東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.006

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.006━2007.12.22━━━━━
     ◆◆ 東京財団 外交史ブックレビュー ◆◆

   編集・発行:東京財団政治外交検証プロジェクト
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はじめに――日本外交に関心を持つ方々へ
       /北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場し
た優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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  【第6号 目次】

1.政治外交ブックレビュー

『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』飯尾潤著
/評者 清水唯一朗(慶應義塾大学総合政策学部専任講師)


2.特別寄稿

小谷賢氏の山本七平賞奨励賞受賞に寄せて
/中島信吾(防衛省防衛研究所戦史部教官)


3.新刊・書評紹介


編集後記


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1.政治外交ブックレビュー

※このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、
気鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のもの ばか
りです。是非お読みいただければと思います。


『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』飯尾潤著
/評者 清水唯一朗(慶應義塾大学総合政策学部専任講師)

小泉内閣が退陣し、次なる政権がいずれへ進むのかに注目が集まり始めた2007
年7月、自民党は参議院選挙に敗れ、政権はわずか1年で転変した。55年体制崩
壊後の「失われた10年」を説明しようという試みが小泉政権の退陣を契機とし
て進むなか、本書はやや遅れて登場した。しかし、それゆえに本書は高い説明
力と強いメッセージ性をもって世に問われることとなった…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=171
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2.特別寄稿

小谷賢氏の山本七平賞奨励賞受賞に寄せて
/中島信吾(防衛省防衛研究所戦史部教官)

本メールマガジンを発行している「東京財団 政治外交検証プロジェクト」メ
ンバー、小谷賢氏(防衛省防衛研究所戦史部教官)が、『日本軍のインテリ
ジェンス』(講談社選書メチエ)で、優れた学術書に贈られる2007年の山本
七平賞奨励賞を受賞しました。同じプロジェクトメンバーで防衛研究所の同
僚でもある中島信吾氏がお祝いの一文を寄せ、小谷氏の著作とエネルギッシュ
な仕事ぶりについて紹介しています。

↓本文はこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=170
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3.新刊・書評紹介

2007年10月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリス
トです。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てくだ
さい。

http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=172
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◆編集後記

11月の例会は、一時あたたかさを取り戻した日和に行われました。

冷戦後、あるいはバブル崩壊後の政治外交をめぐる知的・実践的な蓄積をコ
ンパクトにまとめた本が複数出ているように思います。

今回取り上げた飯尾潤『日本の統治構造』も代表的な一冊です。

この会で印象的なのは、本来縁遠いはずの戦前史の研究者が、こうした本に
対して最も活発に討論するということです。

単に戦前への言及の正確さをチェックするためではありません。

著者の、あるいは今の政治外交の知的枠組みの中に、<歴史>がいかなる位
置を占めているかを問うためです。

歴史をおざなりに学ぶものこそ歴史を繰り返すのではないか、歴史を深く知
るものこそ歴史を超えるのではないか、という問いなり期待なりが共有され
ていました。

限られた時間の中、必ずしも明示的に言及されないものの、福澤諭吉や吉野
作造、大隈重信、星亨、原敬、加藤高明などの経験が討論者の脳裏を去来し
ていました。

現在と過去、両方の研究が成熟しなければ開幕しない議論空間であるとうれ
しく思います。

来春を心待ちにしつつ。

(五百旗頭)

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政治外交検証プロジェクトニュース 第6号(2007年12月22日発行)
発行元:東京財団政治外交検証プロジェクト(北岡伸一主任研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階 東京財団
http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:
細谷雄一(慶應義塾大学法学部准教授)
五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)

編集担当:
林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科)
相原清(東京財団研究部プログラム・オフィサー)

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