走れインドの救急車―「リーダーとは?」を模索する日々―(藤田周子)

2010-2011東京財団AFFPフェロー藤田周子さんは、ニューヨークでのリーダーシップ研修(2カ月)の後、2010年11月半ばからムンバイにあるアキュメン・ファンドの投資先Dial 1298 (Ziqitza Healthcare Limited)で研修を行いました。

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インドでは公的な救急システムが整備されておらず、「救急車」があっても、救命設備も出動体制も整備されていませんでした。救急車が現場に到着したときには、傷病者はすでに息を引き取っており、遺体を収容するだけ、あるいは搬送中に死亡することも数多く発生していたのです。そこで、安心して利用できる高品質の救急サービスを、所得の多い少ないにかかわらず提供することを目指し、5人の若者が2003年に起業したのがDial 1298 (Ziqitza Healthcare Limited)です。アキュメン・ファンドはこの会社に、2007年から投資をおこなっています。

同社の収益モデルは次のように利用者の経済状況に配慮した複線型となっており、貧困層の生活改善に役立っています。
 利用者が搬送先に私立病院、共済病院を選んだ場合→利用料全額徴収
 利用者が搬送先に公立病院を選んだ場合→州政府の補助金により利用料割引あるいは無料
 自然災害、テロなどの場合→無料


マハーラーシュトラ州のムンバイを拠点に、2台の救急車でスタートしたこの事業は、いまでは高度救命医療装置を備えた救急車を50台所有するまでに成長し、コールセンターが年中無休で24時間対応しています。GPS(グローバルポジショニングシステム)とRTS(リアルタイムトラッキングシステム)を利用して一番近くの救急車を出動させ、救急車の平均到着時間は15~20分と、劇的に短縮されました(ちなみに日本は7分程度)。ムンバイ地域での1日の出動回数は60~70回で、昨年度は日本円にして約1億2千万の収入を上げています。しかしこれでも採算ギリギリの線で、この事業を持続可能的におこない、しかも利益を上げやすい富裕層にシフトするのでなく、貧困層向けのサービスも充実させていくことが、この会社のチャレンジとなっています。

Dial 1298では、周辺のケララ、ビハール、ラジャスタンの各州政府から合計279台の救急車業務展開の受託を受け、スケールアウトを目指しています。さらにパンジャブ州にも業務拡大を予定しています。

ニューヨーク研修とインドでの活動の様子を、藤田さんのレポートでお伝えします。

ニューヨーク研修


ニューヨークレポート(1)
この4週間で、私の「リーダーに求められる能力」「リーダー育成方法」に対する思い込みが大きく覆された。ニューヨーク研修の前半は、特に個人の内面を伸ばすことに重点を置いている。細かいノウハウというより、考え方・アプローチのフレームワークを与えられる・・・
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ニューヨークレポート(2)
個人の内省を重視していた前半に比べ、ニューヨーク研修後半は、現場ですぐにでも役立つと思われる、実践的なスキルやツールの習得に力点が置かれた。習得の方法として、聴講形式ではなく、フェロー自身が(教室の外に出て)体験する中で学ぶ形式、及び講師とのフリースタイルでの対話といったスタイルが多用された・・・
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インド実地研修


インドレポート(1)
最初の2週間はオリエンテーションを兼ねて、ムンバイ市内の救急車オペレーションについて学んだ。終日救急車クルーに同行して救急車の出動、患者搬送に立ち会ったり、コントロールルーム(コールセンター)で、出動要請の電話を受けたり、救急車と連絡を取り合ったりする現場を目撃した・・・
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インドレポート(2)
前半は、12月の各地訪問で収集した情報をベースにフィールドオペレーション(救急車)業務のSOP定義を行った。3月パンジャブ州での運用開始をターゲットに、運転手及び救命救急士らの業務を見直したり、彼らが勤務中に記録する書類のフォーマットを見直した・・・
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インドレポート(3)
2月はほぼ全面的にパンジャブ州向けの準備に終始した。(3月31日にパンジャブ州アムリッツァルで州内全域から「108」への電話を受け付けるコールセンターが稼働し、救急車90台が各地で患者搬送業務を開始する予定。)ITベンダー最終選定やコアメンバー向けトレーニングから始まった2月・・・
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インドレポート(4)
インドのパンジャブ州で受託した90台の救急車運用開始という一大プロジェクトを担当し、現地の人々を叱咤激励しながら走り続けた日々。フィールドアサインメント10か月の、まさにハイライトともいうべき2か月・・・
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インドレポート(5)
パンジャブでの稼働開始フェーズに一区切りがつき、5月初めからムンバイに戻っている。次の私のアクションは、以下の通り・・・
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インドレポート(6)
先月に引き続き6月もムンバイで活動。今月は、インド北西部のパンジャブ州でのITシステム及び業務プロセス定着支援、その南にあるインド最大の州ラジャスタンへのITシステム導入準備(業務要件定義)が主なテーマであった。
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インドレポート(7)
インドでの実地研修最後の2カ月も、新規に事業展開している各州で救急車を効率的に走らせるため、業務に奔走しました。そんななか、インドの女性企業家たちの声に耳を傾け、自分の生き方を改めて振り返る機会もありました。
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ニューヨーク・フォローアップ研修

ニューヨーク最終レポート
藤田さんの研修もいよいよフィナーレを迎えます。救急車を走らせるために自分自身も走り続けた日々。1年を振り返り、彼女の胸にはどんな思いが去来するのでしょうか。
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