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2010年08月31日

NO・1748「イラン人へ・口から出る言葉はその人の品性を表す」

 イスラムは宗教であり、生きていく上で必要な、全てを教えてくれているのだ、とイスラムの学識者たちは言う。イランの学識者たちも、同じことを言うのであろう。その通りだ、イスラムは信仰としての宗教、という側面だけではなく、人が生きていくうえで必要な、全てのことを教えているはずだ。
 イランのシーア派には多く学者がおり、その学者たちは学識の深さによって、何階級にも分けられている。そうであるとすれば、その学者たちには信徒に対し、正しいイスラムを指導する責任があろう。
 しかし、残念なことに、最近のイランから聞こえてくる言葉には、あまり品性を感じられない場合が多い。例えばフランス大統領夫人について、イランのケイハン紙は相当常識を逸脱した、表現を使って批判している。
 それは、イランのケイハン紙側に言わせれば、フランスの言葉に対する、お返しだというだろう。だがそれは、相手の低いレベルに、自分を引きずり下ろした、ということではないのか。
 また、イランはイスラエルやアメリカが、イランを攻撃した場合、イスラエルのデモナ原発を、攻撃すると語ったが、そのことは、イスラム法で許されることなのだろうか。
 もちろん、イスラエルにしてみれば、デモナの原発を攻撃されることは、悪夢の極みであり、地獄絵であろう。それだけに、このイランの警告は、それなりの効果を、生み出すだろう。
 日本には「売り言葉に買い言葉」というのがあるが、その場合は、まさにお互いが理屈にもならない、誹謗中傷をしあっている状態を、言うのではないか。イランにはハメネイ師という、大変に学識の深い、イスラム教の学者がいるのだから、そのハメネイ師に敬意を表せるような発言を、外部の敵に対しても向けるべきではないのか。
 それがハメネイ師とイスラムに対する、敬意であるはずなのだが。同時にハメネイ師は、激高して感情的な言葉を繰り返す、イランの政治家やマスコミに対し、イスラム本来の常識と礼儀に戻るべきだ、と諭すべきではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:18 | パーマリンク

2010年08月30日

NO・1747「馬鹿げているM・アッバース議長の言い草」

 アメリカの強い圧力のなかで、パレスチナ自治政府議長のマハムード・アッバース氏が、イスラエルとの無条件の、直接交渉を受託した。
 無条件ということは、条件が設定されていないということであり、それを土台に話し合いが進められるとすれば、話し合いの間に、新たな現実が積み重ねられていくことであろう。例えば、入植地の建設を凍結するという条件は、イスラエルとアメリカによって、拒否されている。
 ネタニヤフ首相は、直接交渉の進展過程で、それはある種の結論に達するのであって、直接交渉の冒頭に入植凍結問題を引き出すのであれば、話し合いは進まなくなってしまうとした。
 ここで問題なのは、過去にもそうであったように、イスラエル政府が認めない、いわば無許可の入植が進むということだ。入植者たちは政府の許可を得ずに入植し、そこの住宅を建設してしまうのだ。
 過去にこうした不法入植者に対し、イスラエル政府は強硬措置をとっており、入植者の住宅を破壊したこともあるが、そうした強硬措置が取られたのは、全てではない。最近では、イランやレバノンのヘズブラ、シリア、パレスチナのハマースなどとの緊張のなかで、イスラエル国民は相当強硬、頑迷になってきている。
 ネタニヤフ首相が、そうしたイスラエル国民の意識を無視して、入植を凍結するようなことになれば、当然相当の反発を受けることであろう。アメリカがごり押しで、ネタニヤフ首相に入植地の凍結を迫ることは、中間選挙を前にしては、難しいのではないか。
 そうした状況を考えた場合、イスラエルとパレスチナ自治政府との直接交渉は、問題の所在が明らかになるだけであり、進展をほとんど期待できないのではないか。すでに、アラブ連盟のアムル・ムーサ事務総長は、交渉の失敗を予測している。
 こうした実情を、マハムード・アッバース議長は、予測できないのだろうか?彼も当然予測できていたはずだ。だからこそ彼は、交渉が失敗したらそれは、イスラエルだけの責任だ、と語ったのだ。
 しかし、それで済むのだろうか。マハムード・アッバース議長には、交渉を成功に導いていく、何の手だてもない、ということなのだろうか。そうであるとすれば、アメリカとイスラエルの圧力に負けていやいやながら、彼は直接交渉の場に、単に参加したということにはならないか。
 マハムード・アッバース議長の、この会議への姿勢は、近い将来、パレスチナ国家を設立するという意欲を、全く感じさせないものではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:57 | パーマリンク

2010年08月28日

NO1746「想像以上に進んでいるトルコ政府とPKKの交渉」

 世界同時不況の中で、トルコは例外的な復興を続けている。輸出額は増大し、それに伴って、国内の失業率も、低下しているようだ。周辺諸国との外交も、大きな成果を遂げ、ビザなし交流の国が増えている。
 そうしたなか、世界のトルコ研究者は、トルコがいま、オスマン帝国の復活を、目指しているのではないか、という憶測まで、口に出し始めている。それはかつての、オスマン帝国版図の国々の多くが、トルコとの間でビザを廃止した結果、トルコ人ビジネスマンはこれらの国々に、自由に出入りできるようになったからだ。
 ギュル大統領、エルドアン首相、そしてダウトール外相という、絶妙なトライアングル構成からなるトルコ政治は、内外で大きな成果を、挙げているということだ。その成果のスピードは驚異的であり、アラブの多くの国々は、トルコを激賞するようになってきている。
 しかし、そのトルコにとってクルド問題、もっと直接的に表現するならば、PKK(クルド労働党)に対する対応が、なかなか成果の上がらない、頭痛の種であり続けてきた。PKKが結成された1984年以来、トルコ国内ではPKKによるテロが頻発し、軍人民間人のなかから、4万人を越える犠牲者が、出たと報告されている。
 トルコにとって、クルド問題は永遠に解決できない問題、という認識があることも事実だった。しかし、ここに来て、クルド問題には意外な解決に向けた動きが、成果を挙げつつあるようだ。
 最近になって、トルコ政府がPKKやPKKのオジャラン議長と、コンタクトを取っているという情報が、流れ始めた。それは、野党側から流されたものだが、この情報に対し、エルドアン首相は半ば認める発言をしている。
 政府はコンタクトを取っていないが、MIT(情報部)がコンタクトをとることはあるという表現でだ。
 彼に言わせれば、政府としてのコンタクトは取られなくとも、情報部や軍、警察などがコンタクトを取って、政府が平和的なクルド問題の、解決を図ることに寄与することは、ありうるというのだ。
 実際には1999年以来、MITと呼ばれるトルコの情報機関のスタッフが、オジャラン議長にもPKKとも、再三にわたってコンタクトを、取ってきていたようだ。
8月13日にPKK側が宣言した、ラマダン停戦は、トルコ政府側がオジャラン議長とコンタクトを取り、オジャラン議長が和平路線を口にしたことがきっかけだった、という推測が事情通によって語られている。
 それでは何故この時期に、これまで秘密裏に行われていた、オジャラン議長やPKK側とのコンタクトが、表沙汰になってきたのであろうか。実はこれは与党AKPが進める、憲法改正に向けた、国民投票と直結する問題だからだ。
 与党AKPは、クルド問題の解決に直結する、憲法改正を国民投票で実現し、軍の動きを大幅に縮小し、クルドとの和解を実現しよう、と思っているのだ。この与党の動きは、大筋でクルド側から、歓迎されているようだ。
 与党の筋書きはこうであろう。
1:憲法改正を国民投票で実現する(そのためにクルド人を取り込む)
2:新憲法は来年発布される
3;クルドにある種の自治権を与える
4:トルコ東部の開発をクルドと協力して進める

 オジャラン議長には終身刑が下っているし、PKKも次第に、外国からの援助が減ってきており、トルコ内クルド組織には、政府と妥協を図る組織が、増えてきている。PKKがクルドの代表的組織、という雰囲気は、既に大分縮小してきているのだ。
PKKとイラクのクルド自治政府との関係も、あまり芳しくなくなってきている。イラクのクルド自治政府は、トルコ政府との良好な関係を、PKKとの関係以上に、優先させるようになってきているのだ。PKKの拠点はイラクのクルド地区のカンデル山であり、次第に居心地が悪くなってきている、ということであろう。
こうしたことが、PKKをして妥協に到らしめる、下地になっているのかもしれない。願わくば、この交渉が成功に到って欲しいものだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:56 | パーマリンク

2010年08月27日

NO・1745「慾にはきりがないイランの核開発」

 散々世界中が騒がせた後、イランはロシアの供給する燃料棒を、ブシェールの原発に挿入し始めた。このことについては、イランの核開発に、厳しい対応を取っていたアメリカも、ロシアの管理の下で、厳重に核兵器を開発する材料を、イラン国内に残さないことを条件に、渋々認めることとなった。
 イランにしてみれば、しめしめということであろう。一旦、燃料棒が挿入されてしまえば、その原発に対して空爆を強行することは、出来なくなるからだ。アメリカのボルトン氏が「あと数日しか残されていない。」と大騒ぎしたのもそのためだった。しかし、さすがのイスラエルも、アメリカの賛同無しには、強硬手段を取る決断が、出来なかったのであろう。
 そして、イランは核保有国への道を、一歩進めることが出来た。もちろん、そのことはイランが核兵器を持つ意思がある、ということを言っているのではない。あくまでも、その可能性を一段と高めたという意味だ。
 しかし、今のイランはこれだけでは、済まないのではないか、と世界を疑惑に包む言動を、繰り返している。それはもちろん、国際政治の場での、一つの取引の技術ではあろうが、あまりにも危険過ぎはしないか、と不安になる。
 ブシェールの原発に燃料棒が、挿入されることが決まって間もなく、イランの副大統領であり、原子力開発委員会委員長のアリー・アクバル・サーレヒ氏は、ブシェール原発への燃料棒挿入の後、ロシアとイランで燃料棒を、共同で生産したい、と言い出した。
 そのことは、当然ロシア国内ではなく、イラン国内で生産したい、ということであろうから、世界から猛反発を受けることは必定だ。アリー・アクバル・サーレヒ委員長は「世界に対してイランは核エネルギー開発につながる、ウラン生産の能力を、示す必要がある。」といった内容の発言をしている。
 そして「ロシアはイランの提案を検討中だ。」とも語っている。このアリー・アクバル・サーレヒ委員長の発言を、イスラエルやアメリカは、どう受け止めるであろうか。
そこまでイランの核研究が進んでいるのであれば、最早止めようがない、と思うか。あるいは、何としてもこれを、阻止しなければならない、と考えるか、そのいずれかではないか。そして可能性が高いのは、後者の方ではなかろうか。
 アリー・アクバル・サーレヒ委員長は「イランがすでに20パーセントの濃度のウラニュームを、25キロ生産した。」とも語っている。これは表向き、医療用のものとされているが、もう少し濃度を上げれば、それは危険な核兵器の材料に、限りなく近づくということを、意味している。アリー・アクバル・サーレヒ委員長の発言は、政治的駆け引きなのか。あるいは「調子に乗りすぎた軽率な発言」なのか?

