グローバルフェローのその後-藤田周子さん、マリオ・フェーロさん(2010-2011年フェロー)

東京財団から推薦され、アキュメンファンドのグローバルフェローとして2010年9月から1年間の研修に参加した藤田周子さんは、研修で学んだことを生かし、現在はアフガニスタンのカブールで活動しています。

アフガニスタンでは、太陽光をエネルギー源とするソーラーランタンのビジネス展開を目指して頑張っています。アフガニスタンの電化率は15~20パーセント。世界でも最低レベルです。電気が来ている地域でも、停電が多く、安定した電気供給ができていません。人口が広い国土に分散しているため、送電網の普及にも時間がかかります。藤田さんはそんな地域に住む人たちに、ソーラーランタンを普及させようと奮闘しています。晴れの日が年間で300日以上あるため、充電にはもってこいの環境です。フル充電すれば、8時間使用できるタイプが約15ドル(写真左)。4時間使用できるものが約8ドル(写真右)で入手できます。しかし、海外からの援助に頼って生活している人が多いこの国では、このような製品を流通させる消費者市場がまだ育っていません。

電気のない地域では、ケロシンランプが広く使われています。灯油なので、火事につながる危険性があり、目や肺を傷めるなど、健康上の被害も発生しています。しかし、これをやめてソーラーランタンを買ってもらうのは、簡単なことではありません。電気のある生活のメリットを説明するところからはじめなければならないのです。例えば、「店にソーラーランタンをつけたら、日が沈んでもお客さんがやってくる。そうなると、売上げが増える。」「家にソーラーランタンがあれば、子どもたちが夜に本を読める。そうなると勉強が進み、将来上の学校に進学できる。」そんなことを理解してもらうのが一苦労だそうです。

藤田さんはソーラーランタンを、子どもたちの教育向上のために使ってほしいと考えています。時間はかかりますが、大きな社会的インパクトを与えられるからです。アフガニスタンの田舎でもこのソーラーランタンが店頭に並び、子どもの勉強用にと母親が買い求めるような日がくることを目指して頑張っています。

国際開発ジャーナル No.672 (2012年11月01日発売) で藤田さんがとりあげられています。
「特集:キャリアパス特集~専門性が開く道」において、さまざまな立場から開発途上国の社会課題の解決のために活躍している実例として紹介されています。

2013年1月26日付THE JAPAN TIMES 第3面に藤田さんのインタビュー記事が掲載されています。

藤田さんと同じ時期にグローバルフェローを経験したイタリア人のマリオ・フェーロさんも、研修を生かして頑張っています。東南アジア最貧国の女性リーダーを支える社会企業Weduを立ち上げました。フェーロさんご本人から、詳しい内容を紹介していただきましょう。

アキュメンファンドから、最貧国の女性リーダーを支える社会企業Weduの立ち上げまで


マリオ・フェーロ

私は2010-2011年にアキュメンファンド・グローバルフェロープログラムに、藤田周子さんと一緒に参加しました。ここでは、このプログラムと、Wedu設立のつながりについてお話させていただきます。

Weduとは


Weduは、メンターシップ、大学進学のサポート、革新的な資金援助を通して、最貧国の若い女性たちのリーダーへの育成をサポートします。Weduのサポートを基盤として、彼女たちがコミュニティリーダーになり、その過程で貸りた基金を返し、Wedu卒業生として将来のリーダーをサポートすることを進めることで持続性を保つことを目指します。創設1年弱ですでに、カンボディア人3人とミャンマー人2人の学生を奨学金とメンターシップでサポートしており、将来何百人のリーダーたちをサポートできるようなインフラを設立中です。世界中のドナーも増え続け、日本でも。Tate Corporationsやグローリーゴスペルシンガーズなどとパートナーシップを組んでいます
Weduが目指すのは、長期的なゴールであり、達成には「patient capital」が必要となります。スタートアップ段階では社会貢献資本を基本とし、長期的には財政的に持続可能、そして最貧国のコミュニティや社会がよい方向に変革されることを目指します。私たちは現在までに、London School of Economics Alumni、ケンブリッジ大学Entrepreneurship (here) を含む3つのビジネスプランコンペティションで受賞しています。また世界中で24人のボランティアがWeduの様々な活動にかかわっています。

なぜ私たちはWeduを立ち上げたのでしょうか?ロンドンで国際開発学を勉強し、2010年に大地震後のハイチで仕事をしたのがきっかけのひとつでした。そこでは経験を通して、ローカルリーダーシップの重要性に気づきました。それは、ハイチのあとにフェローとして参加したアキュメンファンドグローバルフェローシッププログラムがあってこそ、今のWeduが存在するとも言えるでしょう。


