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2010年01月31日

NO・1489ネタニヤフ首相の極めて重要な発言

 イスラエルのネタニヤフ首相が1月末に、ポーランドのアウシュビッツで開催された、国際ホロコースト記念の式典に参加し、極めて重要な内容の文章を、記念のゲスト・ブックに記している。
 それは「イスラエル人は過去の経験から学んでいる。ホロコーストとイランの核兵器開発意欲を放置しない。」といった内容のものだ。
 ドイツのメルケル首相も、ペレス大統領の訪問を受けた中で、「イランの核計画に対する、世界の忍耐と時間はすぎていく。」と語り「世界の大国は2月に重大な合意に達しよう。」とも語っている。彼女は2月がイランの核開発にとって、極めて重要な月になるだろうとも語った。
 ペレス大統領も、イランが極めて危険な国家であり、アハマド・ネジャド大統領体制が独裁的であり、人権を無視し、自国民を殺している。そして、ヘズブラやハマースのスポンサーでもあると語った。
 これらの一連の発言は、何を意味しているのか。なかでも、ネタニヤフ首相のホロコーストとイランの核開発を、連関付けた内容が、何を意味するのか、真剣に受け止めるべきなようだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:50 | パーマリンク

NO・1488カイロの街が大幅に様変わりする

 エジプトは不思議な国で、いちど不動産の賃貸契約をすると、借りた側が契約破棄するまでは、家主はその契約を破棄出来ないことに、なっているということだ。しかも、最初に契約した家賃は、未来永劫に、借主の孫子の代まで続くというのだ。
 そのため50年以上も前に契約した、マンションや店舗の賃貸料が、現在でも適用され、ただ同然の値段で、貸されているということだ。当然困るのは家主、これまで泣き寝入りするしかなかった。
 ところが、この問題解決には唯一の道があった。それは、そのビルを売却し持ち主が変わることだ。そうなると、賃貸契約者ではない新しい持ち主は、新しい家賃で貸すことが出来るし、同じ相手に賃貸することを、断ることも出来るのだ。
 そこに目を付けたのがエジプトの大金持ち。古い目抜き通りのビルが、こうした事情から薄汚れ、誰も修理しようとしないで、そのままになっていたが、ここに来て、家賃の安さに耐えかねた家主が、ビルを手放すことになった。
 事情が事情であることから、ビルの価格は極めて安いものとなった。そして、新しい持ち主となった人物は、このビルを修理し内部を大幅に改造して、新しい借り手を探すことになった。
 エジプトのカイロには王国時代や、イギリス統治時代に建造されたビルが、目抜き通りに並んでいるが、実にしゃれた外装のビルが多い。すすけて古びているが、目を凝らしてみると、パリのシャンゼリゼ通りを思わせるような、造りなのだ。それがここ2年ほどで蘇ることになろう。
 アゼルバイジャンのバクー市を昨年訪れたときも、同じ光景を目にした。1920年代からのしゃれたビルが、10数年前に訪れたときは、薄汚いビルだったが、今回訪問したときは、改装が行われきれいなビルに様変わりし、世界の有名ブランドの店が、軒を連ねていた。
 エジプトのカイロが、あと2年ほどで同じ変化を示そう。楽しみだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:39 | パーマリンク

帰国報告

昨夜1月30日に帰国しました。またすぐ出ますが、その間になるべく多く報告を書くよう勤めます。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:37 | パーマリンク

2010年01月26日

NO・1487イスラエルが欧州の反セム拡大を懸念

 イスラエルのユダヤ・エージェンシーが日曜日に発表したところによれば、西ヨーロッパ諸国のなかで、反セム(反ユダヤ)の動きが、拡大傾向にあるということだ。
 イランのアハマド・ネジャド大統領や、ベネズエラのチャベス大統領などは、反セムを大声で叫んでいることから、世界的に知られているが、西ヨーロッパでは、イスラエル人が看過できないレベルにまで、反セムの動きが拡大しているということは、日本人には意外だろう。
ユダヤ・エージェンシーの発表によれば、フランスでは2008年に431件起こった反セムの行動が、2009年には631件に増加しているし、イギリスでも600件の反セムの行動が起こっているということだ。
 それは主に、2008年12月から2009年の1月にかけて起こった、ガザ戦争をきっかけにしているようだ。ガザ戦争はイスラエルにとって、あれだけ徹底した形で、実行すべきものではなかったと思えるのだが、結果は、イスラエルを勝利に導いたかもしれないが、世界の多くの国々と人々を、敵に回すことになった。
他方、パレスチナのハマースは、彼らがガザ戦争で勝利したと語っている。それは、秘密トンネルを通じて、相変わらず武器がガザに搬入され、その武器でイスラエルに対する攻撃が、継続して行われているからだ。
ウクライナやハンガリーでは、反セムに関わる言動が、選挙に利用されもした。イスラエル人がウクライナの子供を、25000人も連れ去り、内臓を摘出したということが、広がったのだ。
また同じように、パレスチナ人の内臓も、移植目的で摘出された、と報じられている。ニューヨークでもユダヤ教のラビが内臓密売をしたとかで話題になっている。これら一連の噂、報道は、中世の時代にキリスト教徒の子供を、ユダヤ教が宗教儀式で犠牲にしたという話から、再燃してきたのであろうと、ユダヤ人たちは分析しているようだ。
こうした動きが拡大するなかでは、ユダヤ人に対する反発が拡大して行き、結果的に、イスラエル国家そのものも、認めないという風潮が、拡大する危険性が出てこよう。そのことをイスラエル人やユダヤ人は、真剣に懸念し始めているのであろう。それだけいま、イスラエル人やユダヤ人の間では、将来に対する不安が広まりつつある、ということではないか。その結果どのような行動をイスラエル人やユダヤ人が取ろうとするのか、ユダヤ人非ユダヤ人の双方に自制が必要であろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:28 | パーマリンク

海外出張のお知らせ

1月26日から1月30日まで海外出張します。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:28 | パーマリンク

2010年01月24日

NO・1486イラク選挙をめぐる虚実・クーデター情報も

 イランのプレス・テレビというネットは、興味深い情報を提供してくれる。西側情報とは全く違う角度からのものだけに、全体像を掴む上で、参考になるのだ。
 昨日書いたイラク選挙の話で「旧バアス党員の立候補禁止はやり過ぎだ」としたが、今日になってこれを再考させる、情報が伝えられている。そのイラン発の情報を信じるか否かは、読者の判断に委ねよう。しかし、この情報の虚実は別にして読むと、実に興味深いものであることは確かだ。
 その情報によれば、イラクの旧バアス党員たちが、クーデターを計画しているというのだ。そのクーデター計画に参画している幹部は、イラクの内外におり、サウジアラビア、エジプト、ヨルダンが支援しているということだ。
 この旧バアス党によるクーデター計画は、ナイザク(流星)というコード・ネームが付けられているということだ。その計画に則り、ヨルダンでは最近、バアス党員幹部の秘密会議が開かれたということだ。
 このクーデターに関する情報ファイルは、38ページにも及ぶが、なかには部族のメンバーのリクルートや、バアス党員だった部族員の、洗い出し結果なども記されている。
 ファイルには、スンニー派のターリク・ハーシミー現イラク副大統領の名前も、含まれているということだ。また、サダーム・フセイン体制打倒後に、首相に就任したイヤード・アラーウイ氏の名前も、記されているということだ。
 これら旧バアス党幹部と、アラブ諸国とのコンタクトが、取られるようになったのは、現在のイラクの状況が、許容出来なくなったからだということだ。そして、その結果、サウジアラビアの治安幹部が資金を担当し、エジプトの情報幹部が、計画を立てているということだ。
 ターリク・ハーシミー副大統領は、昨年サウジアラビアの治安トップと、ヨルダンで会合しているし、イヤード・アラーウイ氏は旧バアス党員や、アラブ諸国の高官と、会っているということだ。
 こればかりか、シーア派のなかからも、この動きに参画する人物が、出てきているということだ。それは、アッバース・アルバッヤーテイ氏、それにカリーム・フーズイ氏だということだ。
 最近起こっている、イラク政府要人暗殺事件は、イラク国内を不安定化することと、今度の選挙を失敗させることを狙った、工作だということだ。爆弾テロが数週間続いていること、それが数ヶ月前から始まっているのも、この作戦に基づいたものだということだ。加えて、旧バアス党幹部とアメリカ側とのコンタクトも、行われているとファイルは記している。さあこれをどう読むか?真偽のほどは定かではないが実に興味深い情報であることに間違いはない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 21:36 | パーマリンク

