タイプ
その他
日付
2010/3/30

東京財団日本語作文コンテスト 受賞者訪日の感想

東京財団作文コンテストの最優秀賞受賞者、サマンサ・ビッケリー(ニュージーランド)とレベッカ・チェン(オーストラリア)は、2010年1月末に東京財団の招きで来日し、副賞である一週間の日本滞在を楽しみました。
滞在中、東京、広島、大阪、京都を訪問し、日本の歴史や文化を学ぶとともに、東京大学国際交流サークル「茶柱」、早稲田大学、立命館大学孔子学院の学生など、同年代の日本の若者と交流を深めました。今回は、日本科学協会が中国で実施した「笹川杯日本知識クイズ・作文コンクール2009」優勝者と行動を共にしたため、「日本語」という共通項を持った中国の学生とも交流を深める機会にも恵まれました。
以下に、二人の訪日感想文を紹介します。彼女たちの思いをそのまま感じていただきたく、原文のまま掲載しています。日本を実際に体験することで日本理解を深め、今後、日本語学習や日本研究をより発展させてくれることを期待しています。
東京財団は、日本語教育基金の事業を通して、海外での日本語教育や日本理解にさらに貢献していきたいと考えています。

【訪日感想文】
「自分の目で見た現実の日本」サマンサ・ビッケリー
「日本に行って学んだこと」レベッカ・チェン

                                     *原文をそのまま掲載しています


「自分の目で見た現実の日本」
サマンサ・ビッケリー(オークランド大学3年/ニュージーランド)

 今回は私の初めての日本訪問で、私にとって目を見張るような経験でした。専門は日本語なので、今まで日本について多くのことを勉強しました。日本語のほかに、日本の歴史や政治や文化についても学んでいました。そのため、私の日本への期待は、日本語や日本文化を学んだことのない人々の期待と少し違っていたと思います。そして、私は一般の人より日本を知っていると思っていました。

 それにもかかわらず、日本に来たとき、少し驚きました。日本人はほかの人々と根本的に変わらないことに気づきました。日本人の大学生と一緒に遊びながら、ニュージーランド人の学生と話をするように話しました。彼らも宿題とか試験とか、同じ心配を抱え込んでいました。また、映画とか音楽とか、同じ趣味を持っていました。実は、私と同じバンドが好きな学生がいましたから、心ゆくまで話すことができました。文化の違いから起きる摩擦は避けられないと思う人々が多いですが、私の日本の経験を踏まえ、文化の違いは多くの人々が思っているより少ないことに気づきました。確かに違いはありますが、元来は皆が同じ希望や悩みを持っていると信じています。

 日本に来る前に、今までよく聞いていた所を現実に見るのを特に楽しみにしていました。日本語の授業でよく東京の名所や人々について学びました。それだけでなく、子供のころの友人は広島の出身で、高校の時の友人は大阪の出身でした。でも、友人が日本の生活について話したとき、私はその生活を思い描くことができませんでした。今は自分自身の目で日本を見ましたから、本当に嬉しいです。次に友人と日本について話をするときは、私も自分の経験を話せるでしょう。

 一方、日本にいる間に困ったこともありました。私は今まで日本を訪問したことがなかったので、日本語を聞いたり話したりする機会があまりありませんでした。ですから、日本に来たとき日本人の早い話し方を理解するのは本当に難しかったです。また、即答できませんでした。しかし、一週間だけでしたが、日本語を話すことに自信を持ち始めたと思います。いつか、日本に戻って、長期間の勉強をしたいと思います。そうすることで、簡単に日本語を話せるようになることを強く願っています。今回の経験のおかげで、やる気がでました。これからも頑張ります!

 日本での時間はすごく楽しかったです。日本人や日本の文化をさらに理解できるようになったように感じますから、本当に嬉しいです。作文コンテストの関係者の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。本当に良い機会を下さり、ありがとうございました。いつか日本に戻ったら、皆さんにもう一度会えるといいと思います。


サマンサ・ビッケリー(Samantha Vickery)

ビジネスと外国語を勉強しているオークランド大学3年生。外国語を学ぶのが大好きで、日本語の他に、フランス語とドイツ語も勉強している。将来、外国語を操り、世界旅行をするのが夢。空手や、読書、料理が趣味。


                                     *原文をそのまま掲載しています


「日本に行って学んだこと」
レベッカ・チェン(モナシュ大学4年/オーストラリア)

 この度、東京財団の日本語作文コンテストに参加し、最優秀作品として選ばれて、大変光栄だと思います。そして、一週間日本の滞在を通して、たくさん素晴らしい経験を得ることもできました。

 東京に到着した翌日に、東京財団のビルで受賞式と歓迎レセプションが行われて、東京財団の皆さんやオーストラリアとニュージーランドの大使に会えて、とても得難い経験だと思います。特に、東京財団の皆さんはとても親切で、いつも話しかけてもらって、スピーチの時でもあんまり緊張しなかったのです。それから、オーストラリアの大使から、将来オーストラリアの外務省に申請しなさいなど励みとなる言葉をいただき、これからの就職活動に少し不安の私にとって、とても心強い言葉です。また、加藤会長から意味深いスピーチを承って、ニュースやメディアの役割や言語の豊かさに関しても改めて考えることができました。東京財団のウェブサイトで、もう一度加藤会長のスピーチを読ませていただきます。