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:28 | パーマリンク

2010年08月26日

NO・1744 「エジプト大統領候補を巡り与党分裂という情報」

 次期エジプト大統領選挙に、立候補するかしないか、なかなか態度を鮮明にしないガマール氏(ムバーラク大統領の次男)に、彼の取り巻き連中たちが、業を煮やして、行動を起こし始めている。
 ムバーラク大統領の健康問題が、ここにきてほとんど希望がなくなりかけ、早い時期に、ガマール氏が立候補を宣言し、行動を起こさなければ、出遅れになり、場合によっては他候補に敗れることもありうる、と取り巻き連中たちは、考えているようだ。
 彼らはガマール氏の意向を確かめず、エジプト中にガマール氏擁立の、ポスターを張り巡らした。それは、ムスリム同胞団やガド党、エルバラダイ氏の支持団体から、攻撃を受ける対象になり、野党側は「ガマールにはエジプトは大きすぎる」というポスターを作り、国内いたるところに、張り出されることとなった。
 ガマール氏がなかなか、立候補を口にしないのは、父親が終身大統領でありたい、という願望を尊重してだ、という説が流れているが、それに加え、彼自身の健康問題が、あるからであろう。
 しかし、もしムバーラク大統領が、突然死亡するようなことになれば、ガマール氏当選の可能性は、非常に厳しいものになるだろう。日本とは異なり、弔い合戦での同情票を獲得して、選挙に勝つというパターンは、期待出来ないのがアラブ世界だ。悪い表現をするならば、アラブ世界とは、溺れる犬に石を投げつける、世界なのだ。
 それにもかかわらず、ガマール氏の取り巻きが、活発な擁立行動を取ることに、国民民主党内のベテラン議員たちからは、反発が出ているようだ。最近流れてきた情報によれば、与党内で次期大統領候補の選出で、党内に分裂が生じているということだ。
 現実はそれほど、センセーショナルなものとは思えないが、若者層の先走りは、ムバーラク大統領に対して、失礼だという感情は、ベテラン議員のなかにはあろう。
 若いビジネスマンたちが、ガマール氏の支持基盤になっているのだが、彼らが躍起になって、ガマール氏を推す裏には、彼らの利権がからんでいることも否めない。ガマール氏の取り巻き連中の起こした、経済スキャンダルはこれまで、幾つも話題に上っていた。レバノン出身の美人歌手の委託殺人でも、ガマール氏と親しい大金持ちが、その命令を下したとして、現在獄中にある。彼が軽度の罪で済むか否かは、ガマール氏が大統領に就任できるか否かにも、かかっているのだ。
 加えて、エジプト政府が宣言した、原発建設も当然のことながら、大統領選挙に絡んで来よう。ガマール氏の兄である、長男のアラーア氏の立候補も噂されており、取り巻きたちにしてみれば、気が気ではないだろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 13:53 | パーマリンク

2010年08月25日

NO・1743「それでも和平交渉に挑むM・アッバース議長」

 アメリカが強力な圧力をかけ、イスラエルとパレスチナ自治政府に、和平交渉の座に就くように仕向けた。結果的に、これをパレスチナ自治政府の、マハムード・アッバース議長は受け入れた。
 しかし、受け入れに至る段階で、多くのパレスチナ組織と、パレスチナ有力者著名人が、イスラエルとパレスチナ自治政府との、直接交渉の会議には出るべきでない、と反対していた。
 それにもかかわらず、マハムード・アッバース議長は、この直接交渉に、出席を決めたのだ。直接交渉の前提として、パレスチナ内部からは、入植地の凍結や、パレスチナとイスラエルとの国境画定など、幾つもの条件案が出ていたが、そのいずれの条件も、イスラエル側からは受け入れられなかった。アメリカも無条件の交渉開始を、マハムード・アッバース議長に押し付けることに、成功した。
 しかも、この直接交渉の結果、パレスチナ問題に大きな進展があるとは、誰も予想していない。アメリカのヒラリー国務長官は、困難なものになることを予測しているし、この会議に呼ばれたブレア元イギリス首相も、非常に困難なものになることを、見越している。
 それではマハムード・アッバース議長は、何故この会議に出席することを、受託したのだろうか。彼ももちろん、直接交渉が極めて希望の無いものであることを、予測しているはずだ。マハムード・アッバース議長はこの会議から、パレスチナ問題を巡る、何らかの成果があることを期待して、出席するのではあるまい。
 マハムード・アッバース議長は、この会議に出席することによって、親米派アラブの国々からの、援助を取り付けること、アメリカ政府が今後も、彼をパレスチナ自治政府の代表とみなしてくれること、そのことに加えて、彼の身辺の安全を保障してくれること。イスラエル政府が彼の身の安全を、保障してくれることを願ってであろう。
 つまり、今回、マハムード・アッバース議長が、直接交渉の場に出るのは、彼の個人的経済的メリットと、彼の身の安全確保が、目的ではないのか。
 しかし、それと交換に、イスラエルによるヨルダン川西岸地区と、東エルサレムに対する入植活動は、止まることなく進められるだろう。イスラエル国内には、入植活動に反対するグループは、ほとんど存在しないし、アメリカも中間選挙をすぐ先に控え、ユダヤ・ロビーに対する配慮から、入植活動の凍結を、厳しく迫るとは思えない。
 イスラエルのネタニヤフ首相は、「いま進められている入植活動は、政府が認めたものではない。あくまでも個人が勝手にやっているものだ。入植活動を停止させるように善処したい。」と言い逃れることが出来よう。あるいはその程度の配慮も、必要ないかもしれない。マハムード・アッバース議長は、完全に足元を、見透かされてしまっているのだから。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:08 | パーマリンク

2010年08月24日

NIO・1742「アラブの友人が語ったエジプト内情と次期大統領」

      
 アラブの親しい友人が来日した。さっそく飯を食おうということになり、あるレストランで落ち合った。最初は相互の家族、仕事状況の話をしたり、冗談を言い合っていたのだが、途中からどうしても聞いてみたい、エジプトの状況を聞くことにした。 
 まず最初に聞いてみたのは、エジプトの庶民の生活状況だった。最近では食料品の高騰に加え、電気、水で困っているというニュースが、伝えられていたからだ。ナイルの大河を擁し、アスワン・ハイダムを持つエジプトが、何故水と電力に事欠くのか、ということが私の素朴な疑問だった。
 この点については、ナイル沿岸諸国会議があり、エチオピアやスーダンがエジプトよりも、川上に位置している。このため、エチオピアがダムを造ると、エジプトに流れてくる水量は減り、発電量も減るというのだ。言われてみれば、確かに数ヶ月前、ナイル川の水の配分を巡って、問題が起こり妥協が生まれないままになっていた。
 エチオピアがダムを造ることについて、彼はイスラエルがエジプトを困らせるために、エチオピアをけしかけているのだと語っていた。ナイル川はエジプトにとって、貴重な財産ではあるが、同時に危険な存在でもある。
 何十年か前の話だが、イスラエルがエジプトに対し、アスワン・ハイダムを破壊することも出来る、と脅したことがある。もし、それが実行されれば、数時間後にはカイロの街のほとんどが、水面下に埋もれてしまうことになるのだ。それは現在、パキスタンが直面している、水害の規模に相当するのではないか。
 食料の高騰は相当に大衆の生活を、脅かしていると言っていた。一番の問題は、巨万の富を持つごく一部の国民の反対側には、大多数の貧民層がいることだ。以前いたような中間層は、完全に消えたよと彼は語り、俺もその貧民層の一人さ、と自嘲的な笑いを浮かべていた。そのことは、いまのエジプトでは自然発生的な暴動が、いつ起こっても、不思議ではないということだ。
 次期大統領候補については、至って明快な意見を聞かせてくれた。ムバーラク大統領は終身大統領で死にたい、と考えているため、ガマール(次男)は立候補を明らかにしていないのだ、ということだ。加えて、彼が病弱であることも、その理由だということだ。
 いま大統領候補として話題になっている、元IAEA事務局長のムハンマド・エルバラダイ氏については、長期の外国暮らしのため、彼はすでにエジプト人ではなくなっている。例えば、彼が主催するホーム・パーテイで、突然姿が見えないので、どこに行ったのかと探すと、就寝の時間だから、自室に戻ったということだった。
こんなことは、エジプト人が開くホーム・パーテイでは絶対に起こり得ないというのだ。したがって、彼がエジプトの大統領になる可能性は、ゼロだろうということだ。
 それではムスリム同胞団から、大統領候補者が出るのかというと、もし万が一当選しても、すぐに軍部がクーデターを起こして、その政権を潰すだろう。エジプトは軍部が最大の力を、今でも持っているんだ、ということだった。
 そうなると、候補が予想される誰もが、出てこないことになるが、他方、ムバーラク大統領は最近、歩行に困難があり、講演も支離滅裂に、なってきているという話だ。そうなれば、次に考えられる人物は、軍部からか、ムバーラク家からかということになる。
 友人はこれまで、政治に興味を示してこなかった、ムバーラク大統領の長男のアラーア氏が、最近になって、大統領後継者になることを、意識し始めているようだ。どうも彼がそのことを意識して、動き始めている様子が、うかがえると語っていた。彼の出現で、アラブの大国であるエジプトが、安定した権力の移行が出来るのならば、それに越したことはあるまいということか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 13:20 | パーマリンク

2010年08月23日

NO・1741「トルコ・クルドPKKの和解はあるか」

 クルドの政党にDTK(民主社会会議)という組織がある。この組織は正式な政府の認可を受けた組織であり、政治活動の自由も認められている。
 このDTKがいま、大きなトルコの社会変革の、中心になろうとしている。それは、トルコ政府とPKK(クルド労働党)を仲介し、恒久和平を実現しようとしているのだ。それには幾つかの、難問が立ちはだかっているが、意外に前進し、実現する可能性があるかもしれない。
 トルコの与党AKP(開発公正党)はいま、憲法の改正に全力を集中している。それは、トルコの将来に関わる、重大事なのだ。憲法が改正され、軍部がクーデターを起こせなくなり、軍の幹部が入れ替えられれば、与党は安心して政策を、遂行することが出来るのだ。
 AKPが今やろうとしていることは、クルド問題の解決による、トルコ東部の資源開発を、進めることではないか。トルコの東部に隣接しているのは述べるまでもなく、イラン、イラクといった地下資源(石油、ガス)の豊富な国である。
 そのことは、トルコの東部にも石油、ガス資源がある、と考えても不思議はないということだ。その資源を開発するには、クルドとの問題を、解決しなければならない。そうでなければ、資源開発現場を狙ったテロが、PKKによって展開されるからだ。
 つまり、トルコの与党AKPが考えているシナリオは、PKKとの和解を実現することであり、それに先だって、トルコ軍部の反対を抑え込むために、憲法を改正するということであろう。
 DTKは当然のことながら、トルコの与党AKPと、クルドのPKKとの個別の会議を開催し、双方の落とし所を、探っていくということであろう。その場合、PKKもDTKもPKKの議長である、現在マルマラ海の孤島イムラル島に、収監中であるアブドッラー・オジャラン氏の処遇、が第一議題となろう。
 DTKもPKKも、アブドッラー・オジャラン氏の釈放を求めることは、当然であろうし、これまで、PKK関係者ということで逮捕投獄されていた、クルド人の釈放も、同時に求めることになろう。
 それに対し、与党AKTはどう対応するのであろうか。すでに、PKK側はラマダン停戦を発表し、9月20日まで戦闘行為を停止することを、知らしめている。その後については、トルコ軍側が挑発しなければ、停戦延長を考えているようだ。
 トルコの憲法改正投票日は、9月12日であり、その結果が出るのは、9月20日前であろうから、停戦期限が切れる一歩手前には、AKP側からPKK やDTKの求める、妥協案が出てくるかもしれない。そうなれば、トルコの状況は一変しよう。そうあって欲しいものだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:43 | パーマリンク

