申し込んだ。これは元駐米大使だったバンダル氏や、ファイサル外相などが、公式に申し入れているものだ。
したがって、サウジアラビアの申し入れは、ロシア側も受け入れることになろう。それは、アメリカとサウジアラビアの間に、ロシア兵器の購入をめぐり話がついているからだ。
アメリカがサウジアラビアに対し、ロシア兵器の輸入を認めたのは、そのことによっ、ロシアにイランへの地対空ミサイルの輸出を、止めてもらいたいという意向があるからだ。
問題はロシアが、サウジアラビアに対して兵器を輸出することにより、イランに対して高性能な地対空ミサイルを、輸出しなくなるのかということだ。多分に予想されるのは、輸出時期が少し遅れるくらいのことではないのか。
イスラエルが先に行った、地中海空域での戦闘訓練で、ギリシャのミサイル基地のレーダーがどう反応するのか、ミサイルがどう反応するのかを、確かめたようだが、それには、ギリシャ側のミサイルもレーダーも、反応しなかったということだ。
それは、ギリシャ側がイスラエルの訓練の内容を、ほぼつかんでおり、スイッチを切っておいたからだといわれている。これでは、せっかくのロシアの新型ミサイルと、レーダーの能力をテストしようとしたのだが、それが出来なかったということだ。
イスラエルが常々主張しているように、アメリカのイラン攻撃が遅延することは、イランをより傲慢な態度を取らせるようにし、アメリカの我慢が限界を超えるのではないかという不安がある。そうなって欲しくないものだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:47 | パーマリンク

NO・1075トルコ外相イランと西側との仲介に動く

 イランの首都テヘランで、非同盟諸国外相会議が開催されるが、その会議にトルコのババジャン外相が、出席することになった。
 この会議の傍ら、ババジャン外相はイランと西側諸国との、仲介に動くことが予測されている。イランはトルコに対し、現在のアメリカとの、緊張緩和の仲介を依頼するだろうし、アメリカだけではなく、昨年に続き、再度EUとの仲介役も依頼しよう。
 トルコは反米的な色彩の強い、非同盟諸国会議のメンバーではないが、2006年以来、オブザーバーとなっており、今回も非同盟諸国外相会議に、参加することになっている。
会議は7月28日か7月31日までだが、トルコ外務省の高官は、ババジャン外相とイラン側高官との会談が、用意されていることをほのめかしている。
 トルコのババジャン外相が、このタイミングでテヘランを訪問することは、アメリカにとってもイランにとっても好都合であろう。なぜならば、イランが長距離ミサイルの発射実験をしたことが、アメリカとの関係、イスラエルとの関係で緊張をもたらしているからだ。
 イラン政府はトルコとの関係を重視してか、最近、公使としてアンカラに駐在していたバフマン・フセイン・ポウル氏を、大使に格上げしている。このことは、トルコの事情に詳しく、人脈もある人物を格上げすることにより、イランがトルコとの関係を、より緊密にすることを狙っての人事であろう。
 トルコが新たに起こっている、イランとアメリカ・イスラエルとの緊張を、昨年同様に緩和できるとすれば、世界から評価され、感謝されることになろう。
 なかでも、イランとアメリカとの戦争が始まった場合、大被害をこうむる危険性のある湾岸諸国からは、絶大な感謝と賛辞が寄せられよう。
 中東地域では、トルコの存在が次第に大きくなりつつあるということだ。

 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:13 | パーマリンク

2008年07月14日

NO1074スーダン大統領逮捕の可能性は何を意味しているか

 いまスーダンでは、オマル・バシール大統領が、国際犯罪裁判所(ICC)の検察官によって逮捕され、裁かれる危険性が高まっている。
 オマル・バシール大統領にかけられている嫌疑は、ダルフールでの大量虐殺だ。国連や国連の支援を受ける国際犯罪裁判所(ICC)が、この件を重視しているのだ。
 オマル・バシール大統領は、何とかこの嫌疑から逃れ、逮捕をまぬがれようとして、アラブ連盟に対し、緊急会議の開催要請を行った。しかし、アラブ連盟のアムル・ムーサ事務総長は、地中海周辺諸国会議参加のためパリを訪問中であり、いまのところ、アラブ連盟が緊急会議を開催する予定は、まだ立っていない。
 アラブ連盟の事務局側はまだ、時期尚早と見ているようだ。オマル・バシール大統領は不安を募らせ、パリ訪問中のバン・キー・ムン国連事務総長に電話したが、バン・キー・ムン事務総長は、即答を避けているということだ。
 そこで、オマル・バシール大統領は中国とロシアに、助けを求めたようだが、両国の支援は非公式なものだということだ。
 この時期に一体、何故スーダンのオマル・バシール大統領が、国際犯罪裁判所の検察官に狙われたのか、ということが気になる。ご存知の通り、スーダンのオマル・バシール大統領と中国との関係は、ガス・石油の開発と輸出で、強い関係にある。
中国政府はこれまで、スーダンのガス・石油を手にするために、オマル・バシール大統領政府(北部スーダン)に対し、大量の武器と資金を、提供し続けてきているということだ。
 このスーダンと中国との関係を潰すために、今回の動きが起こってきたのであろう。オマル・バシール大統領が失脚することになれば、その後は、スーダンの分割ということになり、南部スーダン(ブラックアフリカ系)はもとより、北部スーダン(アラブ系)の新大統領も、欧米派が就任することが予測される。
 結果的には、中国がこれまでガス石油を狙って、スーダンに投資してきたことが、完全に水の泡に帰する可能性が、出てきたということだ。
 今回の動きを通じて、中国政府は、アフリカ大陸はヨーロッパ人・アメリカ人のテリトリーだ、ということを思い知らされるのではないか。胡錦濤が田中角栄に似てきたような気がするが?

