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2010年10月31日

NO・1789「M・エルバラダイ氏エジプトの民主化はオバマ頼み」

 ムハンマド・エルバラダイ氏は、エジプトの大統領選挙に立候補しようと、運動を展開してきたが、ここに来てほぼ不可能と考えたのであろうか。元IAEAの事務局長ムハンマド・エルバラダイ氏が、アメリカのオバマ大統領に対し、アラブの民主化を進めるよう要請したようだ。
彼はエジプト政府が国民の要望に応えなければ、失望した若者がイスラム原理主義に流れて行き、危険な状況が拡大すると警告している。確かに、エジプトでは最近になって、20人もの若者がジハード組織に加盟し、逮捕されている。
彼はこれまで、誰でも大統領選挙に立候補できるよう、憲法の改正を要求した、しかしそれは失敗に終わった、次いで11月28日に実施される国会議員選挙をボイコットするよう、野党各党に働きかけた。しかし、これも野党各党からは、思わしい反応が無く、ほぼ失敗に終わっている。
そこで、ムハンマド・エルバラダイ氏は、テロとの50年戦争を宣言しているアメリカを活用し、突破口を開く方法を考えたようだ。曰く、エジプト政府が国民の要望に応えず、民主化を進めなければ、国民の不満が募り、イスラム原理主義に流れていく。その結果は、エジプト社会が極めて危険なものに、なっていくというものだ。
もちろん、ムハンマド・エルバラダイ氏がいまの段階で、エジプトを取り上げているのは、当面の目標がエジプトの民主化ということであって、アラブ全体の民主化推進が、彼の構想の中にはあろう。
ムハンマド・エルバラダイ氏は、エジプトの貧困についても触れている。エジプト国民の半数が、電力の供給を受けられない状況で暮らしており、綺麗な飲料水も確保されていないし、健康維持へのサービスも受けられないでいる、と指摘している。
 そうした状況が続くことは、時限爆弾と同じように、時間の経過の後には、国民による暴力的抵抗が始まるというのだ。確かにその危険があることは、否定できまい。しかし、同時にエジプト社会が、そう簡単には暴発しないことも事実だ。
誰かが、大衆は思想のためではなく、パンのために革命を起こす、と言ったが、エジプト社会はいまパンに飢えているだろうか。確かにパンが値上がりして、今年は問題になった。しかし、その後の政府の緊急対応は、その問題を解決し、事なきを得ている。
トマトの暴騰の場合も同様で、政府は緊急対応を行っている。そればかりか、トマト不足をちゃっかり、政治宣伝に利用し、来る選挙を有利に展開しよう、とさえ考えているのだ。
エジプト政府にとって幸運なことは、まさにナイル川の恩恵であろう。ナイル川がある限り、農業は多くの収穫物をもたらしてくれる。一部の商売人が大もうけしようとして、品不足を画策したりするが、強権を持ってすれば、ものがあるだけに、問題を解決することができるのだ。
ムハンマド・エルバラダイ氏が、アメリカのオバマ大統領に訴えたような状況には、なかなかなりにくいのではないか。そうした判断が、ムハンマド・エルバラダイ氏の口をついて出てきたのは、彼がこの国から28年間も、離れていたことによろう。つまり、ムハンマド・エルバラダイ氏はエジプト社会に戻ってきたが、それはまるで浦島太郎のようなもので、現実が見えていないのではないか。


投稿者: 佐々木良昭 日時: 19:18 | パーマリンク

2010年10月30日

NO・1788「エジプト大統領選出はトマトで決まる?」

 今年の夏は日本ばかりではなく、世界中が猛暑に襲われた。ロシアのモスクワでも、35度を上回る日が長い間続き、多数の死者が出たようだ。そればかりか、野菜を始めとする農作物にも被害が生じ、小麦は世界的な規模で大凶作となった。
世界中を襲ったのは、この小麦の凶作の結果、小麦の価格が暴騰したことだった。小麦輸出国の多くが、輸出価格を値上げし、あるいは輸出を制限し、あるいは輸出を止めたからだ。
エジプトは最初に、この小麦の値上げで打撃を受けた。8400万人といわれるエジプト国民の、パンの消費量は膨大なものだ。このパンが値上がりすることは、国民の不満を高めることになり、体制にとって大きな危険となった。
エジプトで次いで起こったのが、トマトの価格の暴騰だった。エジプトはナイルの賜物といわれる国であり、農産品、野菜、果物は豊富に収穫されるため、低価格であることが、貧しい庶民の生活を、長い間下支えしてきていた。
エジプトではガルギールと呼ばれるルッコラ、日本でも知られるモロヘヤといった野菜や、マンゴーやネーブルオレンジ、ブドウ、石榴など、果物が豊富に収穫されている。もちろん、エジプトの野菜の代表格であるトマトも、大量に栽培され収穫されている。
エジプトでは、このトマトを使った料理が実に多い。というよりも、トマトはあらゆる料理のベースになっている、と言っても過言ではあるまい。スープはもちろんのこと、サラダにも、煮物にも使われる。乾燥したものすらあるほど、一般的な食品なのだ。
つまり、トマト無しにはエジプトの食卓は飾れない、成り立たないといえるほど、トマトは主要な食材となっているのだ。そのトマトも猛暑の影響を受け、今年は不作となっている。
エジプトではこのところ、食料品の値上がりがひどかったが、ここに来てトマトの価格が、過去数ヶ月前と比較し、3倍に跳ね上がり、1キロが10〜12エジプトポンド(約200円程度)になったのだ。この値上がりに庶民の台所は、直接的なダメージを受けることになった。(エジプトの平均給与は、最近引き上げられ400ポンドになった。)
これを見た与党国民民主党は、トマトを安価で販売する、活動を展開し始めた。もちろん、それは庶民に喜ばれることとなっているのだが、実はトマトの安価での販売は、与党国民民主党の選挙に向けた、選挙のための宣伝活動の一環だったのだ。
エジプトでは11月28日には国会議員選挙、そして来年には大統領選挙が待ち受けている。与野党ともに選挙で勝利するためには、庶民の支持をどれだけ取り付けるかに、かかっているわけだが、今度の選挙では、その鍵はトマトということになりそうだ。
エジプトの大統領はトマトが決める、という笑えない冗談が、現地ではささやかれているのではないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 13:38 | パーマリンク