2010年08月22日

NO・1740「イラン攻撃に不安募らせる湾岸諸国」

 イランのブシェール原発に燃料棒が入ることになり「イランが核兵器を持つのではないか?」という不安が、イスラエルのなかでますます高まっている。そのことは、イスラエル軍内部の意見の対立、分裂状況からも推測できる。
 イスラエルはイランの核兵器開発を、武力をもってしても阻止すべきか、アメリカがそれに同調しなくてもやるべきか、イランは本当に核兵器を開発し、それをイスラエルに向けて使用するのか。イスラエルは政府も国民も、いまそのことで頭が一杯であろう。
 つまり、イスラエルは国内では、イラン核開発への不安が高まり、頂点に達した場合、単独でもイラン攻撃を実施する、可能性があることを、否定できなくなっているといことだ。その場合、結果的に、アメリカはイスラエルを放置できず、参戦せざるを得なくなる、と考えるほうが妥当であろう。
 そのイスラエルの不安から来る、イラン攻撃の可能性に対し、ある意味では、イスラエルよりも敏感に、かつ強い不安を抱いているのは、イランに隣接する湾岸諸国だ。
イスラエルがイランを攻撃し、それにアメリカが加担することになれば、ほとんどの湾岸諸国は、アメリカ軍の基地を抱えていることから、戦争に巻き込まれざるを得ないからだ。
 バハレーンとイランとは、歴史的にも宗派的にも、多くの複雑な問題を抱えている。バハレーンのシェイク・ハーリド・ビン・アハマド・ハリーファ外務大臣が、イランを訪問し、アハマド・ネジャド大統領を始めとする、イラン側の高官らと会談している。
 (イランはバハレーンを、自国の領土だと考えているし、バハレーンのイスラム教徒の多くは、シーア派でありイランと同じ宗派なのだ。このため、これまでも何度と無く、イランが背後から支援しているのではないか、と思われる破壊工作が起こっていた。)
その後で、バハレーンのシェイク・ハーリド・ビン・アハマド・ハリーファ外相は「バハレーンはイランを始めとする、地域諸国への攻撃の、前線基地にはならない。}と語った。
そして外相は「アメリカとの防衛合意は、あくまでも防衛目的であり、攻撃が目的ではない。またバハレーンの基地には、攻撃的兵器は蓄積されていない。」とも語っている。また、同外相は「湾岸のアラブ諸国は、押しなべて、いかなる武力衝突も、戦争も望んでいない。}と語った。
これとほぼ時を同じくして、アラブ首長国連邦に駐在する、イランのムハンマド・レザ・ファイズ大使は、イランとアラブ首長国連邦の関係は、確かなものであるとし、エネルギー部門でも協力関係は確かなものになっている、と語っている。(アメリカを中心とした西側先進諸国の、イランに対する経済制裁で、アラブ首長国連邦からイランへの、ガソリンの輸出や通商制限を、させない目的の発言であろう。)
つまり、バハレーンを代表とする、アラブ湾岸諸国はいま押しなべて、イラン攻撃を恐れているということだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:25 | パーマリンク

2010年08月21日

NO・1739「アメリカ軍イラク撤退とは言うが?」

 イラクのサダム独裁政権を倒す、そのことによって、WMD(大量破壊兵器)撲滅を果たす、という大義名分で始まめられた、アメリカによるイラク戦争は、2003年3月に以来、今日までに大量の戦死者を、アメリカ軍とイラク軍に生み出した。そしてそれ以後も、駐留アメリカ軍と新生イラク軍や警察に、更なる大量の犠牲者を生み出している。(アメリカ政府の公式発表では、アメリカ軍人は4415名、負傷アメリカ軍人は約32000名、民間の発表ではこれ以上の犠牲とされている。たとえばICHはイラク人犠牲者数を1366350名、アメリカ軍犠牲者数を4733名と伝えている)
 イラクの民間人の死亡者数は、100万人を超えたと伝えられているし、その難を逃れ、イラクの周辺諸国に移り住んだ、イラク人難民の数も何百万人の単位で、報告されている。
 そしてこの8月19日、アメリカ政府はイラクからアメリカ軍戦闘部隊を、撤退させる事を決定し実施した。アメリカ軍は戦闘地イラクからクウエイトに移動を終了したということだ。
 このアメリカ駐留軍(占領軍)のイラクからの撤退は、歓迎すべきことであろう。もちろん、アメリカ軍の撤退後には、多くの危険が待ち受けているため、イラク国民の多数が将来の安全に対する、不安を高めていることであろう。既にアルカーイダは、イラク国内での戦闘活動を拡大していくことを、宣言しているし,アラブ、トルコマン、クルドという人種間の武力衝突や、スンニー、シーアというイスラム教宗派間の衝突もあろう。
膨大な量の石油資源を持つイラクに対し、周辺諸国ばかりではなく、欧米諸国も、イラクに対し新たな食指を、伸ばしてくることであろう。つまり、イラクは今後、多方面からの介入や工作により、ますます混乱の度を増していく、と予測するのが常道であろう。
しかし、いまイラク人が考えなければならないことは、アメリカ軍の駐留によって、国内的な安定が期待できる、という安易な他力本願の考えを、捨てるということだ。自国の安全と安定は、イラク国民自らが、実現していかなければならないということだ。それを行わなかった日本が、大東亜戦争後今日に至ってどうなっているのかを、考えてみれば分かることだろう。
イラク政府と国民は、アメリカ政府が巨額の赤字を抱え、やむなくイラクから軍を撤退させ始めたいまこそ、全面的な撤退を勝ち取るべきではないのか。アメリカ政府はアメリカ軍を撤退させた後に、民間警備会社に対し、多数の警備員(戦闘員)を、イラク国内に送り込むことを決めている。彼らの蛮行は既に、十分イラク国民と政府は認識しているであろう。
加えて、アメリカ軍が今後、イラクの軍や警察を指導する、という名目で残留するが、これも出来るだけ早く撤退させるよう、イラク政府と国民は動くべきであろう。
アメリカ軍は全面撤退を、2011年には実現すると言っているが、それでは何故巨大な軍事基地を、イラク全土に築いたのか。その費用は莫大であろうが、それは何処から捻出して来ていたのか。そして、アメリカ軍が全面撤退することを、アメリカ政府は全く予想せずに、これらの軍事基地を、建設してきたのだろうか。
そうとは思えない、アメリカ政府がアメリカ軍を、イラクから全面撤退するのは,あくまでも臨時的措置だ、と考えるべきではないのか。いまアメリカは他の敵と対峙するために、イラクに大量の軍を投入させてはいられない、ということではないのか(あるいはイランとの戦争に備えて、アメリカ軍をイラクから一時的に、退避させることが目的ではないか?)。
イラク政府はアメリカ軍のイラクからの、完全撤退を実現する方向で、アメリカ政府と交渉すると同時に、アメリカ軍が再度、イラクに派兵されてこないような合意を、取り付けておく必要があろう。そうしなければ、アメリカ政府はこれまでに構築した、アメリカ軍のイラク国内の基地を、何時でも自由に使用できる、状態になってしまうからだ。
そうなれば、イラクは永久にアメリカの占領下に、置かれるということだ。それでは、これまでのイラク人の犠牲は、何の意味も無い、無駄なものになってしまうだろう。
アメリカ政府がイラクから手を引き始めたいまこそ、イラク政府と国民は自分の国の治安は、自分の国民と政府で、確かなものにしていく、という意志を固めて欲しいものだ。そのためには、イラク政府はイラク国内にある、アメリカ軍基地について、正確な情報をイラク国民に知らせることが、先決ではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 12:26 | パーマリンク

2010年08月20日

NO・1738「イスラエルは世界で孤立しているか・各種調査結果」

    
 イスラエルのテルアビブ大学が行った世論調査によれば、イスラエルは国際社会のなかで孤立している、イスラエルがどう対応しようとも、世界はイスラエルを、非難するだろうというものだった。
 このテルアビブ大学の調査によれば、イスラエル国民は、世界の56パーセントがイスラエルに敵対的であり、54パーセントはイスラエルが世界コミュニテイのなかで孤立している、という結果が出た。
 この結果、イスラエル国民の77パーセントは、イスラエルがどうパレスチナ問題に対応しようとも、世界はイスラエル非難を続ける、と考えているということだ。
 他方、イスラエルに国籍を有するイスラエル・アラブ人(パレスチナ人)は、国際社会全体で、イスラエルが孤立しているとは思わない、と答えた者が75パーセント、イスラエル体制が世界のなかで、孤立しているとは思わないと答えた者が51パーセントいた。
 しかし、イスラエル・ユダヤ人の66パーセントが、政府は国際社会のなかで、失敗したと判断している。これに対し、イスラエル・アラブ人は44パーセントが、イスラエル政府について「良い」「非常に良い」という評価を、下している。
 今回のテルアビブ大学の世論調査結果は、もう一つの世論調査の結果に影響を受けたものなのか、あるいは、その結果に左右されないものかは分からないが、もう一つの世論調査結果は、イスラエル・ユダヤ人にとって、極めて厳しい内容になっている。
 そのもう一つの世論調査は、アメリカ・ユダヤ組織によって、実施されたものだが、その結果は以下のようなものになっている。

:アメリカはイスラエルを支援する必要があるか?
―2009年8月:YES63%
―2010年6月:YES58%
―2010年7月:YES51%

:イスラエルをどう思うか?
「ドイツ」
―暖かい非常に暖かい:19%
―冷たい非常に冷たい:50%
:パレスチナ人をどう思うか?
―暖かい非常に暖かい:26%
―冷たい非常に冷たい:39%
「フランス」
―暖かい非常に暖かい:24%
―冷たい非常に冷たい:31%
「スエーデン」
―冷たい非常に冷たい:49%

 この二番目の与論調を査前にした時、イスラエル・ユダヤ人が、イスラエルは世界で孤立している、と感じても自然であろう。それは多分に、イスラエルの取った行動の結果であるということを、イスラエル・ユダヤ人は、真摯に受け止めるべきではないのか。
こうした国際的に孤立した状態に、イスラエルが陥った理由は、何も諸外国の、人種差別的な理由によるものではなく、イスラエルが行ったガザ戦争、トルコの支援船フロテッラ号への襲撃などが、主に原因しているのであろう。
イスラエルはそのことを、冷静に受け止め、国際社会から歓迎される、国に変化していくべきであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:49 | パーマリンク

2010年08月19日

NO・1737「西岸ラマダン月のコーラン読誦規制」

 ラマダン月(断食月)は、イスラム教徒にとって特別の月だ。一日の断食が終わった後には、毎晩がお祭り騒ぎになり、友人知人が招待しあうということは、以前にもご報告したとおりだ。
 ラマダン月は述べるまでもないが、このようなお祭り騒ぎばかりではない。善男善女も悪男悪女も、押し並べて宗教的な雰囲気に浸るのだ。ラマダン月以外の時も、一日5回の礼拝時を伝えるアザーンは、各モスクかららラウド・スピーカーで流れてくるが、そればかりではなく、ラマダン月になると、日中や夜間にもコーランの読誦が、ラウド・スピーカーから流されるのだ。
 述べるまでもないが、このコーランの読誦は、イスラム教徒たちを敬虔な気持ちにさせ、聖なる月ラマダンのなかに自分があることを、実感させるのだ。したがって、このコーランの読誦がラウド・スピーカーから流れても、イスラム教徒は誰もそれを、うるさいとは感じないのだ。
 しかし、いまヨルダン川西岸地区では、このコーランの読誦が問題になり、その対策がまた問題となっている。最初はヨルダン川西岸地区に入植した、イスラエル人の間で不満が高まり「うるさいから何とかしろ。」というクレームがイスラエル政府側に伝えられ、イスラエル政府はそれを受けて、パレスチナ自治政府に対処を命じた。
 パレスチナ自治政府には、イスラエル政府の命令は絶対であり、直ちにヨルダン川西岸地区のモスクに対し、ラウド・スピーカーでコーランの読誦を流すことを、止めるように通達した。
 このパレスチナ自治政府の指示に、即座に噛みついたのは、パレスチナ自治政府と敵対関係にある、ガザのハマース組織だった。「コーランの読誦を禁止するとは何事だ。」「しかも、それに従わないイマームを更迭するとは何事だ。」という抗議を始めたのだ。
 ハマースは、モスクのイマームの説法内容を統一しようとする、パレスチナ自治政府の姿勢にも噛みついた。パレスチナ自治政府にしてみれば、モスクが反体制側の拠点、集会所になることを、放置できないからであろう。また、イマームが反パレスチナ自治政府の内容の説法をすること、聖戦(ジハード)をあおるような内容の、説法をすることは、極めて不都合なことなのだ。
 ハマース側は宗教的な行事を規制する、パレスチナ自治政府は、他方でナイト・クラブやカジノの運営を許可している。これではイスラム教に対する、挑戦であり戦争だ。」とまで非難の舌鋒を鋭くしているのだ。
 そもそも、事の起こりは、正当な権利を持たないイスラエル人が、勝手にパレスチナ人の土地に入ってきて、強引に住み着いたことが発端だ。その彼らが、今度はコーランの読誦がうるさい、とクレームをつけるというのは、言語道断であろう。
 その明白な正論よりも、イスラエル政府の命令に従う、パレスチナ自治政府の立場が、いかに弱いものであるかが分かろう。パレスチナ自治政府はイスラエル政府の庇護下にあるのであって、イスラエルとの間で、パレスチナの権利を主張して、交渉している組織とは、最早言えなくなっているのではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:42 | パーマリンク