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:57 | パーマリンク

NO・1073アメリカがマリキー首相を恫喝?

 湾岸の新聞が、アメリカの専門家の話として、今後のイラクについて伝えている。その記事によれば、もしマリキー首相がアメリカとの間で、地位協定(アメリカの長期占領)に合意しなければ、南ベトナムのゴ・ジン・ジェムと、同じ運命をたどることになろうということだ。
 同様に、ズイバリ外相についても、彼が現在に地位に留まっていられるのは、CIAの庇護の下にあるからだということだ。もし、アメリカ軍がイラクから撤退すれば、彼はその瞬間に地位を失うだろうということだ。
 アメリカ側は、マリキー首相政府が地位協定に合意しなければ、イラクで軍事クーデターを起こすことも、考えているのではないかという推測だ。
 アメリカにとっては、イラクとの地位協定が、それだけ重要だということであろうか。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:17 | パーマリンク

2008年07月13日

NO・1072ギュル大統領がクルド語放送正式許可

 ギュル大統領は先月、TNT(トルコ国営テレビ放送局)に対し、クルド語での放送を許可した。同時にアラビア語ペルシャ語放送も許可している。
 このギュル大統領の決定は、トルコのクルド住民から歓迎されている。トルコ国内には、2000万人以上のクルド人が居住しているが、これまでクルド語の使用、クルド文化の継承については、厳しい規制が存在した。
 これまでのトルコ政府は、トルコの統一を維持する上で、クルド語の使用やクルドの文化活動を許可することは、危険だと判断していたからだ。しかし、現在の与党AKP(開発公正党)は、クルド人の言語や文化を認めることで、クルド人との対立関係を緩和できる、と判断しているようだ。
 その上では、テレビ局がクルド語の放送を開始するということは、画期的な出来事であろう。既にクルドの文化人の間からは、大人向けの番組ばかりではなく、子供向けの番組も放送して欲しい、という要望が出ている。
 トルコ政府がクルド語の放送を開始するには、クルド人との対立解消の上で、好都合であろう。現在トルコに攻撃をかけ、クルド人の分離独立要求運動を展開しているPKKが、デンマークからクルド語のテレビ放送(ROITV)をしているのだ。
 今回のギュル大統領の決定により、トルコでクルド語放送が開始すれば、PKKのトルコ国内クルド人に対する、影響は低下するものと思われる。このギュル大統領の決定の前には、今年の3月に、エルドアン首相が、ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューのなかで、トルコ政府にはクルド語放送を、始める意思があることを明かしていた。それが具体化したということだ。
 このクルド語放送が具体化したことは、次の段階の、クルド人に自治を与えるということも、近い将来、具体化するのではないか。その上では,PKKとの平和的な関係も,生まれてくるのではないか。トルコ政府は将来的には,PKKを政党として認める可能性もあるということだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:06 | パーマリンク

NO・1071エルドアン首相は米軍撤退後のイラクを睨む

 トルコのエルドアン首相が、イラクを訪問し、経済、文化治安など多くの面で、協力していく合意に達した。
 トルコはイラクとの間に、高級戦略協力会議を結成し、両国の協力関係を継続的に討議していく、システムを構築した。そのなかには、石油生産の協力が含まれているが、トルコは100万バーレル規模の原油をイラクで生産し、輸入していく方針だ。 
石油以外にも、兵器の製造の協力や、軍人のトルコでの訓練もあり、最終的には、アメリカ軍の撤退後、トルコがイラクの治安維持に、協力していく方針のようだ。
つまり、イラクはトルコにとって、地域内で最大の経済関係を、構築していくということだ。このことを、イラクが受け入れたということは、イラクの政府と国民が、出来るだけ早急に、アメリカ軍が撤退していくことを、期待しているということでもあろう。
イラクにトルコが関与していくことは、スンニー派のイラク人にとっても、クルド人にとっても、受け入れやすいということだ。トルコはスンニー派のムスリムがほとんどであり、イラクのスンニー派ムスリムは、安心してトルコとの関係を構築していこう。
クルド人についても、既に述べてきたように、バルザーニ議長はトルコを最も信頼している。サダム時代にクルド人が窮地に追い込まれたとき、クルド人救出に動いたのは、トルコ軍でありトルコ政府だったのだ。
イラクのシーア派ムスリムにしてみれば、イランからの強い影響を受ける状況の中では、トルコの存在が彼らイラクのシーア派ムスリムの、自由を保障してくれるだろう。
トルコのイラク対応は、現時点では大成功ということであろう。それはトルコ国内が直面している問題の解決にも、好影響を及ぼすものと思われる。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:34 | パーマリンク

2008年07月12日

NO。1070イランのミサイルは画像修正だというが

 イランがシェハーブ3型ミサイルの、発射実験を行ったことをテレビで流し、それを世界中のマスコミが伝えた。「イランは危険な国家」、「イランのミサイルはイスラエルのテルアビブにも、東ヨーロッパにも届く」というイメージが広がり、それが世界中で定着したようだ。
 その後まもなくして、イスラエルのエルサレム・ポストは、この映像が修正されたものであると伝え始めた。続いて、アメリカからも、イランの流したテレビ画像は、修正されたものである、という指摘があった。
 確かに、イスラエルやアメリカから出された画像は、全く同じ土煙が二つあり、同一のミサイルの画像が二つ並んでいる。つまり、二つのミサイル発射の様子を組み替えて、数発のミサイルがほぼ同時に、発射されたように出来ているのだ。
 しかし、イランが発表したミサイル発射の画像は、それほど多くのミサイルが画面には映っていなかったような気がするのに対し、イスラエルやアメリカの画像では、5−6発のミサイルが写っていたように記憶する。
 つまり、画像はイスラエルかアメリカで作られた可能性も、あるのではないかということだ。不思議なことに、イラン側はこの点について、何ら反論していない。そればかりか、その後も、ミサイル発射実験が行われたことを、何事もなかったかのように伝えている。
 イランのモッタキ外相は、このミサイルの偽画像疑惑の後で、「イスラエルにもアメリカにも、イランを攻撃する能力がない」と言っている。つまり、イスラエルやアメリカが、イランを非難しけちをつけているが、攻撃をする意思も能力もないのだろう、やれるものならやってみろということだ。
 イランのミサイル実験は、イスラエルとアメリカ側に「ニセモノ説」を流させたが、かえってイランの立場を強くしてしまったのではないか。イランは今後も、イスラエルとアメリカに対し、挑発的な言辞を繰り返すものと思われる。 
そのイランの挑発に、イスラエルやアメリカが乗れば、世界は大変なことになるということを、イスラエルもアメリカも分かっていよう。
 今現在の時点で考えれば、イランがイスラエルやアメリカに対し、優位を保っているということであろうか。しかし、それは危険な優位でもある。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:10 | パーマリンク