2010年10月29日

NO・1787「トルコに突きつけられた踏み絵」

 トルコの政権がエルドアン首相ギュル大統領によってリードされる、開発公正党(AKP)政権に代わって以来、トルコが次第に西側寄りというよりも、イスラム世界寄りにシフトしてきているのではないか、という疑問が欧米イスラエルのなかで、広がってきていた。
 確かに、トルコのイランに対する外交や、シリアとの関係正常化、パレスチナ問題への関与の仕方を見ていると、トルコはイスラムの国であったということを、印象付けられよう。
 トルコはイスラエルの参加する、NATOの合同軍事演習をボイコットしたり、イスラエルに対するパレスチナ対応を、強く非難してきてもいる。このため、イスラエル国内にはトルコを今までのような、中東世界唯一の友好国とみなすべきではない、という考え方が広がってきている。
 トルコは本当にイスラム世界に、接近しているのだろうか。トルコは西側諸国に、距離を置き始めているのだろうか。この点については、幾つかのトルコの事情を、説明する必要がありそうだ。
 トルコも他の諸国と同様に、アメリカのサブプライム・ローンの影響を受けている。経済は低迷傾向にあった。そのなかで、トルコが取るべき方向は、湾岸諸国との関係強化であった。湾岸諸国の資金をどう引き付けるか、ということだ。
 そのためには、トルコのエルドアン首相がイスラエルに対して、強い立場を示す必要があったのだ。それは内心では、言葉ほど強いものではないのだが、それなりに効果を発揮し、湾岸諸国、次いでアラブ全体が強い支持を、トルコに送るようになった。
 続いて起こったフロテッラ号事件、つまりガザへの支援船で、トルコ人に犠牲が出たことにより、アラブ諸国はトルコがパレスチナのために、血の犠牲を出してくれた、と大歓迎した。
 こうしたアラブ諸国の反応を受け、イスラエルとアメリカ、そしてヨーロッパ諸国のなかに、トルコへの疑問が広がったということだ。そこで今回、トルコの立場を確認する、大きな問題がアメリカやヨーロッパ諸国から、トルコに対して突きつけられることになった。
 それは、ポーランドやチェコなどに配備が予定されていた、ミサイルやレーダー・システムの配備に、ロシアが反発したことから、ポーランドやチェコではなく、トルコに配備しようという考えだ、
 しかし、トルコにミサイルとレーダー・システムが配備されることはイランにとって、極めて不利なことになる。当然、イランとの関係改善を進めているトルコにとって、これは極めて難しい判断となろう。
 イランは当然、早々とトルコへのミサイル配備に、反対の立場を示した。トルイコはトルコで、ミサイルの配備については明言を避けているが、そのミサイルが周辺諸国を攻撃することを、前提にしないこと、レーダーで得られる周辺諸国の情報を、しかるべき国に提供しないこと(イスラエルを指している)を条件とするようだ。
 いまトルコでは、政治家と軍人の間で、熱い議論が展開されているようだが、最終的には落とし所を見出して、ミサイル配備を受け入れるのではないか、と思われる。
そうでなければ、トルコはアメリカやヨーロッパ諸国、そしてイスラエルから、完全に敵視される危険性があるからだ。そこで一番の活躍は、トルコのダウトール外相であろう。イラン側のかたくなな立場を氷解出来るのは、彼にしか出来ない芸当であろうから。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:28 | パーマリンク

2010年10月28日

NO・1786「ラース・ル・ハイマ首長の死と今後の不安」

 日本人でラース・ル・ハイマという国名を知っている人は、ごく一部であろう。ラース・ル・ハイマはアラブ首長国連邦の構成メンバーである、首長国の名だ。この首長国はペルシャ湾の出口である、ホルムズ海峡に隣接していることから、日本にとっても重要な意味を持つ国だ。
この国の首長(国王)が死去し、いまラース・ル・ハイマを含むアラブ首長国連邦全体に、不安定な状況が生まれ始めている。それは、死亡した首長の後継問題をめぐる争いが、今後、激化する危険性があるからだ。
死亡したのはシェイク・サクル・カーシミー首長だが、その後継になるのは、シェイク・サウード皇太子であるのが当然だ。しかし、彼はシェイク・サクル・カーシミー首長の次男であり、以前、長男のシェイク・ハーリド王子が、皇太子の地位にあったことに、今回の後継問題は起因する。
長男であるシェイク・ハーリド王子が、何故、皇太子の地位から外されたのかは定かでないが、現在の皇太子であり、首長職後継者であるシェイク・サウードとは、腹違いの兄弟だ。
シェイク・ハーリド王子は2003年まで、皇太子の地位にあったが、更迭された後、外国に居住しているということだ。その彼が、父親であるシェイク・サクル・カ−シミー首長の死亡後に、自分こそが首長職を継ぐ、正統性を持っている、と言い出したのだ。
シェイク・ハーリド王子は、アラブ首長国連邦の法に従えば、自分に後継者になる権利がある、と主張しているが、アラブ首長国連邦を構成する、6つの首長国は全てが、彼ではなく、弟のシェイク・サウード皇太子の首長継承を、支持しているということだ。
こうした問題が起こった場合、必ず外国の一部が、この問題に介入し、問題を益々、複雑化させる傾向がある。今回の場合も、多分に外国の干渉や、関与工作が予測出来よう。
問題はラース・ル・ハイマ一国に留まらず、アラブ首長国連邦全体に、及ぶ危険性があるということだ。その結果、ラース・ル・ハイマの面するホルムズ海峡が、何らかの影響を受けることになれば、日本への石油輸送にも、影響が及ぶということになろう。
あるいは、そこまで行かなくても、不安要因が保険を値上げさせることも、ありえよう。相場は変化を求めるために、小さい出来事にも、敏感に反応する傾向がある。そのことを頭に入れておく、必要がありそうだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:54 | パーマリンク

NO・1785「イラクのT・アジーズ元副首相兼外相に死刑判決」

 イラクのサダム体制時代に、例外的に温和な表情を世界に見せていた、ターリク・アジーズ副首相兼外相に対し、イラクの裁判所は死刑判決を下した。それは西側世界に、相当のショックを与えているようだ。
 なぜならば、彼はカソリックのクリスチャンであり、自身が何もやましいことをした覚えがないとして、アメリカ軍に出頭し逮捕されているからだ。この死刑判決については、国連もヴァチカンも国際人権組織も、強く反対している。
 裁判所が示した罪状は、クルド人の追放、宗教グループに対する弾圧、人道に対する犯罪といったことのようだ。しかし、ターリク・アジーズ氏の長男ザイド・アジーズ氏は、父親が宗教グループに対して、弾圧を加えたということはない、と明確に否定している。
そして彼は、裁かれるべきなのは父親ではなく、ウイキリークスで暴かれているように、マリキー首相の犯罪の方だと語っている。
今回のターリク・アジーズ元副首相兼外相に対する裁判所の判決の前には、既に15年の判決が下っていたが、今回はそれが絞首刑に変わっている。その理由について、ターリク・アジーズ氏の長男は1980年に、マリキー首相の属するダウア党が、バグダッドにあるムスタンシリーヤ大学で、ターリク・アジーズ氏暗殺を企てて失敗したことに対する、復讐だと語っている。
当然この暗殺未遂の後、多くのダウア党のメンバーが処刑されたものと思われることから、長男の主張する復讐としての処刑判決は理解出来よう。
確かに、多くの旧サダム体制の幹部が、死刑判決を受け、既に処刑されている。まさに、それは復讐裁判と言っても、差し支えないのではないか。かつて、大東亜戦争が終了した後、東京で開かれた極東裁判でも、同様の勝者による裁判が行われたが、それがいま、イラクの国内で起こっている、ということであろう。いわば「イラク版の極東裁判」ということであろう。
サッダーム・フセイン大統領の非人道的な支配については、これまで多くが語られてきたが、アメリカ軍がイラク侵攻して以来、死亡したイラク人の数は、サッダーム・フセイン大統領によって殺害されたと言われている犠牲者の、何百倍あるいは何千倍にも及ぶのではないか。
複雑な人種構成、宗教構成のイラクでは、ある種の独裁強権体制は、必要悪であった部分もあろう。そのサダム体制に仕えたターリク・アジーズ氏を始めとする、旧体制幹部を裁くことに、どれだけの正当性があるのだろうか。
自身がイラクの旧体制の高官であった場合、勇敢にサッダーム・フセイン大統領の冷酷な国民支配に、自身と家族の生命を賭けて反論出来たろうか。戦争後に行われる裁判について、何らかの国際的な基本ルールを、設けるべきではないのか。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:42 | パーマリンク