  1月26日に東京大学と早稲田大学の学生さんと合流し、都内の名所を見学することもとっても楽しかったのです。私のグループは東京のビジネス、政治の中心を見学するというルートですが、グループの皆さんはそれぞれ行きたい場所があって、結局「銀座―浅草―原宿」というルートで見学を行いましたが、とても充実で、楽しい一日でした。中国からの学生さんと始めて話しをして、趣味や大学生活の他に、今の中国の社会や政治などについても話すことができました。つまり、中国人の学生との交流から、中国社会についての勉強にもなったと思います。私は幼い頃オーストラリアに移住したゆえに、あんまり中国の社会や歴史について知らないことを恥ずかしく思って、今回日本人の学生だけではなく、中国人の学生との交流もできて、本当にうれしかったのです。できれば、もっと広島の和式ホテルのように、中国人学生との4人部屋の方がよかったかもしれないと思います。

  1月28日は広島見学の日でした。私は以前広島で原爆生存者からのスピーチを聞いたことがありますが、広島平和記念資料館に行ったことがありません。やはり、ものすごく悲しいところでした。特に、ガイドさんから親から離れて、原爆の日なくなられた8000人のこどもの話を聞くと、涙が出そうぐらい耐えられなく心が痛みました。残された弁当箱や靴などを見て、正直に言うと、とても辛かったのです。こんなにたくさん幼い命を一瞬になくすことが実際に起きたという現実が怖いと思いました。そして、原爆による悲劇が二度と繰り返されてはいけないと思い、「核兵器のない世界」になるように心から祈っています。

 ちなみに、平和記念資料館からもらった平和宣言から心に響いた言葉があります。
「We have the power. We have the responsibility. And we are the Obamajority. Together, we can abolish nuclear weapons. Yes, we can.」
 それは、広島市長秋葉忠利の言葉です。これからも「2020ビジョン」を具体化した「広島・長崎議定書」による活動を期待しています。

 広島の平和記念資料館で、もう一つ思い出に残ったことがあります。それは、たまたま記念館の窓から、平和公園で車椅子に座っている外国人のおばあさんを見かけたことです。あのおばあさんの髪は真っ白で、体も弱そうに見えました。なのに、元気そうな顔で、回りを見ていたのです。今の若者は日本のアニメや電気製品、車にとても熱中していますが、お年寄りは第二次世界大戦を実に経験したため、日本にまだ敵意を持っている人は少なくないと思います。サマンサのおじいさんとおばあさんもなぜ彼女が日本語を勉強したがるのと彼女に聞いたそうです。オーストラリアでもたくさんのお年寄りはそういう気持ちを持っているのでしょう。なのに、あのおばあさんを見て、広島に来ることは、戦争で勝つものはないという考えから生じたものではないかと思いました。もちろん、これは全部自分の頭の中だけかもしれませんが、昔の敵であった日本に行って、たくさんなくなられた人たちが眠る広島をたずね、それは日本も西洋と同じように戦争でたくさんの命を失われたと感じたのではないでしょうか。そして、あのおばあさんの車椅子を押している若い子を見て、世界平和への道はもう少し真っ直ぐに見えるようになったと思います。

  広島の後、宮島に行くことになりました。厳島神社に行って、鏑木さんのおかげで、日本語や日本の文化を勉強する機会になりました。厳島神社では二頭の狛犬の像があて、そのうちの一頭は口を開いているままで、もう一頭は口を閉じていました。私は何回も神社やお寺に行ったことがありますが、そのことをぜんぜん気が付かなかったのです。鏑木さんによると、それは「阿吽の呼吸」とよばれています。阿は口を開いて最初に出す音、吽は口を閉じて出す最後の音であり、そこから、それぞれ宇宙の始まりと終わりを表す言葉とされたそうです。転じて、二人の人物が呼吸まで合わせるように共に行動しているさまを阿吽の呼吸、阿吽の仲などと呼ぶそうです。そして、「以心伝心」という日本人が相手に対する強い思いやりを表す言葉も勉強しました。私は「以心伝心」はとても日本的な美徳だと思います。しかし、同時に西洋と日本の間の文化の違いも感じました。日本人は欲求をストレートに表現しないことが多いことに対して、西洋人はその曖昧さを分からず、または誤解をすることも多いでしょう。ですから、「以心伝心」はおそらく日本人相手以外には残念ですが、通用しないと思っています。でも、このことで、もっともっと日本の文化や日本の言葉について勉強したいという気持ちが高まって、テキスト以外にも、もっと日本の文化や言葉に触れたいと思いました。

 まとめとして、東京財団と日本財団の皆さんに深く感謝を申し上げたいと思います。おかげさまで、とっても楽しくて、忘れ難い一週間となりました。これからも日本語の勉強をがんばりたいと思います。今回の研修で、オーストラリアと日本の架け橋になることだけではなく、微力ですが世界のために何かをしたいという気持ちを持たせたのです。本当にありがとうございました。次日本に行ったら、東京財団の皆さんにまた会いに行きたいと思っています。Thank you very much!

(注)鏑木さん:同行した東京財団スタッフ


レベッカ・チェン(Rebecca Chen)

モナシュ大学4年生。日本語、中国語、ビジネスのダブル・ディグリー・コースに在籍中。2010年6月の卒業後は、オーストラリアの日本企業、もしくはオーストラリア外務省関係に就職を希望。日本語は中学一年生の時から約10年間勉強している。趣味は様々なコンサート、特に、ロックのコンサートに行くこと。