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2009年09月30日

NO・1419イラク南部の湿原地帯はその後どうなっているのか

 日本が2004年1月、イラクのサマーワに自衛隊を派遣した。そのときの公明党の支持者に、自衛隊の派遣を納得させる大きなポイントは、イラク南部湿原地帯の復元、であったと記憶している。
 イラクがイランと8年間に渡って続けた戦争時に、この湿原地帯は敵の兵士が侵入して来る経路として、当時のサダムフセイン・イラク大統領が、枯渇させてしまったのだ。
 イラク南部の湿原地帯は、アフリカとヨーロッパ大陸とを行き来する、渡り鳥の休息地となっていることから、国際的にも湿原地帯の荒廃は、大きな関心を呼んでいたのだ。日本が自衛隊をイラクのサマーワに派遣することで、国民の多くを説得できたのは、湿原地帯復元に協力するということだった。
 しかしその後、日本政府が具体的な協力をした、という話はあまり聞かない。それでも自然の力は偉大だ。いまではイラク南部の湿原地帯は、相当復元しているようだ。
 イラク南部の湿原地帯が復元したことによって、新たな問題が生まれている。背の高い川岸の草が2メートル以上にも伸び、川のあちこちにある小島や川岸を、スッポリ覆うようになったのだ。
 この草むらを麻薬業者が利用し、密かにイラク各地に、外国から麻薬が持ち込まれるようになったのだ。それがイラク国内だけではなく、トルコに流れ込み、そこからヨーロッパ各地にまで、届けられているということのようだ。また、一部はイラクからアメリカにも、送られているということのようだ。
 湿原地帯が復元するということは、麻薬ばかりではなく、風土病が蔓延する原因にもなる。一時期騒がれていた放射性弾頭による、奇形児や巨大な腫れ物は、全てが放射性爆弾や弾頭によるものではなく、風土病が原因でもあったのだ。イラク政府は湿原地帯が復元して来たいま、麻薬の密輸に加え、この風土病との戦いも行っていかなければならない。
 イラクの河川に水が順調に流れ、一部閉鎖されていた運河も再開されたが、その結果生じてきている、問題に対する対処方法は、諸外国からの支援を受けられないまま、放置されているのだ。
 他方、イラクの河川の水量が減り、農業に大きな影響が出ているとし、イラク政府は、水源国であるトルコに対し、水の供給量を増やすよう要請している。トルコは大型ダムを建設し、国土を灌漑し、可耕地面積を拡大し、発電にもこの水資源を活用するようになったからだ。
 トルコはイラク側の要請に対し、イラク側の水利用に問題があるとし、イラクが望むほどの増量には、なかなか応じていない。もちろん、トルコはイラクとの交渉で、以前よりは水の供給量を増やしてはいるのだが、イラク側にしてみれば、まだまだ不満だということのようだ。
 問題は再度もとに戻るのだが、もしトルコの降雪量が増え、あるいは降雨量が増えて、イラクに対する水の供給量を大幅に増やした場合、南部の湿原地帯には、ますます草が茂り、麻薬の密輸業者にとって、好都合な状況になろうし、同時に風土病が現在よりも、蔓延する危険性もあろう。
 そこで提案だが、先進国がイラクの水と麻薬密輸と風土病の因果関係について、総合的な調査をし、対応策を講じてはいかがなものか。イラクが今後、健全な発展を遂げていく上で、重要な戦後処理のひとつではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:57 | パーマリンク

2009年09月29日

NO・1418イラク次期選挙は荒れそうな予感

 来年、イラクでは選挙が行われる。その結果によって、誰が次期首相に就任するかが決まる。アメリカ軍の撤退問題もあり、次期首相に誰が就任するのかは、今後のイラクの主要政治テーマになって行くだろう
 以前にも触れたが、イラク国内ではダウア党出身のマリキー氏が、首相の座にあるが、次期首相の座をめぐり、相当動きが活発化してきているようだ。これまで首相を経験した、ジャアファリ氏やアラーウイ氏も、当然のことながら返り咲きを目論んでいよう。
 イラクの場合、宗教派閥がどう動くかが、選挙の結果を予測する上で、非常に大きな手がかりになるが、イスラム教シーア派学者として最高位の、アヤトラオズマになって帰国した、イラクのシーア派のリーダーの一人であるサドル師は、次期首相にマリキー氏が就任することは、あり得ないと明言した。
 このサドル師の言葉には、大きな意味があろう。彼の率いるマハデイ軍が矛を収めたために、マリキー政権は一応イラクの統治が、出来てきていたからだ。しかし、もしサドル師率いるマハデイ軍が、以前のようなテロ活動、軍事行動を再開すれば、イラク国内の治安状況は、一遍に悪化しよう。
 サドル師らが結成した政党集団に、マリキー首相のダウア党が参加したとしても、彼が首相の座に就くことは確かではない。彼以外にも、多数の首相候補者がいるからだ。
 サドル師のグループが次期選挙で、多数立候補することになれば、これもまた問題であろう。大半のシーア派の国会議員が、彼のグループのメンバーによって占められる、可能性が少なくないからだ。
 アラーウイ氏はこうした流れを冷静に分析してか、いまのところ、あまり目立った行動には出ていないが、早晩、彼は次期首相レースの前面に出てこよう。アラーウイ氏とサドル師との連携が出来上がれば、マリキー首相も相当追い込まれるのではないか。
 サドル師がアヤトラオズマになれたのは、イラン側のイラク内政に深く関与していく意図から、事前に打ち込まれた楔であったろう。加えて、アラーウイ氏は首相の座を降りた後、イランとの関係を構築していた。
 この二人がイランの支援を受けながら、イラク国内の政治の表舞台に出てくれば、アメリカはイランと戦うことなくして、イラク戦争の成果を奪われることになる、ということではないのか。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:17 | パーマリンク

2009年09月28日

NO・1417NABUCCOパイプ・ラインとイラン制裁の関係

  トルコがエネルギー資源の、一大中継点となるために計画されたNABUCCOパイプ・ラインは、通過各国の賛同を得て、ほぼ段取りはすんでいる。
この計画には、カスピ海周辺諸国で産出される天然ガスを、ヨーロッパの消費地に運ぶために、トルコに加え、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアなどが合意している。
しかし、このパイプ・ライン構想はロシアにとって、極めて不利なものであるため、その後の進捗状況は、当初、トルコが考えていたようにスムーズには進んでいない。
このNABUCCO パイプ・ラインを通じて、中央アジアのガスが、ヨーロッパの消費地に届けられることになれば、ロシアは中央アジアに対する影響力を低下させるし、同様に、ヨーロッパ諸国に対する影響力も、弱まることになる。
そこで、当然のこととして、ロシアはNABUCCOパイプ・ライン計画に、直接間接的妨害をしてきた。中央アジア諸国も、ロシアと陸続きであることもあり、ロシアを怒らせた場合の危険性を、考慮しなければならない。
つまり、トルコが考えた中央アジアのガスエネルギー輸送の、第二のルートであるNABUCCOパイプ・ラインは完成しても、輸送するガスが無いという状況に、陥る危険性があるということだ。
そうなると、中央アジアに代わり、イラクとイランとが、このNABUCCOパイプ・ラインへの、ガスの主な供給国ということになる。イラクは今の段階では、極めて前向きに、このトルコのプロジェクトを支持している。
問題は、もう一つのガス供給国であるイランだ。イランもトルコとの関係は良好であり、基本的にNABUCCOパイプ・ラインを使って、自国のガスをヨーロッパ市場に、送り出すことに反対ではない。
トルコのエルドアン首相は、その辺の事情を正直に吐露している。つまり、NABUCCOパイプ・ラインの成否は、イランにかかっているということを、正直に認めているということだ。
問題は、イランの核開発問題が次第に険悪になり、アメリカを中心とする先進諸国が、イランに対する制裁を、強化する方向にあることだ。もし、イランへのガソリン供給を止めるだけではなく、イランの経済を利する、ガスの輸出をトルコが助けることになれば、問題となってこよう。
アメリカをはじめとする国々が、どこまでイランに対する制裁を、強化させるかにかかっているが、イランだけではなく、この新たな制裁の発動は、トルコにとっても、大きな影響を及ぼす、可能性があるということだ。
同時に、もしNABUCCOパイプ・ライン計画が失敗に終われば、中央アジア諸国はロシアのクビキから、解放される可能性はないと判断し、次第にロシア寄りに、政策を変更していくことになろう。
ヨーロッパ諸国もまた、この計画が挫折すればロシアによって、常にガス輸送のパイプ・ラインの、コックをコントロールされる、という状態になろう。アメリカはこうした事情を十分に考慮して、イランに対する制裁を考える、必要があるのではないか。
トルコが自国のメガ計画NOBUCCOパイプ・ラインの成否をかけて、イランと欧米との仲介に、最大の努力を払うものと思われる。その成果が上がることを期待したい。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:11 | パーマリンク

2009年09月27日

NO・1416仏の顔も三度イランの核施設攻撃の可能性高まる?