2010年10月27日

帰国しました

昨日帰国しました。
フライトの大幅な遅れなどで睡眠不足、加えてスケジュールんのつさがたたりさすがに今日はばてていました。体力回復したらご報告を始めます。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 19:26 | パーマリンク

2010年10月16日

海外出張のお知らせ

  海外出張のお知らせ
10月18日から26日まで、インドネシアとマレーシアに出張して来ます。
インドネシアには国際会議への参加です。宗教間の寛容についての会議です。マレーシアは同国の経済状況や国内的安定度などを調査してくる予定です。
したがって、出張中は中東TODAYを休ませていただきます。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:06 | パーマリンク

NO・1784「賢いハリーリ首相のA・ネジャド大統領への対応」

 中東世界には、商才に長けた人たちが沢山いる、商売に才能のある人は、社会的にも評価されるのだ。それは、イスラム教の預言者ムハンマドが、商人であったことに、由来している。
それだけに、中東ではレバノン商人を筆頭に、シリア商人、リビア商人、ペルシャ商人などが、商才が長けているとして、世界的にも知られている。シリア商人の老獪さ、レバノン商人の度胸のよさなどは、つとに知れ渡っている。
今回のイランのアハマド・ネジャド大統領のレバノン訪問では・いみじくもその片鱗が見えた気がした。アハマド・ネジャド大統領は、巨額の援助をすることを冒頭に宣言し、レバノン人の気を引いた。
加えて、レバノン人が一番憎んでいる、イスラエルを非難し、イスラエル軍によって攻撃された、レバノン南部の村を訪問している。そこでは、レバノン人こそが戦いの英雄であるとし、解放闘争はレバノンから始まる、といった激しいイスラエル非難の演説も行っている。
もちろん、レバノン人の多く、なかでもヘズブラ支持のシーア派の人たちは、アハマド・ネジャド大統領のレバノン訪問を大歓迎した。彼が通る沿道には、巨大なアハマド・ネジャド大統領のポスターが張られ、沢山の人たちが熱狂的に迎えた。
アハマド・ネジャド大統領はミシェル・スレイマン大統領と会談し、ヘズブラのナスラッラー師と会談し、ハリーリ首相とも会談している。しかし、他の二人とは異なり、ハリーリ首相との会談は、アハマド・ネジャド大統領が期待する、結果にはならなかったようだ。
アハマド・ネジャド大統領はハリーリ首相との会談で、イランとレバノンがイスラエルに対抗する、同盟関係の国家として、特別な関係になることを望んだようだが、丁重に断られている。
ハリーリ首相は、レバノンが極めて特殊な文化的国家であり、いままで、イスラエルとの間起こった戦争を通じて、悲惨な状況に置かれてきたこと、アラブ・パレスチナ問題でも、多大の犠牲を払ってきたことを説明し、イスラエルに対抗するための、イランとの新たな関係を、作るつもりは無いと語っている。
お見事といえる、ハリーリ首相の対応振りだ。イランのアハマド・ネジャド大統領の希望するような形で、そのまま彼の意見を受け入れていたのでは、レバノンは明日にでも、イスラエルの攻撃の対象になってしまおう。
レバノン内戦で破壊され尽くされたベイルートを、ハリーリ首相の父が私財を投げ打って再建した。それを再度イスラエルの空爆によって、灰燼にしてしまう気は毛頭ないということであろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:46 | パーマリンク

2010年10月15日

NO・1783「エジプト政府選挙に備え報道規制強化」

 エジプト政府は、近く実施される国会議員選挙に向けて、報道を規制する新たな方針を、打ち出したようだ。ただし、それが外国の報道機関にも当てはまるのか、それがどの程度厳しいものかは、まだ分からない。
 エジプトの場合、選挙を前に、一番影響力のある報道媒体は、テレビであろう。文盲率がいまだに高い国の場合は、活字媒体もさることながら、映像で伝える法が断然効果がある。
 選挙の投票では、候補者の名前を投票者が記入するのではなく、一定のシンボル・マークのところに、バツ印を入れて投票するのだ。つまり、ナツメヤシの木、ラクダ、ロバ、スイカなどの絵が、政党や候補者をさすのだ。これなら文盲の人でも、区別が付くということだ。
 そこで、今回の報道規制では民間のテレビ局が、一番厳しい規制を、受けることになりそうだ。ケーブル・テレビ、一般の電波によるテレビと、民間のテレビ局の数は多い。加えて、周辺諸国の民間テレビも多く、規制は決して容易では無かろう。
 今回の規制は、国会議員と地方議員選挙に、関連するもののようだが、来年の大統領選挙にも、影響するものであろう。したがって、政府与党はいまのうちから、厳しく監視することによって、反政府の党や人士に、勝手なことはさせない、という強い意思表示をする、ということであろう。
他方、これまではムバーラク大統領の子息である、ガマール氏のポスターがはがされ、オマル・スレイマ−ン情報長官のポスターも、途中で沙汰やみとなったが、ここにきて、ムバーラク大統領のポスターが、貼られ始めたようだ。
エジプトからは、ムバーラク大統領がドイツで手術を受けた後、順調に回復し、以前よりも極めて健康な状態になっている、という報道が目立つ。
そうはいっても、高齢であることから、何時何があっても不思議はない。ムバーラク大統領のポスターが、貼られだしたということは、なんとか、ムバーラク離れ、ガマール離れを、阻止しようということからではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:59 | パーマリンク