2010年01月23日

NO・1485イラク選挙・旧バアス党員は立候補できない

 今年の3月にはイラクで、統一地方選挙が実施されることになっているが、旧バアス党員は立候補できない、という決定が政府によって下された。この旧バアス党員は立候補禁止、という条項に関わる、著名な立候補予定者は、少なくないようだ。
 サッダーム体制下での、非人道的な数々の蛮行を考えれば、確かに旧バアス党員を、政治家にすることの危険さを感じるのだが、だからといって、それだけの理由で、ボイコットするのでは、逆に今後問題が、大きくなるのではないか、と懸念される。
 述べるまでもなく、イラクで国会議員に立候補する人たちのほとんどは、各部族のリーダー的な立場にいる人たちだ。彼らはおのおのの、部族を代表して立候補し、当選すれば自部族の利益を、最優先に考えて行動するのは、当たり前のことだ。
 そうなると、特定の部族から立候補できなくなるということは、その部族や立候補予定者の出身地域の利益が、図られなくなるということでもある。そうなれば、そのことに対する反発が、生まれてくるのは当然であろう。
 そのことにあわせ、無視できない点がある。それは、かつてバアス党員だった人物が、バアス党の思想を受け入れていたのか、それとも、サッダーム・フセイン大統領を支持していたのか、にもよるのではないか
 バアス党の政治思想は、決して問題があるとは思えない。アラブ世界あるいは大陸世界では、沢山の民族が移動し、定着し現在の国家が出来上がっている。そのため、一国に何十もの民族種族の人たちが暮らしており、彼らの宗教宗派の数も何十種類もあるのだ。
 中東のレバノンは小国だが、何十もの異なる宗教宗派民族が住んでいるために、モザイク国家と呼ばれている。そこでは、各宗教宗派民族間の関係が、極めて複雑になっており、ちょっとしたことが原因で、武力衝突を生むことになるのだ。レバノン内戦が15年以上も続いていたことを思い起こせば、この問題がいかに複雑かが分かろう。
 イラクはスンニー派シーア派クルドの三つに分割できる、とよく言われるが、それほど単純ではない。この国の場合も、スンニー派のなかにも、シーア派のなかにも、クルド民族のなかにも、幾つものグループが存在するのだ。
 バアス党の考え方は、そうした宗教や民族宗派の違いを超えて、世俗的な平等の国家を創っていこうというもので、モザイク国家に苦しんだレバノンの、ミシェール・アフラクという人物によって、提唱されたものだ。サッダームフセイン大統領や シリアの故アサド大統領は、自分の権力強化に、バアス党のシステムを利用したに過ぎない。
 サッダーム・フセイン大統領が権力強化に、バアス党のシステムを利用する一方で、国民、なかでも優秀な国民は、バアス党員になることによって、出世する事を考えたのだ。バアス党員だったからといって、バアス党の思想を、全面的に受け入れていたとは限らないのだ。
 かつて、サッダーム体制が崩壊する少し前に、何人かのイラク人外交官と、個人的に話をしたことがあるが、その時ある人物は「バアス党の考えそのものは、複雑な国民構成で出来上がっている、私の国のような場合には理想的なのだ。」と話していた。またある者は「バアス党員で無いと出世できないし、自分も地位が危うくなるから。」と正直に語っていた。
 イラクが新しい国づくりに向かうためには、ある意味で、イラク国民の全てがバアス党統治システムの被害者であり、サッダーム・フセイン大統領の被害者だったという観点に、立たなければならないのではないか。それ無しには、更なる国内対立を生み出す原因を、創るのではないかと思われてならない。アメリカの指導によるのか、はたまた、マリキー首相のバアス党復活への、懸念からのものなのかは分からないが、再考の要ありではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 11:36 | パーマリンク

NO・1484中央アジア諸国は日本の進出を期待している

 昨年12月には中央アジアの国の一つ、トルクメニスタンの大統領が訪日した。そのことは、この欄でご紹介したとおりだ。その折に、笹川平和財団が送った、日本を紹介する100冊の本は、大統領が持ち帰り、外国語大学に寄贈された。
 大統領はこの本の寄贈を喜び、外国語大学への寄贈には、本格的な式典が行われ、本のサマリーを作り、皆が読めるようにするように、指示してもいる。日本の戦後の発展を、早く多くの国民に学ばせたい、という強い意志の現れであろう。
 トルクメニスタンの大統領は、訪日のおり、日本科学技術センターを設置することも、宣言している。日本からトルクメニスタンに進出しようと思っている企業は、この計画に積極的に、賛同し協力すべきであろう。 
 今年に入り、ウズベキスタンから訪問の誘いがあり、1月の半ばに出かけた。そこで話し合われたことは、ウズベキスタンの地下資源開発に、日本が乗り出すことを、期待するというものだった。
 ウズベキスタンは産金国として知られているが、金ばかりではない。マンガン、リチウムなど、先端産業になくてはならない、レア・メタルが豊富にあるのだ。それを狙って、ロシアや中国が積極的に、進出を工作している、とのことだった。
 しかし、ウズベキスタン側は、ロシアや中国とではなく、日本との協力で、レア・メタル開発を進めたい、と強調していた。それは、日本の持つ高い技術と、開発のための資金があること、そして日本人は、信頼できるからだ、と語っていた。
 そこで、当方が助言したのは、レア・メタルの開発に当たっては、掘り出すだけではなく、加工し、第一次製品として輸出することを、条件とすべきだということと、開発に従事する労働者の健康に、十分留意すべきであり、それを進出の条件として、出すべきだと言ってきた。
 話は大分旧くなるが、1960年代の後半から1970年代にかけて、日本が東南アジアで材木を買いあさっていた頃、日本企業は現地人を雇うのだが、作業中に死亡した人たちに対して、十分な補償をしていなかった、という話を聞いたことがある。先進国となった日本は、現段階ではそのようなことはすべきでなかろう。
 ウズベキスタンの人たちは、外国語の能力が高く、3〜5カ国程度の言葉を、自由に操れる人は少なくない。その意味では、進出が容易であろう。そして、ウズベキスタン人は極めて器用であり、細かい作業が出来る。ウズベキスタンの女性が得意とする、じゅうたんや刺繍、男性が得意とする、金属加工や木工などの製品は、少し工夫さえ加えれば、十分に日本で売れると思えた。
 日本企業には、ウズベキスタンのレア・メタル開発に進出することを進めるとともに、弱電、軽工業製品の製造にも、進出してもらいたいものだと、思えてならなかった。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:11 | パーマリンク

1月20日帰国しました

1月20日一日早めて帰国しました。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:10 | パーマリンク

2010年01月15日

外国出張のお知らせ

1月16日から1月21日まで、外国出張に行ってきます。
行き先はウズベキスタンです。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:47 | パーマリンク