 国家は尊厳を守るためには、自滅を覚悟しても、立ち上がる場合がある。戦後60年以上も、平和ななかに暮らしてきた日本人には、到底理解しがたいことであろう。
 日本は平和であり続けたために、結果的には経済発展が遂げられ、国民は幸せであった。しかし、他方では平和が全てであるとし、自由が全てである、という考え方が蔓延した。
 そして、結果的に日本人は、尊厳とか社会性といったものを失い、いまでは無国籍のような、人種とも呼べない怪物になってしまった。その重大な日本人の人種的後退を、重く受け止めている日本人は、どの程度いるのだろうか。
 アメリカの経済破綻が語られ、アメリカの対外姿勢に、非難が寄せられているが、アメリカは他方で、どんな犠牲を払ってでも、尊厳を守ろうとしている国であることを、忘れてはなるまい。
 イランはアメリカとの緊張当初から、アメリカが軍事攻撃をかけてくることは無い、と踏んでいたようだ。少なくとも、イランの政府高官たちは、皆そう語っていた。そして彼らの主張していたとおり、今日までイランはアメリカの軍事攻撃を、受けることなく過ごして来ている。
 しかし、今回はどうであろうか。イランは密かに、もう一箇所核燃料の濃縮施設を建設していた、ということが明らかになった。今度はオバマ大統領も激怒しているようだ。
 言ってみれば、オバマ大統領は核削減を、世界に呼びかけているわけだから、顔に泥を塗られたということになる。まるで小ばかにしたようにアハマド・ネジャド大統領は「平和利用だ」と応えている。なにやら「やれるものならやってみろ」と言わんばかりという感じがする。
 さすがに、これまでイランの擁護に回っていたロシアや中国も、アメリカの激怒に反応したようで、ロシアはアメリカを支持し、中国は沈黙している。
 イランは本気でアメリカの意向を、完全無視の立場を、貫こうとしているのであろうか。そして、それでもアメリカは攻撃してこない、と踏んでいるのであろうか。
イランのアハマド・ネジャド大統領の強硬姿勢は、アメリカとの関係修復の限度を、通り過ぎたような気がするのだが。もし本当に危険が迫ったとき、イランは豹変して、状況を変えられると、いまでも思っているのだろうか。それはアメリカを甘く見すぎている、ということではないか。
今度のアメリカのイランに対する激怒は、必ずしもイランと国際社会に対する、アメリカの強がりだけ、とは受け止めるべきではなかろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:24 | パーマリンク

2009年09月25日

NO・1415アルカーイダがイラク刑務所から集団脱走

 イラクのサラフッデーン県にある、テクリート市の刑務所から、アルカーイダのメンバーが、集団脱走に成功した。16人の脱走者のうちの一人には、死刑判決が下っていた。
 このうちの一人は、脱走後逮捕されたが、それ以外の脱走者は、未だに捕まっていない。このため、アブドルカリーム・ハラフ中将はサラフッデーン県全域と、国境地帯にチェック・ポイントを設け、脱走者の再逮捕の構えを敷いた。
 問題はこの大がかりな脱走が、なぜ成功したのかということだ。死刑囚もいたことから、この刑務所は厳重な警備が、敷かれていたはずなのに、なぜ逃亡出来たのか。脱走者たちは風呂場の窓を外して、そこからビル外に出、次いで、梯子を使って刑務所の塀を、乗り越えて逃げたということだ。
 どう考えても、これは刑務所内に協力者がおり、彼らの手引きで逃亡が、可能となったものだと思われる。そう考えているのは私だけではない、テクリート地区の治安責任者も、同じ意見のようだ。
 テクリート地区と言えば、追い浮かぶのは、サッダーム・フセイン元大統領の出身地であり、スンニー派の地域だ。アルカーイダのメンバーは、スンニー派出身者であること、サッダーム・フセイン元大統領の支持者が、この地区には少なくないことなどを考えると、刑務所内部関係者による手引きは、十分にありうることだ。
 問題はこの後、アルカーイダ・グループがどのような破壊活動を、イラク国内で展開していくかということだ。今後、アルカーイダがターゲットとするのは、イラク駐留のアメリカ軍が一つであり、シーア派イラク国民、クルド・イラク国民ということになろう。 
来年の段階では、イラクの選挙が予定されており、国内の各派はテロを始めとする、あらゆる手段を使って、自派の優位を確保しようと考え、工作するであろう。
 今回の集団脱走のニュースを読んで強く感じたことは、アルカーイダとイラクのスンニー派、あるいはサッダーム・フセイン元大統領の支持者たちとの連携が、始まったのかということだ。もしそうであるとすれば、現在、シリアとイラクとの間に燃え上っている、相互不信の感情は、ますます拡大していくものと思われる。
 現在、シリアとイラクとの間では、シリアがイラク人の反政府派(主にサッダーム・フセイン元大統領支持派)をかくまっており、イラクへの越境テロ攻撃を支援している、とイラク側が主張し、両国間で大きな問題となっている。
もし、脱走したアルカーイダのメンバーが、イラク・シリア国境で逮捕されることになれば、シリアとイラクとの関係は、ますます複雑化していくのではないか。イラクのマリキー首相は、イラクとシリアとの間で、問題になっているテロ支援の件は、全く解決の目途が立っていないと語っている。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:24 | パーマリンク

2009年09月24日

NO・1414エジプトのキファーヤ運動ガマール氏を追及

 エジプトの大衆政治運動として、一時期は大きな盛り上がりを見せていたキファーヤ運動は、その後、代表者カンデール氏が逮捕され、投獄された。その後、彼が釈放される時の条件は、政治活動を再開しないということだった。
 したがって、彼はその後、政治活動面で慎重な動きを見せてきたが、ここにきて、再度活動を活発化させる方向に、動き出したようだ。カンデール氏が率いるキファーヤ運動(党)は、ムバーラク大統領の後継者と目されている、ガマール氏を、その新たな闘争の、ターゲットと定めたようだ。
 キファーヤ党の主張によれば、ガマール氏が蓄財している額は、七億五千万ドルにも上り、その出所が怪しいということのようだ。キファーヤ党はガマール氏がこの財産を、どうして手に入れたのか、追及すべきだと主張している。
 キファーヤ党の手元には、ガマール氏の不正蓄財に関する、各種の情報と証拠書類が、揃っているとも主張している。
 そもそも、キファーヤ党はガマール氏が、大統領候補に就任すること自体、法的に問題があるともしている。
 今回のキファーヤ党の、ガマール氏攻撃宣言ともいえる表明は、ドイツの通信社とカンデール氏との、インタビューの形で表面化したものだ。
 ムバーラク大統領の高齢化が話題に上り、それと相前後して、後継者が話題になり、ムバーラク大統領の二男ガマール氏の名前が、最有力候補者として登場してきていた。
 この時期に、キファーヤ党があえて危険を冒して、ガマール氏の大統領後継就任阻止に、挑戦するということは、いくつかの理由があろう。
 ムバーラク大統領の健康状態が、相当悪化してきており、権力内部でガマール氏後継の準備が、相当進められていることによるのではないか。そして、ガマール氏の大統領後継就任については、政府高官屋インテリ層も含む、多くのエジプト国民が、反対しているからではないか。
 今回の動きは、ガマール氏の後継者への道を、法的に阻止しようということであり、金に絡んだスキャンダルも、露見する可能性のあるガマール氏にとっては、きわめて危険な動きだ。
 そのことは、追及する側のキファーヤ党にとっても、相当な危険が伴うということであろう。エジプト国民はキファーヤ党を、どこまで支持するのか。警察はどう動くのか、裁判所はどのような行動を起こし、判断を下すのか。
 エジプトはいま、非常に緊張した状況を、迎えつつあるのかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:12 | パーマリンク

2009年09月23日

NO・1413嘘か誠か・イスラエルとアラブの接近情報

 イスラエルのエルアル(ELAL)航空が、欧州便やアジア便を飛ばす場合、サウジアラビア、シリア、レバノン、イラク、レバノン、アフガニスタンなどが、自国の領空の通過を認めないために、遠回りをせざるを得ない状況にある。 
 こればかりではなく、北アフリカ諸国の領空通過も、認められていないことから、エルアル機は燃料を相当に余計に、消費しているということだ。経済観念の強いイスラエル人にとっては、これは大きな問題のひとつであろう。
 そうしたなか、アメリカで行われる中東三者会議(アメリカのオバマ大統領、イスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバース議長)では、ヨルダン川西岸地区への、イスラエルによる入植が、主要なテーマとなる。アメリカのオバマ大統領にしてみれば、問題を少しでも前進させたい、ということであろう。
 そこで出てきた情報が、イスラエルのヨルダン川西岸地区への、入植を停止することと、アラブ諸国の領空通過を、交換で認めるという話だ。この情報はワシントン・タイムズ紙が報じたものだが、何処まで信憑性がある話かは、なんとも言えない。
 サウジアラビアは、中東問題が完全に解決するまでは、エルアル機の領空通過を認めない、と明言しているが、当然といえば当然であろう。アラブ諸国の多くは、いまだに橋や公共建物の写真撮影を、厳しく禁止しているのだ。
 エルアル機が自国の領空を通過するということは、航空写真を撮られてもいい、ということに他ならない。それは、戦略的には非情に大きな、マイナスであろう。もちろん、偵察衛星から撮れば、全く問題は無いから、航空機から撮らせても、大勢に影響は無いと言えばそれまでの話だが、アラブ諸国側には、感情的な部分もあろう。
 このヨルダン川西岸地区への、イスラエルの入植停止と交換に、領空通過を認めるという話は、どうも実際にそれが、アラブ諸国から提案されたというよりは、そのようなこともありうる、というアメリカの上げた、観測気球ではないかと思えてならない。
 あるいは、パレスチナ自治政府がイスラエルに対し、ヨルダン川西岸地区への入植活動を停止するならば、エルアル機のアラブ領空通過を、アラブ諸国と掛け合ってもいいと、言ってみたという程度の話ではないのか。
 もし、この情報が事実であるとすれば、アラブ側の革命的なイスラエル対応の、大変革ということになろう。そうした大変革をする必要が、いまのアラブ諸国には無いのではないかと思えるのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:08 | パーマリンク

