« NO・1748「イラン人へ・口から出る言葉はその人の品性を表す」 | メイン | NO・1750「ブレア元首相のイラン攻撃擁護論」 »

NO・1749 「イスラエルのインテリ集団入植地での活動拒否」

 イスラエルの150人の学者が、西岸地区の非合法入植地での講演など、アカデミックな活動を、拒否することを宣言した。これは、昨今のイスラエルの国際的孤立のなかでは、起こるべくして起こってきた動きであろう。
 これに先立ち、芸術家タレントなどの、53人からなる集団も、入植地での活動を、拒否することを宣言している。この場合は、アリエル市での催し物を、拒否したことに端を発している。
 こうした動きは、あるいはネタニヤフ首相とマハムード・アッバース議長とが、アメリカのオバマ大統領によって、強引な和平のための、直接交渉を飲まされたことと、関連しているのではないか。
 なぜならば、マハムード・アッバース議長はこの直接交渉の成否は、イスラエル側が、入植地建設を凍結するか否かにかかっている、と言っているからだ。確かに、和平の交渉をしていると同時期に、非合法の入植活動がイスラエル人によって、西岸地区で進められたのでは、マハムード・アッバース議長はパレスチナ人に対して、会議参加の正当性を説明できなくなろう。
すでに会議の始まる以前から、パレスチナの著名人の多数が、直接交渉に参加することに反対していたし、パレスチナ各組織も反対していた。この直接会議なるものが、何の成果も生まないだろうというのがその理由だが、アラブ連盟のアムル・ムーサ事務総長は、会議開催前の段階で、会議開催の意味がない、成果はない、と言い切っている。
 イスラエルのインテリや芸術家たちが、今回入植地での活動を拒否したことは、一見、イスラエル人の譲歩、妥協のように見えるが、そればかりではあるまい。イスラエルが妥協しそうだという雰囲気を世界に伝え、交渉を結果的には支えることになる、可能性があるからだ。
 もう一つ考えられることは、イランや強硬派アラブが主張するように、イスラエルの頑迷な、パレスチナ問題への対応は、結果的にイスラエルの破滅につながる、という不安によるのではないか。世界、なかでもヨーロッパ諸国では、露骨なまでのイスラエル批判が、最近になって広がってきているからだ。
 今回、入植地での活動を拒否したインテリのなかには、イスラエルは1967年のラインにまで撤退すべきだ、という意見もあるが、既に入植者の数は50万人を超え、100以上の入植地がある状態では、なかなかそうもいくまい。
 いずれが真意かは別に、イスラエル国民の間から、行き過ぎたイスラエル国民と、政府のパレスチナに対する浸食に、抗議の声と行動が起こったことは、評価すべきであろう。「奢れる者は久しからず」という言葉は、洋の東西を問うまい。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 2010年09月01日 15:33 | パーマリンク

 

プロフィール

プロフィール写真

佐々木良昭

東京財団 主任研究員

プロフィール詳細

最近のエントリー

検索


カテゴリー

アーカイブ

 

 
利用条件プライバシーポリシー
東京財団とはトピックス研究員紹介奨学事業研究事業イベント情報公募・お知らせお問い合わせ
copyright(c)2006TheTokyoFoundation, The Tokyo Foundation bears no responsibility for information derived from links to remote sources.