2010年08月18日

NO・1736「レバノン政府がパレスチナ難民の労働許可」

 
 レバノン政府が正式に、在レバノン・パレスチナ難民に、労働許可を与えると発表した。声明はナビ・ベッリ議会スポークスマンによって、公表さらたものだが、これは実質がどうであれ、大きな躍進と言えるだろう。
 これまで、レバノンに居住するパレスチナ難民は、高度な教育を受け、専門的な知識や技術を持っていても、それを生かして就職することが、出来ないでいた。そのパレスチナ難民の前に、横たわっていたバリアが、解かれたということであろう。
 しかし、現実はそれほど革命的な、変化にはならないかもしれない。例えば、薬剤師や医師、エンジニア、弁護士などが、就職するか自分でオフィスを持つ場合には、レバノンの職能組合のメンバーになることが必要だからだ。
 パレスチナ人の就業の自由が認められても、現実にはそうはならない職種が、たくさんあるのだ。しかし、そうはいえ、今回のレバノン政府の決定で、パレスチナ難民の多くは、将来に対する希望が、持て始めているのではないか。
 このレバノン政府の新たな、パレスチナ難民に対する処遇を巡る決定に、ネガテイブな面は無いのだろうか。一番気にかかるのは、この結果、パレスチナ難民の帰還権は実質的には、永久に認められなくなるのではないか、ということだ、
 イスラエル政府の高官たちは、事あるごとにパレスチナ難民は、帰属するアラブ各国が市民権を与え、居住を許可し、その国の国民になっていくのが、一番いいと主張してきている。
 その結果、イスラエルはパレスチナ難問を、周辺のアラブ諸国から、受け入れなくてよくなるからだ。つまり、レバノンにおける、パレスチナ難民に対する就業の許可は、同時に、イスラエルの主張する「パレスチナ難民に帰還権はない」とする立場を、補強することになるのではないか、ということだ。
 したがって、うがった見方をすれば、今回のレバノン政府の「パレスチナ難民に対する就業許可決定」は、実はアメリカなどからの、圧力の結果だったのではないか、ということだ。
 レバノンには現在、40万人程度のパレスチナ難民が、居住していると言われているが、彼らが自由に経済活動を始めた場合、将来に、どのような結果が出てくるか、想像もつかない。
 したがって、パレスチナ難民に就業許可が出たからと言って「めでたし、めでたし」とばかりは、言っていられないのだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:38 | パーマリンク

NO・1735「オバマ大統領トルコにイスラエル政策修正を要求?」

       
 8月17日のアルコドスルアラビー紙は、一面トップで、アメリカのオバマ大統領がトルコに対し、イスラエル対応を変えなければ、トルコへの兵器供与を中止する、と語ったと報じた。
 もしこの報道が事実であるとすれば、アメリカの中東政策に、大きな変化が生まれるということだ。この同じ時期に、アルカーイダのナンバー2であるアイマンザワーヒリは、トルコに対して、オスマン帝国としての役割を、果たすように求めている。
 確かに、最近のトルコの外交は、アメリカの外交と合致しない点が多い。たとえば、アメリカが最も重視している、イスラエルとの関係は、極めて厳しいものになってきているし、イランに対し、アメリカが経済制裁を強化する中でも、トルコはイランに対し、ガソリンを供給することに加え、貿易を拡大させてもいる。
 こうした状況を見ていると、アメリカがトルコに対して、怒りを爆発させるのは時間の問題だ、と捉えている中東専門家、トルコ専門家は少なくなかろう。しかし、実際はそうではないのではないか。
 トルコがイスラエルに対して、極めて厳しい対応を取っているのは、アメリカにとっては、好都合な部分もあろう。アメリカが言い難いことを、トルコが代弁してくれている、ということもあろう。トルコが厳しい対応をとっても、アメリカがそれをなんら非難しなければ、アラブ諸国は溜飲を下げることになるだろう。
 そして、アラブ各国の首脳たちは、アメリカにはトルコを使って、イスラエルの国内外政策を、修正したいという願望があるのだ、と理解するのではないだろうか。
 ここで忘れてならないのは、アメリカにとって、トルコはマレーシアと並び、穏健なイスラム国であり、しかも、世俗主義の国家であり、民主国家だということだ。そのことは、アメリカが中東世界や、イスラム世界に対する対応の上で、トルコは最も好都合な、パートナーであるということだ。
 また、アメリカが直面している、中東の国々への対応でも、トルコの果たしうる役割は大きい。イラク、シリア、レバノン、ガザのハマース、イラン、アフガニスタンへの対応で、現在トルコが果たしている役割は、大きいものであり、そのことはどの国も否定できないだろう。
 表面的には関係が悪化したことになっているトルコとイスラエルは、いまだに軍事面での協力関係が、続いているのだ。最近、エルドアン首相が主催したラマダンのエフタールパーテイに、イスラエル大使が招待されなかったことが、大きな関心と話題を呼んだが、フロテッラ号事件の後であるだけに、エルドアン首相としては、国内外の反応を考慮すると、招待し難かったのであろう。
そのことで、イスラエル側から激しい非難の言葉が、トルコ側に向けられたとも、厳重な抗議があったとも、聞いていない。それは、トルコは招待しない理由を、事前にイスラエル側に、丁寧に説明し、伝えていたからではないのか。
トルコの外交は、一見乱暴なイメージを与えているが、内実はそうではない。フロッテラ号事件の後も、トルコに滞在しているイスラエル人が、暴漢に襲われたというニュースは、全く伝えられていないし、トルコ国籍を有するユダヤ人が、何らかの差別や被害を蒙った、というニュースも伝わってきていない。
つまり、トルコは十分に成熟した国家であり、政府であり、国民だ、ということだ。そのことを、アメリカは正確に評価しているのではないか。そうであるとすれば、アルコドスルアラビー紙が伝えたようなことは、起こらないと考えるべきではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:05 | パーマリンク

2010年08月17日

NO・1734[イスラエルがトルコに代えてギリシャを盟友に?」

        
 イスラエルのネタニヤフ首相が、月曜日にギリシャを訪問した。これは、イスラエルの首相の訪問としては、初めてのことであり、大きな話題を呼んでいる。当然のこととして、ネタニヤフ首相が何故この時期に、ギリシャを訪問したのか、という訪問理由について、関心が集まった。
 ネタニヤフ首相はギリシャで、次のような発言をしていることが、この疑問への答えに繋がるかもしれない。「イスラエルはギリシャの発展に、出来るだけの支援を、送るつもりだ。」と語っているのだ。
 これに対して、ギリシャのパパンドレウ首相は「ギリシャとイスラエルとの関係が、トルコとイスラエルとの関係と、競争になってはならない。」と語っている。つまり、パパンドレウ首相は最近、フロテッラ号での事件などから、悪化しているトルコ・イスラエル関係のなかで、ギリシャがイスラエルとの関係を強める意思はない、ということであろう。
 ギリシャにしてみれば、イスラエルとの関係と、トルコとの関係を比べた場合、経済的メリットはトルコの方が大きい、と判断しているのではないか。これまで、ギリシャとトルコとの関係は、極めて悪かったのだが、ギリシャの経済危機の後に、大きな関係改善の兆しがみられるからだ。
ギリシャ政府はそう判断しているであろうし、ギリシャ人の左翼層は、ネタニヤフ首相の訪問に反対し、訪問反対デモを繰り広げてもいる。
イスラエルの本音はどうであろうか。イスラエル政府はトルコの最近の、冷たい仕打ちに対する、抵抗としてのゼスチュアーで、ギリシャとの接近を演じたのであろうが、それはイスラエルの本心ではないことは、トルコには手に取るように分かるだろう。
ギリシャは経済的に破たん国家であり、軍事的に脆弱である以上、イスラエルにとって、中東・地中海地域での、強力なパートナーとはなり得まい。そのことに加えて、トルコにはアラブ諸国や、イランに対する影響力があるが、ギリシャにはそうした力も、外交関係もない。その点、現段階では冷たい関係とはいえ、トルコとの関係は重要であり、根強いものがあろう。
イスラエルの政府高官は、今回のネタニヤフ首相による、ギリシャ訪問について「ギリシャとの軍事面での協力関係を強化する意向だ。」と語っているが、しかし、それはすでに述べたように、あまり意味がないのではないか。
ギリシャがトルコに代わって、イスラエル人旅行者を大量に受け入れるようになれるかというと、それも思うようにはいくまい。それは、ギリシャ国内が極めて、不安定な状態にあるからだ。
観光客を呼ぶには、国内が安定しており、外国人観光客にとって、治安上の不安が無いこと、受け入れ国の人たちが、笑顔で迎えてくれること。施設が完備され、保全されていることなども、重要だからだ。その点から見ても、ギリシャはトルコには、勝てないだろう。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:49 | パーマリンク

2010年08月16日

NO・1733「バハレーンの不安定化はイランそれとも西側の関与?」

 バハレーンは湾岸諸国のなかで、最も初めに石油を産出した国である。バハレーンはこの石油の富を、周辺の湾岸諸国のために、相当使ってきている。このため、バハレーンは小国ではあるが、湾岸諸国のなかで、しかるべき位置を、湾岸諸国のなかで確保している。
 そのバハレーンは、古くから開けてきたこともあり、湾岸諸国のなかでは、最も近代化し、自由が拡大している国の、一つであろう。例えば、公式にはアルコールが飲めない、湾岸諸国のなかにあって、バハレーンは例外的に、アルコールを買うことも、飲むことも出来る国なのだ。
 女性の職場進出も多いし、高度な教育を受けた人も少なくない。そのため、バハレーンは湾岸の中にあって、金融センターや報道のセンターとしての、歴史も古い。
 もちろん、こうであるということは、開明的な発想をする国民が、多いとうことにもつながる。バハレーンの王家がスンニー派であることから、シーア派の人たちは長い間、二等国民的な扱いを受けてきている。そのため、シーア派国民による政治活動、民主化活動は、大分前から活発に行われてきている。
 それが最近になって、以前にも増して、活発化していることが、気にかかる。バハレーンのシーア派の民主化活動は、イランの関与によるものなのか、あるいは欧米の関与、もしくは欧米の影響を受けた、自由化民主化であって、イランとは何ら関係ないものか、ということだ。
 最近、ロンドンでバハレーンの民主化について、講演をして帰国した、アブドッジャリール・シンガシ氏が逮捕された。それに続いて、シーア派の二つの村で、警察と住民の衝突があったということだ。そして、数人が逮捕されている、という報告があった。
 バハレーンのシェイク・カリーファ国防大臣は、湾岸地域が一体となって、治安を強化する必要があることを訴えているが、同時に、彼は駐バハレーン・イラン大使との間でも、両国の治安協力について、話し合っている。
 こうして見ると、現在バハレーンで起こっている民主化運動は、イランの関与というよりも、欧米の影響を受けた、インテリによる行動、というようにも取れそうだ。もちろん、アブドッジャリール・シンガシ氏以外の、活動家もいるであろうから、バハレーンの民主化運動を、イランとは全く関係ない、とは言い切れないが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:15 | パーマリンク