NO・1069リーマン・ブラザーズはAKPに軍配

 今年の3月以来続いている、トルコの憲法裁判所と与党AKP(開発公正党)との争いで、トルコの今後が不安だということは、外国投資家たちをトルコへの投資から、撤退させる危険性が、潜在的にあるということだ。
 そうしたなかで、世界的に知られるリーマン・ブラザーズ社が、トルコの市場は投資先として、非常に魅力的だと推薦している。リーマン・ブラザーズ社の判断では、今回の憲法裁判所とAKPの争いで、結果的にはAKPが勝利するとしたようだ。
 このリーマン・ブラザーズ社の判断は正しいと思われる。AKPが憲法裁判所の、同党に対するクレームに対し、全く不安を抱いていないし、若手の同党議員は、憲法裁判所に対し、挑戦的な発言すらしてきていた。
 こうした流れのなかで始まった、エルゲネコン(影の権力集団)に対する内務省の厳しい対応は、与党の強気の姿勢を、如実に示しているものでもあろう。エルゲネコンには、トルコの著名人や軍人、学者、財界人、政治家、ジャーナリスト、マフィアなど、あらゆる層の人たちが含まれていることは、既に説明したとおりだ。
 その巨大な見えない組織エルゲネコンが、内務省の取り調べの対象になり、そのメンバーの元将軍たちが、逮捕されたということは、トルコの内務省警察ばかりではなく、トルコ軍の中にも、相当数のAKP支持者がいるものと、想像できるだろう。
 そのことを裏付けるように、7月10日ギュル大統領は、元統合参謀長のヒルミー・オズキョク将軍を招き、昼食を共にしながら、意見交換をしている。このことは、現役・退役軍幹部の一部とAKPとの、良好な関係が存在することを示していよう。
 どうやら、今回の憲法裁判所を動かしての、反AKP派の策謀は、失敗に終わりそうだ。そうでなければ、エルドアン首相が、国内の政治危機、与党AKPの危機時に、イラク訪問に出かけることもなかろう。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:54 | パーマリンク

NO。1068エルドアン首相のイラク訪問は大成功

 トルコのエルドアン首相がイラクを訪問し、マリキー首相と両国関係を討議した。その結果、両国は貿易、水、治安、エネルギー面で協力することを合意した。
 その上で、エルドアン首相はトルコとイラクが、共同でPKK問題を解決していくことにも、合意したことを明らかにした。つまり、トルコとイラクは、PKKを両国の健全な関係拡大にとって、共通の敵であることに、意見が一致したということだ。
 したがって、PKKは今後、イラクからのトルコへの越境攻撃は、非常に困難になるということだ。
 このトルコとイラクの合意は、何を意味しているのだろうか。これはトルコにとって、非常に意味の深いものであると同時に、イラクにとっても、非常に意味のあることであろう。
 最近になって、イランはイラクでの、テロ活動支援の手を緩めつつある。イランはイラクの国内状況を、安定化させることが、結果的にアメリカを早期に、イラクから撤退せざるを得ない状況に、追い込むと判断しているようだ。
 そうなれば、イラク国内は安定化に向かい、イラクでのビジネスチャンスは、拡大するということになる。そこに、トルコがイラクに進出する、チャンスがあるということだ。トルコはイラクのクルド地区の開発に、大きく貢献しているだけに、イラクの他の地域でも、トルコに対する期待が少なくなかろう。
 イラクにとっては、アメリカに何時までも居座られるのは迷惑な話だが、アメリカに代わる、安定の重石になる国家が必要でもある。イラクにしてみれば、トルコは安全なイラク安定化に貢献する、国家なのかもしれない。
 トルコがイラクにとって、安定化に役立つとなれば、マリキー首相はアメリカに対し、強気の交渉が出来るようになろう。イランにとっても、アメリカが駐留軍を削減していき、結果的に全面撤退してくれるのであれば、トルコのイラクへの台頭は、歓迎すべきことであろう。
 イラク、トルコ、イランの間で合意はしていないとしても、お互いに利用しあいながら、イラクでのアメリカの影響力を削減していくという、共通の考えがあっても不思議ではない。
 アメリカはこうしたイラク周辺諸国の、新しい動きのなかで、次第に立場が苦しくなっていくのではないか。それでも、アメリカが自国軍を地域支配のために、イラクに強引に駐留させ続けるとすれば、イラク国民の抵抗は激化し、かつ長期化することになろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:14 | パーマリンク