2009年09月22日

NO・1412ラマダンは終わったが悲惨は続く

 イエメンで北部のアルホウシ部族と、イエメン政府軍との衝突(内紛)が始まって久しい。毎日届くニュースは、アルホウシ部族側の死傷者の数だ。
 ラマダンが終わった日を、イスラム世界ではイード・ル・フィトル祭と定め、子供たちは新調した服で着飾り、親族近隣が訪問しあって、楽しむのが普通だ。このときにお菓子やお小遣いをもらえることも、子供たちにとっては楽しみだ。 
 しかし、イエメンの場合はイエメン政府側が、ラマダン停戦を呼びかけたが、実際には戦闘は止むことは無かったし、イード・ル・フィトルを迎えても、戦闘は続いている。何十人あるいは百何十人の、犠牲が出たというニュースが流れてくると、そこはまるでイスラム教世界とは、関係のない場所のような気さえする。
 同じように、イランとイスラエルとの緊張関係は、あいも変わらず続いている。イスラエルのペレス大統領は、ロシアのメドベージェフ大統領に、イランと戦争をするつもりは無い、と語ったと伝えられているが、他方では、戦争はイスラエルの選択肢から消えていない、という強硬な意見が、イスラエル政府高官の、何人かの口から出てきている。
 アメリカはどうかといえば、ブレジンスキー氏が、「イスラエル機がもしイラク上空を通過して、イランを攻撃するようなら、アメリカ軍はその爆撃機を撃墜すべきだ。」という強硬な発言しているが、それが彼の本心なのかどうかは、分からない。
 ところで、この二つの危険な状況は、いずれもイスラム教のシーア派が、かかわっているということは、何を意味するのだろうか。イエメンのアルホウシ部族は、何度も書いたようにシーア派のザイデイ派であり、イランはシーア派のなかの12イマーム派の国だ。
 その他のイスラム教スンニー派の国は、比較的穏やかなイード・ル・フィトル祭りを、迎えているようだ。もちろん、イラクの状況は、必ずしもそうではない。この国も、内紛の原因のひとつには、イスラム教シーア派の存在が、絡んでいる。
 いま世界は、イスラム教シーア派を、問題を生み出す原因のひとつに、定めているのかもしれない。近い将来、イスラム教シーア派の住民を抱えている国は、多かれ少なかれ国内的トラブルに、遭遇するのではないか。
 たとえば、サウジアラビア、バハレーン、クウエイトなどがそうだ。これら以外にも、湾岸諸国にはイスラム教シーア派国民と、住民を抱えている。イスラム教シーア派の人たちが、イスラム教世界のなかで虐げられてきたために、いまだに、現状に対する怒りを、爆発させるエネルギーを、蓄えていることが、その原因であろうか。そして、そのエネルギーを利用とする国々が、存在するからであろうか。
 世界の経済、特にアメリカの経済は今後、年末にかけて危険水域に入る、と主張する人たちが少なくない。そうであるとすれば、湾岸諸国は今後、不安定さを増していくのではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 10:33 | パーマリンク

2009年09月20日

NO・1411A・ネジャド大統領は何故イスラエルにこだわるのか

 イランのアハマド・ネジャド大統領が、また激しいイスラエル非難をした。イランのプレス・テレビの報道では、世界が反イスラエルで立ち上がるべきだ、という相当過激なものになっている。
 今回のアハマド・ネジャド大統領の非難は、イスラエルが中東地域全体を危険にさらしており、イスラエルは永遠に、中東地域の安全を脅かす存在だ、と語っている。中東地域のいずれの国も、イスラエルを承認することは無い、とも語っている。
 そして、イスラエルは嘘と詐欺の国家であり、植民地主義の目的に沿って、建設されたものだ、と語っている。加えて、シオニストは地球規模の帝国を、建設するつもりだとも語った。
 今回の発言の極めつけは、ホロコーストが真実ならば、何故その真実を突き止めることを、イスラエルは許さないのかと語ったことだ。
 このアハマド・ネジャド大統領の、イスラエル非難は尋常ではない、というのが世界的な評価だが、何故、彼はここまでもイスラエルを非難するのであろうか。しかるべき理由が無い限り、常識的には、ここまでは非難しないはずなのだが。
 このイスラエルに対する、激しい非難のスピーチは、エルサレム・デー(コドス・デー)でのものだが、このエルサレム・デーは、国際社会とイラン国民、そして世界のイスラム教徒が、パレスチナを支援する目的で、行われているものだ。
 このエルサレム・デーは、そもそも、イラン革命の父とでも言うべき、ホメイニ師によって提唱されたものだ。ホメイニ師の熱烈な信奉者であるアハマド・ネジャド大統領は、イスラエルの存在がパレスチナを、追い詰めているという認識であり、イスラエルの存在そのものを否定しないことには、パレスチナ問題は永遠に解決されない、ということであろう。
 他方で、アハマド・ネジャド大統領はアメリカの、イランへの介入を激しく非難してもいる。1953年に起こったイランのモサデク政権潰しは、アメリカによるものだった、という認識に立っている。
 そのアメリカがイスラエルを支援しているということは、イスラエルはアメリカの植民地政策の、道具だという認識であろう。そして、アハマド・ネジャド大統領の論理では、イスラエル建国は植民地主義者の陰謀であり、イスラエルは植民地主義の目的に沿ったものだし、イスラエルが建国に到る正当化のひとつであるホロコーストは、嘘だということであろう。
 しかし、このことを声高に叫べば叫ぶほど、彼に対する支持はもとより、イランに対する世界の支持は、得難くなるのではないか。核開発問題で、イランの味方についているロシアも、今回のアハマド・ネジャド大統領の発言は、受け入難く反対している。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:45 | パーマリンク

NO・1410ナスルッラー師がイエメン内紛停戦呼びかけ

  レバノンのヘズブラのリーダーである、ハサン・ナスルッラー師がイエメン内紛の、停戦を呼びかけた。これに対し、イエメン政府は歓迎の意を表したが、それは表面的なものだ。
 述べるまでも無く、レバノンのヘズブラは、イスラム教シーア派の組織であり、イエメン政府軍がいま戦っているアルホウシ部族は、シーア派の一派である、ザイデイ派だからだ。
 つまり、レバノンのヘズブラが、イエメン内紛の停戦を呼びかけたのは、あくまでも、イエメンのシーア派を守りたい、という意向からであり、公平な問題の解決を、望んでではないのだ。
 これまで、イエメン政府はイエメンのシーア派勢力に対し、イランが物心両面の支援を送っている、と非難してきている。イランがイエメンのシーア派を支援するのは、当然といえば当然であろう。イランはイスラム教シーア派の、総元締めだからだ。
 イエメンのイラン非難に対し、イラン政府はイエメンがサウジアラビアから、物心両面の支援を受けて戦っている、と非難している。そして、サウジアラビアがイラクでも、イエメンでも、シーア派に対する攻撃を支援している、と非難しているのだ。つまり、中東における不安定な状態は、サウジアラビアがテロリストを、支援しているから生じているのだ、と非難しているのだ。
イランは最近、サウジアラビアがテロリストを支援していることを、アメリカも知っていると非難している。つまり、サウジアラビアのシーア派に対する攻撃支援はアメリカもその裏にいる、と言いたいのであろう。
この場合、問題はイランではなく、レバノンのヘズブラが、イエメンの内紛に口を挟み始めたということ。ヘズブラの義勇兵が、イエメンに入り込むことは、イランの義勇兵が入り込むよりも、容易であろう。その可能性が、出てきたということだ。
イエメンは黄海の出口、バーブ・ル・マンデブ海峡を、支配する要衝であり、ここをイランが支配下に置くようになれば、中東情勢は極めて複雑かつ、不安定になろう。述べるまでも無く、ペルシャ湾の出口であるホルムズ海峡は、イランの支配下にある、と言っても過言ではない。つまり、アラビア半島を囲む二つの海峡が、イランの手に落ちる可能性が、出てきたということだ。
イエメンのアルホウシ部族が、イエメン軍に勝利するとは思えないが、もし、アルホウシ部族の抵抗が長期化すれば、イエメン政府は弱体化する危険が生じ、その折には、かつてのようにイエメンが、南北に分裂することもあろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:52 | パーマリンク

2009年09月18日

NO・1409カダフィ大佐の後継者?も本出版

 最近、リビアのカダフィ大佐の次男坊が、本を出版したようだ。もっと正確に表現すれば、ロンドン大学の博士論文ということだが、やがて本として出版されよう。博士論文のテーマは「国際管理における民主主義」、ということのようだ。
 カダフィ大佐は1969年9月1日に、リビアの革命に成功し、後に「第三理論」なる本を出版している。この本のタイトルは、次第に拡大され「世界第三理論」という名前も付いたが、中身は最初のものと同じだ。
 リビアではここ数年、誰がカダフフィ大佐の後継者になるのか、ということが、注目を集めてきている。今年69歳になるカダフィ大佐も、だんだん「暴れん坊カダフィ」の年齢では、なくなってきたということであろうか。
 そこで持ち上がってきているのは、彼の二男サイフ・ル・イスラーム氏の名前だ。彼はオーストリアに長期滞在していたことや、欧州で学んだことなどから、開明派と目されている。2メートルもあろうかと思われる、坊主頭の大男だが、物腰はいたって柔らかい。
 サイフ・ル・イスラーム氏はリビアのイメージを、よくしようとこれまで、いろいろなイベントを、世界中で開催してきている。日本でも彼の絵画展が、開かれたことがある。
 もう一人は、ハンサム・ボーイのムウタシム氏だ。しかし、彼については、特にほめた噂は聞かない。ところが、カダフィ大佐にムウタシム氏の方が、顔かたちが似ているということであろうか。最近、ムウタシム氏の方が本命だ、と主張するリビア通が、増えてきているようだ。
 サイフ・ル・イスラーム氏はもともと、後継者になることを望んでいない、と言われてきていた。しかし、彼はリビアの国内社会・政治と、国際的イメージを改善すべく、これまで努力をしてきていた。
一度は、父親カダフィ大佐と意見が対立し、「それならすべての活動をやめる」と開き直り、カダフィ大佐がサイフ・ル・イスラーム氏の意見に、折れたという話もある。
 サイフ・ル・イスラーム氏はいまも、後継者になるということを、否定しているが、彼が後継者になる可能性が、いまでもダントツなのではないか、と思われる。サイフ・ル・イスラーム氏は、以前にも本を書いているが、今回の「民主化に関する本は、彼が後継者になって行く、明確なステップなのではないか。つまり、サイフ・ル・イスラーム氏の統治の時代の、予告本ではないのかということだ。 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:32 | パーマリンク

