タイプ
その他
日付
2008/12/4

『周りを巻き込み、よりよい地域づくりを!』 ~市区町村職員国内外研修プログラム・総括研修終了~

『周りを巻き込み、よりよい地域づくりを!』
~市区町村職員国内外研修プログラム・総括研修終了~

岩永有美子(奨学事業部プログラム・オフィサー)

 2008年度「市区町村職員国内外研修プログラム」の総括研修が11月29日、東京都港区の日本財団ビルで開催された。このイベントが本年度研修の最終日であり、また2004年度から5年間にわたって実施された本研修プログラムの締めくくりでもある。今回の総括研修には、今年度の研修生13人(*1)のほか、研修先である早稲田大学大学院公共経営研究科より塚本壽雄教授、小林麻理教授、米国・オレゴン州のポートランド州立大学よりダグラス・モーガン教授、マルカス・イングル教授、西芝雅美教授、さらに前年度までの研修生、研修生の所属自治体関係者ら約50人が参加した。

*約50人の参加者を集めて開催された総括研修

 今年度の研修生は4月から9月までの研修を通して、所属自治体の課題を解決するためのプロジェクトを立案。研修後はそれぞれが職場でプロジェクトを発表し、実現の可能性などを検討した。今回の総括研修では、それぞれの職場での反応や環境の変化等を踏まえて、プロジェクトの発表が行われた。

 プロジェクトの分野(*2)は、予算、議会改革、人事、保健医療、防災など多岐にわたる。1人10分間の発表からは、研修を終えて半年ぶりに復帰した職場での様々な反応が伝わってきた。例えば、研修後、人事異動になり、プロジェクトの実行が難しくなってしまった人もいれば、市民や同僚の前でプロジェクトや研修内容を披露し、理解を広げる試みをしている人、同僚に効率的な仕事をしてもらえるよう、研修で学んだ経営管理手法の1つ、プロジェクトマネジメントの勉強会をしている人もいた。各発表に対して、両大学の教員、1~4期の研修生、東京財団の加藤秀樹会長、松信章子常務理事らから、コメント、質問が活発に寄せられた。例えば、「職員の能力向上」と言うのは簡単だが、職場で必要とされているのは実際には「何の能力」か、もう少しつきつめ具体的に考えることで、現実により即したプロジェクトに近づく、といった指摘があった。

 こうした研修生のプロジェクト内容について、加藤会長は「(各プロジェクトは)半年間、研修生が自分の頭で一生懸命考え、まとめた成果ではあるが、1、2年後、もう一度、このプロジェクトを見直してほしい。現実と随分違うことに気がつくと思う。大学で学んだことと現実をどのように繋ぎ、実践していくか。市民の当事者意識も持ち合わせながら、考えて続けてほしい」と話した。




*休憩時間に、加藤会長(左)と歓談する研修生たち

 この5年間の研修を通して、全国28の自治体から49人の研修生が誕生した。総括研修には、昨年度までの研修生36人の中から17人が全国から集まった。その中から6人の有志(1期生:瀬戸正徳さん、島添悟享さん、2期生:戸梶大さん、木村優紀さん、3期生:市川貴光さん、4期生:宇都山智幸さん)が、プロジェクトの進捗状況や現在の仕事の様子等の報告を行った。また、多くの研修生から研修成果を活かすための決意表明があった(*3)。

 全研修生に対し、加藤会長は以下の贐の言葉を送った。「全国の約1800の自治体の中の28、計49人の研修生を大きいと見るか、少ないと見るかは様々な見方があるが、私は大きな数字だと思う。それぞれの地域がよくなることで、日本全体がよくなる。それぞれの地域で、研修生たちはコアになってがんばってほしい」。



