« 2008年10月 | メイン | 2008年12月 »

2008年11月30日

NO・1135ファタハとハマースのハッジ主導権争い

 イスラム教徒にとってハッジつまりサウジアラビアのメッカへの巡礼は、礼拝や断食などと並ぶ、重要な宗教義務だ。
 そのハッジが12月に行われるのだが、これをめぐって、パレスチナのファタハとハマースとの間では、主導権をめぐる、争いが起こっている。
 ガザをコントロールしているハマースは、サウジアラビア政府に対し、ハッジ・ビザを出すように要請しているが、いまだに発効されていないようだ。
 サウジアラビア政府の説明では、パレスチナを代表する政府は、ファタハのマハムード・アッバース議長がトップに立つ、パレスチナ自治政府であり、ガザをコントロールしている、ハマースではないということなのだ。
 ハマースはエジプト政府に対しても、ガザとエジプトとをつなぐ、ラファ・ゲートが開かれていないと非難しているが、エジプト政府はゲートは開かれているが、ガザから人が来ない、ということのようだ。一説によれば、ハマースがパレスチナ自治政府の指揮の下に、ハッジに行く人たちを、阻止しているということだ。
 ハマースは何とか、ハッジというイスラム教徒にとって、最も重要な宗教イベントで、パレスチナ人を引き止めたいことから、こうした問題が起こっているのであろうが、やりようによっては、逆にハマース離れを起こしかねない、微妙な問題のようだ。
 ハマースが宗教を基礎にしている、組織であるがゆえに、仕方がないといえば仕方がないのだが、やはり個別に判断して、対応すべきなのではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:36 | パーマリンク

NO・1134停戦期限が切れイスラエルはガザに侵攻か

 11月初旬で、イスラエルとガザを統治しているハマースとの間の、停戦期限が切れたようだ。したがって、イスラエルは遠慮なく、ガザを攻撃することが、出来る状態になったということだ。
 この停戦期間中に、ガザから発射されたミサイルの数は、相当なものになるようで、500発とも600発とも報告されている。したがって、イスラエル側には、相当のフラストレーションがたまっているようで、マタン・ビルナイ国防副大臣は、早期のガザに対する、本格的な軍事侵攻を、口にし始めている。
 ガザからのミサイルは、イスラエルの南部の港町、アシュケロンまでもターゲットに出来る、レベルにまで向上している。このままの状況が続けば、近い将来には、ガザから発射されるミサイルは、もっとイスラエルの内奥までも、攻撃できることになろう。
 ガザとエジプトとをつなぐ、秘密の地下トンネルが何本も掘られており、ハマースやジハードなどのパレスチナ組織は、ミサイルの部品の搬入に、あまり苦慮していないのではないか。
 問題は、イスラエルの本格的なガザに対する、軍事攻撃が起こった場合、エジプトがどう対応するかだ。現在の段階では、イスラエル側とエジプト側が、完全にガザのゲートを閉鎖しており、ガザの住民は外部に、出られないようになっている。
 そうした中で、軍事攻撃が行われれば、パレスチナ側に多数の犠牲者が出る、ということになろう。当然のこととして、西岸地区のパレスチナ人たちが、これを放置するわけはなかろう。
 マハムード・アッバース議長は、リップ・サービスとしては、ガザに対するイスラエルの攻撃を非難しようが、本心ではない。結果的に、マハムード・アッバース議長に対する、西岸のパレスチナ人からの非難が高まろう。
 他方、エジプトでも国民は、ガザのパレスチナ人虐殺を放置したとして、政府に対する非難が高まり、国内状況はきわめて不穏になるのではないか。そうでなくても、不満がたまりにたまっているエジプトでは、正当な口実さえ見つかれば、暴発は容易に起こる、と考えたほうがよかろう。
 エジプトのムバーラク体制と、パレスチナのマハムード・アッバース体制を、窮地に追い込む可能性の高い、イスラエルのガザ侵攻は、果たしてイスラエル政府にとって、得策なのだろうか、という疑問が沸くのだが。
 イスラエル国内には、与党内部にでさえ、意見の対立が目立ち、ツビ・リブニ次期首相候補と、リクード党のネタニヤフ党首との関係は劣悪だ。与党を構成するオルメルト首相と、ツビ・リブニ次期首相との間でも、いさかいが起こっているのだ。
 イスラエルが国内問題のはけ口に、ガザを本格的に軍事侵攻するとなれば、それだけの危険を覚悟しなければなるまい。その際には、ガザのパレスチナ人も、決死の抵抗をするであろうことから、イスラエル兵の犠牲者も少なからず出ることだろう。
 もっと危険なのは、国民の非難を受けて、エジプトがイスラエルと、軍事緊張を起こすことだ。事態は好転してはいないようだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:04 | パーマリンク

2008年11月29日

NO・1133ムンバイの無差別テロに正義はない

 インドの港町ムンバイで起こったテロは、誰が考えても、どう贔屓目に見ても、許されることではあるまい。
 複数のホテルを対象にし、訪問者や宿泊客を狙ったのだから、何の正統性もなかろう。たとえ殺された人たちが、全員インド人であったとしても、インド政府の要人だけであったとしても、許されることではあるまい。
 ホテル以外に狙われた、ユダヤの施設に対するテロは、もっとひどい話ではないか。もし、テロリストがインド政府に対し、彼らの仲間を釈放することを口実に、行ったのであるとすれば、ユダヤの施設に対するテロは、イスラム教徒やアラブ人のなかから、テロリストの行動を、支持することを期待してのものであろうか。
 実にばかげたやり方としか言いようがない。そんなくだらない口実、つじつまあわせで、ユダヤ人が殺されたのであるとすれば、イスラエルには徹底的に調査をし、報復する権利があろう。
 現段階では、インド政府側から、パキスタン政府の関与がうわさされているようだが、もしそれが事実なら、パキスタン政府は、今後、世界の孤児になろう。そのうわさが事実でないことを祈るばかりだ。
 今回のテロには、何の正統性も同情の余地もない。テロの犯人は徹底的に調査し、その結果は、世界に対して発表すべきだ。そのことでは、世界が一丸となって、調査に参加すべきであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:57 | パーマリンク

2008年11月28日

NO・1132アラブ各国はファタハ・ハマースに中立

 アラブ諸国は今まで、表面的にはパレスチナ自治政府の、マハムード・アッバース議長を、パレスチナを代表する人物として認知死、彼の率いるファタハ組織をパレスチナを代表する政治組織と見なしてきた。
 したがって、ガザでファタハと戦闘を交わし、支配するに至ったハマース組織に対しては、認知しないという立場を、堅持してきていた。そうしなければ、パレスチナの統一した行政機関が、失われてしまうからだった。
 したがって、ハマースの代表イスマイル・ハニヤ首相が、合法的かつ民主的な選挙で、選出されたにもかかわらず、ガザでの戦闘と支配後は、このイスマイル・ハニヤ首相を無視する立場を取ってきた。
 しかし、最近になって、マハムード・アッバース議長に対する、ガザと西岸のパレスチナ人の支持が低下し、他方では、ガザに対するイスラエルの封鎖制裁が続き、パレスチナ人の生活が極めて困難なものになっていることから、イスマイル・ハニヤ首相を黙認できない状況が、アラブ各国に生まれてきていた。
 アラブ各国の国民はガザの窮状を知るに従い、自国政府が何の手だてもしないことに、怒りを募らせてきたからだ。そこで、ファタハのマハムード・アッバース議長とハマースのイスマイル・ハニヤ首相との、和解の仲介にアラブ諸国が動き出した。
 今回、エジプトのカイロで開催された、アラブ連盟の会議では、ファタハとハマースの和解を、アラブ連盟が主導するというものだった。そこで目立ったことは、これまでアラブ各国によって、無視され続けてきたハマースが、ファタハと同格になったということだ。
 アラブ各国代表は、ファタハに代わって、ハマースを支持するわけではないが、ファタハを唯一支持するという、これまでの立場を捨てて、ハマースをファタハと同等に、処遇するようになったのだ。
 もちろん、形式的にはアラブ各国代表は、ファタハのマハムード・アッバース議長に対し、その地位にとどまるよう説得をしている。それは同時に、マハムード・アッバース議長に対し、ハマースとの妥協を迫る性質のものであろう。
 パレスチナなかでも、ハマースと敵対関係にあるイスラエルですら、マハム−ド・アッバース議長のパレスチナ人の間での、支持が低下していることから、ハマースとの非公式な交渉が必要だと考えている昨今、アラブ各国が、今回のような動きに出たのは当然であろう。
 問題は、そうしたなかで、マハムード・アッバース議長が来年前半に予定されている、選挙を実施するか否かだ。現在の段階で、マハムード・アッバース議長は強気の「選挙前倒し案」を口にしたりしているが、それは本音ではあるまい。選挙を実施すれば、彼は結果的に、パレスチナ自治政府議長の立場から、引きずりおろされ、その後には、彼に絡む巨額の汚職問題噴出してくる可能性が高いからだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:11 | パーマリンク