NO・1483中東で目立ち始めた民族主義的傾向

 イスラエルがトルコの大使を侮辱する、という問題が発生し、そのことが、トルコの与野党支持者たちを結束させる、という現象を生み出したことが、伝えられてきている。
 そもそもの、ダニ・アヤロン・イスラエル外務次官の非礼の原因は、トルコで放映されている、テレビ・ドラマが原因だった。簡単に言ってしまえば、ガザでのイスラエル軍の非人道的な行動を、非難する内容のものだ。
 しかし、それは相当ダニ・アヤロン・イスラエル外務次官にとっては、不愉快なことであったのであろう。その結果が非礼事件であり、イスラエルとトルコは過去に例のない程の危機的な状況に陥った。
 結果的には、イスラエル側が文書で謝罪し、トルコ政府はそれを受け入れた、ということで一件落着したようだが、双方の不満は今後も、くすぶり続けるだろう。トルコの人権団体は、詫びに来るバラク国防相を、逮捕しろと叫んでみたり、イスラエルのツビ・リブニ女史は「トルコはどっち寄りなのかはっきりしろ。」と、全く理性的でない発言をしている。
トルコは中立的立場を維持し、イスラエルとアラブ・イランとの仲介役を、果たそうとしているのだから、どちら寄りかを鮮明にするはずがないのだ。
 トルコもイスラエルも、お互いが感情的になり、民族意識が表面化してきている。その二国だけではなく、アルジェリアでも民族派とイスラム主義者たちが接近し、外国軍の駐留の動きに、反対する行動を取り始めている。
 イエメンでも同様に、イスラム学者たちを中心に、外国軍の駐留に反対する動きが、起こり始めている。イランでも科学者の爆殺事件をきっかけに、体制派と反体制派が、久しぶりに葬儀に参加している。
 その流れのなかで、アハマド・ネジャド大統領は科学者の爆殺事件について、シオニストの手口だと非難している。彼はまた、西側諸国が中東諸国を占領する気だ、とも警告している。
 一見、脈絡がなさそうに見える、これらの断片的な情報も、こうして集めてみると、その底辺に共通する流れが、あるように思える。つまり、中東諸国のなかではいま、イスラム主義の動きとだぶった形で、民族主義の動きが、活発化してきているのではないかということだ。
そして、その傾向は、次第に強まっていくのではないかと思われる。その流れの方向の先には、新たな現象、出来事が姿を現してくるということであろう。今のうちから、それを予測しておくべきではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:30 | パーマリンク

NO・1482イラン科学者爆殺の怪

 1月12日の朝、イランの物理学の科学者マスウード・アリー・ムハンマド教授が、自宅から出勤しようと思って玄関を出、車に乗る段階で近くにあったオートバイに積んであった爆弾が爆発して、死亡するという事件が起こり、イランとアメリカとの間で非難合戦が起こっている。
 イラン政府はこの爆殺を、アメリカ・イスラエルによるものだ、と非難している。マスウード・アリー・ムハンマド教授が、物理学の科学者であったことから、アメリカ・イスラエルは、彼を爆殺したのだとしている。
その結果、「イランの核開発を遅らせようとしたのだ。」というイラン政府の説明には、ある程度の説得力があろう。しかし、彼は核開発に直接関係する、部門の専門家ではなかったということだ。
 他方、アメリカ側はマスウード・アリー・ムハンマド教授が、ムサビ大統領候補の支持者であり、大学でも改革派を支持の立場を、示していたことから、今回の爆殺の犠牲になったのだ、と説明している。
 これだけでは、誰が犯人なのかは、決定付けることはできない。しかし、あるいは、と思わせる情報が出てき始めている。それは、ハタミ師とラフサンジャニ師が、今回の爆殺事件について、犯人像を明らかにはしていないが、微妙な発言をしているのだ。
 両師は今回の爆殺事件が起こることによって、政府派と反政府派との間で、対立が激化し、流血が増すだろうと予測している。ハタミ氏は「手の汚れたものが今回のテロを起こした。その者たちはイランの敵だ。」と語っている。
 ラフサンジャニ師は「臆病なテロリズムだ。新たな緊張の時代の始まりだ。」と語っている。イラン国内で流血衝突が増加していって喜ぶのは、政府派でも反政府派でもあるまい。つまり、「外部の手が関わっていた。」とハタミ師は言いたいのであろうか。
 ラフサンジャニ師の発言は、もう一歩踏み込んでいるかもしれない。それは彼が「臆病な」という表現を用いていることに起因する。つまりブッシュ大統領が常々口にしていた「臆病者」という表現は、イランがアメリカを非難するときにも、使われていたのだ。
 もう一つの判断の材料になるであろうと思われることは、これまでイラン政府が反政府側の人間を、爆弾で暗殺したと思われるケースが、皆無だということだ。真相はまだ分からないし、将来も明らかにならないかもしれない。現段階でできる推測を書いてみた。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:09 | パーマリンク

NO・1481ガザのトンネルをめぐるファトワ

 イスラム教の法学者のなかで、最も権威あると認められた人物は、国家によってムフテイに指名される。そして、彼にはファトワ(宗教裁定)を下す権限が与えられる。従って、アラブ・イスラム諸国にはそれぞれ、ムフテイが存在する。
 いま、このムフテイの発出するファトワをめぐって、きわめて難しい状況が生まれている。それは、ガザの密輸用トンネルを、パレスチナ自治政府のムフテイが、違法だとするファトワを出したのだ。
 このファトワを出したイスラム学者は、パレスチナ自治政府お抱えのムフテイで、彼の名前はシェイク・ムハンマド・ビン・サルマン・アルジャメアという人物だ。
 シェイク・アルジャメアは、ガザのトンネルが違法だとする根拠として、武器を搬入していること、食料、医薬品もさることながら、アルコールや麻薬も、持ち込まれていることを挙げている。
そして、このトンネルを掘らせ、密輸をさせている金持ちたちは、トンネル密輸で死亡した人たちの遺族に対して、しかるべき補償をする義務がある、とも述べている。独身の死亡者の遺族には9000ドル、家庭持ちの場合は11000ドルとしている。
ちなみに、このトンネル・ビジネスで犠牲になった人たちの数は、300人を超えているとシェイク・アルジャメアは語っている。パレスチナ自治政府のサイトによれば、エジプト政府が密輸活動を阻止するために、トンネルに毒ガスを流して死亡させた数が、犠牲者54人のうち36人だということだ。
シェイク・アルジャメアが、このトンネル・ビジネスに反対している、最も大きな理由は、トンネルから武器が密輸され、その武器でガザ戦争が起こり、結果的に多くの犠牲者が出たからだということだ。
確かにそうではあろう。しかし、同時にガザ地区は閉鎖されており、食料も医薬品も燃料も、正式なルートでは入らないようになっている。従って、密輸トンネルはガザ住民にとっては、唯一の生命線になっていることも事実だ。信じがたいのだがそのトンネルの数は、何百本もあるということだ。
この密輸トンネルを、ファトワで禁止とする、ムフテイの言い分もわからないではないが、それでは彼は、ガザ住民の必要な食料、医薬品、燃料に加え、破壊された家屋再建のための建築材料などをどうしろというのだろうか。
ガザのハマースと敵対関係にある、パレスチナ自治政府は、ガザの住民の生活が困窮したほうが、ハマースの支持者が減るとして、このようなファトワを出させたのではないのか、とも疑いたくもなるのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:38 | パーマリンク