* 閉会の出発(たびたち)パーティーには、1~5期生、研修先の2大学の参加者ら多くの人が参加した。撮影:九鬼 遊





*** 東京財団では、今後も市区町村の人材育成に貢献するため、2009年度から東京財団上席研究員の福嶋浩彦(前我孫子市長)を校長に、新しい実践的なプログラム「東京財団週末学校~自治体の自立のために」を5月中旬から約5か月間、開催いたします。(詳細は12月下旬、東京財団HPに掲載予定)


(*1,2)
『2008年度研修生の氏名、所属自治体、プロジェクトタイトル』(五十音順、敬称略)

・今村寛(福岡市)
「予算編成に関する庁内分権プロジェクト~市民の目線に立った創意工夫を発揮するために~」

・大村一(長野県塩尻市)
「市議会を活性化して市民と行政を近づけるプロジェクト」

・小寺正浩(徳島県鳴門市)
「若手職員の能力向上プロジェクト」

・佐鳥秀樹(東京都荒川区)
「高齢者の力を活かした子育て支援」

・春原信行(長野県小諸市)
「自主防災組織システムを効果的かつ持続的に機能させるプロジェクト」

・竹間美加子(神奈川県伊勢原市)
「安全・快適な歩行空間の創出プロジェクト~ハードもソフトも人にやさしいまちづくり~」

・殿城元康(千葉県酒々井町)
「酒々井町における防犯プロジェクト~地域と行政が一体となって犯罪の起こりにくい環境をつくるには~」

・藤崎博之(熊本県上天草市)
「市民参加型の手法を事業に生かすプロジェクト」

・松井英樹(愛知県蒲郡市)
「高齢者を中心とした情報活用プロジェクト~ITを利用したコミュニティ活性化へ向けて~」

・松尾真介 (埼玉県さいたま市)
「地域コミュニティ活性化のためのプロジェクト~まずはきっかけづくりから~」

・水谷留尉(三重県四日市市)
「地域で支える地域医療プロジェクト」

・棟方達郎(滋賀県高島市)
「高島スポーツサービス活性化プロジェクト」

・森田修康(東京都荒川区)
「ボトムアップによる効率的・効果的な区政運営の実現~パイロットプロジェクト~」


(*3)
『研修生の決意表明』(表明順)

埼玉県さいたま市 松尾真介(5期生) 研修の最後まで多くのことを学ぶことができました。現在は職場に戻っておりますが、この研修で学んだことが、自分の考えや意見を後ろから支えてくれているように感じます。今後は、研修で学んだことを広めるとともに、自己研鑽を続けていきます。

埼玉県川越市 味方翼樹(4期生) この研修を通して学ばせていただいたことや受けた刺激、意識を維持し続けるとともに、さらに発展させるため学習を続け、専門教育を受けた行政職員の1人として、川越市と地方自治のために貢献しようと考えております。

熊本県上天草市 藤崎博之(5期生) 人の能力を最大限に発揮させるためには「人を褒めて育て、楽しく仕事をすること」が必要だということを学びました。住民とともによりよい自治体を築くために、お互いに尊重しながら課題解決に取り組んでいきます。

東京都荒川区 鈴木奈津子(4期生) 今年は総括研修によって、研修生同士の絆がさらに強まったと思います。先生方や各期の研修生からの熱意に触れてパワーをもらうことができました。荒川区は5人の研修生がいるという利点を活かし、研修の成果を波及させていきたいです。

東京都荒川区 佐鳥秀樹(5期生) 研修では個人として、公務員として多くのことを学びました。今後はその学びを繋ぎあわせ、実践の場でどう活用するか。研修によって築かれたネットワークに、自分がどう貢献できるかを考えていきたいと思います。

東京都荒川区 宇都山智幸(4期生) 早稲田やポートランド州立大学、サイトビジットなどで得た知識や経験を他の若手・中堅職員に芽の出る種を蒔いていきたいと思う。今後も職員の意識改革や効率的な行政運営の提案など実践に向けて発展するよう様々な活動を続けていきたい。

三重県四日市市 水谷留尉(5期生) 多くの学び、貴重な経験、そして何事にも代えられない素晴らしい仲間が得られた研修でした。これからも自己研鑽に励み、四日市市のため、日本のために少しでも貢献していきたいと思います。Let knowledge serve the city.