NO・1732「ラマダン月に食料急騰貧困国ほどダメージは大きい重症」

    
 いま、世界中のイスラム諸国は、断食月(ラマダン月)の真っ最中だ。30日間に渡って行われる断食は、宗教義務であり、それまでの多くの間違いと、罪を洗い流してくれるということで、思いがけない人物が、極めて真面目に実行していたりして驚かされる。
イスラム教徒にはやはり、どんな遊び人でも、イスラム教のDNAが体内に組み込まれているのだろう。大酒飲みやプレイボーイが、いたって殊勝な顔で、腹をすかしているのを見ると、ほほえましくもあるが、宗教の力の大きさを、実感させられる一場面でもある。
その宗教行事であるラマダンの断食は、日の出2時間前ぐらいから始まり、日没の5−6分過ぎまで、飲食煙草を含めて口から入るもの、一切が禁じられるのだが、日没後の水と食事の摂取量は、通常の1,5倍から2倍にも達する。
彼らはお互いに近隣友人親せきを招待しあい、毎晩がお祭り騒ぎになるのだ。日没後に軽く食事を摂り、マグレブの礼拝(日没後の礼拝)を行い、しばらくすると今度はタラーウイの礼拝(ラマダンつきに行われる、通常の礼拝以外の特別の礼拝)に、モスクに向かうことになる。そして、それを終えると再度、食事がふるまわれ、そして次の日の日の出前には、断食の苦痛を軽減するための、スフールの食事が用意される。
その食事を摂り、ファジルの礼拝をし、断食を立派に果たします、という宣誓が行われ、その日の断食がスタートする。実際にそのまま仕事をしそうなものだが、そうではない。多くのイスラム教徒は、その後、昼と夜とをたがえて眠り、日没の少し前に起きて断食の終わる時間を、待つということになる。
もちろん、そうした輩ばかりではなく、時間こそ短縮されるが、通常とあまり変わらない仕事ぶりを発揮する、善良なイスラム教徒も、沢山いることはいるのだ。
こう説明すると、ラマンダンの断食月は、イスラム教徒にとって、年に一カ月の、大事な宗教行事の月であると同時に、お祭り月でもあるということだ。したがって、この月の食料供給事情がどうかということは、政府に対する支持不支持にも、直接影響を及ぼすことになる。
残念なことに、今年のラマダンは食料品の高騰が、イスラム諸国のなかで、目立っている。それは、干ばつや災害による、穀物の収穫不足が原因だ。富裕なイスラム国の場合は、政府の補助金で、価格は引き上げられずに済むが、貧困国では、穀物の値上がりが、直接、しかも痛烈に一般家庭の台所を、襲うことになる。
今年は、エジプトとイエメンが、大変なようだ。エジプト政府は政府批判が高まることを警戒し、貧困家庭にラマダン・バッグ(中に食料が入った袋)を、大量に配布している。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:52 | パーマリンク

2010年08月14日

NO・1731「イラン・ブシェール原発8月21日燃料棒挿入」


 ロシアが建設を受け持っていた、イランのブシェール原発に、燃料棒が入れられることが発表された。これでブシェール原発は稼動することになるが、そうなるともう、空爆を行うことは不可能になる。
 それは、稼動している原発に対して、もし空爆が行われた場合、大量の放射性物質が、ばら撒かれることになるからだ。その結果、近隣だけではなく、相当離れた地域の住民にも、放射能被害が発生することになろう。
 かつて、イスラエルがイラクのオシラク原発(タンムーズ原発)に対して、空爆作戦を行ったのは、燃料棒が挿入される、ぎりぎり前のタイミングだった。当然、結果的にこの空爆で放射性物質が、散乱することは無かった。
 シリアの核施設に対するイスラエルの空爆も、同じようなタイミングを、考慮した結果だったのではないか。
 さてそうなると、イランのブシェール原発の場合は、どうなるのであろうか。アメリカは早々と、IAEAによる監視の下に行われるのだから、問題ないとし、何の手出しもしない、という立場を既に明らかにしている。
 それはロシアの面子を、守るということでもあり、しかも、ロシアはこのブシェール原発から出る放射性物質を、確実に完全に全量を回収するということを、アメリカに伝えているのであろう。そうなれば、イランがブシェール原発で出来る、放射性物質を勝手に集めて、核兵器にするという危険性は、無いということであろう。
 さて、それでは今回のイランのブシェール原発の稼動スタートは、何の問題も生み出さないのであろうか。唯一残る懸念は、イスラエルがこのブシェール原発の稼動スタートに、どう反応するかだ。
 イスラエルは中東地域にあって、唯一の核兵器保有国である、という立場を守ることにより、周辺アラブ諸国に対し、絶対優位を確保しているのだ。そのことが、アラブにイスラエルに対する、軍事行動を起こさせない、防止効果もある。
 以前から言われていたことだが、今回のイランのブシェール原発の稼動は、核兵器生産につながる、性質のものであるだけに、イスラエルが何らかの行動を起こす可能性を、否定できまい。
ブシェール原発に燃料棒が挿入されるのは、8月21日であり、残された時間は、すぐそこまで迫っているということだ。今は、何事も起こらないことを、祈るのみだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:06 | パーマリンク

2010年08月13日

NO・1730「トルコがPKKに化学兵器使用?」

        
 トルコは1980年代から、クルド労働党(PKK)のテロ攻撃に、悩み続けてきている。このPKKテロリストによる攻撃で、4万人以上のトルコ人が、犠牲になったと報告されている。
 今年の半ばごろからPKKによる攻撃が増加傾向にあるが、ドイツの週刊誌デル・シュピーゲルはトルコがPKKに対して化学兵器を使用した疑いがあると保持他。このことでドイツの政治家たちは国際的な調査を実施すべきだと主張し始めている。
 PKK側の発表によれば、8人のPKK戦闘員が、トルコの化学兵器の犠牲になったということだが、ドイツのハンブルグ大学病院は、それを事実として認めている。これら8人の犠牲者は、昨年の9月に犠牲になったということだ。
 さて、極めて慎重なクルド対応を行ってきているエルドアン政府が、クルド人テロリスト(PKK)に対して化学兵器を使用するだろうか。もしそれが事実であるとすれば、トルコのエルドアン首相は、国際世論を敵に回すことになるし、トルコがいままで訴えてきた、PKKのテロ活動非難は、一瞬にして瓦解してしまおう。
 そうだとすれば、考えられることは、トルコ軍部の一部の独断による、化学兵器の使用であろう。まさか外国の工作員が、化学兵器を使用し、トルコ軍に濡れ衣を着せたとは考え難い。
 もちろん、全ては国際調査団の調査が行われた後の話なのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:51 | パーマリンク

NO・1729「愚かなフロリダのキリスト教会のイベント」


 アメリカのフロリダ州にあるキリスト教会が、コーランを教会の庭で燃やす、イベントを計画した.期日は9月11日であり、明らかにニューヨークのツイン・タワー・ビルに旅客機が突っ込んだ日と同じ日だ。
 このキリスト教会は、多分にこのイベントで、アメリカや世界中のキリスト教徒の、関心を引こうということであろうが、実に馬鹿げたことではないか。一部のキリスト教徒からは、なにがしかの寄付が送られるかもしれないが、多くのキリスト教徒からは、このイベントがキリスト教の精神と、全くかけ離れているとして、忌み嫌われよう。
9・11事件が、もし本当にイスラム教徒の原理主義者によって、起こされたものだと仮定しても、世界中のほとんどのイスラム教徒は、この惨事を痛みこそすれ、賛成はしていないのだ。
 以前にこれと同じような、馬鹿なことをした、ガイネスビルというキリスト教会があるそうだが、この教会の場合は「イスラムは悪魔だ」とプリントしたTシャツを、配布したということだ。
 同じアブラハムに起源を持つ、イスラム教とキリスト教が、このように意図的に敵視し、行動することは神の下で、許されるべきではあるまい。このようなイベントを実行するキリスト教団体は、根底において、テロを行うイスラム教原理主義団体と、何ら変わりないのではないか。
 宗教の根本は、神を畏れ、神に感謝し、平和を志向することではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:27 | パーマリンク

2010年08月12日

NO・1728 「ファラオ頼みのエジプトの民主化」

       
 古代エジプトの王は、ファラオと呼ばれていた。日本でも知られているラムセス王もツタンカーメン王も、皆ファラオなのだ。エジプトはこのファラオとナイル川が、安定と繁栄をもたらしてくれるものだった。
 ファラオは今でこそ存在しないが、エジプトの大衆の心のなかには、いまだにファラオのイメージが、生き続けているのだ。一旦ある人物が権力を掌握すると、その人物の良し悪しは別に、国民はその人物が権力トップの座に、なるべく長期間に渡って、居座ってくれることを望むのだ。
 たとえ悪人が権力を握ったとしても、庶民はナイル川のもたらす豊かさで、十分に生きていけるのだ。ナイル川の運ぶ肥沃な土が麦を育て、果物を実らせ、野菜を成長させ、家畜を育ててくれるからだ。
 したがって、エジプトの大衆の心と身体のなかには、いまだにファラオとナイルの恩恵が生き続けているのだ。
 この事実に、元IAEA事務局長だった、ムハンマド・エルバラダイ氏がやっと気がついたようだ。彼は28年もの長い間欧米で生活し、カイロの下町のごみごみした空気と臭いを、完全に忘れていたのだろうか。
 ムハンマド・エルバラダイ氏が、エジプト人大衆の心理を理解できたのは、今回大統領選挙立候補に向けて、動き出した時だった。最初のうちは、様子を見ていた野党各党が、ムスリム同胞団のムハンマド・エルバラダイ氏接近を見て、急に同氏に接近し始めたのだ。
 そして、ついには相当数のエジプト国民が、ムハンマド・エルバラダイ氏を次期大統領として、推すようになったのだ。しかし、問題は現行憲法では、彼は立候補できないということだ。彼が大統領選挙に立候補するためには、憲法の改正が行われなければならない。
 したがって、エジプト人大衆がいま行うべきは、憲法改正に向けた署名運動であり、政治集会の開催なのだが、エジプト国内ではムハンマド・エルバラダイ氏を、担ぎ上げる動きだけが先行している。
 つまり、エジプト国民はムハンマド・エルバラダイ氏を支持さえすれば、後は彼が全てを変えてくれる、という全く現実的では無い判断を、下しているのだ。しかし、現状でのままでは、何事も前進しないということだ。
 ムハンマド・エルバラダイ氏はいま、エジプト人大衆の心に巣食って、動こうとしないファラオ信仰に、ホトホト呆れているのではあるまいか。街中ではムハンマド・エルバラダイ氏の名を大声で叫び、警察と衝突を繰り返す集団が、幾つも登場するが、彼らは存在しないファラオと同じように、現状のままでは不可能な、ムハンマド・エルバラダイ氏の大統領就任を、夢想しているのであろう。しかも、現実に不可能な状況を変える、困難な仕事は全て、ムハンマド・エルバラダイ氏に託そうというのだ。
 そのエジプト人大衆の、ファラオ信仰を破壊しないことには、ムハンマド・エルバラダイ氏の大統領選挙への立候補は、不可能なのだが、もしそれをムハンマド・エルバラダイ氏が分からせようとすれば、大衆の支持を失いかねないという、両刃の剣のような危険が、背中合わせになってもいるのだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:30 | パーマリンク