2010年10月14日

NO・1782「イスラエル外相の暴言は同国の本音?」

 イスラエルのリーベルマン外相の発言は、時として乱暴すぎるために、本人は個人的な意見だったと弁解し、イスラエル政府は、彼の発言は時として暴言となる、と苦言を呈して見せてきていた。
 しかし、彼の発言を冷静に考えながら見ていると、それは暴言であるかもしれないが、イスラエル政府と国民の本音を、語っているのではないかと思われる。
ヨルダン川西岸地区への入植問題で、ネタニヤフ首相はいろいろと策を弄して、アメリカをなだめてきたが、結果的には、明確な立場を示さず、なし崩しになってきていた。
 つまり、イスラエル政府がどのような言い訳をしようが、イスラエル人による入植活動は確実に進行し、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の土地は、強引に取り上げられてきているのだ。
最もひどいのは、東エルサレムのパレスチナ人居住者のケースであろう。彼らは自宅から追い出され、自宅は彼らの見ている前で破壊され、そこにイスラエル人のための住居が、新たに建てられているのだ。
最近になって、ネタニヤフ首相が主張し始めている「イスラエルはユダヤ人のための国家」という考えは、実は全てのパレスチナ・イスラエル人(イスラエル国籍を有するパレスチナ人)をイスラエル国内から、ヨルダン川西岸地区に追放する、という前提で語られているのではないのか。
それと交換に、一部(全部ではない)ヨルダン川西岸地区にある入植地から、ユダヤ・イスラエル人を撤退させる、ということではないのか。それが「土地と平和の交換」になる、ということであろう。
最近になって、リーベルマン外相は「パレスチナ人はイスラエル国土の中に、自治のアラブ地区を、造ろうとしているのであろう。」と語っている。彼の言わんとするところは、ヨルダン川西岸地区もイスラエルの領土であり、パレスチナ人はそのことを認め、何らかの自治権を得ることで、妥協させられるということであろう。
 リーベルマン外相の考えに近い考え方をしている、イスラエルの閣僚は少なくない。ただ、彼らは本音を明確には、口にしないだけだ。やがて、パレスチナ人はイスラエル国内から追放され、ヨルダン川西岸地区に居住し、そのような状態が不満である者は、情け容赦なくそこからも追放される、ということであろう。
 かつて、元首相だったシャロン氏が唱えていたように、ヨルダン川西岸地区はイスラエルの固有の領土であり(神がユダヤ人に約束したジュデア・サマリアの土地の範囲に、ヨルダン川西岸地区は含まれている)、現在のヨルダンが、パレスチナ人の土地なのだ、ということであろう。リーベルマン外相は実は、本音を語ってくれている、親切な人物なのかもしれない。アッバース議長はそのことを無視して、嘘でパレスチナ人を、ごまかしているだけだろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:23 | パーマリンク

2010年10月13日

NO・1781「クルドPKK問題に解決の糸口が見えてきた」

 トルコが過去30年に渡って、苦しんできた問題の一つは、クルド問題だった。クルド人が結成したPKK(クルド労働党)の分離独立闘争で、トルコ政府の発表では、4万人以上の人たちが、犠牲になったということだ。
 この4万人のなかには、クルド人も相当数含まれていたと思われる。無差別テロは民間人を巻き込むことに加え、クルド人だけを除外するということは、物理的に出来なかったからだ。
 このクルド問題があるために、ローザンヌ秘密協定の期限が、切れているにもかかわらず、トルコ政府は同国南東部の、地下資源の開発に、手が出せない状態が、続いてきていたのだ。
 今回、トルコでは与党AKP(開発公正党)が進める、憲法改正国民投票で、PKKを含むクルド側とトルコ政府との間に、間接的な協力関係が芽生えた。クルド人たちは反対票を投じることなく、棄権という形でAKPを支持し、PKKは停戦を宣言することによって、選挙を妨害しなかった。それは、AKPに対するクルド側の期待があったからであろう。
 トルコ政府はシリアとの関係も、大幅に改善してきていた。トルコ政府はシリアとイスラエルとの、和平の仲介役を宣言し、応分の努力をしてきていた。このため、トルコとシリアとの関係は、段階的に改善し、今では信頼関係を、強化している。
 そのシリアが、トルコにPKK問題解決の道を、開いたのだ。それは、シリア出身のPKKメンバーを、シリアが受け入れて市民と認め、同様にトルコ側もトルコ出身のPKKメンバーを、受け入れるように提案したのだ。
 しかし、シリア側はそもそも、シリア出身のPKKメンバーの先祖は、トルコから移住してきた人たちだというのだ。トルコが共和国宣言をした当時、クルドの独立を考えたクルド人が、弾圧を受けてトルコに逃れて、住み着いたというのだ。その数は20万人程度、と推測されている。
 したがって、トルコ政府はシリア出身のPKKメンバーが投降した場合、一般のクルド人同様に、取り扱うようになるかどうか、という問題が残されている。ただ、この点についても、これまでの間に、トルコ政府とシリア政府との間で、十分に話し合われていると思われる。
 したがって、今回のシリア政府の提案は、現実味を持った提案であろうと思われる。最終的には、平和な状態がクルド人の生活向上にも、繋がるということであろう。その時期が到来しつつある、ということではないか。
 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 13:51 | パーマリンク

2010年10月12日

NO・1780「後退するドバイ台頭するオマーン」

 アラブ首長国連邦の一部をなすドバイは、中継貿易国として、繁栄を極めていた。ドバイは中継貿易だけではなく、アラビア半島全体の出先オフィスとしての、機能を発揮してきてもいた。このため、欧米の企業のなかには、ドバイに本社を移す会社まで出てきていた。
 しかし、ドバイ・ショック以来、同国の経済は悪化の一途をたどっている。元々が石油の豊富なアブダビに対抗して、進めた非石油産業による繁栄だったが、そこには相当な無理があったのであろう。室内温度が50度を超えるような地域で、リゾートを販売することなどは、始めからその結論が分かっていたであろう。
 ドバイが後退する中で、最近、オマーンの台頭が目立ち始めている。オマーンはアメリカの海軍に対し、港湾の使用を認めている国であり、少量ではあるが、石油も産出している。
 この国の強みは、ペルシャ湾の出口ホルムズ海峡を、抑えていることであろう。加えてア、ラビア海インド洋にも面しているのだ。つまり、海洋に向かって、開かれた国家というイメージが強い。
 大分前に、オマーンを訪問した折に驚いたのは、この国のスーパーではビニール・カーテンで仕切られてはあるものの、豚肉を売っていたことだ。アルコールは述べるまでもなく、まったく問題無く販売されていた。
 今回、オマーンは第13回目の、イランとの合同会議を開催したが、その中でイランのモッタキ外相は、オマーンとの協力の下に、中央アジアに対する中継貿易を、拡大していきたいと述べている。
 そのことは、イランがドバイに代わり、オマーンを中継貿易の拠点にする意向を、表しているということだ。オマーンのマクブール・スルタン通産大臣も、石油、発電、運輸、中継貿易で、イランと協力したいと述べている。
 オマーンはこれ以外にも、イランとの歴史的に良好な関係を生かし、いま、1年以上に渡って、イランで投獄されている、アメリカ人不法入国者の、釈放に努力してもいる。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:48 | パーマリンク