NO・1131カイロ大学学生デモ警官と衝突

 エジプトでは学生が大学構内で、デモ行進をする分には黙認されてきた。その範囲であれば、エジプト国民に対する影響が、大きくないと政府は判断しているからだ。
 しかし一旦、学生デモが大学構内から出ると話は別で、警官隊が棍棒で殴り、催涙弾を乱射して、デモを粉砕するというのが、常套の対応となっていた。そして、そのことを熟知している学生たちは、自分たちの政府に対する抗議の意思が伝わり、かつ安全な範囲で、構内デモがこれまで、何度となく繰り返されてきている。
 ところが、今回はどうやら様子が違うようだ。ガザが封鎖され、パレスチナ住民は食糧不足、燃料不足、薬品不足のなかで、苦しんでいることに対し、エジプト政府がエジプト国民の援助物資を、ガザに送り込むことを、許可していないからだ。
 先日も、エジプトのムスリム同胞団が援助物資を満載したトラックを、ガザ地区に乗り入れようとしたところ、エジプトの警察がこれを阻止し、ガザへの援助物資の搬入を、認めなかった。このため、エジプトの学生たちは、政府がイスラエルによる、ガザ住民に対する制裁を、支持しているとして、不満を高めていた。
 そして、ついにカイロ大学で数百人の学生が集結し、政府に対する抗議デモがはじめられ、カイロ大学の構内から街頭に出て、デモが行われることとなった。当然ことながら、これに対し政府は、機動警察を送り込み、デモの粉砕に取り掛かることとなった。
 警官隊は棍棒でデモに参加している学生を殴り、9人が負傷するという事態に、発展したということだ。
 このカイロ大学を起点に起こった街頭デモについて、エジプト政府はムスリム同胞団のメンバーによるもの、としているようだが、必ずしもその限りではあるまい。 
 問題はこのデモがきっかけで、今後、エジプト全土で似たようなデモが、起こるか否かだ。もし、そのような事態になれば、その先には何が起こるか分からない。つまり、エジプト社会はそれだけ、現段階では不満が充満してきている、ということではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:45 | パーマリンク

NO・1130アメリカがG20諸国に資金提供を迫った

 11月125に、アメリカの首都ワシントンで開催された、G20諸国サミットで、アメリカは参加各国に対し、アメリカの金融危機を救うよう、資金の提供を強要した、とイランのモッタキ外相が語っている。
 モッタキ外相は、中東諸国のなかの4カ国に対して、アメリカは具体的に4000億ドルの拠出を、強要したということだ。同外相は具体的な国名は明かさなかったが、湾岸の産油諸国であろうことは想像に難くない。
 たぶん、強要された国はサウジアラビア、クウエイト、カタール、アラブ首長国連邦ではないかと思われる。
 これと前後し、イギリスのブラウン首相が湾岸諸国を回り、資金を出すよう働きかけたが、成功しなかった、というのがもっぱらのうわさだ。つまり、アメリカに搾り取られ、イギリスには出す金はないということか。
 日本はその点、気前よく莫大な金を出している。国家は大赤字なのだが、、、。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:45 | パーマリンク

2008年11月27日

NO・1129トルコで始まった不思議な現象

 トルコの政党同士の関係は、きわめて劣悪というか、激しい対立関係にある。野党は与党の党首をはじめ、議員までを含め、全人格を否定する、というのが当然のように行われているのだ。
 AKP (開発公正党)が与党の座に着き、AKPの議員の中から大統領が選出されたとき、野党側はあらゆるスキャンだろを探し攻撃し、軍と結託して、クーデターまでも計画したほどだ。
 野党の中でも、CHP(社会党)はAKPに対し、何処までも挑戦するという具合だった。そのCHPが最近、AKPの方針に対し、きわめて理解を示すようになってきているのだ。
 それは、CHPの集会で女性が、スカーフを着用してきたときに起こった。CHPの党首バイカル氏が、そのスカーフを着用した女性に批判の言葉を浴びせるのではなく、理解ある言葉を発したのだ。
 このニュースを目にしたとき、いったい何がCHPをして変化させたのか、といぶかっていると、もうひとつ意外なニュ−スが目に付いた。今度はAKPがCHPに対して協力すると、エルドアン首相の口から言わしめたのだ。
 つまり、いままで犬猿のなかであった与党AKPと、野党の代表社会党のCHPが、共に歩み寄りを示しているということだ。
 現段階で全てを解明するわけには行かないだろうが、およそ次のような推測が、成り立つのではないか。

:野党の憲法裁判所を使ったAKPに対する突き上げが起こった
:これに対しAKPはエルゲネコン問題を取り上げることにより、憲法裁判所の判事を含め、汚職に連なっている政治家や学者、マスコミ人、裁判官をあぶりだして見せた
:大衆はAKPが何処までエルゲネコン問題をAKPが暴露するか、強い関心を抱いた
:このAKPの攻勢の前に、CHPもたじたじとなり、AKPに擦り寄る作戦に切り替えた
:結果的にAKPはCHPを鷹揚に受け入れた

 さてこの与野党の関係の変化は、これからのトルコに何をもたらすのだろうか。たぶんに、AKPの一党独裁色が強まっていくだろう。
 しかし、そのことが結果的に、現在世界が直面している金融危機から、トルコをいち早く立ちなおらせる、力になって行くのではないか。
 そうあってほしいものだ。こういう国家の危機に際し、政府がどれだけ迅速に、正しい判断を下し、強硬にでも国民や国家を導いて行けるかが、復興の最大の力になるからだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:41 | パーマリンク

2008年11月26日

NO・1128オルメルト首相の訪米の隠された目的

 来年の2月に退任することが決まっている、イスラエルのオルメルト首相がアメリカを訪問し、これまた、来年の1月に退官が決まっている、ブッシュ大統領と会談を行っている。
 間もなく表舞台から去る二人が、なぜこの時期に会う必要があるのか、ということがマスコミで囁かれていたのだが、どうやらとんでもない話し合いが、オルメルト首相の訪米中に行われていたようだ。
 イランのプレス・テレビの伝えたところによれば、オルメルト首相はアメリカ訪問時に、ブッシュ大統領だけではなく、ライス国務長官やチェイニー副大統領とも、話し合ったというのだ。
 そうなれば、主題は一つに絞られるということになろう。「イランに対するイスラエルの対応協議」ということになるのだ。まさにその通りのようで、このイランのプレス・テレビが報じたところによれば、オルメルト首相がイスラエルの安全確保のために、イランに対しあらゆる選択肢があること、つまりイランに対する軍事攻撃についても、アメリカ側は認めたということだ。
我々日本人からすると、異常としか思えないのだが、イスラエルはイランが核開発を進めているのは、エネルギーの確保ではなく、あくまでも核兵器の開発にあるとしていることから、イスラエルの政治家がイランに対して、軍事攻撃を希望することは、当然なのかもしれない。
そして、イスラエルはアメリカから、イランに対する先制攻撃への許可を得た上で、攻撃を開始し、しかも、アメリカがイスラエルの攻撃を機に、参戦してくれることを望んでいる、ということであろう。
アメリカの次期大統領オバマ氏は、すでにイランとの間で、対話を行う方針を固めているようだが、必ずしも彼が考え、望んでいるような方向に、事態は進まないかもしれない。
これまで、イスラエルがイランに攻撃を加えるとすれば、オバマ氏の就任前か直後、という予測がなされてきた。ここにきて、オルメルト首相が訪米し、このイランに対する先制攻撃の、フリー・ハンドを得たということは、イランとの交渉を有利にするためのものなのか、本気で戦争をする気なのか、いずれにしても、イスラエルはイランとの関係で、冗談ではな、いぎりぎりの段階に突入したということではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:24 | パーマリンク