アキュメン•ファンドグローバル•フェロー•プログラムについて


アキュメンフェローとしてすごした一年は、私の人生を変え、たくさんのインスピレーションを与えてくれました。採用試験のインタビューでは、企業家を目指しているかと尋ねられました。簡単な質問ではありましたが、私の中でドミノ現象が始まったとも言えます。ニューヨークでの研修の2ヶ月は、Jacqueline Novogratzを始め、著名な人々と出会い、正義、尊厳、道徳について、世界の貧困との取り組み方などを、非営利と営利セクターで成功を収めたリーダーたちの例にもとづいて議論しました。リーダーには、インスピレーションを与えてくれるメンターシップなどからのサポートが必要だということ、そして「Patient capitalism」の重要性などについて学び、こういった会話はWeduの基盤となりました。ニューヨークでの研修はとてもためにもなりました。一例として、3時間内にビジネスプランを作るタスクがありました。私のチームは、「一ドル一詩」(one poem for one dollar)のビジネスアイディアを出しました。チームワークとマーケティングの勉強にもなりました。楽しかったと同時に予想以上の利益も出ました。

フィールド(現場研修)で過ごす9カ月に「魔法」が起きます。私はHusk Power Systems (HPS)という、北インドの田舎、ビハール州に送られ、農村に電気を送る社会企業に勤めました。そこでCEOと設立者のギアネッシュGyanesh jiに出会いました。ビハール州出身ですが、経験はインドとアメリカで積んでいる、エネルギッシュな社長です。彼と一緒に長い時間をかけてHPSの誕生、彼のビジョン、そしてImpact investingの役割について議論しあいました。HPSの第一発電所のロケーションを知ったとき、なぜそこに発電所をたてたのか、私は理解できませんでした。交通の便が悪く、犯罪が多く、その上洪水で孤立することも少なくない場所です。ギアネッシュに聞くと、とてもシンプルに、「一番暗い場所に立てようと思った」と言いました。彼こそがまさに、途上国の人たちが自分たちの力で社会を発展させるためのサポートがいかに重要であるかを示す、アイコンといえるのではないかと私は思います。彼に出会ったことによってWeduのアイデアが芽生え始めました。

フェローシップに参加し、ニューヨークで一緒に生活をしたり、ケニヤ山を上ったりする過程で、他のフェローとの強い絆が出来ました。給料をもらうだけでは満足できないと、人生の生き方や、将来の選択について話し合いました。ある夜、フェロー仲間と一緒にマンハッタンでハンバーガーの店を探して歩いているとき、これからMBAを取得するのか、それとも会社を立ち上げるかを議論しあい、お互いが、自分の探している答えを見つけるよう助け合いました。ブレンダとクラムと一緒にケニヤ山を上る途中、リーダーシップについて語り合いました。自分たちの限界を押し広げるすばらしい体験でした。フェローシップで得た経験が私の人生に与えたインパクトは非常に大きかったといえるでしょう。

日本人のあなたに、アキュメンファンドグローバルフェローシッププログラムを


振り返ってみると、私は運がよかったともいえます。あなたも、アキュメンファンドフェローシッププログラムに応募し、自己啓発につながる経験を進んで探し、他人から教えてもらうのを待つより、好奇心を旺盛に、自ら挑戦してください。そうすれば、人生の様々なチャレンジにも立ち向かっていけます。

日本は、社会投資セクターのリーダーを生む非常に大きな可能性を持っています。いま国際機関に勤めているWeduの共同設立者の澤井麻里さんも、その一人です。貧困撲滅と、ジェンダー間の差をなくすという彼女の信念は、Weduの重要な柱となっています。東京財団が毎年一人、アキュメンファンドにフェローを送るという面では、日本の皆さんはとても恵まれていると思います。

あなたが受け入れることの出来ない、グローバルまたはローカルの社会問題とは何ですか? 我慢できないほどの不正や、不公平など。フェローシップの1年を通し、そのことについて議論をし、理解し、行動する機会があるかもしれません。それが私にとっては、Weduの設立につながりました。

最後に、フェローシップは、自分自身がもつ可能性に気づかせてくれるのと、そして人生に何を求めているのか、行動の起こし方を教えてくれます。現在のコンフォートゾーンから抜け出し、自分が大きくなれる機会を与えてくれます。自分自身の人生のマスターになることにより、今までになく素晴らしい可能性を模索できます。新しい企業やNGOを設立する必要はありません。日本にあるいろいろなイニシャティブや組織に勤めることによっても、強力なChange agentになれると確信しています。
もしフェローシップやWeduについて更に知りたいという方はどうぞ私にコンタクトしてください。



マリオ・フェーロは2011年アキュメンファンドフェロー。Weduの共同設立者とディレクター。過去には、マネージメントコンサルティングと国際開発で経験を持つ。ロンドン大学(LSE)での修士号を持つ。
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