タイプ
レポート
日付
2008/2/21

「ジャワハルラル・ネルー大学のSYLFFフェロー活動報告:グローバル化時代の“発展”と“エンパワーメント”を問い直すセミナーを開催」

奨学事業部が運営するSYLFFプログラムでは、「奨学生交流活動支援プログラム」(SYLFF Network Program: SNP) により、各SYLFF校における奨学生組織(ローカル・アソシエーション)の活動を支援しています。今週の奨学レポートでは、インドのジャワハルラル・ネルー大学の奨学生組織が「グローバル化時代の“発展”と“エンパワーメント”を問い直す」と題して開催したセミナーをご紹介します。


「ジャワハルラル・ネルー大学のSYLFFフェロー活動報告:グローバル化時代の“発展”と“エンパワーメント”を問い直すセミナーを開催」


インドでは2校にSYLFF基金が設置されているが、その1校が首都デリーに位置するジャワハルラル・ネルー大学(Jawaharlal Nehru University – JNU)である。ジャワハルラル・ネルー大学へのSYLFF基金設置は2003年であり、まだSYLFF校としての歴史は浅いが、2006年にJNUの奨学生組織(ローカル・アソシエーション)としてThe Association of JNU SYLFF Fellows (AJSF) が立ち上げられた。AJSF設立後、セミナーや講演シリーズの開催、新規奨学生へのオリエンテーション等様々な活動を行っている。

AJSF2年目の活動として、2008年1月19~20日の2日間にわたり「グローバル化時代の“発展”と“エンパワーメント”を問い直す」を題材としたセミナーを開催した。参加者は総勢約60名で、ジャワハルラル・ネルー大学の教授陣や在学生、SYLFF奨学生のほか、デリー大学の学生も参加した。また、ヨルダン大学、サンパウロ大学(ブラジル)といった海外のSYLFF校の奨学生も参加した。


このセミナーの目的は、「グローバル化時代の“発展”と“エンパワーメント”を問い直す」というテーマのもと、このテーマに何らかの関わりを持つ研究を行っている修士・博士学生の研究発表の場を提供することにあった。このテーマに基づいてジャワハルラル・ネルー大学の奨学生のほか、ブラジル、ハンガリー、イスラエル、メキシコ、ヨルダン、中国等、海外のSYLFF奨学生から、あわせて12の論文が提出された。その中から6名の研究論文が選ばれ、研究発表の場が提供された。

セミナー開催にあたり、ジャワハルラル・ネルー大学のSYLFFプログラム担当責任者のチャンドラセカラン教授は、SYLFFプログラムが目的とするのは将来を担うリーダーの育成であることを述べ、SYLFF奨学生は、学業が優秀であることと同時に将来を担うリーダーとしての資質が重視されることを説明した。今回の奨学レポートでは、発表された論文の中の3つを紹介する。

ジャワハルラル・ネルー大学の学生、ニサー・アフメッド氏は、インドの石炭産業における技術発展と女性の就労をテーマに、産業の技術発展が女性従業員にもたらす影響についての研究発表を行った。インドの石炭産業において女性従業員の数が減少している統計資料を示し、技術発展により産業の生産率が上がっている一方で、その影響により女性たちが職を失い、社会での地位が下がり弱い立場に追い込まれている現状を議論した。


SYLFF奨学生のアニンディタ・プジャリ氏は、「グローバル化における発展とエンパワーメント:法的戦術としてのPIL*の評価」をテーマにした研究を発表した。(*PIL = Public Interest Litigation公益訴訟制度の略。社会的弱者の社会的権利を保護するために、公益に反するような人、政府・企業等の行為に対し、最高裁に直接訴え、最高裁命令でこれらの行為・活動を阻止するシステム。) 過去のPILの事例を挙げ、歪曲した法のシステムが貧困層に与えた影響を検証した。また、1980年代のインドにおいてPILが貧困者を救う法的手段となった歴史的背景を説明した。また、この歴史背景と現在のグローバル化の現状を比較し、会社資本のグローバル化が貧困者に与える影響についても発表した。

アメリカ・オレゴン州の学生レイラ・フネイディー氏は、「西アジアのイスラムの国々におけるグローバル化とエンパワーメント」をテーマとする論文で、グローバル化と西アジアにおける権力構造の現状について発表した。グローバル化が進む中で、西アジアの国々では多くの国民が意思決定に参加できず、弱い立場に立たされている。一方で、抵抗する勢力はイスラム原理主義にそのよりどころを求め、結果として世界のメディアからは悪者扱いされている。ただメディアは、西アジアの多くの人々がグローバル化によって疎外され、弱い立場に立たされていることに関しては目をつぶり報道をしていない。フネイディー氏は、現代におけるメディアの偏った役割をグローバル化における政治の保守的な側面に関連づけて論じた。


※本文は、執筆者の了解のもと、ジャワハルラル・ネルー大学の同窓会組織(The Association of JNU SYLFF Fellows – AJSF)から提出されたレポートから抜粋して活動を報告したものです。

(文責:椎名麻紀)