2010年10月11日

NO・1779「新国民憲章イスラエルはユダヤの民主国家」

 イスラエルの内閣は22対8で、イスラエルの新国民憲章を通過させた。この新国民憲章は、イスラエル国家を「ユダヤ人国家であり民主国家」と規定している。この憲章を提唱してきたのは、リーベルマン外相の率いるイスラエル・ベイトヌ党だ。
この新国民憲章については、ユダヤ人の閣僚の間にも、労働党のメンバーを中心に反対意見があった。つまり、ユダヤ人以外のイスラエル国民の立場を無視したものであり、それを強いるものだということだ。
これまで、イスラエルをユダヤ国家として認めるよう、ネタニヤフ首相はアラブ諸国に要求してきていたが、ここに来て見切り発車とでもいえる、イスラエル内部での決定を下すということであろう。これをイスラエルの議会クネセトに提案して認められれば、直ちにイスラエルはユダヤ人の国家、ということになるのだ。
そうなった場合、ユダヤ人と結婚したパレスチナ人や、ドルーズ・アラブ人は困惑し、苦しい立場に立たせられることになるし、それ以外の外国からの移住者たちも、同様に苦しい立場に、追い込まれることにあろう。
加えて、15パーセント以上といわれるパレスチナ・イスラエル人(イスラエル国籍を有するパレスチナ人)にとっても、大きな問題となっていこう。彼らは、この憲章がクネセトを通過し、正式に認められた後、イスラエル国家に忠誠を誓っていない、あるいは、イスラエルをユダヤ国家として、認めていないということで、国籍を剥奪されるケースや、イスラエルから追放されるケースも出てこよう。
加えて、400万人ともいわれる、難民となっているパレスチナ人が、イスラエルの地に帰還しようとした場合、彼らはイスラエルをユダヤ国家として、認めなければならないということになるのだ。
発言が激しいことでイスラエルの内閣内部でも、問題を起こしているリーベルマン外相は、先日、個人的な意見として、イスラエルからパレスチナ人を追放すると語っているが、彼の考えを進めていく上では、今回の新イスラエル国民憲章が通過することは、大きな意味をもってこよう。
パレスチナ難民が、もしイスラエル国民となることを受け入れて、イスラエルに戻ろう(自分の住んでいた土地に戻ろう)と考えた場合、彼らはイスラエルをユダヤ国家と認め、イスラエルが民主的な国家だと認めなければならないということだ。
つまり、今回のイスラエルの新国民憲章は、パレスチナ難民が帰還する権利を、実質的に奪うことを意味しているのではないのか。パレスチナ難民がイスラエルをユダヤ国家と認めることも、イスラエルを民主的な国家と認めることもありえないからだ。
このイスラエル内閣の決定が、クネセトで正式に認められた場合、アラブ諸国やパレスチナ自治政府は、どのような反対行動を起こすのだろうか。実際には、いまの段階から反対運動を、国際的に起こすべきだと思うのだが、その様子は無い。イスラエルが決定した後では、それを撤回させることは、至難の業だと思えるのだが。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 01:51 | パーマリンク

2010年10月09日

NO・1778「トルコが第二ボスポラス夢の大海峡建設計画」

 最近、トルコの経済と政治は、極めて活況を呈している。エルドアン首相の人気はトルコ国内ばかりでは無く、アラブ諸国の間でも広がっている。その秘密は、彼が歯に衣着せずに、正論を公の場で口にするからだ。
昨年、シナイ半島のシャルム・エルシェイクで開催されたダボス会議では、イスラエルのペレス大統領を、ガザでの虐殺の張本人と罵倒した。アラブ各国の首脳たちは口にしたくても、イスラエルとアメリカが怖くて言えなかった台詞を、エルドアン首相がズバリ言ってくれたのだ。
加えて、今年トルコが送り出したガザへの支援船、フロテッラ号に対するイスラエルコマンドの襲撃により、9人のトルコ人(うち一人はアメリカ国籍のトルコ人)が犠牲になったことから、アラブ人はトルコがアラブのために、血を流してくれたと高く評価している。
以来、エルドアン首相のアラブ世界での人気は、群を抜いている。そのことは、アラブ諸国へのトルコ企業の進出の上でも、湾岸諸国からのトルコへの投資の上でも、好影響を与えている。
このため、世界同時不況にあったトルコは、早々と不況から脱出する方向にある。そうした状況が言わせたのであろう。エルドアン首相はイスタンブールの西約30キロほどであろうか、その地域に人口の海峡を建設すると言い出したのだ。
イスタンブールの西側には、入り組んだ湾と川が南北に流れていることから、以前から人口の海峡を建設したいという考えはあった。1936年にも同じ計画が検討されたが、実現しなかったという経緯がある。
今回はトルコ政府も本気なのであろう。それは、イスタンブールを通過するボスポラス海峡が、あまりにも通過する船の数が多すぎて危険なことに加え、石油の輸送も大量になっていることから、汚染がひどくなってきているからだ。
この汚染と通過する船舶を軽減するために、パイプ・ライン計画も出てきたのではないか。現在ボスポラス海峡を通過する船舶の数は5万隻で、毎日136隻と27隻のタンカーが通過しているのだ。通過する貨物量は1・5億トンそのうち石油が1億トンだということだ。
最初に第二ボスポラス計画が検討された頃の通過船舶の数は、3400隻であったということであるから、いまの状態如何に混雑しているかが分かろう。実際に通過には2日間も待ち合わせが必要になっているということだ。
この第二ボスポラス海峡の建設には、既にロシアの企業とイタリアの企業が名乗り出ている。建設費は100億ドルで完成は2023年が予定されている。建設資金はロシア企業が負担する方針を打ち出している。通過する船から通過料を取れば、十分に採算が合うということであろう。
もし日本がこの計画に参画したいのであれば、中国の安い人件費と日本の高度な建設技術を抱き合わせにして、提案してはいかがなものか。最近、中国とトルコの関係は進展している。両国にとっても悪い話ではあるまい。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 22:55 | パーマリンク

2010年10月08日

NO・1777「緊張高まる南部レバノンをA:ネジャドが訪問」

 イランのアハマド・ネジャド大統領が、今月13日から14日にかけて、レバノンを訪問することになった。述べるまでもなく、アハマド・ネジャド大統領のレバノン訪問は、イランとレバノン両国の友好と、協力促進のため、ということであろう。
 しかし、アハマド・ネジャド大統領がレバノン訪問で、心待ちにしているのは、両国関係の促進というよりも、イスラエルを挑発することにあるようだ。彼はレバノン訪問のなかで、南部レバノンを訪問する、予定になっている。
 しかも、それはイスラエル軍によって攻撃を受け、大被害が生じた場所のようだ。例えば、カナ村だがここは1996年2006年に、イスラエル軍の猛烈な攻撃を受けたところだ。加えて、ベント・ジベイル、にも訪問が予定されているということだ。
つまり、アハマド・ネジャド大統領はレバノン訪問の折に、南部レバノンの戦跡を訪ね、今後二度と、イスラエルの攻撃を許さないし、そのために、イランはレバノンに対して、あらゆる支援を送る、というメッセージを発する、つもりなのであろう。
 南部レバノンの地域住民は、彼の訪問に大喜びしているし、イランと特別な関係にあるヘズブラは、諸手を上げて、彼の訪問を歓迎している。
 他方、スンニー派のレバノン国民のなかには、アハマド・ネジャド大取る要の書訪問に反対している人たちもいる。彼らは、アラビア語で書かれた横断幕を用意し、すでに訪問反対の行動に出ている。しかし、南部レバノンの住民とは言え、クリスチャンは彼の訪問を、歓迎していないようだ。
 その理由は、イランの影響がより一層強化され、部分的であれ、レバノンがイランと同様の、神権体制になることを、嫌っているからだ。加えて、アハマド・ネジャド大統領が南部レバノンを訪問し、イスラエルを刺激するような演説をすれば、それがイスラエル軍による、攻撃の口実ときっかけになる、危険性があるからであろう。
 アハマド・ネジャド大統領の性格からすれば、当然、イスラエルに挑発的な演説が行われるものと思われる。イスラエル側にしてみれば、それは格好のレバノン攻撃の、口実になるのではないか。
その攻撃の範囲は、南部レバノンに限定されず、首都ベイルートや北部の都市も含まれる、可能性が高かろう。レバノンのスンニー派国民が、アハマド・ネジャド大統領の訪問を歓迎しないのは、当然ということではないか。
イランの友好国であるシリアは、アハマド・ネジャド大統領の訪問を、どのような気持ちで見ているのであろうか。イスラエルによるレバノンへの攻撃は、シリアにまで拡大する危険性があるからだ。イスラエルはレバノン攻撃に加えシリアもまた攻撃することによって、イスラエル北部の軍事的脅威を、完全に無くそう、と考えるかもしれないからだ。
状況がどう推移するかは「予断を許さない」という表現がぴったりであろう。アハマド・ネジャド大統領のレバノン訪問は、極めて危険な動きであることを、警告しておきたい。
アハマド・ネジャド大統領が、レバノン南部を訪問することにより、イスラエルによるレバノン攻撃、シリアへの攻撃の拡大、そしてイラン攻撃にまで拡大する、危険性があるからだ。その結果はここで繰り返し、述べる必要はないだろう。日本にも大きな影響があるということだ。