2008年07月11日

NO・1067イランのミサイル実験とイスラエル欧米の反応

 イランがシェハーブ3型という、長距離ミサイルの発射事件を行ったことが、日本では取り立ててニュースになっていないが、欧米諸国の間では大きな反響を呼んでいる。 
 それは、シェハーブ3型ミサイルが、2000キロの射程を持っているからだ。この距離は、イスラエルの地中海に面した海岸都市、テルアビブに優に届き、エジプトのカイロ、トルコのイスタンブール、ギリシャのアテネ、インドのニューデリーにまで到達するものだ。
 しかも、シェハーブ3型ミサイルは、1トンの重さの弾頭を搭載することが出来るというのだ。つまり、1トンの化学兵器も爆薬も、細菌兵器も搭載できるものであり、当然のことながら、核弾頭も搭載できるものなのだ。
 イスラエルやアメリカ、ヨーロッパ諸国は、イランが核兵器を製造する方向に向かっている、という疑惑を捨てていないし、イランの核兵器開発を、未然に防ぐために、イランの核施設に攻撃を加えようとも考えている。
 そうした緊張状態のなかにあって、イランが長距離のミサイル発射を実験したことは、欧米諸国をますます警戒させる結果となっている。その結果は、欧米諸国とイスラエルが、イランに対する攻撃を、早い時期に実施する危険性すら、出てきているということなのだ。
 しかも、イランが今回行った実験で、見逃してならないのは、最初のミサイルが発射された後、次のミサイルが発射されるのに、数秒しかかかっていなかったということだ。このことは、ミサイル発射が何処から行われたかを、確認する上で問題になるのだ。
 以前のように、最初のミサイルが発射されてから、第二弾のミサイルが発射されるまでに、しかるべき時間がかかれば、その最初の発射位置に対して、攻撃を加えることが出来、二発目のミサイル発射を、阻止することが出来るのだ。
 以前、イラクはミサイル発射に、発射台にミサイルを載せ、液体燃料を詰め込むのに、8時間程度かかったといわれている。当然のことながら、これではすぐに敵に、ミサイルの発射位置がばれてしまい、反撃されることになる。
 ミサイルの発射が間髪いれずに、連続して行えるということの、メリットはそこにあるのだ。しかも、このことに加え、シェハーブ3型ミサイルは、移動式になっているようだ。そうなると、ますます発射位置の確認が、困難になるということであろう。
 しかし、このミサイルの命中精度が低いことから、海上に浮かぶ艦艇に命中させるのは、困難だということだ。そうは言っても、イランがアメリカやイスラエルと戦争状態になり、ミサイルを発射するとすれば、イスラエルではテルアビブが狙われ、アメリカ側はクウエイトやカタール、バハレーンにあるアメリカ軍基地が狙われるであろうから、命中精度はあまり意味がなくなるだろう。
 イランのシェハーブ3型ミサイルの発射実験は、こうしたことから、アメリカに異常なまでの、警戒感を抱かせることになったのだ。それがもし、イラン側がアメリカ側から妥協を引き出すために、駆け引きの道具として行った、ぎりぎりの恫喝行為であるとすれば、結果は、全くイランの期待とは、異なるものになるかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:14 | パーマリンク

2008年07月09日

NO・1066板挟みにあったマリキー首相

イラクのマリキー首相は、いまどちらに転んでも、生命の危険にさらされる、危険な状態に置かれている。それは、アメリカが強く求める地位協定(実質的なアメリカ軍による占領と長期駐留)に、どう答えるかという問題だ。
アメリカ側はイラクに対し、アメリカ人がイラクの一切の法的権限に縛られない、駐留を望んでいる。もちろん、その駐留期限もアメリカ側の希望しだいであり、5年や10年といった明確な期限のあるものではない。
実質的に、アメリカはイラクを占領し、軍事的に支配したいと考えているのだ。そのアメリカ側の意図は、イラク国民には分かっており、イラク国民はこの協定を「占領」「支配」だとして拒否している。
しかも、アメリカはこの合意を交わすことにより、イランばかりではなく、湾岸諸国や中央アジア諸国、中東諸国に対する軍事的威圧の、拠点としようとしているということだ。
イラクのシーア派宗教界の最高指導者シスターニ師も、地位協定の締結に反対している。もちろん、アメリカの軍事攻撃を何時受けるかわから無い、イランもこの地位協定には大反対だ。イラクの民族派、スンニー派国民も反対している。
もし、この地位協定にマリキー首相がサインすれば、彼はイラク国家を売った男として、歴史に名をとどめることになろう。その結果、彼は暗殺されることになろう。しかし、地位協定を拒否し続ければ、アメリカによって彼は失脚させられ、何のガードも受けられなくなり、身の安全は保証されまい。
最近になって、マリキー首相はアメリカ側に対し、撤退のタイム・テーブルを示さなければ、地位協定の交渉を拒否すると言っているが、アメリカがすんなり撤退の時期を答えるはずが無い。
アメリカは日本同様に、イラクを永久に占領し、イラクの石油収入を吸い上げようと考えているのだから。
イラク国民の100万人以上の犠牲者を出した、今回のアメリカ軍によるサダム政権打倒という取引は、アメリカにのみ有利なものとなるのではないか。イラクはサダムフセイン大統領を消すことは出来たが、同時にすべてを失いもしたということであろう。
このロスを取り戻すには、あと100万人のイラク人の戦闘員の命が、失われなければなるまい。それでも、イラクは独立を取り戻せないかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:00 | パーマリンク