NO・1408メッカは年中花見と同じ場所取りビジネスが盛ん

 BBCのネットに、面白いニュースが掲載されていたのでご紹介する。世界のイスラム教徒人口は、13億とも15億人とも言われている。このイスラム教徒たちは、一生に一度、メッカ巡礼をすることを、義務付けられている。ただし、それは巡礼が可能な者のみが行う、という緩い義務だ。
 このハッジは、日本語では大巡礼と言われ、ハッジ月に所定のコースを回って、初めて正式なハッジとして、成立するというものだ。しかし、メッカ巡礼にはもう一つの巡礼があり、アラビア語ではオムラ、日本語では小巡礼と呼ばれている。
 このオムラは、特別に巡礼月が定められておらず、いつでも気が向いた時に、行けばいいのだ。イスラム教徒で中東地域に住む人たちは、お金に余裕があると、気楽にこのオムラに向かう。
 荘厳なメッカでのお祈りは、自身の汚れた心を、正常にしてくれるのであろうか。なかには、1年に2度3度と、オムラに向かう人たちもいるのだ。彼らはオムラで、メッカのカアバ神殿を囲んで礼拝する際に、できるだけいい場所で、礼拝したいと望むようだ。
 たとえば、アブラハムが立った場所というのが、カアバ神殿のすぐそばにあるが、その近くで礼拝をすれば、ご利益が何倍にもなる、とでも考えているのであろうか。そうなると、カアバ神殿を囲むご利益ポイントは、陣取りをする者が出てくる。
 礼拝時刻の前に、メッカのカアバ神殿に行き、そこでご利益ポイントに、自分の場所をとっておき、外部から来た巡礼者に、その場所を売りつけるのだ。驚くのは、その場所の値段が300ドルから400ドル、あるいはそれ以上するというのだ。
 さすがに、この事態を知ったサウジアラビア政府は、陣取り商売を、禁止することにしたようだ。しかし、実際にはどうにでもなることで、当分の間は陣取り商売はなくなっても、その後にまた出てくることになろう。
 この陣取り商売は、結構悪くない商売ではないか。メッカに少し早めに行って、そこに寝転がっているだけで、300ドルから400ドルの金が、稼げるのだから。どこにも金儲けに、目ざとい人間はいるものだ。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:31 | パーマリンク

2009年09月17日

NO・1407怒りか二匹目のドジョウかーイラク人の死

 ブッシュ大統領がイラクのバグダッドを訪問し、現地で記者会見をしていた折に、ブシュ大統領に向かって靴を投げた、イラク人ジャーナリストがいた。
 もちろん、彼はその場で逮捕され、裁判の結果投獄が決まった。その後、彼の刑務所内での態度がいいとして、つい最近早期の出獄が可能となった。
 彼が投獄されたことに、怒りを感じるイラク人が多かったことと、アラブ人全体が彼を称賛した結果であろう。
この靴投げ男こと、ムンタズル・アルザイデイ氏が、刑務所から出る日が近づくと、イラク国内外の彼を慕う人たちが、高価なプレゼントを申し出始めた。実際に、彼には多くの賞賛と好意が、寄せられたのであろう。
このことを見てか、あるいはあくまでも単純な怒りからか、イラクの首都バグダッドの一角にある、ファッルージャに住むアハマド・ラテイーフ氏(32歳)が、アメリカ軍のコンボイに向かって靴を投げた。
彼がムンタズル・アルザイデイ氏のように、何か気の利いたセリフを口にしてから、自分の靴を投げたのかどうかについては知らない。いずれにせよ、アメリカ兵が飛んでくる彼の靴を、手りゅう弾か小型の爆弾と勘違いし、彼は銃で撃たれ重傷を負って、病院に担ぎ込まれた。
もちろんといっては気の毒だが、このアハマド・ラテイーフ氏はその後、病院で死亡した。
アハマド・ラテイーフ氏が、アメリカ軍のコンボイに向かって、靴を投げた動機は、ムンタズル・アルザイデイ氏の釈放に、刺激を受けた単なる座興、のつもりだったのか、あるいは、心の底からアメリカ軍に、怒りを感じてのものだったのか。
もしかして、アメリカ軍に靴を投げ逮捕されて、投獄され、釈放されるときには、沢山のプレゼントをもらえる、と期待してのものであったとすれば、実に気の毒で、かつ愚かな出来事だというとになろう。他人のまねをするからすか、はたまた二匹目のドジョウか、案外よくある話なのかもしれないが。


投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:49 | パーマリンク

2009年09月16日

NO・1406トルコの外交ラッシュ

 最近のトルコの外交は、中東地域と、中央アジア地域、西アジア地域と、広い範囲にまたがって、注目の的になっているようだ。
 たとえば、9月16日のネットで紹介されているトルコの外交活動は、イスタンブールでシリアのムアッレム外相と、イラクのズイバリ外相が会議をするというニュースだ。もちろん、トルコが両国を仲介して、成り立つものだ。
シリア・イラクは、シリアからのテロリストのイラクへの侵入をめぐり、いま緊張状態にある。先日、イラクで起こった大規模テロは、シリアから侵入したテロリストによるものだということで、イラク側はシリアの国境に、軍隊を派遣している。
イラクはシリアが、旧バアス党員幹部をかくまっており、彼らがいまだに、イラクに対する破壊工作を行っていると、激しく非難している。しかし、述べるまでもなく、イラクもシリアも軍事衝突に至るような状況は、避けたいだろう。そこで、トルコの外交力に期待が、寄せられているのだ。
加えて、EUがイランとヨーロッパ諸国との関係改善、核対話の実現に、トルコの仲介を期待している。ソラナ代表がそのことを語り、イラン側も前向きの動きをしておる。トルコの仲介による、EUとイランとの核をめぐる会議が、近日中に、イスタンブールで開催されることになっている。
トルコはまた、シリアとの二国間関係でも、進展を図っている。シリアのアサド大統領がイスタンブールを訪問し、シリアとトルコとの戦略的パートナー・シップの合意を、目指すことになっている。
以前にお伝えしたように、トルコは100年以上にわたって、険悪な関係にあったアルメニアとも、国境を開放する方向で、交渉が進展している。この交渉をめぐり、アゼルバイジャンは自国が、埒外に置かれることを懸念していたが、トルコはアゼルバイジャンを十分計算に入れて、アルメニアとの交渉を進めていたために、どうやらトルコ・アゼルバイジャン関係は、良好な状態を維持していくようだ。
これ以外にも、トルコとイランとの通商の拡大など、トルコが中心となって動きている外交問題は、数え切れないほどある。まさに、旧オスマン帝国の歴史的遺産を、フルに活用した外交といえるのではないか。
その中心になっているのが、イスラム文化研究者でもある、大学元教授のアハメト・ダブトール外相だ。彼のにこやかで柔らかい物腰は、誰をも魅了してしまうのであろうか。
外交は力によるもの、援助によるものなどがあるが、同時に人の魅力もあろう。そのような魅力的な人材が、日本にはいるのだろうか。人を育てることは、外交を育てるということでもある、ということを忘れてはなるまい。


投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:04 | パーマリンク

2009年09月15日

NO・1405現代版・死せる孔明生ける仲達を走らす

 中国の三国時代、蜀の諸葛孔明が魏の司馬仲達と戦うなか、陣中で死亡したが、司馬仲達は諸葛孔明が生きているものとばかり思い、諸葛孔明軍が撤退するのを見て、諸葛孔明に策略ありと勘違いし、ついには退却したという話があるそうだ。
 最近になって、またウサーマ・ビン・ラーデンの肉声のテープ、なるものがインターネットの世界で話題になっているが、これも諸葛孔明の故事に、似たものではないかと思われる。
 ウサーマ・ビン・ラーデンの死亡説は、すでにだいぶ前から出ているし、ブット女史が暗殺されたのは、彼女がそれを明かしたからだという話もある。
 真偽のほどを確認する方法はないが、彼が重病を病んでいたことなどから考え、アフガニスタンの山の中に、本当に籠っていたのだとすれば、とても生きているとは思えない。
 数年前に、PHP新書から「ジハードとテロリズム」という本を出した際に、ウサーマ・ビン・ラーデンの死亡をほのめかしたところ、早速それを否定してくださった方がいた。
 情報に携わっている者の間では、誰もいまではウサーマ・ビン・ラーデンが生きているとは、思っていないのではないか。しかし、彼が生きているということは、各方面の人たちにとって、死亡しているよりも好都合なのだ。
 たとえば、パキスタンの軍情報部にしてみれば、ウサーマ・ビン・ラーデンが生きている。そして、彼が外部に出られないように包囲している、ということは、外国からの援助を受ける口実になるのだ。したがって、パキスタンの情報部からは、ウサーマ・ビン・ラーデンの死亡情報は、出て来にくいだろう。
 同様に、世界のテロと戦うと宣言している国にとっても、イスラム・テロのスーパー・スターである、ウサーマ・ビン・ラーデンが存命だということは、極めて好都合なことではないのか。
 問題は、なぜ時折、ウサーマ・ビン・ラーデン存命説や、彼の肉声といわれるテープが出てくるのかということだ。それは、アルカーイダ側(?)にとっても、彼と敵対する側にとっても、必要だからに違いない。
 ではいま、なぜウサーマ・ビン・ラーデンの肉声テープが、出てくる必要があるのかを考えてみよう。それは、秋の夜長の謎ときには、格好の材料ではないのか。
 イラク、アフガニスタン、パキスタン、イラン、経済危機と、謎解きの材料は豊富だ。それを積み木のように、積み上げては崩してみたらいいだろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:14 | パーマリンク