 

投稿者: 佐々木良昭 日時: 13:59 | パーマリンク

2010年10月07日

NO1776「バハレーンの体制不安・シーア派の動向」

 ペルシャ湾に面した、湾岸諸国の一員であるバハレーンで、政治的に不安定な状態が続いている。これは次第に、修正が効かなくなるのではないか、という不安が感じられる。
 バハレーンはクウエイト、サウジアラビア、カタールに囲まれるようにして、アラビア半島のペルシャ湾岸にある島国だ。国土面積は665平方キロメートル、人口わずか791000人の国だ。
 この国の悲劇は、人口の75パーセントがシーア派イスラム教徒であるにもかかわらず、首長(国王)がスンニー派であり、政府の権力機構はスンニー派の人たちによって、牛耳られているということだ。
 結果的に、シーア派国民の間には、差別から来る不満が、大分以前から生まれていた。そうした不安定な国情に加え、シーア派の国であるイランが、バハレーンを自国領土だ、と主張していた経緯がある。このため、バハレーンのシーア派国民のなかには、イランに対し強い親近感を感じていたし、イランに宗教の勉強に、出向いた者も少なくない。
 したがって、バハレーンのシーア派国民と、イラン国民との間には、一種独特の連帯感が、あるということだ。イランが革命以来、周辺諸国に影響力を強めてきたが、そのことは、バハレーンのシーア派国民を刺激し、勇気付けてもきていた。
 昨今では、公然とシーア派国民によるデモが起こり、反政府の集会が行われ、ブログでも政府非難が、行われるようになってきていた。
 そうした状況のなかで、イランとアメリカ・イスラエルとの、軍事的な緊張が高まってくるにつれ、バハレーン政府は自国内に、アメリカ軍の海軍基地があることから、イランによる破壊工作と、軍事的攻撃の懸念を、強めるようになった。
 バハレーン政府はシーア派国民のなかに、イランのためにスパイ行為を働いている者を探し始め、デモ参加者なども加え、8月以来、今日までに250人以上の人たちが、逮捕され拘留されている。これは、近く行われる選挙の前哨戦、ということでもあろうか。
 彼らは拘留されるばかりではなく、バハレーンの警察によって、相当ひどい拷問を、受けているということだ。そのことは、世界の人権組織によって、非難されるようになったし、バハレーンの人権組織によっても、暴露されている。
 拷問を受けた者は相当の重傷を、負っているにもかかわらず、最低限の医療手段も講じられることなく、放置されているということだ。
 なかでも、拷問によって重傷を負い、手術が必要だとされているのは、シーア派のシーア・ハック政治党(組織)の代表者である、アブドッジャリール・アルシンガセ氏だ。もちろんそのことは、バハレーン治安部によって、否定されている。バハレーンの治安部は、テレビを通じて、拷問の事実は無い、と発表している。
 宗教の宗派が違うだけで、差別が生まれていたケースは、他のアラブでもあったし、現在もあろう。たとえば、その典型がサッダーム・フセイン大統領時代のイラクだ。政府に反対するシーア派国民の多くが、逮捕、拷問を受け、殺害される者も、少なくなかった。
 結果的に、イラクのサッダーム・フセイン体制は、アメリカによって打倒されたわけだが、バハレーンの場合も、こうまでもシーア派国民に対する、弾圧が過激になると、将来が危ぶまれる。一部の情報によれば、バハレーンの王家はシーア派国民の動きを、極度に警戒しているということだが、それはクウエイトの場合も、サウジアラビアの場合も、カタールの場合も同様であろう。
 もし、バハレーンの王家がシーア派国民によって、打倒されるようなことになれば、それはクウエイトにもサウジアラビアにもカタールにも、飛び火する危険性が高いし、イランは一気にこれらの国々の、シーアは国民の行動を、支援するようになるのではないか。
 


投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:48 | パーマリンク

2010年10月06日

NO・1775 「カイロ人気新聞編集長が首」

 エジプトの民間新聞、アッドストール紙の編集長である、イブラヒム・イッサ氏が、同紙の編集長職を首になった。イブラヒム・イッサ氏はこれまで、健筆をふるい、政府や社会宗教の、タブーを記事にしてきていた。
 このため、2008年にも2カ月の、投獄を判決されている。今回の場合は、彼が衛星テレビで、政府批判をしたことが、直接の原因のようだ。
 彼以外にも、カイロ・トデイ紙が、今週の月曜日に発禁になっている。カイロ・トデイ紙が発禁になったのは、同紙と関係のある、オルビトTVが回線料を払っていないことが理由だ、とエジプト政府の情報大臣である、アナス・エルフィッキ氏は説明している。
 今回のイブラヒム・イッサ氏の首については、必ずしも政府の意向が働いたものではない、ということをにおわせる、情報も流れている。その情報によれば、アッドストール紙のオーナーが、穏健派のワフド党の幹部に、就任することと関係があるというのだ。
 ワフド党が政府との関係を、改善する方向にあるため、あまり過激な記事が、アッドストール紙に掲載されるのはまずい、とオーナーであるエルサイド・バダウイ氏が、判断したのではないかということだ。
 巷には、イブラヒム・イッサ紙が編集長を首になったこと、でアッドストール紙の味がなくなる、イブラヒム・イッサ色がなくなる、と嘆く者もいる。つまり、エジプトでは読者の心をつかむ記事を書くことや、テレビで歯に衣着せぬ発言をすることは、危険にあふれているということかもしれない。
 エジプト国内で、こうした動きが出てきているのは、述べるまでもない、今年末に国会議員選挙が行われること、来年には大統領選挙が行われることと、関連していよう。
 しかし、誰の判断であるかは別にして、イブラヒム・イッサ氏のような人物の、口を封じることは、結局、政府に対する不満を、高めることにはならないか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:47 | パーマリンク