NO・1065上手の手から水が漏れるイランの危険性

 イランの核の濃縮をめぐる問題で、イランのアハマド・ネジャド大統領とラリジャニ国会議長の間で、綱引きが起こっているようだ。
 先週末に、モッタキ外相は、ウラニュームの濃縮を停止するむねのメッセージを、EUのソラナ氏に伝えたが、そのすぐ後で、イラン政府がこれを否定する内容の発表を行った。その内容は「イランには核開発をする権利があるので、今後も継続して核開発を進める。」というものだった。
 確かに、イランには核開発を継続する権利があろう。しかも、それが平和的な目的であり、あくまでも発電を目的としたものであれば、誰もこれに反対する権利はなかろう。
 しかし、どうもこのイラン政府の発表なるものが、その正当性の主張ではなく、イラン国内の権力間闘争から出てきたものではないかと思えてならない。イランにしてみれば、無鉄砲とも取れるアハマド・ネジャド大統領の強力な指導で、ウラニュームの濃縮施設が完成し、ある程度の量が濃縮できた。
 しかし、アハマド・ネジャド大統領の強硬路線は、この辺でひとまず引っ込め、平和路線で行こうというのが、ラリジャニ氏の国会議長登用ではなかったのか。この国会議長のポジションは、イランの国内政治においては、大統領と並ぶ要職だということだ。つまり、大統領を批判できる立場だということだ。
 そのラリジャニ氏が、モッタキ外相を後ろから支援し、今回の濃縮停止を発表させたのであろう。もちろん、ラリジャニ氏の後ろには、宗教界の最高権威であり、イランの最高実力者である、ハメネイ師がいることは当然であろう。
 しかし、こうしたイランの国内政治に対して、アメリカやイスラエルは怒りを覚えるだろうし、ヨーロッパ諸国も信頼に値しない政府として、イランを見ることになろう。イラン人は長い歴史のある国だと自慢するが、余り手の込んだ(?)ことをすると、かえって危険な思いをすることになろう。
 上手の手から水が漏れるということわざがあるが、イランがそうであって欲しくない。イランの手から水が漏れては、世界の経済が破壊されてしまうのだから。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:02 | パーマリンク

2008年07月08日

ユーラシア情報ネットワークで分析レポート掲載中

東京財団ユーラシア情報ネットワークホームページにて佐々木良昭主任研究員の最新分析レポート、「トルコ第二共和国に向けて」、「中東動向5月6月」の2本を掲載しておりますので是非ご覧ください。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 12:48 | パーマリンク

2008年07月07日

NO・1064リビアの反体制グループ闘争放棄

 リビアのFIGL(リビアイスラム闘争グループ)は、カダフィ体制打倒と、イスラム国家の設立という、闘争方針を放棄したと語った。
 このグループは1995年に、設立が発表されていた。その後、2007年アルカーイダとの連携関係に入ったが、そのことをアルカーイダのナンバー2である、アイマン・ザワーヒリが明かしている。彼らはOPEC諸国などで、反カダフィ・キャンペーンを展開していた。
 しかし、グループの代表が先週、リビアの首都トリポリを訪問し、グループのリーダーであるノアマン・オスマンを、アブー・サリーム刑務所に訪ね、闘争を断念したようだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:19 | パーマリンク

NO・1063アメリカとイスラエルのイランをめぐるキャッチボール

 イスラエルとアメリカが、イランに対する対応をめぐり、不自然な中傷とも言える、言葉の応酬をしている。
 アメリカはイスラエルに対して、アメリカの協力無しには、イスラエルはイランを攻撃することが出来ないし、出来たとしても、その後にイスラエルは危険な状況に追い込まれよう、イスラエルはイランのしかるべきターゲットを、破壊することは出来まいというのだ。
 他方、イスラエルはアメリカが持っている、イランに関する情報と分析は正しくないとし、アメリカがイラン攻撃に、怖気づいたといった、ニュアンスの言葉を向けている。
 こうした言葉の応酬は、お互いに挑発することにより、イランに手を出させるつもりではないのか、と思えるフシもある。つまり、アメリカはイスラエルの能力を過小評価することによって、イスラエルをイラン攻撃に向かわせ、イラン攻撃の責任を、イスラエルに持たせることによって、アメリカがやむなく参戦したという形にする。
 イスラエルもまた、アメリカを挑発することによって、アメリカがイランに対する攻撃を、イスラエルよりも先に行わせよう、としているのかもしれない。
 イスラエルにしてみれば、イランが今年末には、核弾頭を製造できるだけの、濃縮ウランを持つ危険性を強く感じており、何とかアメリカを巻き込んで、イランを攻撃したいということであろう。
 イスラエルが単独で、イラン攻撃をするとすれば、イラクの上空を通過して行うのが、最も安全かつ短距離であることから、イラク上空を通過するルートを、採るものと思われる。しかし、その場合、イラクの制空権を握っているのはアメリカであり、アメリカの事前許可なしには、出来ないことであろう。
 アメリカにしてみれば、三つ目の戦線を開くことは、経済的にも戦略的にもリスクは大きい。したがって、ゲイツ国防長官やライス国務長官は、何とかイラン攻撃を避けたいと考えているのであろう。
しかし、誤解してならないのは、二人が平和主義者だから、イラン攻撃に反対しているのではないということだ。彼らもリスクがなければ、イランを攻撃したいと考えていると、認識すべきであろう。二人はあくまでも、自国の利益を優先しての考えなのだ。
イラン攻撃が起これば、石油価格は140ドル台から、一気に300ドル台に上がることが、多くの石油専門家によって予測されている。それは、多くの国々が経済的に、破綻するということでもある。
こうしたことから、アメリカもイスラエルも、イランを攻撃したい意向を持ちながらも、世界に対する攻撃の正当な説明が出来る状態を、準備しているのかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:01 | パーマリンク