NO・1127不安定化しているエジプト社会

 数日前には、カイロのアインシャムス地区で、コプト・キリスト教徒とイスラム教徒の衝突事件が起こり、双方が発砲し、警察が催涙弾を発射したために、負傷者多数が出るという事件が起こっている。同時に、その近くにあった車や商店が破壊されたり、放火されるということも起こった。
 続いて、今度はカイロからだいぶ離れた、ナイル川の上流の町アスワンでも、事件が起こっている。現地警察の説明によれば、麻薬の運び人であるアアブドルラーズク(40歳)なる人物の家宅捜査を、警察が行おうとしたところ、拒否され発砲したというのだ。
 しかし、このアブドルラーズクなる人物と、警察とのトラブルについて、現場を見ていた人物の証言によれば、警察が踏み込もうとしたのに対し、アブドルラーズクが裁判所からの家宅捜査の許可証の提示を求め、警察が提示しないのでドアを閉めた、というのだ。
 これに対し、警察側が家宅捜査許可証を提示せずに、ドアを閉められたために、ドアの外から発砲し、アブドルラーズクは死亡したというのだ。アスワンの住民の証言によれば、アブドルラーズクは警察が主張するような、麻薬の運び人ではなく、単に鶏を商っている人間に過ぎないということだ。
 アスワンではこの出来事のニュースが、たちまちにして広がり、数千人が抗議集会を始めたということのようだ。その集団に対し、警察が実弾や催涙ガス弾を撃ち込み、そのために、多数が負傷しただけではなく、また一人が犠牲になった。彼の名はヤヒヤ・アルマグレビーで59歳だった。ヤヒヤ・アルマグレビーが死亡したのは、病院に運び込まれてからのことだった。
 エジプト社会がいま、簡単に燃え上がるような、危険な状態にあることが、これでお分かりいただけたろう。カイロのアインシャムス地区で起こった、コプト・キリスト教徒とイスラム教徒の衝突にしろ、アスワンでの事件にしろ、住民や警察が冷静であれば、起こりえない出来事ではないのか。
 こうした事件は、アスワンやカイロ市内のコプト・キリスト教徒とイスラム教徒が隣接して居住している地区だけではなく、他の地域でも何時起こるかわからない。エジプトはいま、そのような危険な状況にある、と考えたほうがよかろう。
 エジプト人の富裕層は、今ではカイロの都心には住んでいない、多くは、カイロの郊外の、高級住宅街に移り住んでいるのだ。日本人駐在員たちが、高級住宅街と勝手に解釈している旧高級住宅街は、今では逆に貧困住宅街になっており、危険な暴発が何時起こるかわからない、地域の範囲内にあることを知るべきであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:46 | パーマリンク

2008年11月25日

NO・1126エフド・バラク国防相がヘズブラの兵器装備に警告

 イスラエルのエフド・バラク国防相が、レバノンのヘズブラの兵器装備が、前のレバノン戦争時の3倍に、膨れ上がっていることを警告した。
 エフド・バラク国防相の説明によれば、2006年7月12日に始まった、ヘズブラとの戦争時には、ヘズブラ側にはイスラエルの北部都市を攻撃できるだけの、短距離ミサイルしかなかったということだ。
 しかし、現在ではヘズブラは、200キロの射程距離を持つ、中距離ミサイルを、42000基も保有しており、このミサイルだと、イスラエルの南部の都市、アシュケロンやベールシェバに加え、原発のあるデモナまでもが、攻撃可能だということだ。
 加えて、現在ではヘズブラがレバノン国内政治で、重要な地位を占めるに至っており、ヘズブラはレバノンの何処にでも、イスラエルを攻撃するための基地を設けることが、できる状況にあるということだ。
 加えて、ガザのハマースやジハードといった組織は、イスラエルに対する攻撃をするための、最新兵器を入手しており、これまで以上の効果的な攻撃が、可能になっているということでもある。
 イスラエルはガザのハマース政府との間に、停戦条約を結んでおり(2008年6月19日以来)、現在の段階では本格的な攻撃を受けてはいないが、それでも2か月に500発の、カッサーム・ロケットや臼砲の攻撃を、受けているということだ。
 エフド・バラク国防相は、だからと言ってハマースの拠点であるガザや、ヘズブラの拠点であるレバノン南部地域に対する、先制攻撃をすべきだとは主張していないが、応分の準備は既にしているということではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:07 | パーマリンク

NO・1125アメリカの対応に不安なイスラエル

 イスラエルはいま、三つの大き問題を抱え込んでいる。ひとつはイランの核開発と、それに対する対応だ。次いでシリアとの和平の実現、そしてパレスチナ問題だ。
 これらの問題は、何も今に始まったものではない、といえばその通りなのだが、実は時間が迫っており、一定の決断を早急に下さないことには、取り返しのつかないことになってしまうのだ
 まずイランの問題から説明しよう。イランが来年に入った段階で、ウラニュームの濃縮作業がある程度の成果を挙げ、原子炉に燃料棒が挿入されることになっているのだ。そうなれば、原子炉に対する空爆を、実行することは不可能になろう。
 それは、技術的に出来なくなるのではなく、国際世論を敵に回すことになるからだ。それは、核の燃料棒が挿入された、原子炉を空爆することにより、放射能がばら撒かれることになるからだ。
 結果は、イラン国民だけではなく、湾岸諸国やイランの東部に位置する、アフガニスタン、パキスタン、インドの一部までもが、被害をこうむる危険性があるのだ。
 しかし、だからといってイランが核開発を進めることを、放置しておいたのでは、やがてイランが核兵器保有国になり、その核兵器が攻撃に使われる先は、イスラエルが第一候補と考えられるからだ。
 したがって、イスラエルはイランが核燃料棒を、挿入する前の段階で、どうしてもイランの核施設を攻撃する必要があるのだ。しかし、ブッシュ政権ですら躊躇していた、イランに対する攻撃をオバマ政権になった場合、すんなりと認めてくれるとは考え難い。
 イスラエルがイランを先制攻撃した場合、必ずアメリカが続いてイランに攻撃してくれることが、望まれているのだ。イスラエルはどうしても、先制攻撃を出来るだけ早い段階で行いたいと思うが、それはアメリカ政府との関係を、劣悪なものにする危険性があるのだ。
 シリアとの関係でも、シリアが次第に長距離ミサイルをはじめとする、最新兵器を増やしてきており、もしイスラエルとの間に戦争が起これば、イスラエルにとっては、非常にリスクの高いものとなろう。シリアとの和平を実現するためには、最低限、イスラエルはゴラン高原をシリア側に返還しなければなるまい。しかし、それもアメリカの安全に対する保証がなければ、決断できないことだ。
 そして、パレスチナとの間でも、イスラエルは非常に難しい状況にある。マハムード・アッバース議長の率いる、ファタハを中心としたパレスチナ自治政府の、パエスチナ人の間での評判は劣悪であり、マハムード・アッバース議長の、議長としてとどまれる期限が、来年の1月9日をもって終わる。当然のこととして、パレスチナでは選挙が行われ、新しい議長が選出されることになるのだが、現段階で選挙を実施した場合、マハムード・アッバース議長はハマースの前に、敗北するとイスラエルは予測している。それだけマハムード・アッバース議長のパレスチナ人の間での、評判は悪いということだ。その主因は汚職にあるのだが。
 そうなると、これまでイスラエルがパレスチナ自治政府との間に進めてきた、パレスチナ国家とイスラエル国家が共存するという、2国家解決案は根底から崩れてしまう。ハマースは2国家案を拒否しているからだ。
 したがって、イスラエルはパレスチナが選挙を実施することを、なんとしても阻まなければならないということになるが、それにはアメリカが反対する可能性が高い。アメリカはあくまでも民主的なパレスチナの代表者を、民主的な手段で選出することを、支持する可能性が高いからだ。
 つまり、イスラエルはイラン、シリア、パレスチナの三つの問題を抱えており、その対応をめぐり、アメリカと利害が対立する危険性を感じているということだ。しかも、これら3国との問題解決には、絶対的にアメリカの協力が不可欠なのだが。イスラエルはいま、これまで直面したことのない種類の、問題をアメリカとの間に抱え込んだということであろうか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:08 | パーマリンク

2008年11月24日

NO・1124イスタンブール大学長の英断?