2010年10月05日

NO・1774「モスクに放火するイスラエル人入植者」


 今週の月曜日の朝、パレスチナのヨルダン川西岸地区にある、ヘブロン市に近いファッジャル村の、モスク(イスラム教の礼拝所)が放火された。モスクの一部が燃え、中にあったコーランも焼かれた。
アメリカでも最近、フロリダのあるキリスト教教会が、コーランを焼くセレモニーを開催すると宣言し、大騒ぎになったばかりだ。これは9・11事件に対する報復といったことが、理由付けられていたが、あくまでも、このキリスト教会の責任者の、自己宣伝ではなかったのか。過激なキリスト教徒からは、このような馬鹿げたことが、もてはやされる野蛮な風潮が、いまだにあるのだ。
それでは、今回ヨルダン川西岸地区の、ファッジャル村で起こった、モスクへの放火は、何を狙ったものであったのであろうか。放火犯はファッジャル村に隣接する、イスラエル人入植者の集団だった。
彼らはモスクに放火したばかりではなく、モスクの壁にもイスラム教の預言者ムハンマドを、卑下する落書きを残していった。つまり、明らかに入植者たちは、イスラム教徒のパレスチナ人との間に、トラブルを起こすことを、狙っての犯行であった。
一説によれば、こうした入植者による犯罪は、外国の要人が訪問した折や、和平交渉が進められると、起こるということだ。つまり、和平交渉が進展して、入植活動が抑えられることを、嫌っての反抗ということであろう。
今回も、アメリカの圧力によって、イスラエル政府はパレスチナ政府との間で、和平交渉に入っていた。そして、その交渉が決裂するまでの期間は、イスラエル側が入植地の拡大目的の建設活動を、凍結するということになっていた。
もちろん、そのことはイスラエル人の入植者たちにとっては、極めて不満であったろう。彼らはこの状態を覆すために、入植地問題を宗教的対立の問題に、摩り替えようとしているのかもしれない。イスラム教対ユダヤ教の対立という形にすれば、世界のユダヤ教徒が、彼らを無条件で、支援することが期待できるようになるからだ。
しかし、そのことはイスラエルのユダヤ人ばかりか、世界中のユダヤ人にとって、極めて危険なことでもあろう。世界中のイスラム教徒が、無差別にユダヤ人を、敵視するようになるからだ。
今回のファッジャル村のモスク放火事件は、放火されたモスクと焼かれたコーランの映像が、世界の報道機関によって報じられている。そのことの与えるインパクトは大きかろう。そうなると、イスラム教徒たちはユダヤ非難を、世界規模で起こし、ユダヤ人を心底では敵視し、毛嫌っているキリスト教徒の間にも、反ユダヤの感情を、煽っていくことになろう。
OECDが10月後半に、エルサレムで開催を予定している観光会議には、既にイギリスとスペインが、欠席を宣言している。今回のモスク放火は、新たな不参加国を、出すことが予測される。
イスラエルの入植者たちがもくろむ宗教対立は、実は自分たちの身を、危険にさらすことになるのではないか。イスラム諸国の政府に、アメリカやイスラエルが圧力をかけたとしても、反応は大衆の間から出てくるわけであり、押さえ込むことは、不可能であろう。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 21:52 | パーマリンク

NO・1773「イランの聖職者間闘争の始まり」

 昨年の6月に実施された、イランの大統領選挙で、イランの聖職者集団にひびがはいた、ということを報告した。そして、それが今度はハメネイ師とアハマド・ネジャド大統領との、仲たがいに発展しているのではないか、ということもご報告した。
 ここにきて、新たな聖職者間の対立が、表面化してきている。それは権力側の聖職者たちが、反政府系の聖職者のブログを、閉鎖する動きに出たことで、明らかになった。権力側の聖職者たちは、ハメネイ師の権力を笠に着て、それを実施しているようだが、それが実際に、ハメネイ師の指示によるものなのか、どうか分からない。
 もちろん、閉鎖されたブログが、グランド・アヤトラ(アヤトラ・オズマ)と呼ばれる、シーア派宗教最高権威の人たちであることから、ハメネイ師が指示した可能性も否定できない。それは、そもそもハメネイ師がホメイニ氏の後継となった時点で、十分な聖職者のリーダーになるだけの、学識を積んでいなかったということが、これまで言われてきたからだ。
 ハメネイ師はホメイニ氏に対して、最も忠実であったことから、2階級特進でアヤトラに昇格し、現在の聖職者のトップの地位に、就いているのだ。それだけに、グランド・アヤトラの学識と地位を持つ人たちからは、常に不勉強者という、陰口を叩かれてきているのだ。
 今回、イラン社会内部で表面化してきたのは、「イランの聖職者に対する外敵の工作により、聖職者間の対立を、生み出そうとする陰謀がある。」というものだった。確かに穏健派と目される聖職者たちに対しては、西側のマスコミや政府は、押し並べて好意的な、対応をしている。
 続いて出てきたのが、今回の反政府側聖職者の、ブログ閉鎖の動きだった。ブログを閉鎖されたのは、グランド・アヤトラのユースフ・サネイ師と、グランド・アヤトラのバッヤート・ザンジャニ師だった。
 グランド・アヤトラという称号は、イスラム教シーア派の、最高の学識を持つ者に与えられる称号であり、その下にアヤトラという位があるのだ。ハメネイ師はホメイニ師の強い働き掛けで、やっとこのアヤトラに、二階級特進で昇格することが出来たのだ。
 この二人のグランド・アヤトラ以外にも、アリー・ムハンマド師というグランドアヤトラのブログも、先月初めの段階で、閉鎖されているということだ。
 一体これは何が原因なのか、ということを考えると、これら反政府のグランド・アヤトラたちのブログが、イラン国民の間で強い支持を、受けているからであろう。そのアクセス件数が、ハメネイ師のブログなどに比べて、格段に多いということではないのか。
 そうなると、彼ら反政府のグランド・アヤトラの意見が権威をもって、国民の間に広がり、やがては、ハメネイ師の権威が、失墜してしまうかもしれない。そこで、政府(あるいはハメネイ師サイドが、あわててブログの規制に動いた、ということなのかもしれない。
 もう一つの可能性は、アハマド・ネジャド大統領とハメネイ師の対立のなかで始まった、ハメネイ師降ろしの工作かもしれない。真相は現段階では分からないが、やがて知るところとなろう。いずれにしてもいま、イラン国内の権力、聖職者集団のなかで、深刻な対立が始まっていることは、極めて明確だということだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 15:21 | パーマリンク

