タイプ
その他
日付
2008/10/27

市民の前で研修報告をして感じたこと

市民の前で研修報告をして感じたこと
塩尻市 議会事務局 大村一


塩尻市の市民団体の1つ「塩尻まち好きネット」のメンバー、約10人に対して10月14日、東京財団主催の「市区町村職員国内外研修プログラム」の報告(*当日の報告資料はこちらからご覧ください)を行いました。「塩尻まち好きネット」は、塩尻市内で「住んでよかった」を形にする、まち育て活動をしている人たちの集まりです。4月の研修が始まる前に、地元が抱える課題についてインタビューした1人がこの団体のメンバーだったことから、「研修成果を聞かせてほしい」との依頼があり、お引受けすることにしました。
東京及び米国のオレゴン州ポートランド市で行われた約半年間の研修を通して、地方自治体職員が市民の集まりに入っていき、市民の声を聞くことの重要性を改めて学びました。ですから、この研修報告の依頼は私にとって貴重な機会であり、うれしく感じました。当日は、米国の活発な市民参加の現状、研修を通して研修生たちで考えた日本の地方自治体の問題点や改善点などを含めた以下の話をしました。

研修で得た自治体の問題点と課題
私たち研修生(5期生)が7週間、研修を受けたポートランド市や周辺の郡は、米国の中でも市民参加が盛んです。例えば、地域住民が集まり文化的な活動をしながら、地域が活発になるような公共の空間づくりを図るNPOがあったり、高齢・障害者、教育、環境問題など、地域の重要なテーマを解決するために、行政と市民の橋渡しをするNPOがあったりします。また、様々な形で、行政の職員が何度も足を運んで市民の意見を聞きとり、住民と共によい地域づくりを行おうとしている姿も印象に残りました。
私たち研修生は、財政難、住民ニーズの多様化、少子高齢化など厳しい現状にある日本の地方自治体の中で、以下の問題があると考えています。(1)中央集権の長い歴史による地方自治体職員の依存体質、(2)リスク回避による業務の前例踏襲、横並び主義、(3)長期的な視点で政策が考えられていないこと。また、こうした問題が起きる要因として、1)行政が市民参加の機会を設けていない、2)市民と行政、行政職員同士や市民同士の対話が行われていない、3)職員の気づき・論理的な考え方が行われていない(柔軟な思考がない)があると考えます。こうしたことから、私たち研修生は、日本の自治体の問題の中核は、「行政の意思決定が適切に行われていないこと」ではないか、と考えました。そして、この問題を解決するために以下3点、?行政が市民参加の機会を増やす、?対話を増やす、?職員の気づき・論理的な考え方(柔軟な思考)が行えるようにすることが必要であると考えました。

市民の声を集めたい
特に市民参加が活発でなければ、行政の取り組みが効果的に機能しないだけでなく、市民の厳しい批判も増加することでしょう。これは地方分権が進む中で、市民のニーズに対応できず、市民生活の向上が図れないという結果につながりかねません。市民参加の利点は、現場の問題やその解決策を集めることが可能であるとともに、市民の当事者意識が高まることだと思います。そして市民の参加があってこそ、行政の行う事業への支持、正当性が得られるのだと考えます。
私は、地方自治体の一職員として、できるだけ市民の集まりに入っていき、市民の声を聴くとともに、意見交換の場があれば、積極的に参加していきたいと思います。今後、何らかの事業を立ち上げる担当になったら、最初から関係する市民の意見に耳を傾け、事業に反映させていきたい。また、地方自治体が抱える地域課題の解決のため、塩尻市だけではなく、他の自治体職員との関係を築き、市民のみなさんとよりよい地域づくりをしていくための経験をシェアしていきたい。この研修を通して、意欲的な他の自治体職員とのよい出会いがありました。こうしたネットワークを、今後の業務でも積極的に活かしていきたいと考えています。
「塩尻まち好きネット」のみなさんには、最後にこんな話をしました。「東京財団の研修が始まってから、私は、市民活動をされている方や、職場で接する市議会議員に、『どう考えますか?』と常に話しかけ、意見を聞くよう心がけるようになりました。行政は多くの市民と対話をすることで、堅い考え方がどんどん柔らかくなると、私は考えます。みなさんも活動を通じて、今まで以上に市の職員と対話をしてください」と。このたびの研修報告の後は、研修内容や自治体職員のイメージや、自分たちの考えるまちづくりなどについて、とても活発な議論になりました。私自身、学ぶことが多々あり、楽しいひと時でもありました。これからも市民のみなさんと一緒に塩尻市の在り方について考えていきたいと思います。

(市民団体「塩尻まち好きネット」のメンバーに、研修報告を実施)

(米国研修で得たことを、ホワイトボートを使って語る塩尻市職員の大村一さん)