NO・1404アメリカがトルコに最新鋭地対空ミサイル供与

 アメリカが最新鋭のPAC−3地対空ミサイル72基を含む、280基のパトリオット・ミサイルを、トルコに輸出することを決めた。
 このPAC−3型ミサイルは、2001年に姿を見せ、オランダ、ドイツ、日本などに輸出されている。
 トルコへの今回の輸出額は78億ドルであり、アメリカがどれだけトルコに、期待をよせているかが伺える。つまり、トルコはいまやアメリカの中東における、イスラエルと並ぶ同盟国に、なったということであろう。
 同時に、このアメリカとトルコとの間で交わされた兵器の取引に、イスラエルがクレームを付けていないということは、これまで言われてきた、トルコとイスラエル関係の悪化が、表面的なものでしかなかったことを、説明しているのではないか。
イスラエルは通常であれば、周辺諸国の兵器購入に、極めて敏感な国だ。したがって、トルコが兵器を輸入する場合でも、それが最新鋭の兵器となれば、しかるべき反応があるはずだ。
 以前、エジプトのシナイ半島にある、シャルム・エルシェイクで開催されたダボス会議の席で、トルコのエルドアン首相が、イスラエルのペレス大統領に怒りをあらわにしたことが、両国の関係を著しく悪化させたといわれていたが、実際のところはそうではないようだ。
 イランのバヒデイ国防大臣は、アメリカの最終ゴールは、イランとイラクとの間で、戦争を起こすことだ、と語っているが、それは必ずしも、正確ではないのではないか。
 アメリカはイランを取り囲む、周辺諸国の軍事力を強化することによって、イランを追い詰めようとは考えていよう。そうは言っても、イランの軍事力に対抗できるだけの、軍事力を持てる国は、この地域にはそう多くはない。
 トルコは軍隊の規模、国民の総人口などの面から、イランにとって最強の仮想敵国、ということではないのか。アメリカはその点からも、トルコに対する評価を高め、関係を強化していくものと思われる。
つまり、トルコはアメリカのイラク対応でも、イラン対応でも、アフガニスタン対応でも、重要なパートナーになっているということだ。しかし、日本のトルコに対する評価は、いまだに低すぎるのではないか。 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:25 | パーマリンク

2009年09月14日

NO・1403イエメン・幼な妻の死

 イエメンで悲しい出来事が起こった。それは12歳の幼な妻が出産に際し死亡し、赤ちゃんも死亡するという出来事だった。
 幼な妻の名はファウジーヤ・アブドッラー・ユーセフ、イエメンの西部で生まれた娘だった。
 彼女の父親が腎臓病を患っていたために、ファウジーヤは11歳で結婚させられまもなく妊娠し、今回の不幸な出来事が起こったということだ。
 出産時、病院の医師はなんとか、彼女の命を救おうと努力するのだが、複雑な出産であったために、救うことができなかったということだ。
 このファウジーヤのケースは珍しくなく、イエメンでは多くの少女たちが、幼くして結婚させられているということだ。
 結婚を急ぐ理由には、幾つかのことが考えられるが、一つは花嫁の純潔であろう。そして花嫁の家族の、経済的事情が挙げられよう。
 イスラム教徒の花婿の家族は、結婚するにあたって、花嫁の家族に対し、一定のマハル(結納金のようなもの)を支払うことになっている。その金が目当てで、幼くして結婚させられる少女たちが、後を絶たないということであろう。
 問題は、もし政府が少女の結婚を、禁止する法律を定めたとしても、それが守られるという保証はない。結婚の約束が成立して、少女が大人になるまで、相手の男性の元で、暮らすということもあるからだ。
 今回は、幼な妻が死亡し、赤ちゃんも死亡したということで、これだけのニュースになったのであろうが、今までにも、多くの似通ったケースが、あったものと思われる。
 悲しいニュースではあるが、このことが報じられたということは、問題が一歩前進しつつある、ということかもしれない。
 イスラム世界の名誉の殺人や、幼な妻の問題は、今後も当分の間は、悲劇を生み続けていくものと思われる。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:06 | パーマリンク

2009年09月13日

NO・1402 アラーウイ初代イラク首相の現体制批判

 2003年のイラン戦争で、サダム体制が打倒され、最初にイラクの首相に就任したのは、イヤード・アラーウイ氏だった。彼は強引なまでの統治手法は、一定の成果を収めたが、あまりにも強硬すぎるということで、アメリカ政府に嫌われ失脚している。
 しかし、その後に首相に就任したジャアファリ氏にしろ、現在の首相マリキー氏にしろ、国内政治勢力に対する、過度な配慮と弱腰から、イラクの治安は改善されていない.
 アメリカ軍のイラク撤退が、既に秒読み段階に入っているにも拘らず、イラク政府とマリキー首相は、明確な治安対策を打ち出していない。このままの状態で、本当にアメリカ軍がイラクから撤退すれば、イラクは内乱状態に陥ることが、確実であろう。
 イヤード・アラーウイ氏は、いまこそ権力の座へのカムバックのチャンスと、考え始めているのかもしれない。今年の8月の段階から、彼がマスコミに登場する機会が、増えて来ている様な気がする。シャルクルアウサト紙や、アルハヤート紙が、イヤード・アラーウイ氏とのインタヴューや、活動に関する記事を、掲載し始めているのだ。
 そのなかで目立つのは、イヤード・アラーウイ氏が、アメリカ軍撤退後のイラクが、混乱に陥ることを、指摘しているということであり、イラク政府は明確な準備計画を、立てなければならない、と考えているということだ。
 イヤード・アラーウイ氏は、アメリカ軍撤退後のイラク国内の治安維持に対し、イラク政府の準備が不十分だと語っている。同氏は、イラク政府が明確で、正直で、現実に即した計画を、立てるべきだと語っている。
 そのためには、イラク政府は周辺諸国に対して、敵対的な立場をとるべきではなく、特にアラブ諸国とは、良好な関係を構築すべきだとしている。マリキー首相の国内的問題に対する対応への、国民の追求を逃れるための、イランやシリアに対する批判は、現状の不安定を解決することには、なら無いということであろう。それは確かにその通りであろう。
 ここで気になるのは、イヤード・アラーウイ氏が何者かということだ。彼は以前から、CIAのエージェントだと言われてきていた。彼の手法は強引だが、しかるべき成果を上げていた。しかし、それがあまりにも強引なために、アメリカはイラク国民の反発を恐れて、彼を首相の座から外したといわれていた。
 今回、イヤード・アラーウイ氏の政治活動を、特に紹介しているのは、いずれもサウジアラビア系の新聞だ。そのことは、サウジアラビア政府の意向、そしてアメリカの意向が、働いているからではないのか。そう考えると、イヤード・アラーウイ氏が首相に返り咲く可能性は、低くないのではないか。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:47 | パーマリンク

2009年09月11日

NO・1401ネタニヤフ首相は1998年ゴラン全面返還意思あった

 イスラエルのイデイオト・アハロノト紙は、ネタニヤフ首相が1998年に首相だった頃、シリアに対し、ゴラン高原を全面返還する意思があっことを、報じている。
 この報道は、ただちにアッサフィール紙(アラブ左派紙)、プレス・テレビ(イラン)でも報じられた。この内容は、イスラエル・シリアが相互に国家の存在を承認し、国境を認め合うことを条件に、国連決議に従って、ゴラン高原を全面返還するというものだ。
 しかし、次にネタニヤフ氏が首相になった時点でも、今回の首相任期にも、彼はゴラン高原は絶対に返還しない、と言い切っている。
 いったい、この変化はなぜ起こったのか、そして、今回この情報がイスラエルの新聞を通じて、流されたのは何のためなのか、検討に値しそうだ。
 イスラエルにとっては、いま最大の課題は、イランの核兵器であろう。アメリカは最近になって、急きょ立場を変え、イランが核兵器製造能力を、持っていることと、製造の危険性を、警告し始めている。
 これは、述べるまでもなく、9月の期限が過ぎた後の、イランに対する国際社会の、制裁決議に向けた動きであろう。
 イラン側は、イスラエルの攻撃警告、アメリカの国際的なイラン封じ込めに対し、軍事力を行使してでも、抵抗するという強気の立場を、示して来ようし、すでにその兆候は表れている。
 そうなると、イスラエルにとって危険なのは、イランが動く前に、あるいはイランと呼応して、イスラエルに対し、シリアが軍事行動を、起こすことであろう。そこで、イスラエルはシリアに対し、ゴラン高原返還による、全面的な平和の構築も、頭の中にあるということを、示す必要があったのではないか。
 もちろん、このことについて、イスラエル政府は公式には、何も報じていない。あくまでもマスコミを使っての、間接的なシリアに対する、懐柔策でしかないのだが、シリア側もイスラエルとの戦争を、望んでいないことから、この情報が流されたことは、双方にとって当分の間の、平和な関係を維持する上で、役立つのかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:22 | パーマリンク

2009年09月10日

NO・1400急に騒ぎ始めたイランの核兵器製造の脅威

最近のネッ情報を見ていると、イランが非常に近い将来に、核兵器を持つという予想が、増え始めている。
イランの核兵器所持に対する不安は、IAEAのエルバラダイ代表の発言にも、アメリカ政府の発表にも現れ、それを、アラブのマスコミやヨーロッパも、追随している形になっている。
 イランがここ数カ月で、核兵器を持つに至るということは、常識的にありえない。あるいは、3−4年後でも、まだイランは核兵器を生産する技術を、持ち得ていないかもしれない。それにもかかわらず、こうした情報が、今の段階で飛び交っているのは、それなりの理由があろう。
 今、イランの核兵器に関する危険信号が、点滅しているのは、9月過ぎに討議される、イランに対する新たな制裁を、どのレベルにするかということが、前提のアドバルーンではないのか。
 イランの選挙で、強硬派のアハマド・ネジャド大統領が再選され、以後、イランの国内状況は不安定化した。そのことが原因で、アハマド・ネジャド大統領はますます、強硬な発言をするようになっている。そのことからくる、不安感はイスラエルの場合、他の国々に比べ、より敏感に感じているだろう。
 アメリカはいま、自国内の問題が最優先であり、とてもイランまでは、手を出しにくいだろう。もちろん、たとえそれが必要だとしても、オバマ大統領は自分の意思で、イランに対する軍事攻撃はかけにくいだろう。
 アメリカの弱みを、イランは百も承知で、アメリカの出方をせせら笑って、見ているのだろう。
 これに対し、アメリカはイランに対する、新たな経済制裁で圧力をかけ、実際にイランが苦しいことを、実感できるような厳しいものにしたいと考え、イランの核兵器がもうすぐ出来上がるから、出来るだけ厳しい制裁を決めるべきだ、と主張しているのであろう。
 イランに対する制裁で、最も効果があり、イラン国民が実感をもって受け止めるのは、ガソリンの同国への流入を、断つことであろう。それは、これまでは比較的容易なことであったはずだ。
 しかし、イランがベネズエラからの、石油製品輸入に合意したことにより、制裁措置が取られたとしても、その効果はだいぶ低下するのではないか。イラ政府は海上での、輸送妨害があると考えたのであろうか。先日、イランの海軍司令官は、敵の海路を断つ準備が、出来ていると語っていた。
 これまでアメリカが、何故イランのガソリン輸入を、規制しなかったのかという疑問が、事情通の間で、何度も浮かんでいた。アメリカは本気で、イランを追い込みたくはないのだろうか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:23 | パーマリンク