2010年10月04日

NO・1772「トルコ外交なんでもあり中国とも協力?」

 中国とイランとの間で、イランが領空を中国空軍に開放、というニュースが飛び出してきた。隣接していない中国とイランが、空域を解放するということは、何を両国が考えているのか不思議だ。
 ただ、このニュースがアメリカに与える衝撃は、少なくなかろう。アメリカのイラン対応に、直接的な影響を与えるのではないか、と思われるからだ。場合によっては、しかるべき数の中国の戦闘機が、イランに駐留することも、ありうるし、空域の開放に合わせ、今後、ますますイランと中国との航空防衛面での、協力が進むかもしれない。
 そのことは、アメリカばかりではなく、トルコにとっても気がかりであろう。しかも、中国は経済破綻状態にある、ギリシャに対して巨額の経済支援を、実施する見込みのようだ。ギリシャに対する経済支援では、トルコが先乗りし、これまで複雑だったトルコ・ギリシャ関係の、修復に向かうもの、と思われていたが、今回の中国の動きで、後退が余儀なくされるかもしれない。
 トルコは中国のこの地域への台頭に、どう対応するのだろうかと思っていたところ、トルコは中国とも協力を進めることに、やぶさかではない、という立場を示したようだ。
 中国の音家宝首相が、トルコを近く訪問する計画が、持ち上がっている。つまり、この温家宝首相のトルコ訪問は、トルコと中国の間の、軍事協力を推し進めるきっかけに、なるかもしれないということだ。
 トルコと中国との間では、1990年代にミサイルや武器の生産で、協力関係があったことは事実だ。そうだとすれば、今後進展が予測されても、不思議ではない、ということであろう。
 トルコが中国を手玉に取るのか、あるいは中国がトルコを呑み込むのか、実に興味深い外交ゲームと言えそうだ。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 14:54 | パーマリンク

2010年10月02日

NO・1771「湾岸諸国で広がる麻薬禍」

 ヨルダン・タイムズが先日、湾岸諸国のなかで、麻薬が蔓延している、というニュースを報じた。その記事によれば、ピル状の麻薬が、大量にサウジアラビアで、摘発されたということだった。
それは、想像を絶する量であったことで、ニュースが私の頭から、離れなかったのだ。確か400万錠以上だったと思う。それがサウジアラビアのなかで、さばかれているということは、相当数の常用者がいる、ということではないのか。
多分に、最初は頭痛に特効があるとか、疲労回復にいい、とかといった触れ込みで広がり、ついには、中毒になっているのではないか。何処の国でも、麻薬がはびこる手順は、同じようなものであろう。
問題は、サウジアラビアでは一般人には、アルコールが手に入らない、ということだ。密輸のアルコールは、相当量あるようなのだが、それは高価であり、しかも、宗教的な抵抗感や、社会的な体裁もあり、一般の人たちはなかなか口にしよう、とは思わないのであろう。
しかし、麻薬については、イスラム教でも宗派によっては、精神の統一とか、アッラーに近づく手段として、容認されている場合もある。また、サウジアラビアの隣国であるイエメンでは、カート(ガートとも発音する)が、一般的に用いられている。
カートとは木の若い葉であり、これを大量に口に含み、気長に噛んでいると、次第にリラックスしてくるというものだ。言ってみれば、軽い麻薬性のものなのであろう。こうしたものが許されているということは、麻薬に対する抵抗感が、アルコールに対するよりも相当緩い、ということなのではないか。
ピル状の麻薬のほかには、ハッシッシの流入も、馬鹿にならないのではないか。ハッシッシは中東全域で普及し、何か催事があれば、ハッシッシを供するのが、主催者の力量といった判断が、なされている地域もある。先日、エジプトではハッシシの品不足が、社会問題化している、という話がニュースとして、伝えられていた。
サウジアラビアはイスラム教の教えが、厳しく守られている、と一般的には思われているが、実際はそうでもない。金持ちの多くは、密輸のアルコールを自宅にストックしているし、今回ご紹介したように、麻薬類も大量に、持ち込まれているのだ。
これといった娯楽が認められない、アルコールもだめとなれば、若者は我慢の限界に、達するのかもしれない。その結果が、麻薬に手を出す、ということではないか。しかし、それはサウジアラビアを始めとする、湾岸諸国にとって、将来への可能性を断つことに、繋がる危険な現象であろう。何か若者向けの、新しい対応方策が、必要ではないのか。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 23:12 | パーマリンク

NO・1770「エルバラダイ氏の政治改革の夢は夢で終わったか?」

 エジプトに民主主義を持ち込もうとして、自身が大統領に立候補できる道を探り、活動を展開してきた元IAEAの事務局長、ムハンマド・エルバラダイ氏の大いなる夢は、どうも夢で終わりそうな気配になってきた。
彼はまず、明確にではないが自身が来年の大統領選挙に、立候補するという前提での、動きをはじめた。そのためには、彼が立候補できる、環境を作る必要があると考え、選挙に関わる憲法の、改革を目指した。
憲法の改変を実現するために、彼は国民の支持署名を、集める作戦に出た。携帯電話やパソコンを通じての呼びかけに、多くの国民が賛同し、たちまちにして、70万人程度の署名を、集めることに成功した。
それは時間の問題で、100万人を突破するだろう、とも予測されていた。多くの若者やインテリが、彼のこの提案を、支持してくれたからだった。それは、この作戦では、誰も逮捕されることも、暴力を受けることも無いからだ。つまり犠牲を蒙る可能性が、無かったからかもしれない。
また新手の作戦であったために、新しいもの好きのエジプト人から、格好がいいとして、受け入れられたのかもしれない。もちろん野党の幾つかは、彼を踏み台にして、憲法を改正し、自党の立場を強くしようとも、考えたのであろう。
もう一つ彼が考えた作戦は、近く行われる国会議員選挙を、ボイコットすることだった。国民が、そして次回の国会議員選挙をボイコットすれば、世界は署名運動と合わせ、エジプトの国内政治が、大きく変わろうとしていることを取り上げ、その動きを支援してくれる、と考えたのかもしれない。
しかし、ムハンマド・エルバラダイ氏が考えるほど、エジプトの政治風土は甘くなかった。エジプトの最大野党であるムスリム同胞団は、それまで、ムハンマド・エルバラダイ氏と共同歩調をとっていたのだが、このムハンマド・エルバラダイ氏の、選挙ボイコットの呼びかけには、賛成しなかった。
ムスリム同胞団ばかりではなく、エジプトの最大野党三党が、揃って選挙ボイコットをしないことを、明らかにしたのだ。アラブ民族主義者のナセル党、そして穏健派のワフド党、左翼のタガンムウ党がそれだ。
ムスリム同胞団を加えて、主要野党4党がこうした動きに出たのは、当然であろう。ムスリム同胞団は現在、非合法とされながらも、88議席を獲得している。この議席を放棄する気はなかろう。(選挙によって選出される議席数454、総数518議席)
それどころか、ムハンマド・エルバラダイ氏が、ムバーラク体制を非難してくれ、行動を起こしてくれたことによって、政府与党はあまり明らかな選挙妨害は、出来なくなるだろう、と考えているのかもしれない。そうであるとすれば、ムスリム同胞団は次回選挙で、議席数を伸ばすことが、期待できよう。
結局気が付いてみると、ムハンマド・エルバラダイ氏を支持してくれたのは、弱小2政党だけであったということだ。彼は主要野党にとって、エジプトの次回国会議員選挙の、いいジャンピング・パッドに、過ぎなかったということかもしれない。

投稿者: 佐々木良昭 日時: 00:36 | パーマリンク

 
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