 トルコとイスラエルの関係は、非常に良好であることは内外に知られている。トルコはイスラエルに取って、中東諸国のなかで唯一心を許せる相手国であろう。
 しかし、先週の土曜日に、どうもトルコとイスラエルとの関係がおかしいのではないか、という出来事が起こっている。それは、言ってみれば他愛のないことのようなのだが、実はそうでもないかもしれない。
 ことの起こりは単純で、在トルコ・イスラエル大使とイスラエル領事が、先週の土曜日の午後3時半に、イスタンブール大学の学長を訪問したときに起こった。
 イスタンブール大学の学長は、快くイスラエル大使と領事を迎え入れたのだが、2名の招かれざる随行者がいた。学長はその二人は誰かと問いただしたところ、返事はイスラエル大使の「ガード」というものだった。
 そこでイスタンブール大学の学長は、二人のガードが会談に同席することを拒否したところ、この会見は反故になってしまったということだ。
イスタンブール大学の学長は「それほど怖いのであれば、何故わが大学を訪問したのか、ここは占領地ではない、トルコ共和国であり、イスタンブール大学だ。」とイスラエル大使に語ったということだが、きわめて理路整然とした説明、ということではないか。
 イスタンブール大学の学長の対応について、イスラエル紙も賛意を示している。確かに、イスタンブール大学構内での安全の保証は、大学側の責任であり、イスラエル側が占領地で行うような、勝手な振る舞いは、許されないというものだ。
 これとは少し趣が異なるが、オクスフォード大学でも、シモン・ペレス大統領が訪問した折に、学生たちが「戦争犯罪人」として、シモン・ペレス大統領を非難する、という出来事が起こっている。
 イスラエルの異常なまでの安全に対する配慮は、相手国にとって、不愉快極まりないことは事実であろう。同様なことは、日本でも起こっているのだ。
 在日イスラエル大使館に入るには、非常に厳しいチェックを受けるし、大使館の外でイスラエル大使と会食をする際には、そのレストランが事前に、イスラエル側の治安要員によってチェックされ、その後もガードが立ち会うのが常だ。
 大統領をはじめとする要人のガードは、目立つ方がいいとするアメリカ方式があるが、国によっては、不愉快だと受け止める場合もあることを、イスラエルは考慮すべきであろう。そうでないと、折角の理解者を、失うことに繋がる懸念があろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 11:05 | パーマリンク

2008年11月23日

NO・1123トルコPKKリーダー、A・オジャランの処遇に変化?

 トルコ東部に居住するクルド人の一部が、トルコからの分離独立を希望して1974年から始まった、PKK(クルド労働党)による分離独立の武力闘争は、トルコ人の中に3万人に近い犠牲者を生み出している。
 このPKKのリーダーであるアブドッラー・オジャランは、シリアの中に訓練基地を与えられ、トルコへの越境攻撃を繰り返していた。つまり、シリアとトルコとの関係は、、1970年代から1990年代にかけて最悪の状況であったということだ。
 しかし、1990年代の後半になると、トルコの圧力が増し、シリアはついに、アブドッラー・オジャランを引き渡さざるを得なくなった。もちろん、そうは言っても、シリアはアブドッラー・オジャランを捕まえて、直接トルコに引き渡すわけには行かなかった。
 そこでとられたのが、ケニアにアブドッラー・オジャランを送り出し、そこでトルコ側に捕まえさせるという手法だった。もちろん、その裏ではアメリカがトルコの情報部に協力したことが、一連の流れの説明とされた。
 以来、アブドッラー・オジャランは1999年から、マルマラ海に浮かぶ、イムラル島の刑務所に幽閉されることとなった。彼がかろうじて死刑を免れたのは、トルコのEU加盟問題に悪影響を与える、という配慮からであった。
 このアブドッラー・オジャランに対する処遇に、変化が生まれそうな動きが、最近になって出始めている。欧州拷問禁止委員会(CPT)が、アブドッラー・オジャランは孤独のなかにおかれているために、精神的に問題が発生してきている、とクレームをつけ始めたのだ。
 この委員会はトルコ政府に対し、アブドッラー・オジャランが、他者との連絡が取れ、テレビが見られ、電話が出来、弁護士にも単独で会える、ような環境に移すべきだと主張している。
 トルコ政府はこれに対し、アブドッラー・オジャランを移送することは、逃亡の危険性があるとして、現段階では拒否しているが、近い将来何らかの妥協案が、トルコ政府側から出てくるのではないかと思われる。
 最近では、トルコ政府とイラクのクルド自治政府との関係も良好なものとなっており、イラク中央政府との関係も良好であることから、何とかこのクルド問題を解決したい、と真剣に考え始めているのかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:04 | パーマリンク

2008年11月21日

NO・1122イランに核兵器製造の材料が揃った!!

 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙が、センセーショナルなタイトルで、イランの核兵器製造能力について報じている。
 記事の内容を細かく読み進んでみると、実はそうでもないということが分かる。確かに、今までにイランは低濃縮ウラニューム630キロを持つに至り、この量は核爆弾を造るに足る量だというのだ。
 しかし、低濃縮ウラニュームで核爆弾が本当に作れるのだろうか、という疑問が湧いてくる。この私の疑問に対して、彼らは「ダーテイ・ボムだってあるんだ」と反論するだろう。
 何のことはないウラニュームをばらまけば、放射能で被害を受ける、という話に過ぎない。しかも、「アメリカ国内にダーテイ・ボムが持ち込まれ、テロ攻撃をされ危険性がある、」と力説する専門家たちもいる。
 このイランの核兵器不安説を盛り上げるのは、ヨーロッパやアメリカの専門家たちによる「イランは核兵器を持つことを、最終ゴールにしている」というものだ。
 そして、他の専門家筋は「イランは2009年から2015年までのある時期に、核兵器を製造することが可能になる」という見解だ。
 正直なところ、中東各国はイランに限らず、できれば核兵器を持ちたいと思っていよう。しかし、核兵器の製造には、高い技術と長期にわたる投資、そして核兵器が完成した段階では、その維持に莫大な資金を必要とするのだ。そのことは、中東に限らず、世界の国々が知っていることだ。
 過去に幾つかの国が、核兵器を製造しようとし、あるいは製造した後に、それを放棄したのは、そうしたいきさつからだ。
 今、世界、なかでも先進諸国はイランに対し、核兵器の製造につながる核開発をやめろというよりも、積極的に核技術の向上に協力し、逆に協力するなかで相手をコントロールしていくことを、考えるべきではないのか。
 アメリカの居丈高なイランの核の開発に対する非難と圧力は、逆の結果しか生み出さないだろうし、核開発を希望している(平和利用目的も含め)各国は、少なからぬ同情をイランに対して抱き、アメリカに対する反発を感じているということだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:50 | パーマリンク

NO・1121イスラエルリクード党が台頭

 イスラエルでは来年の2月に、クネセト議員選挙がおこなわれる予定になっているが、現在の段階で調査したところ、右派のリクード党に対する支持率が、増えているようだ。
 リクード党はネタニヤフ元首相に率いられる政党であり、これまで、パレスチナ側に対しては極めて厳しい、対応をしてきたことで知られている。
イスラエルのイデオト・アハロノト紙の調査によれば、次回選挙で
:リクード党は32議席、
:ツビ・リブニ女史の率いるカデマ党は27議席、
:労働党は8−10議席、
:シャス党は11議席、
:イスラエルベイトヌ党は9議席、
:アラブの3政党は合計で11議席、
:ミルトス党は7議席、
:新極右党6議席、
:緑の党は3議席ということだ。
このことは、来年早々に実施される選挙で、ツビ・リブニ女史は、必ずしも国民の支持を受け、政権を担う状況にはない、ということになる。彼女は首相候補になった段階で、連立政権樹立に失敗し、次の選挙に賭けたのだが、、。
もしこの予想通りか、これに近い結果が出るとすれば、イスラエルはますます中東で孤立し、欧米からも冷たい視線で、見られるようになっていくのではないか。
少なくとも、現在アメリカが世界の中で、主導権を維持するのが困難になっており、全面的にイスラエルを支持する、というこれまでのような形は、期待できなくなってきていると思うのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 13:22 | パーマリンク