2010年01月14日

NO・1480バラク国防相のトルコ訪問関係改善が目的か

 イスラエルとトルコとの関係は、既にご報告したとおり、相当悪化している。つい最近は、トルコのテレビ番組「狼の谷」をめぐり、イスラエルのダニ・アヤロン外務次官が、在イスラエル・トルコ大使を呼びつけ、クレームをつけた。
 その時の処遇が、極めて非友好的なものであったといわれている。ダニ・アヤロン外務次官は、訪問したトルコ大使と握手せずに、低いテーブルを挟み、自分の椅子は背が高く、トルコ大使には背の低い椅子に、座らせたということだ。
つまり、ダニ・アヤロン外務次官は、トルコ大使を見下すような位置で、対面したということだ。そして、テーブルの上には、通常は両国の国旗が置かれるのだが、このときは、イスラエルの国旗だけが、置かれていたということだ。
トルコ側が腹を立て、大使の召還を言い始め、険悪な状況になっている。そしてダニ・アヤロン外務次官の対応の裏には、アビグドル・リーバーマン外相の、意図があったといわれている。
アビグドル・リーバーマン外相は、イスラエルとトルコとの関係を、悪化させることを望んでおり、今回のイスラエル・トルコ関係の悪化への動きは、彼がダニ・アヤロン外務次官を、けしかけた結果なのだ、とトルコ側は見ている。
他方、バラク国防大臣はトルコとの関係が、イスラエルの安全上重要であることを熟知しており、今回の事態を重く見、トルコ訪問を思い立ったのだといわれている。
トルコ側はいまの状況下でも、バラク国防大臣を歓迎するだろう、とイスラエルのハアレツ紙は予測している。バラク国防大臣以外にも、ベン・エリエゼル労働大臣も、トルコとの関係を安定したものに、修復したいと望んでいるようだ。
このバラク国防大臣のトルコ訪問が、どのような形になるかが、今後の中東全域の状況に、大きく響いてくるのではないか。イスラエル側の動きにも、問題はあるが、トルコもあまりイスラエルに厳しく対応することは、両国にとって得策ではあるまいし、中東各国にとっても、利益にはならないのではないか。
トルコはあくまでも、イスラエルとイラン・アラブとの仲介役としての、役割を果たしていこうとするのであれば、攻めばかりではない、イスラエルへの対応も、必要なのではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:29 | パーマリンク

2010年01月12日

NO・1479イスラエルがトルコに噛み付き中東緊張度増す

 案の定というか、トルコのレバノンとの連携が、イスラエルを不安に追いこんでしまったようだ。イスラエルのダニ・ヤロン外相は、トルコがその気なら戦争も辞さず、という強硬論をぶっている。
 同時期に、幾つものイスラエルに対する警戒論と、敵対論が顔を出している。例えば、サウジアラビアはこれ以上、イスラエルが入植地を拡大することは、放置できないと語り、シリアのアサド大統領とイランのモッタキ外相との会談では、両国が連帯して敵に立ち向かうと語っている。
 それ以外にも、トルコのエルドアン首相はイスラエルの政策が、世界平和にとって脅威だと語っている。彼はまた、イスラエル軍機のレバノン領空侵犯も、非難している。
エルドアン首相はシリアのアサド大統領に対して、レバノンを訪問し正常な関係にすべきだ、とアドバイスしてもいる。そのことは、シリアとレバノンがより結束を強めるべきだ、という意味であろう。
 イスラエルはこうした、トルコを中心とした中東各国の動きに対し、ハマースは戦争を望んでいると非難し、トルコのテレビ番組「オオカミの谷」を非難している。この番組は確か、イスラエルのパレスチナに対する、非人道的な行為を非難する、内容のものであったと思う。
 エジプトもようやく重い腰を上げ、アブルゲイト外相がイスラエルに対し、ガザ攻撃をするなと警告を発しているし、イスラエル側が構築を計画している、ガザのエジプトとの壁建設に反対してもいる。
 一方、バチカンは中東地域の、キリスト教徒の実態を討議してもいる。バチカンはトルコとの、特別な関係を模索してもいるのだ。
 これら一連の新たな動きは、中東地域でいま、過去になかったような、激変が起ころうとしているということを、示しているのではないのか。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:23 | パーマリンク

2010年01月11日

NO・1478微妙なハリーリ・レバノン首相のトルコ訪問

 レバノンのハリーリ首相がトルコの首都アンカラを訪問した。それ自体は別に驚くほどのことではないのだが、そこで話し合われ、合意されたことが、今後、中東地域に大きな変化をもたらす、可能性を秘めている。
 ハリーリ首相のトルコ訪問で話し合われた内容は、ビザ問題、当然のことながら相互の通商問題、観光問題活性化が含まれている。つまり、シリアやリビアなどと並んで、レバノンもトルコとの間で、ビザの相互免除に合意したのだ。
 このことは、トルコとレバノン双方の、テロリストも自由に相手国に入れる、あるいは逃げ込める、ということを含んでいる、極めて危険なことでもあろう。
述べるまでもなく、レバノンはイランの支援を受ける、ヘズブラの存在する国であり、トルコは他方で、イスラエル人やユダヤ人にとって、最も安全で快適な旅行が出来る、数少ない近隣の国の一つだ。そのことをトルコとレバノンは、十分わかって合意したとすれば、それはそれで、大きな変化ということになろう。
第二の合意事項は、トルコとレバノンの互防衛協定だ。これはビザの相互免除よりも、もっとデリケートな合意であろう。少なくとも、これでイスラエルは、トルコが完全にアラブ側、イスラム・サイドに移行した、と判断するのではないか。
 トルコにしてみれば、トルコの外交力で、アラブ周辺諸国と特別な関係を構築し、次いで、イスラエルとアラブとの、和平に向けた努力をしていき、トルコの手で中東和平を、実現したいということであろう。
 しかし、トルコが考えているように、一気に攻めることがいま得策なのか、あるいは、じわじわと進めていくのが正解なのか、判断が非情に難いところだ。イスラエルをあまり追い詰める結果にならなければ、トルコの和平実現の思惑は成功しようが。
 そこで、トルコとイスラエル双方にとって、信頼される国が、両者の立場を説明し、仲介者(トルコはイスラエルとのイラン、パレスチナ、シリア、レバノンなどとの、仲介役を勤めようと考えている)の仲介役を、すべきなのであろう。
 以前、イスラエルを訪問した折に、個人的にトルコの意図を、イスラエル側の人に説明してきたが、日本のような国こそが、それをやるべきではないのか。そうしなければ、トルコの善意は、結果的に全く反対の結論を、引き出すことになりかねないのだ。
 トルコはいま、着々と旧オスマン帝国の版図の国々との、特別な関係を構築しつつある。そのことは、イスラエルにとっては、トルコの極めてデリケートな変化であろう。その感情はエジプトにとっても、同じではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 21:50 | パーマリンク

NO・1477マリキーの首相の判断ミスがイラクに内乱を招くか

 今年3月7日に、イラクでは統一地方選挙が、実施される予定になっている。しかし、あるいはこの選挙が、イラク国内の大混乱によって、延期されるかもしれない、という可能性が生まれてきている。
 それは、イラクのスンニー派の有力候補の政党が、イラクの法律委員会によって、選挙に参加できなくなりそうな、雲生きになってきたからだ。同委員会の委員長である、アリー・ファイサル・アッラーミー氏が、スンニー派の候補者である、サラーハ・アルモトラク氏の立候補と、彼の政党からの立候補を、禁止するむねの発表を行ったからだ。
アリー・ファイサル・アッラーミー氏によれば、同党は旧バアス党の系列だということだ。バアス党の政治活動は現在、イラクでは禁止されていることから、ある意味では当然であろうか。
しかし、このアリー・ファイサル・アッラーミー氏の主張に対して、サラーハ・アルモトラク氏は、アリー・ファイサル・アッラーミー氏は、バアス党政権時代に、軍の将校だったと反論している。
問題は、このスンニー派の重鎮が、イラク・スンニー派の間で、最も人気のあるアンバル県の、ファルージャ出身者であり、マリキー政権に対し、痛烈な批判を、繰り返してきている。これまでも、彼の政党は選挙に参加するごとに、好結果を出し続けてきているのだ。
そうなると、問題は彼個人が、あるいは彼の政党から、立候補できないという問題だけでは済まず、スンニー派イラク人が、反マリキーで立ち上がる危険性が、出てきたということだ。
サラーハ・アルモトラク氏はこの問題を国連にまで、持ち込むと意気込んでいるが、その前に、イラク国内で暴発する可能性の方、が高いのではないか。アメリカがイラクからの撤退を始めたいま、このスンニー派の党の選挙参加をめぐる問題が、とんでもない足かせになるかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:16 | パーマリンク

