タイプ
レポート
日付
2007/12/13

奨学事業レポート「インドにおけるSYLFFフェローの社会貢献活動-地域社会から取り残された人々への支援に向けて」

奨学事業部が運営するSYLFFプログラムでは、SYLFFフェローの社会貢献活動を支援しています。今週の奨学事業レポートでは、先月インド・ジャダプール大学で開催された「SYLFF奨学生国際フォーラム(SYLFF Regional Forum)」で、アジア・太平洋地域の15カ国から集結したフォーラム参加者が参加したボランティア活動の模様をお伝えいたします。参加者は、カルカッタ近郊に位置するハンセン病療養施設、知的・精神障害者収容施設、ストリートチルドレンやスラム街の母子家庭に対する支援を行うNGOの3つのサイトを訪問しました。参加者達は、地域社会から取り残された人々の処遇や環境について学び、彼らに対する支援のあり方を考察しました。



インド・ジャダプール大学で開催された「SYLFF奨学生国際フォーラム(SYLFF Regional Forum)」において、アジア・太平洋地域の15カ国から集結した参加者は、コルカタ近郊に位置するハンセン病療養施設、知的・精神障害者収容施設、ストリートチルドレンやスラム街の母子家庭に対する支援を行うNGOの3つのサイトを訪問しました。

The Premananda Memorial Leprosy Mission Hospital:ハンセン病療養所

同療養所は、カナダをベースとする国際NGO“The Leprosy Mission”がコルカタ市内で運営しているもので、ハンセン病患者の医学的な治療はもとより、患者・回復者たちの社会的地位の向上に向けた活動にも尽力しています。同療養所は、長期的な治療を要する入院患者と、ハンセン病は完治し社会復帰はしたものの、身体的障害が残ったり、怪我を負ったりした外来患者のいずれにも対応しています。
外来患者や再入院患者の中でも数が多く、また今回の訪問でSYLFFフェローの印象に強く残ったのは、体に大火傷を負った女性達でした。インドの貧困層では現在でも料理の際にかまどを使用しますが、その際、着用しているサリーに火がつき皮膚に火傷を負っても、ハンセン病患者はそのことに気づくのが遅く、火傷が広範囲に広がってしまうということです。ハンセン病では、体の知覚神経に麻痺が起こり、全身の感覚が衰えることが火傷が広がってしまう原因ですが、何よりもこのことから引き起こされる一番の問題は、「家事すらろくに出来ない」、「家族の負担になってしまっている」、「自分は生きる価値がない」という精神的な重圧だといいます。今回、実際に話を聞いた女性達もこのようなことを述べており、SYLFFフェローたちは彼女達にどのように接したらいいのか、地域社会との結びつきを回復するには具体的にどのようなことが必要なのか、ということについて考える機会となりました。
(写真:女性患者達と話をするSYLFFフェロー)

Antaragram:知的・精神障害者収容施設

同施設は、コルカタ市南部の郊外に位置する13エーカー(約5.26ヘクタール)の広い敷地をもつ東インド最大の収容施設で、知的障害者・精神障害者をはじめ、薬物中毒やアルコール中毒等の問題を抱える患者220人を収容しています。この施設は、いわゆる従来の「精神病院」とは違い、穏やかな雰囲気と温かい/感じのよい建物構えが特徴的です。知的障害者・精神障害者の治療法も、従来の医学的手法のみに頼ることなく、洋裁、フラワーアート、園芸、養蚕、合唱、ダンス、描画などを通して、総合的なリハビリをしている。また、退院した患者にも、施設内で何らかの仕事を与えることにより、しばらくはリハビリがてら通院するシステムになっています。

Vivek Chetana:ストリートチルドレンやスラム街の母子家庭に対する支援を行うNGO

人の役に立つことは神様のお役に立つということ(“service to man is service to God”)、という理念に基づいて、ボランティアの女性達が23年前に立ち上げた団体で、社会的弱者である女性・子供の中でも特に、ストリートチルドレンやスラム地区に住む母子家庭に対する支援を行っています。教育面に関しては、年間100人以上の子供達に授業を受ける機会を提供するのみならず、何時間も好きな本のページをめくることができる図書館や、お話を聞かせてもらう時間、自由にお絵かきをしたり、おもちゃで遊んだりという、子供時代にこそ体験すべき、想像力と創造力を育むような空間も用意されています。母親達に対しては、家庭用品やサリーの作り方を教え、それらを販売することにより、経済的自立を図っています。また、幼児虐待や女性の自立についての問題を話し合う場も提供しています。
(写真:クラスルームの様子)

(文責:石川絵里子、星野文子)