NO・1727「アメリカの対イラン単独制裁は有名無実になるか」

        
 アメリカがイランの核兵器開発疑惑に激怒し、新たな制裁を強化させることを決めた。そして、それは一応国連の決議による部分もある。つまり、形式的には国際社会の意向に沿った決議、ということになるのだが、実際に実効性があるかというと、そう簡単ではないようだ。
 そもそも、国連でのイランに対する制裁決議は、アメリカのごり押しによって、ぎりぎりのところで決議された、という経緯がある。ロシアや中国は裏に、幾つもの条件を付け、アメリカの意見に賛同した、という認識が一般的だった。
 曰く、ロシアや中国は国連決議が出された後も、イランとの関係を維持していく、それに対して、アメリカは強い批判を寄せない、ということであった。ロシアはイランに対して、武器を輸出することを継続し、これまで手掛けてきた、核施設の建設にも協力していく。中国もイランとのエネルギーを中心とした、経済関係は継続するということだった。
 ここにきて、実情はどうかというと、中国はトルコと一緒に、イランに向けてガソリンを輸出している。このガソリンは兵器を稼働するための、燃料であることを考えると、当然、制裁が第一に実行されるべき物資、ということになるのだが。
 ロシアはロシアで、以前に契約が交わされた、S−300ミサイルの引き渡しを遅らせてはいるが、それが何時まで続くのかは分からない。イラン側はこのミサイルについては、制裁以前の合意であり、制裁は解除されるべきものだ、と主張している。
 ロシアは多分に、S−300を含め兵器のイラン向け輸出は、時間だけの問題ではないか。つまり、時期が来れば、イランに兵器を引き渡すということだ。ロシアはイランに対する、アメリカの単独制裁については、反対の立場を明らかにしている。
 それではもう一つの国、トルコはどうなのであろうか。トルコはブラジルと共に、イランに対する制裁に反対した国であり、現在もイランに向けて、ガソリンを輸出している。一説によれば、7月のイラン向けガソリン輸出は、微減しているということではあるが、輸出そのものは停止していないのだ。
 つまり、具体的にはロシア、中国、トルコといった大国が、こぞって実質的な制裁破りを、しているということだ。加えて、スイスの企業EGL社も、イランとのガス輸入契約を、維持し続けている。
 EGLの場合は、2007年に交わされたガス輸入契約であり、その額は180億ユーロにも上るものだ。この契約は25年の期間となっている。
 アメリカは実を取らず、あくまでも名だけを取った、ということでなのであろうか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:01 | パーマリンク

2010年08月11日

NO・1726 「アラブ人のエルサレム巡礼を巡る可否」

        
 最近、やっとエジプトの宗教担当大臣が、エルサレムへの巡礼に賛成する趣旨の発言をした。これまでは、感情的な問題や、アラブ政府による規制などがあり、エルサレムへの巡礼は実質的に、強い規制を受けていた。
 しかし、イスラム教徒のアラブ人にとっても、キリスト教徒のアラブ人にとっても、エルサレムは重要な聖地となっている。このため、だいぶ前から巡礼に対する規制を、緩和するようにという要望があった。
 アラブ諸国にとっては、1967年の第三次中東戦争で、エルサレムをイスラエルに占領支配されて以来、エルサレムへの巡礼は、イスラエル側の厳しい規制の下に置かれており、実質的に不可能であったということから、感情的に規制するように、なっていったのであろう。
 もちろん、それ以外にもエルサレムに巡礼に出かけたアラブ人が、イスラエルの官憲によって逮捕され、洗脳されてスパイに仕立て上げられ、それぞれの国に帰される、という懸念もあったろう。
 しかし、アラブ人がエルサレムに巡礼に行かないために、パレスチナ人たちはアラブ人以外の旅行者を対象に、ビジネスを行わなければならなかったし、それは極めて限られた、範囲のものであったろう。
 世界中のイスラム教徒、アラブのキリスト教徒が大挙して、エルサレムに巡礼に行けば、パレスチナ問題は実感をもって、同胞たちに受け止められるように、なるのではないか。
 述べるまでもなく、エルサレムは、キリスト教徒にとっては、イエス・キリストのゆかりの地であり、科刑に処せられた地であり、イエス・キリストの墓がある場所だ。
 イスラム教徒にとっては、エルサレムはメッカ・メジナに次ぐ、第三の聖地とされている。それはイスラム教の預言者ムハンマドが昇天し、アッラーに会いに行ってきた場所だ、とされているからだ。
 戦争による敗北、その屈辱感、そして敵に対する憎しみと不信感が、こうまでも長い間、アラブのイスラム教徒やキリスト教徒を、エルサレムへの巡礼に、向かわせなかったのであろう。我と神との間のことについては、政府はあまり深く介入しないのが、一番いいのではなないかと思えるのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:19 | パーマリンク

2010年08月10日

NO・1725「パン不足が革命を起こす・エジプトの例」

       
 エジプトの大統領がサダト氏の時代、確か1979年頃、エジプト政府がパンの価格を引き上げることを決定したところ、エジプト全土で暴動が発生したことがある。当然、政府は大慌てで、値上げを撤回している。
 いまエジプトでは、似たような現象が起ころうとしている。その原因は、エジプト政府の決定に基づくものではなく、外部要因によるものだ。世界的な干ばつや、ロシアでの森林火災が、世界の小麦市場で、価格を吊り上げている。
 ロシアは小麦不足が懸念されることから、輸出停止を決定している。そのことは、当然価格の高騰につながるわけだ。エジプトはこのロシアに45パーセントの輸入分を、依存しているので、影響は如実に現れよう。
 エジプト政府はロシアに対し、輸出停止発表の前に契約していた分の、小麦の引き渡しを要請しているが、どうなるか分からない。そこで、ロシアに代わる輸入先として、東ヨーロッパ諸国、アメリカ、フランスが挙げられている。
 エジプトではすでに、小麦不足の影響が出ている。朝早くから政府系のパン焼き工場の前に、庶民が長蛇の列を作っているのだ。それでも買えずに帰る人も、出始めているようだ。
 エジプトのパン消費量は相当なもので、毎月675000トンの小麦粉が消費され、23000の製パン工場が稼働している。その工場が焼きあげるパンの枚数は多く、毎日2・3億枚から2・4億枚にも上るということだ。
 1枚が5ピアスタ(1円)だったものが、既に50パーセントの値上がりをし、7・5ピアスタになったということだ。もちろん、この価格は政府の補助金が入っていることから、安いわけなのだが、貧困層にとっては、パンの価格が50パーセント値上がりすることは、生活に直接的に大きな影響を、与えることになる。
彼らの食事は大量のパンと、豆を煮てペースト状にしたフール。それに野菜を生かじりして生きているのだ。その食卓には一片の肉も登場しないのだ。貧困層の月収は250ポンド(5000円)、その収入で大家族が生活していることを考えてみれば、いかに生活が苦しいか想像がつこう、、しかし、そのような状況は日本人には、全く想像できないかもしれない。
 イスラム世界では、8月10日からラマダン月が始まるが、政府や民間のNGOは、貧困家庭向けにラマダン・ボックスを用意した。その箱のなかには、小麦粉、豆、アダス、マカロニ、ナツメヤシ、砂糖などが、詰められているということだ。
 その箱が1日当たり、50000箱配られているということだ。そして、1800万食が貧者の食料として、準備されるということだ。しかし、それが今回のパンの値上がりショックを、和らげるかどうかは分からない。エジプトは8400万人の人口を擁する大国なだけに、問題の解決は困難を極める。そのことは次期大統領の選出にも、影響を及ぼしてくるのではないか。野党が言うように「ガマール君にはエジプトは大きすぎる=ガマール候補よエジプトは君には手に負えない大国だ」ということであろうか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:11 | パーマリンク

2010年08月09日

NO・1724「アラブ首長国連邦が労働者に断食免除のファトワ」

    
 湾岸諸国では日中の気温が、確か40度を超えると、作業が中止される法律があった。しかし、実際には40度を超えても、40度未満として仕事を続けさせられている、という話を何度か聞いたことがある。
 まあ5,6月頃から9月の終わりごろまで、40度を超える日がほとんどの国では、仕方のないことかもしれない。
外労働者を雇っている、現地の企業経営者にしてみれば、出来るだけ効率的に彼らを使うためには、その程度のズルはやるということであろう。
 しかし、それがラマダン月になると話は別だ。述べるまでもなく、ラマダンの断食は、日の出二時間ぐらい前から日没まで、水も食物も口にしないことになっている。これでは炎天下で働く、労働者の体がもつまい。というよりも、病気になる人が出て来よう。
 特に、今年はラマダンが8月10日か11日から始まることもあり、日中の長さが長く、しかも、8月の最中とあって、暑さも相当に厳しい。日本でする断食ですら、皆いい加減参ったと思っているのだから、湾岸諸国などでの断食は、まさに苦しさとの戦い、ということになろう。
 そんな中、アラブ首長国連邦のイスラム法学団体が、粋な判断を下してくれたようだ。アラブ首長国連邦政府の宗教庁は、ラマダン月の断食について、労働者は断食を免除される、というファトワ(宗教裁定)を発表したのだ。
 このファトワが出されたのは、アラブ首長国連邦の宗教庁のウエッブに、石油採掘現場で働く労働者からの、問い合わせに答える形で下されたものだ。
 石油の採掘現場は砂漠のなかにあって、暑さも相当なものであろう。そこで水も飲まず食事もとらずに、仕事をしたのでは、死人が出ても、不思議ではあるまい。
 このファトワに対して他の湾岸諸国は、追随するのだろうか、あるいは金儲けを続けるためのファトワ、とこれを非難し、自国だけは労働者に断食を、断行させるのであろうか。それはアッラーのご意思とは異なるはずだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:10 | パーマリンク

2010年08月08日

NO・1723「アメリカとオバマ大統領に失望するアラブ」

     
 先日、欧米のマスコミに、アラブがアメリカとオバマ大統領に失望している、というニュースが掲載されたように記憶している。それは、おおよそ次のような事情によるものだ。アラブ人にとってアメリカに期待し、かつ失望するのは以下のような事柄であろう。