2008年11月20日

NO・1120レバノン人歌手タミームの暗殺事件

 1990年代後半からレバノンを始めとし、アラブ全域で有名になった、女性歌手にスザンヌ・タミーム(30歳)がいた。彼女は持ち前の美貌とセクシーさで、世の男性たちを引き付けて離さなかった。
 彼女自身も激しい性格であったのか、過去に2人の男性と結婚している。そして3人目の男性との結婚が、大きな危険を彼女にもたらすこととなった。
 エジプトの大富豪であるヘシャーム・タラアト・ムスタファ氏(49歳)が、彼女に強く惹きつけられていたのだ。彼はタミームとの結婚を希望し、彼女に5000万ドルのマハル(イスラム式結納金)を支払うことを、申し出ていたということだ。
 しかし、彼女はムスタファ氏との特別な関係を、3年間持続していたが、彼の結婚申し込みには応じなかった。そしてその後、ムスタファ氏は彼のビルの安全責任者である警察OBの、モフセン・スッカリを刺客として、タミームの住むドバイへと送った。
 美貌の歌手タミームがのどを、鋭利なナイフで切り裂かれ、死体で発見されたのは間もなくのことだった。
 話がこれだけなら、大富豪の横恋慕と美貌歌手の色恋の揚句の、刃傷沙汰ということで終わるのだが、この話には沢山のオヒレガついているようだ。そもそも、この委託殺人の首謀者ムスタファ氏は、エジプトの諮問会議メンバー(上院議員)であり、七十億ドルの資産を持つタラアト・ムスタファグループのCEOである大富豪であり、エジプト経済界の重鎮だったのだ。
 当然のことながらこの事件を調べていく上では、彼の交友関係が洗われることになる。そこにはエジプトの政界若手ナンバー・ワンの、ムバーラク大統領の二男ガマールの名前も、浮かんできたのだ。ムスタファ氏はガマール氏との関係が、きわめて強いことを、口にしていたようだ。
 こうした事情もあってか、ムスタファ氏の公判は、取材制限がなされることになり、法廷へのテレビ・カメラ、携帯電話、カメラ、テープ・レコーダーなどの持ち込みは、一切が禁止されることになった。
 この政府の対応に対し、マスコミ界からは強い反発が生まれているが、どうにもならないのではないか。
 最近、ムバーラク大統領の二男、ガマール氏の評判はあまり芳しくない。与党国民民主党の要職に就任したことにより、彼の無能力ぶりが知れ渡り、彼を大統領後継者に推す人が、いなくなったということのようだ。
 今回のスキャンダルと殺人事件に、ガマール氏がどのような形で関係していたのかが、正確に伝えられることはあるまいが、この事件の取り調べの段階で、彼の名が挙がっただけでも、相当の痛手なのではないか。ましてや「彼とタミームとの特殊な関係」などという話が、噂でも流れようものなら、ガマール氏の将来は、ムスタファ氏よりも、悲劇的になるかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:35 | パーマリンク

NO・1119シリアの核施設にウラン?

 もうだいぶ時間が経過したが、昨年の9月、シリアの核施設がイスラエル空軍機によって空爆され、完全に破壊されるということが起こった。
 当初、シリアはこの施設が核施設であることを否定していたが、次第に暗黙のうちに、認めた形になっている。イスラエルとアメリカは、この建物が核施設であり、シリアもイランと同様に、核兵器の開発に向かっていたという、オドロオドロした説明を行っていた。
 確かに、シリア側の反応を見ていると、この空爆を受けた建物は、核施設であったろう。しかし、それは建設中であり、完成していたわけではないし、核兵器の製造を目指していたとも、断定しかねるものであったろう。
 イスラエルが核兵器を持っている以上、イスラエルと敵対的な関係にあるアラブ諸国は、核兵器を持ちたいと思っていることは事実であろうが、核兵器を開発するには、相当の時間と費用を伴うということだ。
 イランの核開発が世界的な話題になってから、しばらくの時間が経過したが、いまだに核を持つに至っていないし、実際に使用できるような、ミサイル搭載可能な小型のものにするには、もっと時間がかかろう。
 さて、今回問題になり始め、それを取り上げたのは、イスラエルやIAEAがシリアの空爆された核施設で、ウランが検出されたというニュースが、伝わってきたからだ。
 つまり、シリアは確実に核兵器の開発に動いていた、ということを証拠立てよう、ということであろうが、どうも話には無理がありそうだ。建設途上の核施設に、なぜウランがあったのか、常識では考えられないことだ。
 燃料としての核燃料棒が持ち込まれるのは、工事が終わり核施設が完成した段階のことに限られるからだ。シリア側は「アメリカはあの建物が核施設であり建設途上にあった。」と説明しているが、「したがって、そこにウランが持ち込まれることはないはずだ。」と説明している。
 IAEAが客観的な立場から、このウラン発見を主張するのであれば、イスラエルが空爆時に、微量のウランを投下したと考える方が、まともな推測ではないのか。いずれにしろ危険極まりない話だ。
 イラクは核兵器をはじめとする、WMD (大量破壊兵器)の開発をしているということを、でっち上げられて、アメリカ軍により全面攻撃を受けた。シリアでも同じような話になるとすれば、極めて犯罪に近いことではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 13:53 | パーマリンク

2008年11月19日

NO・1118エジプト人気歌手の新曲

 エジプト庶民の間で、もっとも人気の高い歌手に、シャアバーン・アブドルラヒームがいる。彼がこれまで歌った歌の中には、イスラエル非難の曲があり、その歌詞の中に、ムバーラク大統領とアムル・ムーサ・アラブ連盟事務総長(元エジプトの外務大臣)が登場したことが、この歌を庶民の間で熱狂的なまでも、支持を広げたのだ。
 つまり、ムバーラク大統領という権力者をけなし、その上で次期大統領候補と声望が高かった、アムル・ムーサ外相を称賛する内容だったのだ。だが、アムル・ムーサ外相がアラブ連盟事務総長に追い出される、人事をされたことになった。この歌が出たころは、まだアムル・ムーサ氏が、外相のポストにあったのだが。
 さて、今回の新曲はどういう意味を込めているのであろうか。それと、どの程度の広がりを、持っていくのであろうか興味が持たれる。そこで、ここに彼の新曲の歌詞を、ご紹介しておこう。私には、あまりヒットするとは思えないのだが。

    「ブッシュ、キチガイ女の息子」  作詞:イスラムハリール
オバマがブッシュと同じでないことを望む
ブッシュはキチガイ女の息子だ
奴の家はアッラーが破壊するだろう
ブッシュは何年もアラブを破壊してきた
アラブ人よ、オバマに期待するな
オバマがお前の英雄サラデンと同じだと思うな
すべてのアメリカ大統領は同じだ、
ブッシュはキチガイ女の息子、中東全域に火をつけた
アフガン・イラク・ガザ、今はシリアに
オバマに何ができると思うんだよ!
ブッシュが行ってオバマが来たが、それがなんだというんだ?
パレスチナはいまだ占領下、イラクは破壊され続けている
アラブは恥をかかされている
世界は嫌悪の中に生き、ますます嫌悪が増している
オバマに何ができるんだ
あいつが右に行こうが左に行こうが
オバマが俺たちに何をするというんだ?
彼はハリーリを生き返らせることはできない(暗殺された元レバノン首相)
ヤーシーンを生き返らせることはできない(イスラエルによって爆殺されたパレスチナのイスラム指導者)
アラブ人よ夢を見るな、ブッシュもオバマもお前のママじゃない
ブッシュもオバマもお前を助けない

投稿者: 佐々木良昭 日時: 18:32 | パーマリンク

海外出張から帰国しました

11月18日に予定通り10日間も海外出張から帰国しました。

これから中東TODAYを再開します。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 18:30 | パーマリンク

2008年11月08日

 お知らせ

 11月9日から11月18日まで、エジプトとトルコの出張に出かけます。その間に、イラン攻撃が起こらないことを祈ります。
 帰国し次第。沢山のご報告をさせていただくつもりです。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:23 | パーマリンク

     海外出張のお知らせ

 11月9日から11月18日まで、エジプトとトルコの出張に出かけます。その間に、イラン攻撃が起こらないことを祈ります。
 帰国し次第。沢山のご報告をさせていただくつもりです。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:23 | パーマリンク