2009年09月09日

NO・1399トルコに続きアゼルバイジャンもアルメニアとの関係改善か

 最近のトルコの中東地域や、中央アジア地域に対する外交には、目を見張るものがある。
過去数年には、トルコがイランとEUとの関係の仲介を務め、続いて、シリアとイスラエルとの間接交渉の扉も開いた。それらの動きは、当時意外なこととして受け止められたが、それなりの成果を出している。
続いて、トルコが進めていたのはイラクとの関係だが、これもクルド自治政府イラク中央政府との関係を強化し、現在ではイラク中央政府もクルド自治政府も、トルコの役割に大きな期待を、寄せるようになった。
そして、トルコ外交の極め付きは、アルメニアとの関係改善であろう。1915年ごろに起こった、トルコ軍によるアルメニア人大量虐殺という問題があり、両国の関係は劣悪な状態を、100年近くも続けてきていた。
 しかし、最近になってトルコ・アルメニア関係は改善し、一定の成果を上げつつある。最初の関係修復のきっかけは、アルメニアで開催されたサッカーの試合に、トルコのギュル大統領をアルメニア側が招待する、という形で始まった。
もちろん、それ以前に双方の外交レベルでの、活発な努力があってのことだ。結果的には、あくまでもサッカーという名目ではあったが、ある種の雪解けムードがトルコ・アルメニア関係に生まれ、最近では両国の国境が、近く開かれるという話が出てきている。来年初までには、両国関係は大分しっかりしたものになって行くことが、期待されている。
このトルコとアルメニアの関係改善の動きを見て、気がかりだったのは、アゼルバイジャンの反応だった。アゼルバイジャンからしてみれば、兄弟国であるトルコが、突然敵対国であるアルメニアとの関係を、改善する動きに出たことは、裏切り行為のように、受け止められかねないからだ。
しかし、トルコ・アルメニア関係改善のニュースの後に出てきたのは、アルメニアがアゼルバイジャンに対して、5つの地区を返還するという話だった。つまり、トルコはアルメニアとの関係改善の動きのなかで、十分にアゼルバイジャンを考慮に入れていた、ということであろう。
結果として、アゼルバイジャンもアルメニアとの国境を、開放する方向に向かい始めている。そうなれば、早晩、アゼルバイジャンとアルメニアとの間に横たわる、ナゴルノ・カラバフ問題も解決に向かうだろう。
結果がそうなれば、アゼルバイジャンを玄関口とし、アルメニアを経由し、中央アジアのエネルギー資源が、トルコに届けられることになるのではないか。そうなれば、3国にはお互いに、メリットがあるということであろう。ぜひそうあってほしいものだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:49 | パーマリンク

2009年09月08日

NO・1398何故イランはサウジアラビアを目の敵にするのか

 以前にも、イランとサウジアラビアとの関係が、危険性を帯びてきていることをお伝えしたが、最近になって、ますますその傾向が、強くなってきているようだ。
 この裏には、幾つかの原因があると思われる。第一に、サウジアラビア国内でシーア派教徒が差別されていることや、イラン人がサウジアラビアで、不明になっているという問題だ。 
 これまで、イランはサウジアラビアに対し、シーア派に対する差別の撤廃を、呼びかけてきていたし、不明になったイラン人についても、サウジアラビア政府に対し、調査を強く求めている。
 イランがサウジアラビアを、敵視するに至っている原因のひとつには、イラク問題もある。サウジアラビア人がイラクで、シーア派に敵対する活動に参加しており、多数のイラク人シーア派教徒が、犠牲になったことを、取り上げている。
 サウジアラビアにしてみれば、人口的に自国よりも多い隣国は、常に仮想敵国であろう。その第一候補である、イランは別にしても、サウジアラビアにとって、イラクは重大な脅威、となりうる可能性を秘めた国家だ。
 そのイラクが、シーア派教徒によって統治されるようになれば、イラクはイランとの関係を強め、サウジアラビアに対し、直接間接圧力をかけてくることが、懸念されよう。
したがって、イランが非難しているように、サウジアラビアが自国民を、イラクの反シーア・テロ活動に送り出しても(黙認)、何ら不思議はあるまい。
 加えて、イエメンでの内戦が、原因のもう一つになっているようだ。イランの非難によれば、イエメン政府はサウジアラビア政府と軍の支援を受け、イエメン北部に居住するシーア派(ザイデイ派)の部族である、アルホウシ族に対する、軍事攻撃を行っているということだ。
 この内戦をめぐっては、イエメン政府も、イランがアルホウシ族を支援している、と非難している。つまり、双方の主張が正しいのであれば、イエメン政府はサウジアラビア政府が支援し、アルホウシ族にはイランが支援を送っているということだ。(イランとサウジアラビアとの代理戦争の様相を呈している)
 最近、イランの保守派アヤトラのマカーレム・シラーズィ師は、サウジアラビアがアルカーイダや、世俗派のバアス党員を支援し、テロリストをイラクに送りこみ、イラクのシーア派教徒殺害を、実行していると非難した。
 同時に、マカーレム・シラーズイ師はサウジアラビアが、イスラエルと結託して、イスラム教徒の分裂と、対立を生み出しているとも非難している
 このように状況を追いかけてみると、どうやら、イランとサウジアラビアは、湾岸地域における覇権争いを、始めているということのようだ。そして、その具体的な現象が、イラクやイエメンなどで、表面化してきている、ということなのであろう。


投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:00 | パーマリンク

2009年09月07日

NO・1397カーター元大統領パレスチナはイスラエルとの統一国家希望

 中東和平に人生の最後をかけて、活動し続けている、アメリカのカーター元大統領が、パレスチナの要人たち複数が、イスラエルとの統一国家設立を希望していることを、彼に告げたと語った。
 しかし、これはイスラエル側が受け入れるとは、到底思えない。なぜならば、パレスチナ側がイスラエルとの間で、統一国家の設立を希望する理由は、パレスチナ人の方がやがては、人口的に多数派になる、ということを目論でのものだからだ。
 しかも、パレスチナ側はその後の、世界からの寄付を当てにしてのことであり、国家運営をイスラエルにおんぶに抱っこで、行くつもりなのであろう。イスラエル人はそれを受け入れるほど、愚かではない。
 パレスチナの要人が誰なのかは、明らかにされていないが、パレスチナ側はカーター元大統領が、老いの身に鞭打って、中東和平の実現に努力していることを見て、リップ・サービスのつもりで、語ったものであろう。
 カーター元大統領は民主的で平等な、イスラエル人とパレスチナ人の共生を語り、ネルソン・マンデラやマハトマ・ガンジー、マーチン・ルーサ・キング氏らのように、非暴力による中東問題の解決を、図りたいと語った、と伝えられている。
 たとえ、パレスチナの要人の一部が、真剣にこの提案をしたとしても、先述の通り、イスラエル側は受け入れまいし、パレスチナ内部でも、具体性を帯びた、実際の話になれば、激しい反対が起ころう。このような夢物語は、対立を激化させることはあっても、問題の解決には役立つまい。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:19 | パーマリンク

NO・1396ハタミ現体制をファシストと非難

 だいぶ落ち着きを見せていたような感じだった、イラン国内状況は相も変わらず、不安定さを留めているようだ。
 元大統領だったハタミ師が、現在のアハマド・ネジャド体制を、ファシストであり全体主義だ、と激しく非難したことが報じられた。ハタミ師によれば、現体制は反体制派の人士を侮辱し、公職から追放しているということだ。
 以前にも書いたように、イランでは反体制派の学者たちが、その職から追放される不安を抱いている。それは、新学年度の授業内容に関する打ち合わせが、大学側から声がかかっていないということだ。
 保守派の学者たちの間では、非宗教的科目(芸術や文学そして社会学など)は、必要ないということのようだ。ハメネイ師もこの点については「イランはいまソフト・ウオーに巻き込まれている。」と語り、間接的にではあるが、非宗教科目の担当教授たちが、イラン国家の敵であるかのような、表現を行っている。
 イランでは改革派と言われる、ハタミ師やムサヴィ氏の活動に対する規制が、次第に厳しさを増しているようだ。例年であれば、ラマダン月は宗教的な行事が、目白押ししているはずなのだが、集会に対する規制が厳しくなっている。
 そればかりか、エフタール(一日の断食を終えた後の食事会)開催への規制や妨害、集団での礼拝についても、同様の規制があるようだ。
 ラマダン月が終わった翌日は、イードルフィトルの集団礼拝が、大々的に開催されるのが普通だが、今年は大モスクでの開催ではなく、小規模モスクでの分散型のみが、許可されているようだ。
 それは、ハタミ師やカロウビ氏といった、改革派の学者たちの演説を、阻止するためであろう。各地で予定されていたハタミ師の講演会も、治安部からの圧力で、軒並みにキャンセルになっているようだ。
 そこで残された手段は、大衆による反政府の意思表示、ということになるが、ムサヴィ氏は夜中の「アッラーフ・アクバル運動」を、継続するようイラン国民に、訴えている。
 これは夜中に屋上に上って、アッラーフ・アクバル(アッラーは偉大なり)と叫ぶ運動であり、政府に対する反対意思の表明になっている。このアッラーフ・アクバル運動に対しては、今のところ政府側も、規制のしようがない、ということであろうか。
 ムサヴィ氏はまた、現在の反政府運動を政治運動レベルではなく、社会運動のレベルにまで、引き上げていくべきだとも訴えている。果たして、アハマド・ネジャド大統領側のファシズムが先行して、イラン国民を抑え込めるのか。
はたまた、反政府側改革派がイラン国民を巻き込んだ、大衆運動を盛り上げて勝利することが出来るのか、イランは今、将来がかかっている分岐点に、迫っているということであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:17 | パーマリンク

