タイプ
レポート
日付
2010/10/21

ヨーロッパにおける日本語教育シンポジウムを支援しました

この夏8月25日から3日間、ルーマニア、ブカレスト大学で「第15回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム」が開かれました。このシンポジウムは、ヨーロッパ各国の日本語教師が中心となって構成されるヨーロッパ日本語教師会が、開催地の日本語教師会とともに年一回開催する、日本語教育の学会です。今回のシンポジウムを共催したルーマニア日本語教師会の中心メンバーは、日本語教育基金最初の設置校、ブカレスト大学日本語学科で活躍する教員であり、東京財団は、同シンポジウム開催に協力することになりました。

15回目を迎えた今回は、ヨーロッパのみならず、日本、韓国、アメリカといった30ヵ国から150人が集まり、「グローバル時代における日本語教育-言語・文化圏を越えた協働:母語話者・非母語話者教師の協働に向けて」というテーマのもと、活発な議論が繰り広げられました。ブカレスト大学の教員も、多くの研究発表を行いました。言語教育先進地域であるヨーロッパでの日本語教育推進に貢献するため、東京財団ではこれまで、日本語口頭能力評価法開発や、漢字学習ソフトの現地語翻訳についても支援してきましたが、それらの成果も当シンポジウムで発表されました。

シンポジウムでは特別講演として、日本を代表する俳人で、現在文化庁文化交流使としてフランスを中心にヨーロッパで活躍しておられる黛まどか氏が、日本語の豊かさや言葉の力について話されました。

黛まどか氏の特別講演

黛氏は、当シンポジウムにおいて、俳句の特徴である「有季定型」を解説しながら、日本固有の文化・日本人の美意識や自然観などについて講演されました。季語の「雨」という一語をみると、400以上の実に様々な表現が日本語にはあり、四季の移ろいに降る雨それぞれに、日本人の思いが込められています。こうした、日本人が古来より育んできた豊かな言葉を知ることで、今まで見えなかったことが見えるようになる、という言葉の力についてもお話しくださいました。
→シンポジウムに先立って行われた、ブカレスト大学における黛氏の講演はこちら

特別講演を聞いた日本語教師からは、「言葉がもつ力のお話に、語学教師として勇気づけられました。」、「背筋にひびく感動がありました。日本語の美しさや豊かさの再認識だけでなく、そういった感性を失わずに教育の現場に臨むことの大切さを伝えてくださった」との感想が多々寄せられました。

ブカレスト大学日本研究センターの開設

当シンポジウムでは、ブカレスト大学の日本研究センター開所式も執り行われました。同センターでは、若手日本研究者の育成を目指し、日欧の大学との共同研究や、国際シンポジウムの開催といった活動を予定しています。日本研究の基盤は、研究資料となる原本を読み解く日本語力です。ブカレスト大学日本語学科では、こうした高い日本語力を教授する教育基盤を整え、更に日本研究を発展させることを目指して、日本研究センターを開設しました。16年にわたる日本語教育基金による貢献が実を結んだ一例といえます。

加藤秀樹理事長の祝辞

開所式において、当財団理事長加藤が祝辞を述べました。要旨はこちら