NO・1117オバマ大統領就任の前イスラエルのイラン攻撃はあるか

 オバマ氏が次期大統領に選出され、アメリカ国内は「アメリカン・ドリーム」の美酒に酔い浸っている。アラブやイスラム世界では、彼の出自がアフリカのケニアであり、イスラム教徒の家系だということもあって、大きな期待が寄せられている。
 イランはアメリカとの戦争を懸念していたこともあり、オバマ氏が次期大統領に選出されると、アハマド・ネジャド大統領は大喜びで、祝意を伝えている。しかし、流れてくる情報を細かくチェックしているとか、必ずしも楽観できるものではなさそうだ。
 オバマ氏の大統領就任にあわせ、副大統領候補となっているバイデン氏は、選挙キャンペーンの中で、オバマ氏は大統領就任後まもなく、大決断を迫られるだろうといった内容の演説をしている。彼は民主党のなかにあって強硬派の代表格の人物だ。
 パウエル元国務長官も、「オバマ氏は大統領就任後間もなく、非常に困難な事態に遭遇するだろう」と語っている。しかも、彼はその非常に困難な事態の時期が、来年の1月21日から22日だというのだ。
 このバイデン氏やパウエル元国務長官の予想する、オバマ氏が直面する未曾有の困難とは何なのかということを考えたとき、イスラエルの歴史学者ベニー・モリス氏の発言が気にかかる、彼の発言が、その未曾有の事態を、予告しているのではないか。
 彼はアメリカの大統領がイスラエルびいきの、ブッシュ氏である間に、イスラエルはイランを攻撃すべきだ。来年の1月になれば、イランはロシアから対空砲(対空ミサイル?)を入手する、とも語っている。
 忘れてならないのは、来年の段階では、イランが核原発に燃料棒を挿入することになり、その後の攻撃は放射能が飛散することから、不可能になるということだ。したがって、イスラエルがイランを攻撃するのであれば、来年の早い時期が、時間的には限界ということになろう。
 このベニー・モリス氏は、イスラエルによるイラン攻撃が可能な時期を、今年の11月5日から来年の1月19日までとしている。
 オバマ氏の補佐官には、ラーム・エマニエエル氏が任命されたが、彼は18歳までイスラエル国民であり、彼の父親はイスラエル建国時のテロリスト組織、イルグンのメンバーだったということだ。
 こう考えてみると、オバマ氏の大統領就任は、イランが期待するような状況を生み出すのではなく、逆にアメリカ・イラン関係を一層、緊張させることになるのではないか。
 これまで何度となく、アメリカ・イラン関係は緊張を生み出してきたにもかかわらず、何とか戦争にいたらずにすんできたが、今回もそうあってほしいものだ。そうでなければ、イランと周辺諸国に多くの犠牲者を生み出すと同時に、世界の経済が壊滅的な打撃を受ける、危険性が高いからだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 11:40 | パーマリンク

2008年11月07日

NO・1116ナゴルノ・カラバフ問題進展の可能性

 最近になって、どういうわけか、ナゴルノ・カラバフ問題が重要視され始めている。このナゴルノ・カラバフとは地名だが、アゼルバイジャンとアルメニアの中間に位置する場所だ。山岳地帯にあって、アルメニア教会関係などの、遺跡が多いことで知られている。
 ナゴルノ・カラバフとは「山岳地帯の黒い庭園」という意味なのだそうだが、標高3000メートルほどに位置し、高山植物が群生している、風光明美な場所だということだ。
このナゴルノ・カラバフは本来であれば、人口比などを考えても、アルメニアに帰属していたはずなのだが、ソ連時代には、アゼルバイジャンに帰属していた。それはスターリンによる民族政策の結果だということだ。
 アゼルバイジャンとアルメニアとの間では、ソ連解体後、ナゴルノ・カラバフ地区の領有をめぐって戦争が起き、現在ではアルメニアがナゴルノ・カラバフ地区を支配している。
 11月に入り、ロシアの外相がナゴルノ・カラバフ問題の調停に動き出している。同じように、トルコがナゴルノ・ラバフ問題の解決に向けて、動き出している。ロシアもトルコも、ナゴルノ・カラバフ問題の解決に動き出したのは、石油・ガス・ルートの確保に目的があるのではないかと思われる。
 もしナゴルノ・カラバフ問題が解決すれば、ガス・石油のパイプ・ラインはグルジアを経由することなく、トルコにつなげることができるのだ。それはロシアにとってグルジアを完全に孤立させることにつながるのだ。ロシアとトルコとの間に話がつけば、ロシアのエネルギー資源ばかりではなく、中央アジアのガス・石油資源も同様に、このルートを活用できるということになる。
 ロシアがナゴルノ・カラバフ問題に今動き出したのは、グルジアとの戦争に対するアメリカの動きに、自信を得たからではないか。
グルジアが手を出し、ロシアが反撃した結果、グルジアのアブハジア地区と南オセーチア地区が、分離独立の方向に進んだ。しかし、アメリカはそのロシアの策謀に対し、何ら具体的な手が打てなかった。
つまり、ロシアは今のうちなら、ロシアの希望するような形で、ナゴルノ・カラバフ問題の仲介をすることができ、アゼルバイジャンとアルメニアを掌中に取り込むことができる、と考えたのかもしれない。
そこで、そのロシアの策謀の前に、立ちふさがるのはトルコだが、トルコとの交渉が今後の、ナゴルノ・カラバフ問題解決のカギ、になってくるのではないか。グルジア紛争が起こった際に、ロシアの外相が最初に訪問した国は、トルコだった。
つまり、ロシアとトルイコはお互いに、自国のメリットに向け共闘(?)しあっているのかもしれない。その共通のテーマにナゴルノ・カラバフ問題が浮上してきたということではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:38 | パーマリンク

2008年11月06日

NO・1115みんなオバマが好きだイスラエル・アラブ・トルコ

 アメリカの大統領に黒人のバラク・オバマが選出された。そのショックは世界中に伝わっている。バラク・オバマ氏の先祖の地ケニアでは、アメリカの援助が増えるだろうという期待から、国を挙げてバラク・オバマ氏の当選を、喜んでいる。
 アラブ諸国もほとんど例外なく、バラク・オバマ氏の当選を歓迎している。バラク・オバマ氏が中東にも、変化(チェンジ)をもたらしてくれるだろう、という期待からだ。
 イラクではすでに、アメリカ軍が部分撤退を、11月中に実行することが伝えられ、イラク国民の間から、好感をもたれている。バラク・オバマ氏は選挙戦中から、アメリカ軍のイラク撤退を、6カ月以内に実行すると語っていた。
 トルコではバラク・オバマ(民主党)が、大統領に選出されたことで、トルコとアメリカの関係が強化されると予測し、期待を寄せている。
 イスラエルでは、大統領選挙の出口調査で、78パーセントのユダヤ人がバラク・オバマに投票したことを、誇らしげに伝えっている。
 しかし、バラク・オバマが大統領に就任した後に、彼を待ち構えているのは、解決困難な沢山の問題であることを、同時に、アラブもイスラエルも認識しているようだ。 
たとえば、イスラエルとパレスチナの問題は、アラブ諸国に直接的な影響を及ぼすものだが、イスラエル・パレスチナ双方が、内部に抱えている問題で、解決は困難を極めることが、今の段階から予想できよう。
いやな予感を抱かせるのは、バラク・オバマ氏の当選が決まった後、イスラエルによるガザ空爆があり、それに対する報復のミサイル攻撃が、パレスチナのハマースによって、行われたということだ。しかも、それは6月以来のものだった。
イランとの緊張関係も、イラン側はバラク・オバマの当選を、早い段階から期待していたが、そう簡単ではあるまい。バラク・オバマの当選発表の後、アメリカ軍のヘリがイランの領空を侵犯したことで、イラン側はアメリカに対して警告を発している。
イラク問題でも、アメリカ軍が部分撤退を、早期に実行するだろうが、その後のイラク国内情勢が、安定するという保証はない。最近になって、イラクの首都バグダッドを中心に、爆弾テロが繰り返され、活発化しているのだ。
トルコはアメリカの新大統領に、期待しているようだが、アメリカがトルコを重視するのは、アメリカ軍がイラクから部分撤退した後の、予備軍としての価値であろう。アメリカは不測の事態に備え、なんとかトルコをイラクに引きずり込もう、と考えているのではないか。
CNNが「中東はオバマを歓迎するが、困難な問題が残っている」と厳しい予測を伝えている。バラク・オバマ氏の副大統領に予定される、バイデン氏は選挙期間中の演説で「オバマは今後、近い将来に困難に直面するだろう、大決断を迫られるだろう」といった発言をしている。
バイデン氏は今後、イランとアメリカが厳しい状況に向かっていくことを、におわせる発言をしていることも、記憶に留めておくべきではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:38 | パーマリンク

NO・1114EU議会がハマース議員招待

 イスラエルのエルサレム・ポスト紙が伝えたところによると、EU議員団が月曜日に、ハマースのパレスチナ議会議員を、ブリュッセルにあるEUの本部を訪問するよう、招待したということだ。
 招待を受けたのは、パレスチナ議会の議員であり、ハマースのスポークスマンでもある、アハマドバハール議員たちだ。ハマースの議員は2006年に行われた選挙で、民主的に選出された人たちだ。
 招待の期日は来年の3月で、招待したのはEU議員のキリアコスEU議員で、彼とメンバーがガザを訪問した折に、その旨が伝えられた。
 ハマースのアハマドバハール議員は招待を受けることにした。しかし、EUはいまだにハマースを正式に認めてはいない。その調整はこれからであろうし、イスラエルがハマースのメンバーのEU訪問を、許可するか否かということも、これから問題となるであろう。
 問題は、何故いまはマースの議員が、EUによってブリュッセルにあるEU本部に、招待されたかということだ。あるいは、EUが来年から本格的に、イスラエル・パレスチナ問題の解決に乗り出すのかもしれない。
 アメリカはオバマ氏がアメリカの新大統領に就任して、少なくとも半年はイスラエル・パレスチナの和平に、動き出せないであろうことから、EUがアメリカに代わって、この問題解決に乗り出すのかもしれない。
 イスラエル・パレスチナ問題は放置しておくと、暴発する危険性が高い。しかも、経済が世界的に急激な悪化の方向に向かっている中では、なおさらパレスチナ側の不満が、高まりやすいということであろう。その危険性をEUは強く感じて、動き出したのかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:39 | パーマリンク

