東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.004

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.004━2007.10.12━
      ◆◆ 東京財団 外交史ブックレビュー ◆◆

     編集・発行:東京財団政治外交検証プロジェクト
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


はじめに――日本外交に関心を持つ方々へ
/北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した
状況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由
があり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでしょ
うか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。
すなわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、
日中関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)おいて最近
登場した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign
policy constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」
にするために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

----------------------------------------------------------------------

  【第4号 目次】

1.政治外交ブック・レビュー

『徳川後期の学問と政治 -昌平坂学問所儒者と幕末外交変容』眞壁仁著  
            /評者 五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)


『冷戦―その歴史と問題点』J.L.ガディス著(河合秀和・鈴木健人訳)
/評者 森聡(東京大学法学政治学研究科附属
比較法政研究センター研究機関研究員)


2.資料案内

「米国外交文書史料集FRUS (Foreign Relations of the United States)の公開状況」
/林大輔 (慶應義塾大学大学院 法学研究科政治学専攻後期博士課程)



3.新刊・書評紹介


編集後記


----------------------------------------------------------------------


1.政治外交ブック・レビュー

※このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、
気鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のもの
ばかりです。是非お読みいただければと思います。


『徳川後期の学問と政治 -昌平坂学問所儒者と幕末外交変容』眞壁仁著  
            /評者 五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)

本書は徳川後期の昌平坂学問所の知的営為と外交参与を、特に古賀家三代
(精里(1750-1817年)、トウ(にんべんに「同」)庵(1788-1847年)、
謹堂(1816-1884年))の足跡を中心に論じたものである。

徹底的な調査に基づく650頁の巨編であり、論点は多岐にわたる。ここでは、徳川
後期の日本外交を支えた思想的基盤への問いとして本書を辿りたい…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=108


『冷戦―その歴史と問題点』J.L.ガディス著(河合秀和・鈴木健人訳)
/評者 森聡(東京大学法学政治学研究科附属
比較法政研究センター研究機関研究員)

冷戦はいかにして始まり、均衡し、終結したのか。冷戦史研究が分析対象とする
事件や時期のタイムスパンは様々であるが、冷戦終結後、冷戦の開始時から終結時
までを特定のテーマに沿って取り上げる通史が登場するようになった。本書は米ソ
関係の展開を中心にすえた冷戦の通史である。だが二つの点で、いわゆる研究書
とは若干性質を異にしている…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=110

----------------------------------------------------------------------

2.資料案内


「米国外交文書史料集FRUS (Foreign Relations of the United States)の公開状況」
/林大輔 (慶應義塾大学大学院 法学研究科政治学専攻後期博士課程)

FRUSとは、米国国務省が編纂している米国外交文書史料集のことである。米国に限らず、
どの国の外交史を研究する上でも必ず一度は手に取ったことがあるといってもいいほど、
外交史研究の資料としては最も重要なシリーズとして位置付けられるものである。これ
は、米国の外交政策が世界で最も影響力があるという理由のみに依存するのではなく、
公開している外交文書史料が圧倒的に多く、極めて体系的に整理されており、かつ公開
のスピードも相対的に速い、などの事情に帰するところが大きい…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=113

----------------------------------------------------------------------

3.新刊・書評紹介

2007年7、8月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリストです。
外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。

↓7月分はこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=111
↓8月分はこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=112

----------------------------------------------------------------------

◆編集後記

急に涼しくなって参りましたが、皆様お変わりないでしょうか。

9月の例会が、最後の夏日だったように記憶します。東京財団の会議室に集った
メンバーは、今号に書評された2冊の本を取り上げて、日本の開国と冷戦の終わり
という、2つの時代について議論しました。

2つの時代には2世紀以上の隔たりがあります。しかし議論しておりますと、いわ
ゆる勝者の史観というのは、倫理的な良し悪し以前に、勝者の秩序が持つアイディア
や想像力を狭めてしまう点で賢明さを欠くのではないか、という論点が共通して意識
されていたように思います。

今後も、現代に直結するものから、歴史的な自己検証に資するものまで、幅広く取り
上げて参りますので、お付き合い下さいませ。

(五百旗頭)


**********************************************************************
政治外交検証プロジェクトニュース 第4号(2007年10月12日発行)
発行元:東京財団政治外交検証プロジェクト(北岡伸一主任研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階 東京財団
http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
編集責任者:
細谷雄一(慶應義塾大学法学部准教授)
五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)

編集担当:
林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科)
相原清(東京財団研究部プログラム・オフィサー)

★★外交史ブックレビューの全バックナンバーは、東京財団の下記のURLから
アクセスできます。
http://www.tkfd.or.jp/ml/
**********************************************************************