タイプ
レポート
日付
2007/11/29

奨学事業レポート「SYLFF奨学生国際フォーラムを世界三地域で開催:人権と創造的リーダーシップを目指して」

奨学事業部が運営するSYLFFプログラムでは、世界各地に散らばるSYLFFフェロー間の相互理解と協働意識の形成を図り、ネットワークを確立・発展させることを目的として、1)南北アメリカ、2)アフリカ・欧州、3)アジア・太平洋の三地域において「奨学生国際フォーラム(SYLFF Regional Forums)」を2003年から隔年で開催しています。去る11月20~22日の3日間、インドのジャダプール大学においてアジア・太平洋地域の奨学生国際フォーラムが開催されました。


「奨学生国際フォーラム(SYLFF Regional Forums)」は、SYLFFフェロー間の相互理解と協働意識の形成を図り、ネットワークを確立・発展させることを目的としています。当該地域の各SYLFF校から推薦された奨学生が一堂に会し、共通のテーマやネットワーク活性化について議論・活動する機会を提供しています。2003年の第一回の開催以来、隔年で世界三地域にてフォーラムを開催し、今年度の開催は第三回となりました。今年度の各地域におけるホスト校は以下の通りです。

1)南北アメリカ:タフツ大学フレッチャー法律・外交大学院(The Fletcher School of Law and Diplomacy, Tufts University/米国)
2)アフリカ・欧州:ルール・ボッホム大学(Ruhr University Bochum/ドイツ)
3)アジア・太平洋:ジャダプール大学(Jadavpur University/インド)

今年度は、三地域共通のテーマとして「Human Rights and Creative Leadership(人権と創造的リーダーシップ)」を掲げました。フォーラムの活動の中心は、2004年SYLFF賞受賞者による基調講演や、フォーラムのテーマに関するプレゼンテーション、奨学生による社会貢献活動の促進を目指したワークショップ、ホスト校の属する地域社会におけるボランティア活動等です。


11月20~22日に開催されたアジア・太平洋国際フォーラムにおいて一貫して浮上した論点は、「人権」という用語は本当にその擁護を必要としている人々のために使用されているか、ということでした。2004年SYLFF賞受賞者であるエグラ・マルティネス・サラザール氏はその基調講演の中で、現在「人権」という用語は、新しい形での植民地主義・帝国主義やそのための軍事行動を正当化するために使用・普及されていると主張し、活発な議論を導き出しました。それに続く各参加者によるプレゼンテーションにおいては、現時点の人権擁護を謳った法的・社会的システムにおいては、“誰のためにそのシステムが機能すべきか、誰がその恩恵を受けるべきか”ということが十分かつ誠実に考慮されていないのではないか、ということが議論されました。このような議論が盛り上がったのには、参加者の出身国がアジア・太平洋地域の15カ国と多様であり、各々の国における経済格差問題や社会的不平等が深刻であるということが背景にあると思われます。


なお、今回のアジア・太平洋国際フォーラムの1つの大きな特徴は、奨学生自身が中心となって開催・運営されたフォーラムであったということです。まず、フォーラムの準備段階から実施にあたっては、ジャダプール大学でもなく東京財団でもなく、同大学の奨学生組織 JU-SYLFF Association (JUSA)が中心となって行いました。JUSAは、会場の設営やロジ面での詳細なアレンジ等、会議運営を全面的に担当しました。職務経験のまだない学生が多数を占めるJUSAのメンバーにとって、実社会との接点を持つ経験は非常に貴重であったと同時に、同大学キャンパス内における彼らの存在感が高まったという副次的な成果もありました。また、世界中のフェローを代表する合計9名のSYLFFフェローからなる「SYLFF奨学生協議会(SYLFF Fellows Council)」は、3地域で開催された国際フォーラムのテーマ設定やプログラム立案に初期段階から携わり、各フォーラムでは、SYLFFフェローの社会貢献活動の促進を目指したワークショップを実施しました。同協議会は、2003年に設立され、現在第二期目(任期2年)がちょうど終了したところですが、今や世界にまたがるSYLFFフェローのネットワーク形成を牽引する役割を担っています。


来週の奨学事業レポートでは、同フォーラムにおけるSYLFF奨学生協議会の活躍について、お伝えいたします。

(文責:石川絵里子)