アフリカに光を!―ナイロビレポート(1)―スリ、強盗、ダニでスタートしたアフリカ生活(井上直美)

11月下旬にケニアのナイロビに到着してからクリスマスまでの1カ月の活動について、ナイロビでの生活全般、派遣先のd.lightでの仕事、最後にAcumen Fund としての活動の3点についてレポートします。

アフリカに光を!(目次ページ)―転んでも前進する日々―はこちら
東京財団アキュメンファンド・グローバルフェローズプログラム(AFGFP)についてはこちら


ナイロビでの生活全般

治安があまり良くなく、気をつけないといけないが、気候は良く外国人エキスパーツも多く生活は快適。これがナイロビの生活の感想です。しかし、ナイロビ到着後2週間ほどは落ち着きませんでした。到着3日目にスリに遭い、4日目には強盗に遭い、到着後ずっとお腹の不調に苦しみ続け、ベッドのダニに苦しみ、オフィスの想像以上の寒さに風邪を引き寝込みました。これまでいろいろな国を旅し、生活しましたが、これほど一気に歓迎を受けたのは初めてです。強盗に遭ったのは、「マタツ」というハイエースを改造して作られたミニバスで、ナイロビの人々には一般的な交通手段の中でした。乗車直後、両脇を男性二人に抑えられ、カバンを取られ財布から現金を奪われました。幸い怪我もなく、貴重品は携帯していなかったため現金以外に被害はありませんでした。30シリン(30円程度)で市内を簡単に移動できる便利な乗り物ですが、安全とはいえず残念です。前日スリに遭ったのもマタツの中だったこともあり、しばらくはマタツに乗ることは控えたいと思います。

安全性の問題を除くとナイロビの生活は非常に快適です。私の住居は外国人も多く住むサービスアパートメントで、d.light のfellowとフラットシェアをしています。比較的大きなショッピングセンターが近くにあり日常的に必要なものに困ることはありません。また、600人を超える日本人がケニアに滞在しており、強盗に遭ったあともすぐに日本人の方にいろいろアドバイスをいただき、非常に心強いです。

派遣先のd.lightでの仕事

派遣先のd.lightはソーラーランタンをBoP層向けに独自開発、中国で製造し、インドとアフリカの各国で販売しています。現在BoP層の多くは、電気ではなく灯油を燃料に利用したランタンを使っています。燃料費は家計の10-20%を占め、火事をはじめとした事故の危険が高く、環境に悪く、健康被害も大きい灯油ランタン。これを安価で高品質のソーラーランタンに替えることで、利用者は生活の質を上げることができます。よって、d.lightは電気を使えないBoP層の人々にも、電気を使っている人と同じ生活の質を提供することを目的に、ソーラーランタンをユーザーへ届けています。アフリカでは既に8カ国でランタンを販売していますが、ケニアオフィスは11年の5月に設立されたばかり。9人のメンバーのうち半分が、働き始めて6カ月未満という若い組織です。

(写真:d.lightの忘年会)

d.light がまだ開拓していない市場をアフリカで開拓する。これが私に与えられたミッションです。国を選定する基準を決め、市場を見極めるための調査を行っています。チームディスカッションの結果決まった選定基準は何十にもなり、アフリカ全土のデータを探して加工するといった作業面も大変ですが、これをどの優先順位に切り分けていくかというのもチャレンジです。アフリカ市場を経験したことがないため、データから読み取れないが明らかな点について、鼻を利かせて判断することが難しいように感じています。他のメンバーの協力やアドバイスを得ながら進めて行くようにしています。

一方で調査は結果がすぐ見えるものではなく、気持ちが焦ることがあるのも事実です。そこで、自分が気づくこと、得意なことで小さい改善を行うように努めました。コンピューターやネットワークといったIT関連のサポートや、E-commerce サービスの改善とチャネルの新規開拓といったものがそれにあたります。BoPマーケットには直接関係ありませんが、インターネットの接続状況などビジネスのバックボーンを強化することは、今後のビジネス拡大には重要なことと考え取り組んでいます。また、E-commerce は明らかにBoPマーケットをターゲットにしてはいませんが、d.lightの戦略上は今後拡大を図りたいチャネルの一つであるのも事実です。このチャネルを拡大することでd.lightが提供するサービス全体のAffordabilityを高め、結果的にBoPマーケットに対して継続的なサービス提供ができるようになると捉え取り組んでいます。

Acumen Fund としての活動

Acumen Fund として活動は、3週間に1度のグループ電話会議とNYにいるGlobal Fellows のマネジャーとの個人電話ミーティングと時折レポートがある程度です。基本的に私の生活は、派遣先のd.light での業務に専念できるようになっています。


一方で、Acumen Fundの仲間たちへのアクセスは常にオープンです。特にNYで密度の高い2カ月を共に過ごし、共通な価値観を共有している他のGlobal Fellowsは非常に心強く大きな存在です。ナイロビには私を含めて4人のGlobal Fellows がいる以外に、East Africa のRegional Fellows (世界のレベルのみではなく、地域レベルでも社会的変革を起こせる各地域のリーダーのコミュニティを育てることを目的として、2011年に東アフリカでに始まった新たなFellows Program。参加条件として、既に各地域で社会的事業を行っているか、NGOなどの機関での活動経験が必須になっている。詳しくはこちら)も大勢います。東アフリカのGlobal Fellows とRegional Fellowsが交流する機会にも恵まれました。素晴らしい仲間に恵まれ、その一員であることに感謝します。話す度に自分も頑張ろうと勇気づけられる存在です。

以上、ナイロビでの初めての4週間は想像しないことがたくさん起こりましたが、多くの素敵な人に出会い、素晴らしいスタートでした。9か月のナイロビ滞在期間、d.light での業務を通じて少しでも人々の選択肢を広げられるように頑張ろうと思います。

(写真:Acumen Regional FellowsとGlobal Fellows)
井上直美さんのブログはこちら