2009年09月06日

NO・1395ヨルダン川西岸地区入植者の増加とパレスチナ人労働者

 これまで、東エルサレムはパレスチナ人地区であり、西エルサレムはイスラエル人の地区だとされてきた。つまり、聖地エルサレムを挟んで、イスラエル人とパレスチナ人との、棲み分けが成り立ってきていたのだ。
 しかし、最近になってこの棲み分けが、守られなくなってきている。パレスチナ人地区であるはずの、東エルサレムにあるパレスチナ人の住宅が破壊され、そこに新たな住宅が、イスラエル人のために建設されるように、なってきているのだ。
 東エルサレムばかりではない。ヨルダン川西岸地区にも、イスラエル人(ユダヤ人)用の、多くの入植地が建設されているのだ。このため、西岸地区の入植者の数は、既に50万人近くまで達している、といわれている。
 これは、パレスチナ人の側からすれば、西岸地区からのパレスチナ人追放目的の行動であり、将来的には、全てのパレスチナ人が、西岸地区から追放されてしまうという悪夢を、抱かざるを得ない状況であろう。
 ところが、このイスラエルが進める入植地の建設には、追い出される側の、ヨルダン川西岸のパレスチナ人が、従事しているのだ。彼らにしてみれば、それ以外に仕事が無いのだから、悔しくてもその仕事に、従事せざるを得ない、ということであろう。
 アメリカのオバマ政権は、イスラエルの進める入植地の拡大について、表面的には反対しているが、現実は、リップサービスだけではないのか。それは、ヨーロッパ諸国も同じであろう。声高に入植地の建設に反対するものの、ネタニヤフ首相に入植地の拡大を、断念させる効果は、全くと言っていいほど無い。
 ネタニヤフ首相は入植地の拡大について、居住者の家族が増えていることや、親族たちが一緒に住みたいという、人道的理由と自然増加によるものであり、これを阻止することは、出来ないと弁明している。
 それでは、そのために農地を失ったり、住居を失っているヨルダン川西岸のパレスチナ人は、どうなるのかということになるが、イスラエル側にはパレスチナ人の、そんな苦情に耳を貸す意志は、無いということであろう。
 シャロン首相が健康な時期には、ガザをパレスチナ人に返還し、その分、ヨルダン川西岸地区の一部を押さえるのだ、といった考え方が流布していたが、それをいま実行している、ということであろうか。
しかも、イスラエル人のなかには、将来的には、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人を、ヨルダンに全て追いやり、ヨルダン川西岸地区の全てを、イスラエルの領土に加える、という考えを持っている人が、少なくないようだ。
 パレスチナ人の入植地建設に携わる労働者たちは、彼らが入植地を建設することで、ますます自分たちの居住地域が、狭められていくことを、十分理解している。それでも、その仕事を続けなければ、家族を養っていけないのだ。
 この状態は、まるで自分が埋葬される墓穴を、掘らされているようなものであろう。そのことへの怒りが、再度爆発するかもしれない。西岸地区からは、第三のインテファーダ(イスラエルに対する抵抗闘争)勃発の兆しが、伝えられてきている。(第一回インテファーダは1987年に、第二回インテファーダは2000年に起こっている。)

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:21 | パーマリンク

NO・1394アフガン派遣とインド洋の給油どちらが危険か

 長い間、日本の政権を担当してきた、自民党が野党に下野し、民主党が国民の期待を集めて、政権の座に就いた。さてそこで疑問が沸いてくる。日本国民と民主党のハネムーンは、何時まで続くのだろうか。
 国内政治についてはほとんど疎いので、私見を述べるつもりは無いが、中東や西アジアについては、気になることがあるので、書いてみることにした。
 民主党はインド洋での合同軍に対する給油活動を、来年1月で中止する方針を固めたようだ。そのこと自体には反対しない。この日本が提供する油の相当部分が、パキスタン軍幹部の懐に、入っているという話もあるだけに、どの程度透明なのか分からないからだ。
 しかし、国際貢献という美名の下に(?)、金を出差無ければならないなかでは、人的貢献と資金の拠出が伴う、インド洋での給油は危険度からすれば、いたって不安の少ないものではないのか。したがって、日本はインド洋で給油活動をすることは、油代金と人的貢献の負担はあるものの、決定的な犠牲は払わなくて済んでいる。
 しかし、民主党が進めようとしている、アフガニスタンへの貢献は、日本人をアフガニスタンに送り込むものであり、極めて危険度は高いのではないか。アメリカが敵視している、アフガニスタンの抵抗勢力であるタリバンは、このところ勢力を拡大してきているし、欧米軍の犠牲も増加している。
 そこに、日本が人を敢て送るということは、どのような判断からなのであろうか。ISAFなる横文字を使い、国連主導ということで、安全のお札を入手したとでも思っているのだろうか。
 問題は派遣される人たちだ。彼らはアフガニスタン行きの命令に対して、ほとんど拒否できる立場には無い。彼らは国家の判断に、黙って従うしかないのだ。その結果、死傷者が出た場合、国家はそれなりの補償を、すればいいということであろうか。
 アフガニスタンに軍隊を派遣している諸国は、今後どうしたいと考えているのか、調べたことがあるのだろうか。また、これらの派遣諸国が今後、どうするつもりでいるのかを、調べたことがあるのだろうか。そして、日本には独自にアフガニスタンの国内状況を、調べる情報収集力があるのだろうか。加えて、収集した情報を分析し、近い将来を予測する、能力があるのだろうか。
 人命のかかわるアフガニスタンへの派遣は、他者の判断や都合に合わせて、行うべきものではないと思うのだが。自衛隊員、外務省職員、民間のNGOといった人たちが、これからアフガニスタン行きを命じられるのであるとすれば、極めて気の毒な話、ということになりそうだ。
 犠牲者に補償すればいい、という性質のことではあるまい。先ず、政府が外国の情報を収集する能力を高め、分析する能力を高めることを、優先すべきであろう。その上で、独自の判断に立って、アフガニスタンに派遣するか否かを、決めるべきではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 21:41 | パーマリンク

2009年09月04日

NO・1393A・ネジャド大統領の新内閣に不安

 散々もめたイランの新大統領就任から、しばらく時間が経ち、やっと新内閣が、議会で承認を得たようだ。それは、全員ではなく、あくまでも大半の閣僚が、承認されたということであり、いまだに、アハマド・ネジャド大統領の組閣に、は議会側から不満が出ている。
 この新内閣を見ていて、以前から気になっていたことが、その懸念が次第に現実味を帯びてきているような、気がしてならない。それは、アハマド・ネジャド大統領の暴走の懸念だ。 
 以前に、副大統領のポジションにマシャイ氏を推薦し、ハメネイ師から強い反発を受けてなお、アハマド・ネジャド大統領は彼を副大統領に就けようと思ったが、最終的にはハメネイ師の意向を受け入れざるを得ず、マシャイ氏を副大統領にすることを辞退した形で、彼の副大統領登用を、アハマド・ネジャド大統領は断念している。しかし、このマシャイ氏はその後、しかるべきポジションを与えられ優遇されている。 
 今回の組閣のなかで、女性3人が閣僚入りしたこと、は別に驚きはしない。政権第二期ともなり、女性を入れる自由を得た、ということであろうか。あるいは、国民の人気取りということであろうか。いずれにしろ、この3人の女性閣僚が、イランの国政を運営していく上で、大きな影響力を持つとは思えない。
 驚いたのは、革命防衛隊のメンバーが7人も、閣僚入りしたことだ。以前、アハマド・ネジャド大統領が革命防衛隊や、バシジの支持を受けるようになれば、彼はイラン国内で実質的に、最高の権力者になる。そうなった場合、彼はヒトラーのような独裁的な、政治を行っていくのではないか、という懸念を書いたが、まさに、そうなるのではないかと思われてならない。
 一般的な説明では、多数の革命防衛隊メンバーの閣僚への登用は、この前の反政府デモ鎮圧への、評価によるということだが、それほど単純な理由ではないのではないか。アハマド・ネジャド大統領は次のステップを、既に考えているのではないか。
 そして、その次のステップとは、相当強硬な政治を行う、ということではないのか。国防大臣に就任したアハマド・バヒデイ氏、は革命防衛隊出身であり、アルゼンチンで起こったユダヤ施設爆破の、首謀者だということだ。インターポールの指名手配者を閣僚、しかも国防省につけるということは、力の政治を行うということの、内外への意志表示なのではないか。
 今回の組閣が、最終的にアハマド・ネジャド大統領の意向に、ほぼ沿うものになった後は、ハメネイ師が何を言っても、アハマド・ネジャド大統領は聞き入れなくなるかもしれない。そうなったときは、反政府側にいたラフサンジャニ師、ムサヴィ氏、カロウビ師などは、居場所がなくなるばかりではなく、逮捕、投獄、あるいは処刑されることも、ありうるのではないか。そうならないことを祈るばかりだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:33 | パーマリンク