2010年01月10日

NO・1476エジプトに不利な二つの出来事

 最近になって、エジプトに関わるあまりうれしくないニュースが、二つ伝わってきている。それは、ガザのパレスチナ住民と、エジプトとの関係が悪化しているというものと、1月7日に起こったエジプト国内の、コプト教徒襲撃事件のニュースだ。
 ガザのパレスチナ住民と、エジプトとの関係が悪化しているのは、エジプト側が多分、イスラエルの要請もあってか、ガザとエジプトとの国境地帯に、パレスチナ側が秘密トンネルを掘り、エジプトからあらゆる物資を密輸しているため、これを阻止する鉄板を打ち込む、工事を始めたためだ。
 イスラエルにしてみれば、ガザのパレスチナ人が地下トンネルを掘り、そのトンネルを通じて、食料から医薬品、建設資材から武器までも、ガザ地区に搬入していることは見逃せないのだ。このトンネルを閉鎖するために、イスラエルはこれまで、何度となく空爆を、実施してきている。
 しかし、空爆だけでは完全に密輸を止めることができず、エジプト側に圧力をかけて、密輸阻止努力をさせたということだ。これはパレスチナ人にしてみれば、死活問題であるだけに、なんとしても止めさせなければならないということになり、エジプトとガザのパレスチナ人との間で、大きな問題になってきている。
 エジプト政府による、ガザ国境に鉄板を打ち込む工事は、ガザのパレスチナ住民を、窮地に追い込むものだとして、イラン政府は激しく非難しているし、エジプト国内でも、反対の声が上がっている。
 このことに加え、ガザのパレスチナ住民に対する、支援物資のエジプト側からの搬入に対し、エジプト政府がガザ・ゲートの通過を、認めなかったことから、エジプトとガザのパレスチナ人との間で、対立が生まれ衝突まで起こしている。
 結果的に、エジプト軍の兵士が死亡し、パレスチナ人も35人が負傷している。当然この成り行きのなかで、ガザに援助物資を贈ろうとしていた、イギリスやトルコの慈善団体は、エジプト政府に対し抗議している。エジプトはガザへの援助物資の搬入問題で、世界中の耳目を集め、悪役になったということだ。
 もう一つのエジプトにとって不都合なニュースは、エジプト国内でコプト・キリスト教徒に対する、襲撃事件が起きたことであろう。コプト・キリスト教徒は他のキリスト教徒とは異なり、クリスマスを1月に祝うが、そのクリスマスのミサのために、エジプトの南部都市ルクソールに近いナジ・ハンマーデイで、1月7日の深夜に教会に集まっていた人たちを狙った、テロ事件が起きたのだ。
 述べるまでもなく、結果は6人が死亡し、多数が負傷するという、悲惨なものだった。この事件は、世界のキリスト教徒にとって、ショッキングなものであったろう。なかでも、アメリカに在住するコプト・キリスト教徒にとっては、放置できない問題であったろう。
 エジプト政府はこのテロ事件と、イスラム原理主義者との関連は無い、あくまでも以前に起こったコプト・キリスト教徒による、12歳のムスリム少女レイプ事件に対する復讐としているが、それが事実のなか、その背景には何があるのか、ということになろう。
この問題は、イスラム原理主義者による犯行とする方が、わかりやすい説明だったかもしれない。それを、エジプト政府があえて否定したということは、その裏に何かがあるということであろうか。
 エジプト政府がガザ地区への、援助物資搬入の中心的人物である、イギリスのギャロウエイ氏を追放したが、そのことも今後、問題化していくのではないか。この援助活動に参加していたトルコも、エジプトに対して厳しい批判を行っている。
 エジプトはアメリカからはコプト・キリスト教徒襲撃事件で、トルコやヨーロッパからは、ガザ問題で槍玉に挙げられるのではないか。もちろん、アラブ諸国からも、エジプトのガザ対応では、不快感を抱かれよう。そして、それはエジプトがイスラエルに対して、なんら反論できない立場にある、ということの証明であり、エジプトのアラブ世界での指導力は、弱まるばかりではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:55 | パーマリンク

2010年01月08日

NO・1475外交官との対話イスラエル・イラン関係が危ない

 
 あるアラブの国に赴任している友人の外交官は、極めて優秀だ。こちらが持っている情報のなかで、不明なものを彼に話すと、たちどころに答えが返ってくる。しかも、その答えのほとんどは、私にとって納得のいくものだ。
 したがって、彼との話し合いは、有益であると同時に、愉快でもある。その彼が突然電話してきて、会おうということになり、昼食を共にした。そこでも話題はエジプト、リビア、パレスチナ、サウジアラビア、イラン、イエメン、トルコ、ヨルダン、スーダンなど多岐に及んだ。
 そのなかで、少し気になる話があったので、ご紹介しておこう。それは、イスラエルがイランを、攻撃するのではないかという話だ。だいぶ前には、私以外にもその話を口にする人が、少なくなかったが、最近では、可能性さえ語らなくなっている。
 しかし、最近になって再度書き始めているように、イスラエルとイランとの関係は、再度緊張の度を高めている。しかも、それは両国だけの間だけではなく、周辺諸国も巻き込んだ形に、拡大してきているのだ。
 したがって、もし何かが起こり始めれば、周辺諸国にも危害は及ぶことになり、しかも、それを阻止するのは、同時に幾つもの国々や、組織を相手にしなければならないだけに、容易ではあるまい。
 湾岸諸国はその危険を、十分に分かっている。なかでも小国であるバハレーンやカタールなどは、自国のシーア派国民の割合も多いことから、真剣に情勢を分析しているし、イランとの関係調整も行っている。
 イスラルは何度も書いてきたように、極めてナーバスな心理状態になっており、限界を超えた行動に出る、可能性は高まってきている、と判断すべきであろう。自己防衛本能が過剰に働き、イスラエルが単独でも、行動に出る可能性が、否定できなくなってきているのではないか。
 イラン国内も、外国の関与が激しくなってきたとし、ジャーナリストの逮捕や、デモ参加者に対する裁判での、死刑判決の声が拡大してきている。つまり、双方がある種の心理的、異常な状態に陥り始めてきているということだ。
 友人は2月の後半が、一番緊張が高まるのではないでしょうか、と真顔で語っていた。私もその可能性を否定することはできない。大事に至ることがないに、越したことはないが、どうやら状況は、大事に至る可能性の方が、高まっているのではないか。その状況対応する準備が、日本にはあるのだろうか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:44 | パーマリンク