(1)中東問題(パレスチナ問題)の公平な解決
(2)アラブ諸国の安全保証
(3)イランとイスラエルの核問題に対する公正な対応

 オバマ氏がアメリカの大統領に就任したとき、多くのアラブ人は彼が有色人であることや、彼がイスラム教徒の父親の下に生まれていること、一時期、インドネシアでイスラム教を勉強したという経歴などから、大きな期待を寄せた。
 そして、オバマ氏が大統領に就任して最初に行った、イスラム世界へのメッセージは、カイロ大学での演説だった。当時、ほとんどのマスコミやアラブ諸国政府は、これを前向きなものとして評価していたが、エジプトの元情報大臣アルアハラム新聞の編集長を務めた、ハサネイン・ヘイカル氏だけはそうではなかった。彼は手厳しい評価をし、全く内容が無いと切り捨てている。
 その後、オバマ大統領は何度もパレスチナ問題の解決を口にし、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長をアメリカに招待し、アメリカからも代表を送り交渉を継続している。
 しかし、それはイスラエルの利益を、100パーセント守ったなかでのものであり、一方的にパレスチナ側にのみ、譲歩を迫る性質のものだった。ヨルダン川西岸地区では、イスラエル人による入植が進み、パレスチナのものとされてきた東エルサレムでも、パレスチナ人の家屋が破壊され、新たなイスラエル人のための住居が、建設されている。
 ガザの状況は述べるまでも無いが、アメリカが認めているパレスチナ自治政府に対し、アメリカ政府はイスラエルとの直接交渉を要求しているが、パレスチナ側が直接交渉再開の条件としている、入植活動の停止については、全く目に見えた働きかけをしていない。
 このような状況が続いたのでは、パレスチナ人もアラブ人も、オバマ大統領に対する信頼を、抱き続けることは出来ないだろう。ガザではいまだにイスラエルによる空爆が行われ、死傷者が出ているのだ。そのことを、アラブ各国の大衆は、熟知しているのだ。
アラブ諸国の安全を、アメリカが保証してくれることを、アラブ諸国政府は信じ依存してきた。アラブの仮想敵国は、イスラエルでありイランだ。イスラエルについては、アラブとの間に戦争が起きない状態を、アメリカが保証してくれることが、せいぜいの期待になってきているのではないか。
 問題は、もう一つの仮想敵国である、イランへの対応だ。アメリカはこれまで、何度と無くイランに対する軍事攻撃を、口にしてきたが、いまだに実行されていない。それでは軍事攻撃は実行しない、と言ってくれるのかというと、そうでもない。
 アラブ諸国、なかでも湾岸諸国にとっては、アメリカのイラン対応が、平和的なものであれ、軍事的なものであれ、大きな影響を蒙ることになることは間違いない。
そして、現状が維持されれば、イランからの湾岸諸国に対する圧力は、強まろうし、反体制グループに対するイランの働きかけも、大きく内政の安定に影響してこよう。
 アメリカは本当にアラブ諸国の、なかでも親米諸国を守ってくれるのかという不安が、だんだん高まってきているのだ。そのことは、アラブ諸国の反体制派を、勇気付けていることでもあるのだ。
 そして、最大の課題である、イランとイスラエルの核兵器問題について、アメリカは明確な立場を、示しているのだろうか。アラブ諸国は押しなべて「アメリカの不公平な核問題への対応」を非難している。
 イランは核の開発をあくまでも、平和利用だと主張しているが、アメリカはこれを核兵器の開発だ、と主張して譲らず、ついには、国連と自国によるイランに対する、制裁を発動した。
 しかし、アラブ諸国が主張した、イスラエルの核については、いまだに明確な対応を示していない。唯一、アメリカが示したのは、中東非核地帯化に向けた、国際会議の開催を、受け入れたことであろう。
 アラブ諸国を対象にして、実施された世論調査によれば、77パーセントのアラブ人が、イランの核開発を支持しているということだ。そして、イスラエルが最も大きな脅威だとした人たちが、88パーセントだったということだ。
 アラブ諸国のこうした認識に対して、オバマ大統領はどう信頼回復を、進めていくのだろうか。オバマ大統領が本気で、中東問題の解決を試みるのであれば、その前提として、アラブ人なかでも、パレスチナ人の信頼を、回復しなければなるまい。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 12:41 | パーマリンク

2010年08月07日

NO。1722「ターリク・アジーズ元イラク外相のインタビュー」

     
 イラクの元外相であったターリク・アジーズ氏が、イギリスのガーデアン紙のインタビューに答えている。彼の言葉には、イラクの現状に対する冷静な見方が、多く含まれていると思われる。
 ターリク・アジーズ氏はイラクの現状について「もしアメリカ軍がイラクを放置して出て行くのであれば、狼たちに投げ与えられたようなものだ。」と語っている。その狼とはイラク国民であり、外国の勢力であろうか。
 彼はまた「われわれはアメリカとイギリスの犠牲者だ。」と語り「アメリカは2003年の侵攻以来、自身が犯した失敗を正すまで留まるべきだ。」と語っている。
 以下に彼のインタビューの中で語った発言の概要をご紹介する。
 「彼らはわれわれの国を、あらゆる方法で殺した。殺したままで放置すべきではない。」
 「現在のイラクは、アメリカ軍侵攻以前よりも、ひどい状態に陥っている。」
 「サダムは30年間の間に、イラクを建ち上がらせたが、今は破壊され、以前よりも病気が増え、飢餓が増えている。」
「イラクが制裁を受けていたときですら、われわれは国民に2000カロリーの食料を支給していた。男も女も子供もだ。」
 「クウエイト侵攻を決めるとき、それはアメリカとの戦争に発展する、と私はサダムに反対した。しかし彼は国民の総意に従うとして、クウエイト侵攻戦争を始めたのだ。」
 「オバマがアメリカの大統領に選出されたとき、私は励まされた。彼はブッシュが犯した間違いを、正すだろうと期待したからだ。しかし、彼は偽善者に過ぎなかった。オバマはアメリカ軍をイラクから撤退させることにより、われわれを狼の巣に置き去りにしようとしているのだ。」
 「サダムは嘘をつかなかった。私は彼を尊敬し愛している。彼が祖国に貢献したことは、歴史が証明するだろう。」
 「私は私の最良の友(サダム)を、非難するつもりは無い。」

 これらのターリク・アジーズ氏の、ガーデアン紙に対する発言の、何処に間違いがあるだろうか。イラクはアメリカ軍が侵攻して7年が経過した今なお、毎日数十人が死亡し数十人数百人が負傷している。戦後の暗い影は、いまだにイラク全土を覆っているのではないか。
 ガーデアンの記者は、最後のターリク・アジーズ氏が「私は自由になるまでサダムを非難するつもりは無い。自由になったら私の最良の友についても反論できよう。}と語ったことを、ターリク・アジーズ氏が反サダムである、と決め付ける材料を引き出した、と考えたがっているようだが、そうではあるまい。もしそうすれば、ターリク・アジーズ氏は彼自身の全生涯を、否定することになるのだから。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 12:28 | パーマリンク

2010年08月06日

 NO・1721「英紙:アメリカはイラクから手を引かない」

 イギリスのガーデアン紙が、在イラク・アメリカ軍の今後について、記事を掲載している。それによれば、簡単に言うと「アメリカ軍はイラクから撤退せず、永久に駐留を続ける。」ということだ。
 以前から言われてきたことだが、2003年3月のアメリカ軍によるイラク攻撃と、その後の駐留の間に、アメリカ軍はイラクのなかに、何十という軍事基地を、建設してきている。 
 ガーデアン紙の記事によれば、イラク国内にあるアメリカ軍の軍事基地の数は、94基地にも上り、5万人の兵士が、今後も駐留を続けるというのだ。アメリカ軍は今後、ほぼ永久にイラクに留まるために、その駐留の名目を、変えるに過ぎないというのだ。
 アメリカ軍は「イラク国内の安定の維持」を、今後の駐留の名目とし、イラク軍に対する「軍事訓練と指導を行う。」。あるいは「テロとの戦いと、治安の提供。」ということになるようだ。
 アメリカの国務省はイラクに対し、今後、2700から7000人の特殊戦闘員の派遣も、検討しているようだ。そのようなアメリカ軍の長期駐留を、裏付けるものとして、世界最大のアメリカ大使館が、イラクのバグダッド市に建設されたことを上げることが出来よう。そのアメリカ大使館の規模は、ほぼバチカン市国と、同じ面積だということだ。
 そもそも、アメリカがイラクに攻撃を始めたのは、何が目的であったのかといえば、石油以外の何物でもあるまい。アメリカの3大石油会社が、イラク政府との間に、発掘の契約を取り付けている。一説によれば、ほとんどがチェイニー元国務長官の関与する、石油企業だということだ。
 もちろん、そのことをイラク国民は十分に承知していよう。そうであるとすれば、今後、イラク国民によるアメリカに対する抵抗活動は、永久に続けられるということではないのか。そして、常に不安定な状態に置かれる、イラク政府(傀儡政府)の保護を名目に、アメリカ軍はイラクの警察や軍の指導、訓練、指揮を、執っていくということであろう。
 また、そのことはアルカーイダ(?)のような、イスラム原理主義者組織にとって、イラクは永久に活動を続けられる、国ににもなろうということだ。最近になって、イラク国民のなかから、数千人ものアメリカ移住希望者が、出てきているというニュースもある。
 イラクは石油資源が原因で、アメリカを始め、世界の先進国の食い荒らす、好餌国家になってしまったのかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:21 | パーマリンク

2010年08月05日

NO・1720「アハマド・ネジャド大統領暗殺未遂事件の真偽」

      
 今週の水曜日、イラン南西部の街ハメダンで、アハマド・ネジャド大統領の演説会が予定されていた。その中で、アハマド・ネジャド大統領に対する、暗殺未遂事件が起こったという情報が、一瞬にして世界中を駆け巡った。
 最初にこの情報を伝えたのは、イランの保守派のサイトだった、と言われている。しかし、そのサイトは間もなく、暗殺未遂は起こらなかった。あれは花火だった、と訂正したということだ。
 そしてその後に、イラン側から流れてきた情報では、アハマド・ネジャド大統領の訪問に、歓極まった青年が花火を上げた、ということになっている。つまり、確かにそこでは花火か手榴弾かは分からないが、火薬性の物が爆発したことは事実のようだ。
 これまで、アハマド・ネジャド大統領に対する暗殺未遂事件は、幾度か起こっているようで、今回もその一つだろうと、多くのメデイアでは受け止められたようだ。
 イラン政府が大慌てで、この情報を否定したのは、アメリカとの緊張のなかで、あたかも反体制勢力がアハマド・ネジャド大統領暗殺未遂事件を、起したように伝わっては、国内的動揺を生み、外国もアハマド・ネジャド体制の不安定化を、推測すると考えたのかもしれない。
 半官半民のファルス通信は、この出来事について、当初、自家製の手榴弾と報じているし、ハバロンラインというウエッブ・サイトは「アハマド・ネジャド大統領の車から、100メートルの距離で爆発があり、大量の煙が上がった。」と報じたが、すぐにその記事は抹消されている。
 こうした種々のニュース・ソースの情報を眺めてみると、アハマド・ネジャド大統領に対する暗殺未遂事件は、断言はできないが、起こっている可能性の方が、高いのではないか。
 今回のアハマド・ネジャド大統領暗殺未遂事件報道で、興味があるコメントをしていたのは、イスラエルのエルサレム・ポスト紙だった。エルサレム・ポスト紙は「アハマド・ネジャドの暗殺はイスラエルに得か?」というタイトルの記事を掲載しているのだった。
 その記事を読むと、アハマド・ネジャド大統領のような強硬派が、イランのトップにいることにより、イランの核開発に対する世界の対応は、厳しくなったのだということだ。もし、昨年の選挙で、ムサヴィ氏が当選していたら、彼の微笑外交が効奏して、イランの核開発に対し、世界の対応はもっと緩いものに、なっていたろうというのだ。
 つまり、このエルサレム・ポスト紙の記事は、イスラエルはアハマド・ネジャド大統領の暗殺に関与していない、ということを言いたいのであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:46 | パーマリンク

2010年08月04日

お詫びと訂正

NO・1718でルーマニアのチャウシスク打倒と携帯電話の関係を書きましたが、どうやらセルビアのミロシェビッチのケースだったようです。友人からご指摘を受けましたのでここに訂正しお詫びいたします。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:48 | パーマリンク

NO・1719ハマースのハニヤ首相孫にトルコ首相の名を命名


 アラブ世界では英雄の名や著名人の名を、自分の子供や孫に付けたがる傾向がある。例えば、エジプトのガマール・ナセル氏が大統領だった時代に生まれた赤ちゃんには、ガマールという名を付けるのが流行した。
 もしかしたら、現在のエジプトのムバーラク大統領の二男ガマール氏も、それが理由でガマールと命名されたのかもしれない。それこそ、悪い表現が許されるならば、この理由で、掃いて捨てるほど著名人の名前と、同じ名前の人たちがいるのだ。
 地名や通りにも、英雄的人士の名前が付けられる場合がある。しかし、それは後々になって、問題化する場合もある。例えば、エジプトのサダト大統領を暗殺した、イスラム原理主義者であるイスランブーリ氏の名前が、イランのテヘランの通りの名になった。
 その通りの名前は、いまだに変わっていないが、そのことがイランとエジプトとの外交に、悪影響を与え続けてきている。エジプトにしてみれば、自国の大統領を暗殺した犯人の名前が、他国の首都の通りの名に付けられることは、極めて不愉快なことであろう。エジプトは当然のことながら、通りの名前を変えるように、イラン側に申し入れたが、いまだに変わっていない。
 最近、これらの例と、あまり変わらないことが起こった。パレスチナのガザ地区のハマース代表で、パレスチナ自治政府の首相に選ばれたイスマイル・ハニヤ氏が、自分の孫にトルコの首相の名前を付けたのだ。生まれたばかりの孫は、エルドアンという名前に決まった。
 トルコのアラブ世界での人気は、このところうなぎ上りに上がっている。昨年のダボス会議で、トルコのエルドアン首相がイスラエルのペレス大統領を、ガザでの戦争犯罪人と怒鳴ったことが、エルドアン首相の人気を、アラブ世界のなかで高めた。
 次いで、ガザ地区への支援物資を積んだ、トルコがチャーターしたフロテッラ号が、イスラエルの特殊部隊に襲撃され、9人のトルコ人が殺害されたこと、その後のエルドアン首相の強硬な対応は、アラブ大衆の間で、高く評価されることとなった。
 ガザのハマースの代表であるイスマイル・ハニヤ氏が、自分の孫にエルドアン首相と同じ名前を付けたがる心理は、十分に理解出来よう。
 願わくば、その赤ちゃんがトルコのエルドアン首相と同じように、勇気ある立派な国を代表するような、成人に成長してほしいものだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:35 | パーマリンク

2010年08月03日

NO・1718携帯電話は革命の最大の武器?