NO・1062シリアはイラン関係断絶を検討

 イスラエルの元外務省高官のアロン・リエド氏は、もしアメリカがシリアに対し、資金援助と軍事援助をするのであれば、シリアはイランとの関係を断絶してもいい、という意向を持っていると語っている。
 これが本当であれば、まさに中東問題解決、中東の安定化への大きな一歩ということになるのだが、その実態はどうであろうか。
 もし、シリアがイランとの関係を断絶することになれば、イランはシリアだけではなく、レバノンのヘズブラに対する影響力も低下しよう。なぜならば、イランのヘズブラに対する兵器の供与は、シリア経由で行われているからだ。
 同じように、パレスチナのハマースに対する影響力も、低下することになろう。ハマースのトップは現在、シリアの首都ダマスカスに、事務所を構えているのだ。
もし、イランとシリアとの関係が冷却化した場合、シリアのハマースに対する対応にも、変化が生まれることから、ハマースにとってはすこぶる居心地の悪い国になるということであろう。
 シリアが実際に、イランとの関係を断絶しないまでも、冷却化していくとすれば、イランのレバノン、パレスチナに対する影響力は低下し、その他のアラブ諸国への影響力も、低下していくことになろう。
 したがって、アラブ諸国が恐れるような、アラブ諸国でのシーア派の台頭と、イランの影響力拡大は、停止するということであろう。アラブ諸国の大衆のなかで、イラン支持色が強くなっているのは、イランがアメリカと強硬に対峙していることと、パレスチナやレバノンのヘズブラを支援しているからであろう。
 イスラエルの元外務省高官が、シリアとイランとの関係が悪化することに言及したのは、他方で、イスラエルとシリアが交渉を始めていることに、起因しているのではないか。その流れのなかで、イランを孤立させるために、発言したものではないかと思われる。
 少なくとも、現段階でシリアがイランとの関係冷却化を、言い出すメリットは何処にもないからだ。シリアはレバノンについても、ヘズブラを使った影響力の行使を、当分の間は維持したいと考えていよう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:40 | パーマリンク

2008年07月05日

NO・1061イラク・アメリカ地位協定今年中は無理か

 アメリカが望む、イラクでの長期駐留を正当化するための、地位協定交渉が続いているが、どうもアメリカが考えているような、タイム・テーブルでは進んでいないようだ。
 アメリカは当初、7月中の調印を希望していたようだが、ここに来て、今年中の合意も不可能ではないか、という悲観的な予測が、イラクのズイバリ外相や、アメリカ軍幹部の間から漏れてきている。
 アメリカ側が、出来るだけ早い協定調印を望むのは、アメリカ軍のイラク駐留に対する正当性が、今年12月31日で期限切れになるからだ。この期限は国連によって決められたものであり、その期限が切れれば、アメリカ軍のイラク駐留は、侵入軍同様の非合法なものになるのだ。
 しかし、イラクの国会議員たちは、イラクがアメリカとの間で、長期駐留を認める地位協定に調印すれば、アメリカ軍は永久にイラクに駐留し、軍事支配をすると懸念している。
 同時に、イラクの議員を含む国民のほとんどは、アメリカとの地位協定が、イラクを周辺諸国に対する、アメリカ軍の軍事攻撃の基地にすることに、繋がることを懸念している。そうなれば、イラクは常に戦争に巻き込まれる、不安にさらされることになるのだ。
 イラクとアメリカの地位協定が結ばれるためには、アメリカは日本でうまく行っている、勝手な行動が許されることが、イラクでも通用するとは考えないことだ。日本では結果的には許される強姦も、イラクでは部族全員による報復が待っているのだ。
 名誉を重んじるイラクの男たちは、自分の命をかけてでも報復してこよう。そのことの恐ろしさを十分に考慮し、アメリカ人に都合にいい地位協定を結ぶことは、始めから望むべきではないだろう。その意味では、日本が交わした合意は、イラクには全く当てはまらないのかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:59 | パーマリンク

NO・1060イスラエルがイランを攻撃する目途

 昨夜、イランがEUの提案に応じる姿勢を示したが、それだけで戦争の危機が完全に取り除かれたわけではない。戦争の不安が完全に取り除かれるには、まだまだ幾つもの障害がありそうだ。
 イラン政府はイラン外相の、EU提案受け入れメッセージが届けられた後で、「イランの核開発はあくまでも平和的利用が目的であるから、これまでの方針を変えるつもりはない」と主張している。この考えはアハマド・ネジャド大統領の考えであろうか。
 イランの核開発に対し、最も厳しい見方をしているのは、その核兵器の最初の犠牲者になるであろうイスラエルだが、イスラエルはイランの核開発に関連し、二つのレッド・ラインを設けているということだ。
 第一のレッド・ラインは、イランが核兵器を作るに十分な、ウランの濃縮が出来たときだということだ。つまり、それはイランが核兵器を確実に持つ、という目安なのであろう。
 イスラエルが設定していると思われる第二のレッド・ラインは、イランがロシア製の対空ミサイルを手にし、戦闘に備えて配備したときだということだ。
 イスラエルはイランが核兵器製造に、十分な濃縮ウランを手にするのは、今年末か来年ということだが、それまでには攻撃する、と考えているのであろうか。そうであるとすれば、イランは政治家の面子などで、言を左右している余裕は、ないと思うのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:35 | パーマリンク

NO・1059イランのウラニューム濃縮停止受け入れとその後

 現在7月5日午前12時35分だが、BBCが伝えたイランのウラニューム濃縮停止受け入れは、CNNでもエルサレムポストでも流していない。彼らはこのニュースを信じていないのかもしれない。
というよりは、イランの真意を検討しているのかもしれない。(BBCはイギリス時間の7月4日14時14分にこのニュースを流した)
 西側諸国がイランに対して突きつけた条件は、イランがウラニュームの濃縮を停止することだった。イランがこれを受け入れた場合には、今後、イランとの長期に渡る核開発に関する話し合いが、スタートすることになっていた。
 それは核不拡散条約に基づいて、イランが核開発を進めるのであれば、西側諸国はイランが進める核開発研究に協力するし、核エネルギー施設を建設することを支援すると共に、核発電施設への燃料の供給を、約束するという内容だった。
それだけではなく、イランが西側の要求を受け入れた場合には、通商交渉も進めるし、米が停止していた、新型旅客機の輸出と、部品の供給も行うというものだった。
イランがウラニュームの濃縮を停止したことが確認されれば、国連は新たな制裁を行わないことになっているが、その期間は双方6週間だ。その間に明確な進展が、イランと西側諸国との間に生まれなければなるまい。
この6週間の間に、イランは西側に対し、誠意を持ってイランの核開発に関する進展状況を説明し、現在ある施設を公開しなければなるまい。そうでなければ、今回のイランの大決断は、水泡に帰する危険があるということを、イラン側は十分認識しておく必要があろう。
イランは決してアメリカを、侮るようなことがあってはなるまい。アメリカはそれほど、甘い国家ではないのだ。イランが小手先でアメリカをあしらい、時間稼ぎをするようなことがあれば、アメリカは間違いなくイランを攻撃することになる危険性が、いまだに取り除かれたわけではないのだから。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:53 | パーマリンク