2010年01月07日

NO・1474軍事連携は危険回避チャンスを潰さないか

 昨年末に、ハマースがイランとの、軍事連帯を宣言した。つまり、イランがイスラエルによって攻撃された場合、ハマースはイスラエル攻撃を、行うというものだ。同時に、ハマースとシリアとの間でも、似たような宣言がなされている。
 次いで、ハマースとヘズブラとの間でも、相互にイスラエルから攻撃を受けた場合には、イスラエル攻撃を断行する、という発表がなされている。
加えて、シリアとヘズブラとの間でも、似たような内容の発表があった。簡単に言えば、ヘズブラ、ハマース、シリアはそのいずれかが、イスラエルによって攻撃された場合、直ちに反イスラエルで、行動を起こすということだ。
 そして、イランが攻撃を受けた場合にも同様に、ハマースやヘズブラ、シリアが軍事行動に出るということだ。
 そのような軍事的連帯の発表は、一見勇ましく、頼りになりそうに思えるのだが、実際はそうでもあるまい。本来であれば、小規模で済むはずの戦闘行動が、拡大してしまう可能性が大きいからだ。
 シリア、イラン、ヘズブラ、ハマースという各国各組織の軍事的、防衛上の連帯は、抑止力になるというよりも、戦闘の被害を最小限でとどめる効果や、平和的解決の足かせになってしまう、危険性もあることを、忘れるわけにはいくまい。
 イスラエルが不安を高めていることから、あるいはイランに対する攻撃を実行するのではないか、という予測が出ているが、それに対抗する意味で、こうした共同防衛、連帯の発表が、出されたのであろう。
 しかし、実際にはイスラエルに対する、抑止力というよりも、中東全体が戦争に巻き込まれる、だから米欧に抑止してくれ、和平の仲介をもっと真剣にやって欲しい、という意味ではないか。
そうだとすれば、もう少し穏やかな表現を、使うべきではないのか。強気な発言は、結果的に自分の望む結果とは、全く反対の結果を生み出すことも、あることを忘れてはなるまい。


投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:50 | パーマリンク

NO・1473イスラエルは不安で一杯・英が締め出し?

 昨年暮れに、イギリスで計画されていたユダヤ人会議に、元外相のツビ・リブニ女史が参加する予定だった。
 しかし、彼女のユダヤ人会議参加は、ある事情から、急遽キャンセルされることとなった。それは、彼女が1997−8年に起こった、イスラエル軍のガザ攻撃時に、外相であったことと関連している。つまり、イギリス内部でもこの戦争が不当なものであり、関わっていた人たちは、戦争犯罪人の容疑があるとしたのだ。
 ツビ・リブニ女子は場合によっては、イギリスで逮捕され、取り調べられる可能性があったのだ。彼女はイギリス国内で、身を隠し帰国した。イスラエル政府はこのことについて。イギリス政府に抗議し。イギリス政府も一応は。抗議を受けれ、次回の彼女のイギリス訪問時には。問題ないと発表している。
 しかし、ほとんど同じケースが、再度発生した。イスラエルの軍の佐官尉官クラスの代表団が、イギリスを訪問しようとしたところ、イギリス側では逮捕されることがありうる、という判断が出たからだ。イスラエル側の問い合わせに対し、イギリス政府は彼らが逮捕されない、という保証はできない、と回答したのだ。結果的にイスラエル軍の代表団は、急遽イギリス行を取りやめることとなった。
 ガザ戦争以来、イスラエルがイギリスを始め、ヨーロッパ諸国で直接間接の、冷たい対応を取られ始めている。こうした状況について、イスラエルからは反ユダヤ、反シオニズムの復活だ、というヨーロッパに対する批判の声が、聞かれ始めている。
 イスラエルにとって頭痛の種は、これだけではない。アメリカが経済苦からか、これまでは輸出しなかったような兵器を、エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダンなどといったアラブ諸国に、輸出し始めている問題があるのだ。
 エジプトはイスラエルとの、外交関係を開いてはいるものの、これまでイスラエルとアラブとが戦った4、度の中東戦争の主役であり、イスラエルにとって、最も手強い相手だ。それが最新の兵器を持つことになるのは、イスラエルにとっては、潜在的脅威が高まるということであろう。
 サウジアラビアの場合は、現体制が打倒され、アラブ民族主義的な体制が生まれた場合、サウジアラビアが所有する兵器は、その矛先をイスラエルに向けられる、と考えて当然であろう。しかも、サウジアラビアはウサーマ・ビン・ラーデンをはじめとする、多くのイスラム過激派を、生み出している国でもある。
 ヨルダンも同様、王制が打倒されれば、ヨルダンの人口の80パーセント程度が、パレスチナ人であることから、銃口がイスラエルに向けられる、という悪夢は、イスラエル人にとって、拭い去れるものではあるまい。
イスラエル人の間の不安が昂じていくと、過激な意見が尊重されるようになるのは世の常だ。判断ミスが生まれないことを望みたい。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:39 | パーマリンク

2010年01月04日

NO・1472アメリカのイエメン問題介入の真因

 新年早々の予測で、イエメンは結果的に、あまり問題にならないだろうと書いた。しかし、その後の動向を見ていると、明日にでもアメリカが、イエメンで戦争を始めそうな、雰囲気になってきている。
 イエメンでは、アメリカ、イギリスに次いで、日本までもが大使館業務を停止している。加えて、フランスも大使館業務を停止する、という情報が流れている。つまり、主要な西側諸国は、早々とイエメンから逃げ出した、ということであろうか。
 アメリカではアフガニスタンに対する、攻撃が実行される大分前には、ランボーンの活躍する、アフガン映画が製作され、イラク攻撃の前には、サダムらしき人物を、悪者として取り扱った映画が、製作されている。
 そうだとすれば、イエメンの場合も、攻撃が近いということであろうか?イエメンのアメリカ大使館が襲撃を受け、発砲を許可した軍司令官が、後にアメリカで裁判にかけられる、といった内容の映画が、数年前に製作されている。
 アメリカが戦争を始める前に、敵国の大統領や国民を、悪者に仕立て上げた映画が、製作されているとすれば、イエメンの場合もそうなるということであろう。アメリカが戦争前に、映画を製作するのは、大衆操作がし易いからであろうか。
 それでも、イエメンではイラクや、アフガニスタンで起こったような状況は、起こらないだろうと思っている。それは、イエメンの地形のほとんどが山岳地帯であり、戦車や自走砲などは、全くと言っていいほど使用が困難だからだ。
唯一、アメリカ軍にできるのは、空爆であろうが、空爆すべき敵はイエメン軍ではなく、あくまでもイエメン政府から分離独立を、勝ち得ようとしている、アルホウシ部族でしかない。
しかも、彼らの居住地域は限定されており、イエメン全土を戦場にするわけにはいかない。そうなると、アメリカ軍が戦闘を開始したとしても、極めて限定的なものになろう、というのが私の推測だった。
それでは何故、アメリカが今の時期に、イエメンをアルカーイダの一大拠点として、軍事力までも行使しようと、考えているのであろうか。それは、このイエメン内紛に、サウジアラビアが絡んできていることに、起因しているのではないか。
あるいは、サウジアラビアに、イエメンを軍事支援しろと、アメリカが助言したのかもしれない。それにしても、サウジアラビア軍のパイロットは、相当腕を上げたものだと驚嘆している。一説には、サウジアラビア空軍パイロットの多くが、パキスタン人だという説もあるが、アメリカ人を含む、外国人のパイロットが、搭乗している可能性は高いだろう。
サウジアラビア軍がイエメン軍を支援し、戦闘に参加したことで、イエメン内紛は、サウジアラビアとイエメンの間に、元々あった領土問題を、表面化するきっかけになる、可能性があろう。その結果、サウジアラビアはより一層の兵器を、アメリカやイギリスから、輸入しなければならなくなるだろう。
結果的に、サウジアラビアのイエメン介入は、サウジアラビア国民の間に、反政府の機運を高める可能性もあろう。そうなれば、サウジアラビアは王国の安全のために、アメリカ、イギリスの力を借りなければ、ならなくなるのではないか。
アメリカにとって、今回のイエメン問題は、イエメン内紛やアルカーイダ対策もさることながら、より一層、サウジアラビアに対する影響力を、強めることも含まれているのではないか。
数年前に、アメリカの考える新中東地図、という原稿をこの中東TODAY欄に掲載した。その地図には3分割された、サウジアラビアが描かれていた。そして、確かイエメンの領土は拡大していた。
サウジアラビアはメッカを中心とするイスラム国、アルカテイーフを中心とするペルシャ湾岸沿いのシーア派の国、そして何もないアラビア半島の中部のサウジアラビアだったと記憶する。
いずれが正解かは別に、アメリカはそこまでやるのだろうか。中東の友人たちの多くは、今回の航空機爆破未遂事件に始まる、イエメンへのアメリカの関与に付いて 強い疑いの目で成り行きを見守っている。まだまだ想像は膨らむのだが、この辺で止めておいた方がいいだろう。読者の想像と判断の、参考になれば幸いだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:44 | パーマリンク