2008年11月05日

NO1113新米大統領にイスラエル・アラブが期待すること

 日本時間の11月5日昼ごろ、アメリカの新大統領が決まった。以前から予測されていた民主党の候補者、オバマ氏が選ばれたのだ
 このオバマ大統領がこれから、中東地域で直面する解決困難な問題は、山積している。そして、アラブ諸国もイスラエルも、オバマ大統領が唱えるチェンジとは、中東地域の場合どのようなものになるのかを、虎視眈眈と待ち受けている、ということであろう。
 イスラエルのエルサレム・ポスト紙は、オバマ大統領を待ち受けている中東問題として、イラン問題、イラク問題、イスラエル・パレスチナ問題、シリア問題、エジプト問題を挙げている。
:イラン問題については、イランの核兵器開発をどのようにして阻止し、話し合いによって緊張を、緩和させていくかということだ。
:イラク問題については、シリア・イラン・トルコとのかかわりの中で、いかにしてアメリカが、イラクから手を引いていくかということだ。
:イスラエル・パレスチナ問題については、援助だけではなく、アメリカの直接的な関与によってしか、問題が解決しないことを、明確に認識する必要があろう。
:シリア問題については、シリア自身が国際的な孤立の、限界点に近づいていることを認識し、アサド体制の安定を保証しながら、いかにしてイランやヘズブラとの関係を、薄めていかせるかということであろう。
:エジプトにとっての問題は、述べるまでもなく、ムバーラク大統領の高齢化に伴う、彼の後継者選びであろう。この問題に対する対応を間違えると、エジプト国内に政治的空白が生まれることになり、それは中東全域に不安定を生み出す、危険なものとなろう。
 そのいずれもが、決して容易でないことは、ブッシュ体制下のライス国務長官の、努力を見れば分かろう。誰がオバマ体制下で、新国務長官に就任するか分からないが、大変な困難を背負い込む時期を、迎えていることだけは確かだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:19 | パーマリンク

2008年11月04日

NO・1112すでに出始めているリブニ暗殺予測

 日本では全く報道されていないが、いまイスラエル国内では、入植者と軍や警察の衝突が、繰り返されている。
 こうした現象は、外国から移住してくる、ユダヤ人たちを受け入れる、入植地は次第に手狭になっていることと、入植者の経済状態が苦しいことに、起因しているのではないかと思われる。
 しかし、イスラエル政府は経済困難と、外国からの圧力により、入植者たちに対して、援助をし難くなっている。そうしたなかで、入植者たちは土地を拡大し、そこを耕して収入を増やそうとする者や、入植地の住宅地を拡大して、不動産で利益を上げようとする者が、出てきているのだ。
 最近では、パレスチナ人農民がオリーブの収穫期を迎えており、そのオリーブ畑を入植者たちが荒し、土地を占領する動きに出たために、死傷者までも出す、大混乱となったこともある。
 結果的に、イスラエル政府は軍や警察を使い、これを阻止しなければならなくなっている。
 そうなると、入植者たちはイスラエル政府は何故、入植者者のイスラエル国民を守らずに、パレスチナ人を擁護するような行動に出るのか、と政府非難を始めることになる。
 早晩、イスラエルは何らかの妥協を、パレスチナ側と交わさなければ、将来的には、パレスチナ人口の増大によって、イスラエルがパレスチナ人口に、飲み込まれてしまう危険がある。
 イスラエルの北部都市、アッカで起こった衝突は、そうした黒い将来を、予測させるものであった。つまり、イスラエル国内で本格的なインテファーダが、起こる危険性が高まってきているということだ。
 リブニ女史がカデマ党党首に選出され。連立に失敗したが、選挙の実施を早めて、選挙で勝利し、新内閣を結成しようと思っている。もちろん、彼女はパレスチナや他のアラブ諸国との、共生を考えているのだ。
 イスラエル国民の中の強硬派の人たちは、リブニ女史が首相になれば、イスラくエルは大幅な妥協を、パレスチナ・アラブに示すことになり、イスラエルは自滅していく、という不安感を強めている。リクード党の最強硬派、ネタニヤフ議員に対する支持が、最近増えているのも、そうした背景があってのことであろう。
 現実に、そうした動きがあるのであろう。最近になってシンベト(イスラエル国内情報機関)の元幹部が、イスラエルの要人テロが起こる危険性が、非常に高まっている、と警告している。
 ウルトラ・ユダヤ教徒の青年に、ラビン首相が暗殺された記念日を挟んで、彼とのインタビューの放映の是非をめぐり、イスラエルでは賛否両論が飛び交ったが、そのことも、近い将来の要人暗殺の、可能性を高めているのかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:41 | パーマリンク

2008年11月03日

NO・1111リーバーマンが何故ムバーラクに地獄に落ちろといったのか

 イスラエルの国会クネセトの議員の、アビドール・リーバーマン氏がエジプトの大統領に対して「地獄へ落ちろ」という、常識では考えられない悪口を吐いた。
 これはいったい何故なのかという疑問に対し、当初の説明では、イスラエルの首相や大統領が何度もエジプトを訪問しているにもかかわらず、エジプトの大統領は故サダト大統領が訪問しただけであり、ムバーラク大統領は長い大統領就任期間の間で、一度しかイスラエルを訪問していないことだった。
 しかし、それにしても、あまりにも乱暴な発言だっただけに、それ以外にも理由があるのではないか、と思っていたところ、あるイスラエルの評論家が、エルサレム・ポスト紙で、実に明快な説明をしてくれている。
 その評論家の説明によれば、アビドール・リーバーマン氏はロシアから移民してきたイスラエル人だ。そして彼が所属しているイスラエル・ベイトヌ党は、ロシアから移民したロシア系イスラエル人によって、結成されている政党だ。したがって、彼の言動はロシアからの移民者たちに、受けるようになっているというのだ。
 ちなみに、イスラエル・ベイトヌ党はクネセトに11議席を有しており、次の与党連合の結成には、大きな勢力を持っている、重要な政党だということだ。
 好意的に考えれば、彼は有権者の支持を得られるような言動をする、必要があるということだ。イスラエル国民になったとはいえ、ロシアで生まれロシアで育った人たちは、ロシア人と同じような言動をするということだ。
 そして、移住者のほとんどは、ロシアで生活していたこと、そしてチェチェン問題をつぶさに見ていたということだ。ロシア国内のイスラム教徒である、チェチェン人たちが行う反政府闘争は、強い印象で彼らを、捉えていたということだ。
 そして、彼らの目には、いまイスラエル国内に居住する、アラブ・イスラエル人の行動が、チェチェン・ゲリラとダブって見えているということだ。したがって、放置すればアラブ・イスラエル人の反政府活動は、次第に活発さを増し、しかも危険なものに、発展して行くということだ。
 したがって、ロシアから移住したロシア系イスラエル人たちは、ロシアのプーチン大統領のように、イスラエルの政治家も、アラブ・イスラエル人に大して、断固とした対応をとるべきだ、ということになる。そうしたロシア系イスラエル人の要望に応える発言のひとつが「ムバーラクは地獄に落ちろ」だったということだ。
 ムバーラク大統領が一度しか、イスラエルを訪問していないのは、エジプトが和平をイスラエルと締結したとはいえ、エジプトはチャンスがあれば、イスラエルを攻撃したいと考えているからだということも、アビド−ル・リーバーマン氏に、過激な発言をさせたということだ。
 イスラエルは来年の2月に、選挙が予定されている。その前から、アビドール・リーバーマンは彼の政党を、支持する有権者たちに対して、強い政治家の印象を、持たせようとしたということのようだ。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:31 | パーマリンク