 いまからもう、21年も前に起こったことだが、いまだに鮮明にあの時のことを覚えている。ルーマニアのチャウシスク大統領が、国民集会に、ベランダに現れて手を振っているうちに、様子が変なことに気が付いた時の表情だ。そして、その後に報じられたのは、彼が妻とともに、銃殺されるシーンだった。
 つい最近、ブラック・ベリーという名の携帯電話が、サウジアラビアやアラブ首長国連邦で禁止になったことをお伝えし、それは国内情報が外部に流される、危険性があるからだとお伝えした。
 冒頭でルーマニアのチャウシスク大統領の失脚と、処刑の話を書いたのは、実は彼は携帯電話の犠牲になった、最初の人物だったからだ。携帯電話で反体制派の国民たちが連絡しあい、あの大集会が開催されたというのだ。そして政府公認の集会は、一転し反政府の集会に変わったのだ。
 事情に詳しい友人が教えてくれたのだが、一定以上の人が集まる集会は、短時間前に連絡がなされ、人を集めることができると、集会を取り締まる側の軍や警察は、間に合わず打つ手がなくなり、その集会の流れに沿って、行動するようになるということのようだ。
 ルーマニアのケースを見ていると、それがよくわかる。軍も結局は、集会参加者に迎合する形で、チャウシスク大統領を逮捕し、処刑する側に回ったのだ。
 そこで思い浮かべたのだが、こうした大規模な集会を、携帯電話を使って開く場合には、短時間内に情報が広範囲伝わるように、しなければならないということだ。何日も前から、集会の日時と場所が明かされていたのでは、軍や警察がそれを阻止できるからだ。
 つまり、情報伝達の訓練を事前に行い、どの程度の時間内にどの程度の人数の人たちに、その情報が伝わるのかを、訓練をしながら確認し、初めて反政府の大規模集会が、成功するということではないか。
 そうなると、思い浮かぶのは、現在エジプトで行われている、ムハンマド・エルバラダイ氏を大統領に推す運動だ。ムハンマド・エルバラダイ氏の支持者たちは、彼を支持するという署名を、携帯電話やパソコン上で行っている。
 その結果、数日間以内に25万人を超える、ムハンマド・エルバラダイ氏に対する支持署名が、集められたと伝えられている。
 こうした訓練と実験を繰り返した後、ムハンマド・エルバラダイ氏を支持する人たちや、ムスリム同胞団のような反政府組織が、一斉に反政府の大集会を呼び掛けた場合、ムバーラク体制はどう対応できるのだろうか。対応は極めて困難なのではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:31 | パーマリンク

2010年08月02日

NO・1717イランの強弁は本当か

          
 イランがアメリカに始まり、いまヨーロッパ諸国からも、強度の経済制裁を受けようとしている。これらの国に加え、サウジアラビアやアラブ首長国連邦に対しても、アメリカは経済制裁を実施するよう、圧力をかけている。
 アラブ首長国連邦の構成国の一つであるドバイは、いままでイランとの密貿易が、大きなシェアを占めてきていただけに、それが厳正に実行されることになれば、ダメージは大きかろう。
 イラクでも、イランの銀行二行が、開設間際になって、アメリカの圧力で実現不可能になるようだ。日本などは、何の抵抗もなく、アメリカの命令に従うのであろうか。
 イランはこのアメリカの強硬な経済制裁を前に、自国が十分抵抗できることを強調し始めている。例えば、石油関連の触媒材料や、設備の部品の製造が、イランの企業で可能になったことを、伝えている。イラン政府はアメリカによる経済制裁が、結果的にイランの工業レベルを高めている、とさえ言いたいようだ。
 加えて、イラン政府はガソリンの備蓄量が、イラン暦の昨年に比べ、今年の第一四半期には、15パーセントも増えていると発表している。そして、製油所の建設も可能だと主張している。
 実際のイランの工業レベルが、どの程度のものであるかは知らないが、最近になって、中国やトルコから、およそ40パーセントの国内消費用ガソリンの、輸入が取り決められたという、ニュースが伝わっている中では、一概には信じられない。もちろん、ある程度の生産は可能であろうし、それが拡大していることも、事実ではあろうが。
 この話が持ち上がる度に、思い浮かべるのは、日本が大東亜戦争末期に、松の木から、松根油を造っていたことだ。窮鼠猫をかむではないが、追い込まれれば、いろんな知恵と努力と工夫が、出てくるものであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 17:24 | パーマリンク

NO・1716ちょっと解せないブラジル大統領の話題

 ニュースは人によって作られるが、なんとなく解せないニュースもある。今日ご紹介するニュースは、それが人道にあふれるものであろうが、どうも現実を踏まえていないような、気がしてならない。
ニュースは、ブラジルのルーラ・ダ・シルバ大統領が、イラン政府との関係も良好なことから、イラン政府を助けようと、同時に石打ちの刑に処せられようとしている女性も、救おうということから「この女性がブラジルに亡命することを受け入れる。」旨の発表を行った。
 しかし、これは政治家の亡命でもないし、政治家の場合でも何処かの国に逃れている場合は、亡命も成り立とうが、その国にいる分には、亡命は成り立ち難いだろう。
 まして、姦通罪で死刑が宣告されている、刑務所内に収監されている女性を、イラン政府が国外に出ることを、許可することは無かろう。イラン政府とすれば、イスラム法が適用不可能なブラジルに、彼女を送り出すことは、イスラム法を曲げることにもなろう。
 したがって、この提案がブラジル大統領からなされたことは、イランにとっては有難迷惑なのではないか。ブラジルはイランの核燃料問題で、トルコと並んで、イランに協力的な立場を採ってきているだけに、イラン政府の困惑はなおさらであろう。
 イスラム法の立場からすれば、イラン政府が出す結論はもちろん「ノ―」であろうが、全く持って迷惑な話であろう。この場合、イランの頑迷さが再度、世界中に誇張して伝えられることになるし、ニュースを拡大することにもなるからだ。
 もし万が一にも、彼女のブラジルへの亡命が認められた場合、世界中のマスコミや出版社が、彼女に本を書くことを勧め、インタビューを申し込むことになろう。そんなことになったら、イランは大打撃を受けるだけであろう。
 多少の反発を世界から買ったとしても、国内で処理する方が、より安全だと考えるのではないか。彼女に対する処刑は絞首刑ならば、仕方がないのだろうが、何とか石打ちの刑だけは避けてほしいものだ。それはあまりにも残酷過ぎるからだ。
 日本の女性はこの石打ちの刑という処刑方法を、どれだけ知っているのだろうか。そして男性の犯した姦通罪に適用される罪が、どのようなものであるのかを知っているのだろうか。日本はその意味では、天国なのであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 16:51 | パーマリンク

NO・1715サウジアラビア・UAEがブラック・ベリー禁止に

 サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が、携帯電話のブラック・ベリー機種を、禁止にすることを決めた。これは国内の情報が、外国に流れることを恐れての対応策であろうが。どれほどその効果があるか、まだ分からない。
 サウジアラビアにしろUAEにしろ、国内で起こっていることが、外国に流れては困るケースが、少なからずある、ということであろうか。例えば、UAEでは以前、プリンスが使用人に対して、暴力をふるっている光景が、外国の報道機関に流れ、大問題となったケースがある。
 サウジアラビアの場合は、公開で行われている斬首刑のシーンが、外国に流れた場合、視聴者に少なからぬショックを与え、「サウジアラビア政府は非民主的だ」「サウジアラビア政府の処刑の仕方は残忍だ」として、人権団体などから大非難を受ける、可能性が大であろう。
 このことに加えて、外国から流されてくる、ポルノ関連の映像などが、国内で出回ることにも、問題があろう。ポルノではないが、秘密のパーテイのシーンが、イランやアラブ諸国から送られ、日本でも視聴が可能になっている。これらのことは、国辱ものであろう。
 こうした社会的な問題に加え、各国の民主化運動、政治運動にかかわる情報が、外国に送りだされることのダメージが、いかに大きいかを、イランの大統領選挙と、その後の動きが教えてくれた。
 携帯電話はブラック・ベリーに限らず、携帯できる情報機器であり、どこからでも、何でも外部に送り出すことができるのだ。以前にお伝えしたように、エジプトの大統領選挙がらみの報道でわかるように、その機能は外国へ情報を送り出すだけではなく、国内での反体制活動にも、有効に働いてくれるのだ。
 文明の利器、通信の革命とも思われる携帯電話は、次第に国民や国内政治をコントロールする側を、困難に巻き込んでいるようだ。同時に、それは一般大衆のなかに、デモを広げることにも役立つ、ということであり、まさに両刃の剣のようなものであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:49 | パーマリンク

2010年08月01日

NO・1714中東和平は誰もが他人事の心境

 アメリカのオバマ大統領は、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長に対し、イスラエルのネタニヤフ首相との直接対話を、早急に開始しろと迫っている。それを、ヨーロッパ諸国も、支持している。
 しかし、イスラエルとパレスチナの直接交渉からは、何も出てこないことを、誰もが分かっている。オバマ大統領にしてみれば、中東和平交渉がオバマ政権の下で、動いているという形を、作りたいだけであろう。
 イスラエルのペレス大統領が、パレスチナ自治政府の和平交渉チーフであるサエブ・エレカト氏に対し、元法相であったラモン氏を送り、「今の段階でネタニヤフ首相と直接交渉をしても、何も出てこない。時間の無駄だ。」と説得したという情報が流れた。もちろん、ペレス大統領は公式には、これを否定している。
 イスラエルのネタニヤフ首相にしてみれば、入植の凍結が9月26日で期限切れとなり、その後の凍結延長は、彼の内閣の存亡に関わる重大問題であり、とても無理だということから、何らかの変化を生み出したい、ということであろう。しかし、そうは言っても、ネタニヤフ首相がマハムード・アッバース議長と直接話し合っても、何の進展も無いことはほぼ確実であろう。
 そうなると、ネタニヤフ首相は9月26日をもって、入植の凍結を解除し、今ですら進められている西岸地区への、入植地建設工事を、大々的にやることを認めざるを得なくなる、ということであろう。
 ペレス大統領の87歳の誕生日に、ペレス大統領はムバーラク大統領と、パレスチナ問題を話し合うようだが、何も出てこないだろう。つまり、アメリカのオバマ大統領も、イスラエルのペレス大統領も、エジプトのムバーラク大統領も、何かをしている形が欲しいだけなのであろう。
 マハムード・アッバース議長も現段階では、どうしたらいいのか、全く方向が見えなくなっている。だからこそ、アラブ連盟会議に今後の方向の決定を、委ねたのであろう。そのアラブ連盟の決定は、直接交渉を認めるということだったが、その意図するところは、勝手にしろということではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:35 | パーマリンク

 
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