2010年01月03日

NO・1471笑えるアメリカのイスラム関連ニュース

 アメリカ政府直属の機関による、イスラムに関連した世論調査の結果が発表された。それは実に面白いというべきか、アメリカ的というべきものであったので、ご紹介することにした。
 アメリカ国民にとってイスラム世界やイスラム教徒がどの程度の認知度であり何を持ってアメリカ国民がイスラム世界やイスラム教徒を評価しているかがわかる。
 その興味深い世論調査の結果トップ点は以下のものだった。
1:イラン民主化大衆デモ
2:レバノン安定化
3:トルコ5・8%経済成長2002〜2008,26番から17番の経済力に
4:最大ムスリム国家インドネシア選挙成功裏に行われた
5:クウエイト民主化進む
6:アルバニア10%GDP伸び
7:アラブでのインターネット利用増加
8:米のムスリムは社会に適合
9:カタール7・5%のGDP伸び記録
10:男女共学大学サウジ国王が許可
 このうち経済がらみが3と6と9であり、民主化関係が1と2と4と5と7と10であろうか。8は何か無理にそういうことにした感じがしないでもないが?
 アメリカ国民と政府の関心は、民主化の押し売りと、経済つまり金儲けがほとんどのような、気がしないでもないが、、?イスラムの文化とか宗教そのものに対する関心は、ほとんど持たれていないということだ。つまり、現在起こっている現象の根源に対する関心は、全く無いということではないのか?

投稿者: 佐々木良昭 日時: 18:26 | パーマリンク

NO・1470ふらつき始めたかイランのアヤトラ?

 1979年の成功したホメイニ革命以来、30年間続いたイランのベラヤテイ・ファギー体制(イスラム法学者による統治体制=神権体制)に亀裂が生じ、この体制下で優遇されてきた、アヤトラを始めとするイスラム法学者の間に、不安が広がってきているようだ。
 ある法学者は、反体制行動に参加する大衆に対して、断固とした対応を、執るべきだと主張し始めている。つまり、逮捕し、裁判にかけ、処刑しろ、ということだ。イラン革命以後の一時期、国内で体制に対する不満が高まったときも、同様の声がアヤトラたちの間から出て、多数の反体制派とレッテルを貼られた人たちが、処刑されている。
 アヤトラ・アハマド・ジャンナーテイ師が「暴徒に対して、法的にもっと強硬に対応しろ。もっとスピーデイに暴徒を処理しろ。」と主張している。つまり、以前に起こったと同じことが、今回も起こるかもしれない。
しかし、現在と以前とでは、世界のイランに対する注目度が違うことから、そう簡単にはいかないのではないか。アヤトラ・アハマド・ジャンナーテイ師のこの発言は、宗教学者の冷静さを、全く感じさせない感情論ではないか。・
興味深いのは、こうしたアヤトラの常軌を逸したと思われる発言とは裏腹に、警察幹部からは、冷静な発言が聞こえてくる。副警視総監のアハマド・レザ・ラダン氏は「警察はいかなる暴力的手段も行使していない。」と語り、デモ参加者の死亡について、警察は関与していない、と表明している。
 この副警視総監も発言は、単純に受け止めれば「公式見解」ということになるが、「大衆を敵に回したくない。」という配慮が含まれている、とも受けとれるのではないか。
そうなると今後、警察が次第に大衆運動を静観し、次いで大衆の側につくことも予想される。大衆運動が最終的に勝利できるか出来ないかは、警察や軍が大衆と体制側との、どちら側に付くかによって、決まるともいわれているだけに、この警察幹部の発言は、今後注意してフォローすべきなのではないか。
アヤトラ・アハマド・ジャンナーテイ師とは、反対の立場を取り始めたアヤトラもいる。彼の名はユーセフ・サナイ師で法学者としては、最高位の大アヤトラだ。彼は現体制批判をすることによって、大アヤトラとしての地位を、失うかもしれない。
クムのジャメエ・ムダッリシーン(法学者協会)の代表は、調査の結果、ユーセフ・サナイ師がマルジャイ・タクリード(イスラムの法源に関われる学者=グランド・アヤトラの最高位)としての資格が無い、という結論に達したと発表している。この発表は、アヤトラ・ムハンマド・ヤーズデイ師の署名によるものだ。
つまり、いまイラン国内の宗教界では、体制側に付く者と、反体制側に付く者が、せめぎあい始めているということだ。本来であれば、イスラム法に則って状況を判断し、その判断は学者たちの討議の結果、統一した見解が出てくるべきであろう。
現状ではそうはならずに、イスラム法学者たちの意見が、四分五裂しているということは、彼らが利害に基づいて判断し、行動し始めている(右往左往している)ということによるのではないか。
今後、イラン国内の反体制活動が活発化し、アハマド・ネジャド大統領やハメネイ師に対する、国内外の批判が高まっていけば、強硬派と妥協派に、アヤトラたちは分裂を、より顕著にしていくのではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 12:45 | パーマリンク

2010年01月02日

NO・1469今年の中東情勢の鍵を握るのはトルコ

 今年は元旦早々、あまり明るくない予測を書いた。イランのムサビ氏は自分の甥の命を犠牲にしたことで、相当ショックを受けたのであろうか。彼はイランを現体制から解放するために、自分の命をかけたようだ。
 彼の意志の堅さは、インターネットを通じて流された、彼の表情にありありと表れている。反体制派の動きに腹立たしさを感じている、体制支持派の人たちの間からは、反体制のリーダーたちはイラン共和国の敵であるだけではなく、イスラムの敵だとまでののしる声が出始めている。
 体制支持派の人たちのなかには、「反体制のリーダーたちを裁判にかけ、処刑すべきだ。」とさえ主張する者もいるほどだ。
 現段階では、イランの警察幹部はムサビ氏らをはじめとする、反体制派リーダーたちの逮捕は無いと語っているが、情況次第で何とでもなることであろう。警察幹部が反体制派リーダーたちを逮捕しない理由は「反体制派のなかに英雄を作り出したくない。」からなのだ。
 イランが国内的な大混乱に向かい、現体制が打倒されるのか、あるいは何事も、国内的には変化が起こらなくとも、外国による軍事攻撃で、体制が潰される可能性も出てきている。つまり、イランの現体制は国内外に、敵を抱えているということだ。
 そうした危険な状態に直面している、イランを救えるのはトルコだけであろう。トルコはイランが西側諸国によって非難されているなかで、イランとの間で通常の関係を維持している。
 トルコはイランとの関係を維持しながら、徐々にイランを穏健な方向に向けていこう、と考えているのではないか。そして、そのイランの微妙な変化を、アメリカとイスラエルに伝えることによって、現在のイラン危機を、平和裏に解決したい、と考えているのであろう。
 トルコの外交が昨年、特に顕著にその能力を発揮し、素晴らしい成果を上げている。既にご報告したように、トルコは多くの周辺諸国との間で、ビザなし交流を実現しているし、アルメニアとも長年にわたった敵対関係に、終止符を打つことに成功している。
その結果、トルコがアルメニアと対立するアゼルバイジャンとの、良好な関係を損なうこともなかった。アゼルバイジャンは当初、トルコとアルメニアとの接近に、難色を示していたが、あとでトルコ・アゼルバイジャン関係に、何の変化もなかったことが、明らかになっている。
つまり、アゼルバイジャンが当初、トルコに対して示した難色は、あくまでも国内向けの、ポーズでしかなかったということであろう。そして、このことは、トルコがいかに緻密な事前の打ち合わせを、アゼルバイジャンとの間で行っていたかを、示すものであろう。
「イスラエルと距離を置き始めたトルコ」というタイトルの記事が、昨年は世界中で、何度となく報道されたが、イスラエルとの関係も、決して悪化しているとは、言えないのではないか。
イスラエルはヨーロッパ諸国の対応こそが、問題だと受け止めていよう。ヨーロッパ諸国のイスラエルに対する対応は、一昨年のガザ戦争を機に、一気に悪化し、反ユダヤ、反セミテイズムの雰囲気さえ広がっている。
ヨーロッパ人の心の底にある、ユダヤ人に対する蔑視の感情が、ここに来て冷たい炎となって、燃え上がり始めていることは、ユダヤ人自身が一番よくわかっていよう。
それに引き換え、トルコの厳しい対応は、あくまでもトルコがイスラエルと、アラブ諸国、イスラエルとイランとの関係を、仲介するためのものだということを、イスラエルは理解しているのであろう。関係悪化が盛んに報じられるなかで、イスラエルの閣僚がトルコを歴訪していたのはそのためであろう。
2010年、トルコの外交が何処まで中東の安定に寄与するか見ものだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:06 | パーマリンク