NO・1110バルザーニがクルド地区に米軍基地受け入れ意向表明

 イラクの北部クルデスタン地区の代表者である、マスウード・バルザーニ議長が、アメリカ軍の基地受け入れ意向を発表した。
 彼は、もし、イラク中央政府がSOFA(治安維持のための地位協定)に合意しないのであれば、アメリカ軍が基地をクルド地区に、建設することを認める、と語ったのだ。しかも、この基地の設置については、クルド地区の場合、SOFAの合意を必要としない、とも語っている。
 つまり、何の条件も付けずに、アメリカ軍を受け入れる、ということだ。こうした発言がクルド地区の代表者である、マスウード・バルザーニ議長から出てきたのには、それなりの裏がある。
 1970年代以降、イラクのクルド地区のクルド人代表者と、アメリカやイスラエルの情報機関との間には、特別な関係があった。そして、1991年の湾岸戦争後は、より強固な協力関係が構築され、クルド地区はアメリカ軍の庇護の下で、特別区のような状態にあった。
 述べるまでもなく、結果的にはクルド地区が、他のイラクの地区とはかけ離れた、安全で発展する地区となってきた。
 しかし、最近、アメリカ政府が要求する地位協定に対し、多くのイラク人が反対するようになり、合意は遅延に継ぐ遅延をしてきている。それどころか、最終的では合意されないのではないか、という観測すら出てきている。
 そうなれば、あわてるのはクルド地区住民だ。アメリカ軍を始めとする、合同軍の駐留期限は、国連の定めた12月末で切れてしまうのだ。そうなると、アメリカ軍のイラク駐留の正当性はなくなり、早晩全面的な撤退を、しなければならなくなるだろう。
 そうなれば、イラク国内はスンニー、シーア、クルドが、三つ巴の戦いを展開することが、十分予測できる。そこで、マスウード・バルザーニ議長はクルド地区に、アメリカ軍の基地を建設する提案をした、ということだ。もちろん、それはクルド地区の安全を、守ることが目的だ。
 しかし、このマスウード・バルザーニ議長の発言に対し、イラク国内の宗教指導者や政治家の間から、激しい反発が始まっている。あるいは、マスウード・バルザーニ議長は焦りから、自分の手で大きな墓穴を、掘ってしまったのかもしれない。
 ただ、アメリカ政府はイラク侵攻時依以来、イラクを三分割することを考えに、入れてきているということがあり、あるいはこのクルド地区に、アメリカ軍の基地を設置するという、マスウードバルザーニ議長の提案が、その決断をさせるかもしれない。
 しかし、それはイラク国内で、新たな武力衝突の種になることは、間違いあるまい。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:46 | パーマリンク

NO・1109ヨルダンがハキーム師暗殺を試みた?

イランのプレスTVというサイトがあるが、そのサイトが11月2日に物騒なニュースを流した。その物騒なニュースとはヨルダンの情報機関が、イラクのシーア派指導者(イラク・イスラム革命最高評議会)であるアブドルアジーズ・ハキーム師を毒殺しようとしたというのだ。
 報道によれば、2007年にアブドルアジーズ・ハキーム師がヨルダンを訪問し、アブドッラー国王に会った際に飲んだコーヒーの中に、毒薬が入っていたというのだ。アブドルアジーズ・ハキーム師はその後、腹痛に襲われ、急遽イラクに帰国して治療を受けたが、それでも治らず、イランに出向いて治療を受け、一命を取り留めたということだ。
 その毒薬はタリウムで、サダム体制が反体制派の人物を暗殺する場合に、使っていたものだということだ。ヨルダンでも情報部が、ヨルダン在住のイラク人や、サダム体制の時代にイラクからヨルダンを訪問する要人に対して、使われていたものだということだ。
 アブドルアジーズ・ハキーム師はその後、体重が20キロも減少し、脱毛したということだ。そして、癌に冒されたとこのニュースは伝えている。
 アブドルアジーズ・ハキーム師はこのことを、ヨルダン政府に伝え抗議しようとしたが、アメリカのクローカー大使がマリキー首相に対し、ヨルダン側に伝えることを、抑えたということだ。
 このニュースが事実か否かについては、現段階では判断しかねるが、何故この時期に、このニュースがイラン側から流されたのかについては、推測することが出来よう。このニュースをイランが流したということは、イランが親米派の代表格であるヨルダン政府に対し、挑戦状を突きつけたということと同じであろう。
 それでは何故、イランが親米派の国に挑戦状を突きつける必要が、あるのかということになるが、それは、イランがアメリカの攻撃を受ける可能性が高くなった、と考えているからではないか。そして、イラク政府がアメリカの圧力によって、SOFA(治安協定)を結ぶ方向に、向かっているからであろう。イラクを基地に、アメリカがイランを攻撃してくるのでは、イランは非常に不利な戦いを強いられるからだ。
 そして、アメリカのイラン攻撃が少しでも遅れる、あるいはやりにくくなるためには、イラン周辺の国々の中に、混乱を引き起こすということであろう。今回のヨルダン政府による、アブドルアジーズ・ハキーム師の暗殺未遂事件のニュースは、イラク国内の彼を支持するシ−ア派国民の間に、ヨルダンに対する敵意を植え付けるだけではなく、イラクのマリキー首相に対するする敵意と不信感も、同時に生み出すであろうし、アメリカに対しても、同様に敵意をあおる結果になろう。
 イランはヨルダンを非難することによって、結果的にマリキー首相を窮地に追いやり、イラク国民の間に反米感情を高めるという、高度な作戦を仕掛けているのかもしれない。つまり、それだけ今のイランとアメリカとの関係は、緊張しているということであろう。
 イランがヨルダンを暗殺未遂で非難しても、ヨルダンにはイランに対して、軍事的に攻撃できまいし、情報部員を送り込んで、破壊工作をすることも考えられない。ヨルダンはアメリカやイラクのマリキー首相を、間接的に叩く上で、好都合な国だということではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:09 | パーマリンク

2008年11月01日

NO・1108レバノン戦争再発の可能性イスラエル・レバノン双方から

 最近になって、イスラエル国内では戦争を待望するような、いやな雰囲気が拡大しているようだ。
 カデマ党党首のツビ・リブニ女史が進めた、他党との連立工作が失敗し、当分の間はシリアとの和平交渉も、パレスチナとの和平交渉も、停止状態になった。
 確かに現段階は、オルメルト首相にしてみれば、リブニ党首が次の政府を作るまでの、臨時的な首相としてとどまる期間であり、オルメルト首相が真剣にシリアやパレスチナ側との、和平交渉をしたいと思っても、シリアもパレスチナも、まともに対応してくれはすまい。
 それでは、リブニ党首に和平交渉が、現段階でできるかといえば、それも無理な話だ。他方、イスラエル国民の間では、日に日に兵器の数を増やし、勢いを増して行くレバノンのヘズブラと、大量に兵力をレバノン国境に移動させている、シリアの動きを見ていると、戦争に備えなければ、先制攻撃をかけなければ、という焦りが出てきているようだ。
 そうしたイスラエル国民の焦りを反映してか、イスラエル国内では、リブニ党首(和平派)よりも、ネタニヤフ党首(強硬派)に対する支持のほうが、最近になって増えているという情報がある。
 先にも報告したように、リブ二党首とネタニヤフ党首が、選挙で得るであろう議席数はほぼ同じだろうが、連立を組む場合には、ネタニヤフ党首のリクード党のほうが、他党を抱き込みやすいということのようだ。
 レバノンからはヘズブラの幹部によって、前の戦争時よりも兵器の装備が整っていると言い、イスラエルによって殺された(?)ムグニヤの弔い合戦をやる用意は、出来ているという、強気の発言が繰り返えされている。
 シリアも、最近になって、レバノン国境に軍を移動させているが、どうも通常の動きではなく、戦争に備えた軍の移動ではないか、という推測が広がっている。それはシリア軍の移動が、大量の戦車やミサイルを含んでいるからだ。
 シリアの核施設が空爆されてしばらくたつが、シリアは報復が出来るのであれば、やりたいと考えているだろう。そうした鬱積した気分のなかにいるシリアに対して、アメリカ軍がアルカーイダの幹部の隠れ家があるとして、シリアの北東部の街を攻撃し、8人の死者を出し、2人が人質になった。
 シリア国民がこのアメリカ軍の攻撃に対し、怒りを爆発させ大規模な抗議デモが、シリア国内各地で展開されてもいる。
 イスラエルあるいはアメリカが、あと一押しすれば、レバノンのヘズブラがシリアの意を受けて、軍事行動を起こす危険性があるということだ。もちろん、その場合、シリアも動かざるを得なくなるかもしれない。
 その戦争がイランに波及するのか、あるいはそうはならないのか、非常に微妙な段階に入ってきているのではないかと、懸念される昨今の状況だ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:59 | パーマリンク

 
利用条件プライバシーポリシー
東京財団とはトピックス研究員紹介奨学事業研究事業イベント情報公募・お知らせお問い合わせ
copyright(c)2006TheTokyoFoundation, The Tokyo Foundation bears no responsibility for information derived from links to remote sources.