千葉県酒々井町 殿城元康(5期生) ハイレベルな研修課程を終了することができ、達成感がある一方、寂しさも感じています。研修で得た知識、経験、そして研修のネットワークを活用し、住民のために課題を解決していくとともに、小規模自治体ならではの良い点を伸ばしていきたいと考えています。

神奈川県伊勢原市 竹間美加子(5期生) この研修に参加させていただき、多くの先生方や同じ地方公務員として働く仲間と、互いに切磋琢磨して有意義な学習ができました。今後は、学んだことを仕事で実践し、職場の職員にも伝えて分かち合い、活かしていきたいです。

長野県塩尻市 大村一(5期生) 私が今回の研修で得た最大の成果は「多くの人々の出会い」と、そこから生まれた「多くの対話(ダイアローグ)」だと思います。この成果から得たものを日々職場で取り組み、市の職員、そして市民とともに育てる決意です。

徳島県鳴門市 小寺正浩(5期生) 多くの方々のお力添えにより、無事に研修を終えることができました。今後は自分の仕事において実践し、成果を出し、自分が学んだことを伝えることをミッションとして、チャレンジし続けたいと思っています。

福岡県福岡市 今村寛(5期生) この研修のおかげで、井の中の蛙だった自分の殻を破ることができ、ここでしか得ることができない貴重な知識、経験、仲間を得ることができました。これらの財産を大切にし、実践を通して、市政に還元したいと思います。

東京都荒川区 森田修康(5期生) 今回の研修では、日ごろの業務だけでは得られない非常に多くのことを学ぶことができ、私の今後の業務に対する考え方を一新するような大きなインパクトがありました。これを人生の転機と捉え、これまで以上に業務に励んでいきたいと思います。

福岡県黒木町 堀川州(3期生) 2010年2月に隣接する八女市に編入合併をする黒木町の地域振興策の1点突破として、「卓球」を取り上げたプロジェクトを研修で作成し、実行している。町内卓球人口は、05年40人だったのが、08年には200人に。経済効果を図るため「ピンポンまんじゅう」も開発した。市町村合併により黒木町はなくなるが、卓球を通じて元気な住民、元気な地域を育み、情報発信を今後も続けたい。自分で自分を磨いて(Building yourself begins with yourself.)である。

東京都墨田区 瀬戸正徳(1期生) 私は、市区町村職員国内外研修に参加出来たことに感謝すると同時に誇りに思っています。これから研修生49名の仲間と共に日本の地方自治の振興に力を尽くしたいと思います。

愛知県蒲郡市 松井英樹(5期生) 私は、この研修に参加できたことにより、自分自身が大きく成長できたと感じています。今後は、研修で学んだことを活用し、地域に貢献できるよう、更に努力をしていきたいと思います。

東京都荒川区 内田まどか(4期生) 私はこの研修を通じて、自治体を取り巻く様々な課題やそれを解決する手法(プロジェクトマネジメント)を学ぶことができました。そして何よりも気持ちを一にする仲間ができました。これら「資源」の活用が、今後の私のプロジェクトであると考えています。貴重な機会をくださった東京財団の皆様に心から感謝いたします。

滋賀県高島市 棟方達郎(5期生) 私は、一公務員として入庁時に宣言した“市民に対する奉仕の精神”を忘れることなく、常に市民の方々と対話を怠らず、相手の立場に立って物事が考えられる地方公務員をめざします。そして崩壊寸前の日本自治を地方から少しでも変えていけるよう努力して参ります。

長野県小諸市 春原信行(5期生) Have Fun! 仕事が大変になるほど楽しむことを忘れない。職員が大変そうに仕事をしていれば、住民だって参加したくないはず。選択と集中で効率的に仕事を楽にすることと合わせ2つの「楽」を常に心がけたいです。