2008年07月04日

No・1058速報ーイランがウラニューム濃縮停止受け入れ!!

 BBCが先ほど流したニュースによれば、イランがウラニュウ−ムの濃縮を停止した場合に、EU,フランス、ロシア、イギリス、アメリカなどが提示していた交換条件を、受け入れウラニュームの濃縮を停止することを受け入れると、EU代表のソラナ氏に文書で伝えた。
 このイラン側の意向は、ムッタキ外相がまとめられた文書にサインをし、ソラナ氏に在ベルギー・イラン大使が手渡した。
 これで当面は、アメリカがイランを攻撃できる正当性はなくなった、ということであろう。
 アメリカはイランに対する新たな制裁として、海、空路を完全に封鎖し、人やものの出入りを、止めるということを計画していた。
 そのことに加え、アメリカがイラン攻撃を躊躇するようであれば、イスラエルが単独でイラン攻撃を断行し、戦争にアメリカを巻き込む、という動きさえ濃厚になっていた。
 さすがにここまで追い込まれると、イランも妥協をせざるを得なかったのかもしれない。
今週始めに、在日イラン大使館の外交官と2時間半に渡り、昼食をはさみながら、アメリカがイランを攻撃する可能性が、非常に高まっている、危険だということをあらゆる角度から説明したが、イラン本国でも同様の分析をしていたのかもしれない。
 このことによって、何とかイランとイスラエル・アメリカとの武力衝突が、起こらないで欲しいものだ。もし、そういう事態になれば、世界経済にとてつもない、大きなダメージを与えることは誰にも分かろう。
 とりあえずほっとしたというのが、私のいまの実感だ。もちろん、この前、激論を交わしたイラン外交官には、早速そのニュースを伝えたが、彼も非常に喜んでいた。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:38 | パーマリンク

2008年07月02日

NO・1057トルコ与党による逆クーデター

 トルコの軍には、社会が世俗から逸脱して行くような場合は、クーデターを起こし、ケマル・アタチュルクの打ち立てた、世俗国家トルコを守る権利が、憲法で認められていることは、何度か指摘した。

 しかし、AKPが与党の座に就くと、状況は一変したようだ。軍部がクーデターを起こしたくても、出来なくなったのだ。それは、軍部のクーデターに対して、欧米が賛成しないことと、国民の圧倒的支持が、AKPに寄せられているからだ。

 そこで、軍部と野党の勢力が一体となって、100万人集会を行ったが、これはやらせであることが誰にも分かり、与党AKPを追い込むにはいたらなかった。AKPの強みは、経済が好転していることに、最大の理由があるのかもしれない。

 そこで、軍部は憲法裁判所と結託して、AKPは憲法違反であるとし、近く検事側とAKP側の提出する書類をもとに、判断を下すことになっていた。この場、合憲法裁判所は当然のこととして、AKPに解党を命ずる判決を、下すものと思われる。

 しかし、ここでも国民のAKPに対する支持が、大きく響いてきている。先の選挙で47パーセントを得票したAKPに対する、国民の支持が憲法裁判所との抗争のなかで、53・3パーセントに上がったのだ。

 これに気を強くしたのであろうか、AKPが内務省に指示したのであろうか、4人の退役軍人を始め、アンカラの商工会議所会頭などのメンバーによる、クーデター計画があるとして逮捕したのだ。

 現段階で逮捕者の数は、数十人に上るようだが、この逮捕劇のなかで、トルコの影の組織、エルゲネコンが表面に出でてきたのだ。この組織は非合法の影の組織として、トルコ人の間ではよく知られてきたが、これまではアンタッチャブルな組織として、誰も手を付けようとはしなかった。

 一説によれば、彼らがこれまで、数々の政変を計画し、経済を影で牛耳ることを実行してきたということだ。そのエルゲネコンを、今回は完全に洗い出し、白日の下にさらすかもしれない。そうなれば、エルゲネコンのメンバーが誰なのかが、国民の知るところとなろう。

 そのなかには、政治家はもとより、憲法裁判所の判事、裁判官から、大学教授、著名なジャーナリストにビジネス界の大物までもが、含まれているであろう。つまり、今回のクーデター計画者の逮捕劇は、トルコを完全に新しいものにするかもしれない、与党AKPによる逆クーデター、あるいは革命とも呼べるものかもしれない。

 もちろん、AKPの敵側、相当な力でこれに、反撃してくることが予想される。トルコはいま、生まれ変わろうとしているのであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:28 | パーマリンク