2009年09月03日

NO・1392パンナム機爆破容疑者メグラヒ氏が重態

 いまだに、真偽のほどが明らかにならないなかで、パンナム機の爆破犯とされている、事件当時情報将校だった、リビア人のメグラヒ氏が重態になり、リビアの病院の集中治療室に、担ぎ込まれている。
 彼は1988年12月21日に、パンナム機の爆破事件が起こった際に、爆破犯とされ、執拗なイギリスとアメリカの追求を受け、ついにはカダフィ大佐もイギリスとアメリカの恫喝に耐えかねて、1999年に国連に引き渡された。
次いで、彼ともう一人の容疑者は、オランダの特別法廷で裁かれ、一人は無罪になり帰国出来たが、その後、メグラヒ氏はスコットランドの刑務所で、無期懲役に服していた。
 しかし、この事件の真相は、いまだに不明というのが、公正な判断ではなかろうか。事件が起こってしばらくしてから、レバノンのパレスチナ・ゲリラ組織のメンバーが、レバノンで起こった要人暗殺事件にかかわって逮捕されたが、処刑される前に、「あのパンナム爆破はわれわれがやったのだ。」と証言しているのだ。
 そして、この処刑されたパレスチナ人は、爆破テロを依頼したのは、イランであり、イランはその前に起こった、アメリカ軍によるイラン機撃墜事件に対する、報復としてアメリカ機の爆破テロを、依頼したのだとも語っていた。
 偶然ではあろうが、イラン機の爆破による犠牲者が、確か270人程度、パンナム機の爆破による犠牲者も、ちょうど270人程度と、ほぼ同数であったことが、印象深かった。
 彼はもしかしたら、真犯人ではなかったのかもしれない。しかし、長期にわたる刑務所生活を送った後、彼は癌を患い、今回、イギリス政府のリビアとの石油取引の材料として、人道的配慮(?)から、リビアへの帰国を赦された。
 アメリカ政府はメグラヒ氏の帰国に際し、彼を英雄扱いしないようにという、厳しい条件を付けたが、それは何の価値があるというのだろうか。
 一時期、パンナム機の犠牲者遺族のなかからも、真実は何かを知りたい、という動きが起こり、リビア側と協力して、真相を究明しようという動きもあったが、いつの間にか立ち消えになっている。
 彼メグラヒ氏の余命は長くなかろう。57歳だというメグラヒ氏の表情風貌は。どう見ても、相当の高齢者にしか見えない。彼の帰国を待っていた父親のほうが、若くすら見えるのだ。
 歴史のなかで起こる、数々の事件や出来事のなかで、犠牲者は多数生まれる。彼もまた、実際にはその一人なのかもしれない。そうであるとすれば、実に気の毒な話ではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:09 | パーマリンク

NO・1391イラクの靴投げ男にプレゼントを贈りたい

 ニュースが世界中から、豪雨のように降り注いでくる日本では、すでにお忘れだろうが、アメリカの前大統領ブッシュ氏イラク訪問の折に、記者会見の席上で、ブッシュ前大統領に靴を投げつけた男がいた。
 このニュースは映像でも伝えられ、しばらくの間イラク人を始め、アメリカに不満を抱いている、多くのアラブ人の間で評判になった。彼の履いていた靴はトルコ製だったが、同じデザインの靴が欲しいという注文が、アラブ各国からトルコの靴メーカーに殺到した。
 その後、彼は裁判所で3年間の、刑務所生活を言い渡されたのだが、犯罪の前歴がなかったことで、1年に短縮され、それもまた、受刑中の品行が方正であるということで、3カ月短縮され、9カ月で出獄することが決まった。
 このニュースはアラブでは、それなりの反響を呼び起こしたようだ。靴投げ犯ムンタザル・アルザイデイ記者の出獄を知って、大喜びしたバハレーンのビジネスマンである、クライシュ・ハーン・ブネイリ氏は、彼にメルセデス・ベンツのリムジンをプレゼントすると発表した。
 しかも、このクライシュ・ハーン・ブネイリ氏は、彼自身がバグダッドまでリムジンを運転して行き、ムンタザル・アルザイデイ記者に、直接手渡したいと語っている。
 ムンタザル・アルザイデイ記者が靴を投げながら、ブッシュ前大統領に浴びせかけた言葉は、いまだに記憶に新しい。「これはイラク人からのお前に対する贈り物だ、別れのキスだ!」。
そして彼は、もう片方の靴を投げながら、こうも叫んだのだ。「これは未亡人たちからの、、孤児たちからの、、イラクで殺された犠牲者からの贈り物だ!!」 
この勇敢なムンタザル・アルザイデイ記者の叫びは、当時のイラク国民を、どれだけ喜ばせたことであろうか。その光景を想像すると、アラブの砂漠にできた、大ステージで演じられる、英雄物語の一場面を見ているような、気がするのだが。
ムンタザル・アルザイデイ記者が出獄するのは、9月14日の予定だ。さて彼は無事帰宅できるのか、はたまた何者かによって放たれる、凶弾によって今度は天国に送られるのか。いずれにしろ、彼の出獄は劇的なシーンになることが、多分に予想される。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:37 | パーマリンク

2009年09月02日

NO・1390トルコとアルメニアが国交正常化へ

 オスマン帝国時代に起こった、オスマン帝国側によるアルメニア人虐殺問題(トルコ側は否定)で、トルコとアルメニアは隣接しながらも、国境を閉鎖したままであり、アルメニアが1991年にソビエトの分裂により、独立を果たしたにもかかわらず、国交正常化がなされないままできていた。
 しかし、トルコのダブトール外相の努力により、トルコとアルメニアの交渉が続けられ、国交正常化に関する基本的合意が成立した。これは、画期的な出来事であろう。その成果が、どのようなメリットを今後、両国にもたらすか計り知れない。
 同時に、このトルコとアルメニアの関係改善は、トルコとアゼルバイジャンの関係にも、影響を与えてこよう。なぜならば、アゼルバイジャンはアルメニアとの間に、ナゴルノカラバフ問題を抱えているからだ。これまでは、トルコがアゼルバイジャン側を支持し、アルメニアとの国境を、1993年以来閉鎖していた。
 トルコとアルメニアの、今回の合意について、当然のことながらアゼルバイジャンは、大きな関心を持って分析を始めている。しかし、それがアゼルバイジャンとトルコとの関係に、決定的な悪影響を及ぼすとは考えられない。
 それは、ナゴルノカラバフ問題をどう解決するかということを、トルコが念頭に置かずに、アルメニアとの関係を正常化したとは、思えないからだ。段階的に、トルコはアルメニアとアゼルバイジャンとの、関係正常化に向けて、働き掛けていくのではないかと思われる。
 今回の、トルコとアルメニアの関係正常化を受け、両国の国境は、今後2カ月以内に開かれる見通しだし、両国は7週間以内に、外交機関を設置する方向で、協議を進めていく方針だ。
 今回、トルコがアルメニアとの、国交正常化に動いた裏には、カスピ海周辺諸国のエネルギー資源の、円滑な輸送があったのであろう。アゼルバイジャンからアルメニアを経由して、中央アジアの石油やガス・エネルギーが、トルコに移送されるようになれば、消費地であるヨーロッパにとっても、好都合なことであろう。
 これまで、トルコが進めてきたナブッコ・パイプライン計画も、より一層前進するものと思われる。そのなかでは、トルコがどこまでアゼルバイジャンとアルメニアの領土問題(ナゴルノカラバフ問題)を、解決していけるか、ということも大きな課題であろう。
 トルコとアルメニアに横たわる、アルメニア人虐殺については、学術レベルでの、中立的な歴史検討が、両国学者たちによって、進められるのではないか。既にその提案は、トルコ側からアルメニア側に対して、行われている。つまり、トルコもアルメニアも、アゼルバイジャンも、実をとる方向で大人の対応を、始めたということであろ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:33 | パーマリンク

2009年09月01日

NO・1389パレスチナ人追放アラブ首長国連邦政府が決定

 アラビア半島の東北端に位置する、アラブ首長国連邦で重大な決定が下された。それは数千人のパレスチナ人を、同国から追放する決定というものだ。これは、内務省の判断によるもので、理由は国内の治安維持のためということだ。
 アラブ首長国連邦には20年以上前から、移住してきたパレスチナ人が、あらゆる分野で、仕事に携わっているが、今回はそのなかの教員が、一つの主要なターゲットになったようだ。
 現在、パレスチナ人教員のうち、350人が追放対象になっており、その後任教員には、アラブ首長国連邦国民がなる予定だ。この決定は、パレスチナ人教員に、年度末の解雇という形で、教育省から言い渡されている。
これらのパレスチナ人教員が、これまで担当してきた科目は、アラビア語、英語、数学ということだ。
 パレスチナ人の団体は、この政府の決定を不満とし、アラブ首長国連邦の大統領であり、アブダビの首長でもあるアール・ナヒヤーン氏に、決定の撤回を求める嘆願書を送った。
 問題は、アラブ首長国連邦が下した今回の決定を、他の湾岸諸国政府が真似ないかということだ。湾岸各国はいま、テロの脅威にさらされており、外国人居住者の、誰がテロを起こすか分からないという、不安のなかにいるのだ。
 アラブ首長国連邦にしてみれば、テロの不安ということに加え、ドバイの景気の著しい後退もまた、今回の決定の裏にあるのではないか。パレスチナのマハムード・アッバース議長は、もし数千人のパレスチナ人が、アラブ首長国連邦から追放されることになるのであれば、その対応策を考えねばなるまい。
 しかし、彼らパレスチナ人移住者を、受け入れてくれるのは、ヨルダンだけではないのか。ヨルダンが受け入れるのは、パレスチナ人の湾岸諸国への移住者や出稼ぎ者のほとんどが、ヨルダンのパスポートを所持しているからだ。
 このことが現実化した場合、ヨルダンでは湾岸戦争後に起こったと同じような、帰還者向けの住宅ブームが起こるかもしれない。しかし、そのことはヨルダンの居住者に占める、パレスチナ人の割合が、さらに増えることであり、ヨルダン王家にとっては、大きな不安材料でもあろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:22 | パーマリンク

 
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