NO・1468今年はイランが中東問題の中心か

 中東から相変わらず、多くのニュースが伝えられてくる。そして、そのほとんどはあまり幸運な新年の、スタートにふさわしいものではない。イラクでは爆弾テロが相次ぎ、イランでは政府と国民との対立が激化し、死者が出ている。パレスチナもガザ国境で、大騒ぎにはなっているが、進展があるような気配はない。
 今年の中東は、イラク、イラン、パレスチナが中心で動いていくようだ。もちろん、アフガニスタンもあるが、これは中東の範疇にはない。西アジアであり、あえて言えばイランとの絡みであろうか。
 さてその中東だが、イラクからのアメリカ軍の撤退が、トルコのインジルリク空軍基地を使って、始まっているようだ。イラク戦争に反対し、アメリカ軍の通過を認めなかったトルコも、戦争が終結に向かうのであれば、自国領土の通過を、認めるということであろう。
イラク問題は5-7000人程度のアメリカ軍が、恒久的に留まることで、一応の終結の形になる、ということであろうか。もちろん、その後のイラク国内の混乱は、起こり得ようが、致命的なものにまでは、ならないかもしれない。
パレスチナ問題はガザの住民の困窮が、世界的な関心を呼んでおり、エジプト側からの援助物資の輸送が、大騒ぎで行われようとしている。このパレスチナ支援運動のなかには、欧米人アラブ人トルコ人以外に、イスラエル人も参加しているようだ。
しかし、肝心のイスラエルは、世界的な圧力があっても、微動だにしない強硬な立場を取り続けている。その頑迷さは世界中の非難が、イスラエルに集まれば集まるほど、逆に今後、増幅して行くのではないか。
エジプトは自国の後継者問題で、国内政治が多忙であり、とてもパレスチナ問題に、本格的に取り組んでいく、余裕などなさそうだ。エジプトはイスラエルとの間で、アラブの盟主としての(?)、面子を保つための交渉はしても、パレスチナ問題解決に向けた、交渉は期待できないだろう。
シリアはアメリカを始めとする、西側先進国との関係を構築していきたい、というのが本音であり、トルコとの関係改善は、その意思表示であろう。ヨルダンも同様に、自国の問題が最優先する一年になろう。したがって、パレスチナ問題は大騒ぎしている割には、進展が全く期待できない、一年になるのではないか。
イランの場合はそうではなさそうだ。イランは国内外に、それぞれ大きな問題を抱えている。昨年6月に行われた選挙をめぐる、反体制運動の活発化が、今年はもっと激しいものに、なっていくことが予測される。
イランの体制側は幾つもの過ちを犯してしまっている。大統領選挙の結果について、ハメネイ師が早い段階で、明確にアハマドネジャド大統領の当選を支持し、言及したことだ。
この結果、ハメネイ師は完全に中立的公平な立場の人間から、アハマドネジャド大統領を支持する、強硬派の頭目になり下がってしまった。しかもその後、イランのジャーメジャム新聞は、ホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーンのセイエド・アフマド・エルム=アルホダー師の発言で彼がハメネイ師を「イマーム」に祭り上げてしまったことを伝えている。
これはイスラム法学者の誰もが、認めないところであろう。イラン・イスラム法学界のトップであったホメイニ師も、最近死去したモンタゼリ師も、ハメネイ師よりはイスラム法学において、数段高い見識を有していたにも拘らず「イマーム」とは呼ばせなかったし、イラン・マスコミも「イマーム」とは表記しなかった。これでハメネイ師の実質的な権威は完全に地に落ちた、と考えるべきであろう。
反体制派の動きで、二人の英雄が生まれてしまった。一人は殺害された若い女性ネダー・アガー・ソルタンさん、もう一人は大統領候補であり、その後の反体制運動の中心人物となった、ムサビ氏の甥サイド・アリー・ムサビ氏だ。二人は死亡することによって、反体制側にとって、抵抗のシンボルとなり、世界的にも、支持を集める核となった。
イラン体制側のもう一つの過ちは、モンタゼリ師が死亡したいま、元大統領のラフサンジャニ師、カロウビ師、ムサビ氏らを、全て反体制側の人物と名指しし、彼らを裁判にかけるべきだ、と主張して始めていることだ。これでは体制側と反体制側との間で、仲介役を勤めうる人物が、一人もいなくなった、ということではないのか。
国際人権委員会はイランの現状について、「過去20年の間で最悪だ」と評している。この状況をチャンスと見たレザ・パーレビ氏(パーレビ国王の子息)は、バン・キー・ムン国連事務総長に対し、イランの人権が侵されているとし、調査を要請している。
イランの外部との間で発生している問題は、やはり核問題であろう。アメリカは出来るだけ軍事力の行使をしないで、平和裏に問題を解決したい、と思っているようだが、イラン側は一歩も引こうとしていない。それどころか、核施設を増設したり、イスラエルにまで届く射程距離を持つ、中距離ミサイルのテストを行ったりし、挑発的とも取れる行動をしている。
アメリカのオバマ大統領は、これまで何度となく「イランに与えられた時間は終わりに近い」と繰り返してきたが、何の効果も生まなかった。国連を通じて今後行われるであろう、イランに対する制裁は、より強硬なものとなろうが、イラン国内では、あまり問題にならないのではないか。少なくとも、体制側の人たちはそうであろう。
つい最近、イスラエルの代表がアメリカに乗り込み、イラン対応(軍事対応を含む)について話し合ったが、イスラエルが希望する結果は、得られなかったようだ。そうなると、イスラエルは単独でも、イランに対する軍事攻撃を、実行しかねなくなるのではないか。イスラエル国民は穏健派までもが、いま大きな不安を抱いており、イランに対する強硬な対応を支持する雰囲気が、イスラエル国民の間では出来上がってきている。
こうした諸々の状況を考えてみると、イランでは今年中に、大きな変化が生まれる可能性が、極めて高いのではないか、ということになるが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:03 | パーマリンク

2010年01月01日

謹賀新年

新たな年に参加できたことをお喜び申し上げます。
新年を健康のうちにスタートを切れることのありがたさを、だんだん身にしみて感じる年齢になってきました。
昨年は幾つかの法外な成果を上げることができ、幸運の女神に愛されていることを、実感させられました。
今年どんな爽快な成果があげられるのか、今のうちから楽しみにしています。その一つ一つを心の中の思い出の日記帳に留めていくつもりです。
ご支援ください。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:52 | パーマリンク

 
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