NO・1056現実味を帯びてきた米のイラン攻撃とホルムズ海峡封鎖

 ここに来て急に、アメリカのイラン攻撃が、現実味を持って、伝えられるようになってきている。そのキッカケのひとつは、セイモア・ハーシュのニューヨーカー誌に掲載された原稿だ。 
彼の原稿によれば、アメリカ政府は400億円を、イランの内部かく乱工作に充てたということだ。その費用は述べるまでもない、国外にいる反体制イラン人の活動支援金であり、アメリカの工作員のイラン侵入に伴う、破壊工作の費用だ。
同時に、イランの革命防衛隊のトップであるムハンマド・アリー・ジャアファリ将軍が、もしアメリカのイランに対する攻撃が起こるようなことがあれば、ホルムズ海峡を通過することを許さない、という内容の警告を発している。
これを受けての反応であろうが、アメリカは第5艦隊を稼動させ、イランがホルムズ海峡の通行を邪魔するようなことは許さないし、封鎖もさせない、イランの動きを絶対に阻止する、という強い立場を表明している。ちなみに世界の石油全体の40パーセントが、このホルムズ海峡を通過し消費国に届けられているのだ。
こうした動きを受けて、最初に敏感な反応を示したのは、クウエイトだった。クウエイトは不測の事態に備え、ホルムズ海峡を封鎖されても、石油の輸出が可能な方法を、湾岸諸国との協力で確保しようとしている。
クウエイトがいち早く、こうした動きに出るには、それなりの理由がある。もし、石油輸出が止まればクウエイト国民の間で、王家に対する不満が爆発する危険性があるからだ。
1990年に起こった湾岸危機時には、国民の相当部分がクウエイトの王家に対して、不満と反発を示していたからだ。最近のクウエイト国内の状況は、決して安定したものではなかった。
クウエイトのシーア派国民の不満や、ビドーン(何代にも渡ってクウエイト国内に居住しているにも拘らず、いまだに国籍を有さないクウエイトの居住者)の不満が高まっているからだ。
こうしたことから、犯罪に手を染めたクウエイトの王子の一人が、処刑されるということも起っている。クウエイトの王家はそこまでしなければ、クウエイト国民の不満を、抑え切れなかったのであろう。
サウジアラビアでも、大規模な反体制狩りが行われ、今年の前半だけで、既に昨年の3倍近い逮捕者を出している。もちろん、サウジアラビア王国政府はアルカーイダ掃討作戦だとしているが、逮捕者はアルカーイダのメンバーばかりとは限るまい。
アメリカとイランとの間で、戦争が始まるようなことになれば、湾岸各国の反体制派が、イランに呼応して立ち上がる、危険性が高いからっではないのか。
イスラエルでは北部の病院に対し、緊急事態に供えるよう準備をさせているということだが、これはイランが戦争を始めた場合、レバノンのヘズブラによるイスラエル攻撃が、起こりうるという判断から、出されたのではないか。ここに来て、中東情勢は急速に、緊迫の度を高めているということか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:35 | パーマリンク

2008年07月01日

NO・1055タラバーニの周辺諸国格付け

イラクのタラバーニ大統領が、周辺諸国との関係について意見を述べている。その順序を見ると、イラクが今後どの方向に向かって進もうとしているのかが、想像できそうだ。
まず、タラバーニ大統領が大一番に、重視している国はトルコだ。アラブの国にあって、トルコを最優先しているということは、今後トルコがイラクの内政にも、相当かかわってくることを意味していよう。
タラバーニ大統領はトルコとの間に、両国の首相を議長とする最高会議を、結成し、治安、経済、通商、文化面での協力を推進していく考えのようだ。彼はトルコとの関係は戦略的レベルのものだと語っている。
イラクのマリキー首相も、周辺諸国との関係に言及しているが、彼はトルコと並んで、エジプトの重要性について強調している。エジプトがアラブの主導的立場にある国であり、当然のことといえよう。
次いで、イランとヨルダンが並び、その後には、シリアとクウエイトが置かれている。なお、バハレーンとクウエイトは、近くバグダッドに大使館を開設することになっている。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:28 | パーマリンク

NO・1054バルフォア卿のお化けが非難され始めた

 パレスチナの民間組織が、やっと今になって、イギリスのパレスチナ問題に対する、責任を追及し始めたようだ。
 イギリスのバルフォア卿が、1917年に、ユダヤ人に独立した国家を与えると言ったことが、後にイスラエル国家が建設される、きっかけとなったことは、中東関係者の誰もが知っていることだ。
 しかし、これまでパレスチナは表立っては、イスラエルの建国とその後について、イギリスの責任を強く追及することはなく、ユダヤ人とその国家イスラエルに対する、非難だけを繰り返してきている。
それは、イギリスが中東政治の中心的存在であり、イギリスを敵に回すことが、パレスチナにとって損になるという、判断をしていたからかもしれない。
 ここに来て、パレスチナ側がイギリスの歴史的責任を、追及し始めたのはなぜであろうか。パレスチナ側は書類をそろえ、イギリスの裁判所に、このことを提訴する、予定だということだ。
 そして、もしイギリスがこれを受け付けない場合には、国際裁判所に提訴するとも語っている。そして、そのために、いまパレスチナの各団体が、歴史書類を集め始めているということだ。
 この動きから考えられることは、単純にイギリスに対して、パレスチナが責任を追及するというものであり、その結果、イギリスが何らかの補償をしてくれ、パレスチナ側に有利な動きをしてくれたらいい、ということを期待してであろうか。
 あるいは、パレスチナ・イスラエル(ユダヤ人)問題の根本的責任は、イスラエル(ユダヤ人)にあるのではなく、イギリスにあるとし、その結果として、イスラエルとパレスチナの共生への道を開いていくという、これまでには無かった全く新しい、動きに出たのであろうか。
 今回の動きは、パレスチナのマハムード・アッバース議長がコントロールしている、ヨルダン川西岸のラマッラ市にある、ラーミー・ムシャーラカ氏が率いる「わが祖国青年開発機構」によって始められている。
そのことは、同機構とマハムード・アッバース議長との関係が、強いということであろう。同機構は世界に散らばる、パレスチナ人たちに資料の収集を、呼びかけ始めている。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:09 | パーマリンク

 
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