東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.008

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.008━2008.3.21━━━━━
     ◆◆ 東京財団 外交史ブックレビュー ◆◆

   編集・発行:東京財団政治外交検証プロジェクト
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


はじめに――日本外交に関心を持つ方々へ
/北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

----------------------------------------------------------------------

  【第8号 目次】

1.政治外交ブックレビュー

『昭和十年代の陸軍と政治―軍部大臣現役武官制の虚像と実像』筒井清忠著
/評者 大前信也 (同志社女子大学嘱託講師)


『PKOの史的検証』軍事史学会編
/評者 中島信吾 (防衛省防衛研究所教官)


2.新刊・書評紹介


編集後記


------------------------------------------------------------------------


1.政治外交ブックレビュー

※このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、
気鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のもの ばか
りです。是非お読みいただければと思います。


『昭和十年代の陸軍と政治―軍部大臣現役武官制の虚像と実像』筒井清忠著
/評者 大前信也 (同志社女子大学嘱託講師)

「はしがき」では課題の設定が行われている。すなわち広田弘毅内閣で復活
した軍部大臣現役武官制を使って、以後陸軍は政治を支配したというのがこ
れまでの定説であったが、同内閣以降開戦に至るまでの陸軍大臣ポストをめ
ぐる陸軍と天皇、首相との対立を取り上げ、軍部大臣現役武官制の機能の実
態を分析することで定説を再検討して、昭和10年代の陸軍と政治の関係の
実像に迫るのが本書の目的とされている…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=224


『PKOの史的検証』軍事史学会編
/評者 中島信吾 (防衛省防衛研究所教官)

昨年1月、防衛庁は省へ移行し、PKOを含む国際平和協力活動が自衛隊の本
来任務と位置づけられたが、それから約半年後に刊行された本書はまさに時宜
にかなったものであり、PKOの来し方行く末を考える上で多くの材料を提供
している。本書は、軍事史学会の学会誌である季刊『軍事史学』の特集号とし
て刊行されたもので、学術論文と実務者が寄稿した証言によって構成され、P
KO活動等に関する多角的分析がなされている…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=226


-------------------------------------------------------------------

2.新刊・書評紹介

2008年1月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリス
トです。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てくだ
さい。

http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=223


-------------------------------------------------------------------

◆編集後記

今年度最後となる2月の例会は大気が緩み、雨が降ってもみぞれにはならな
いと確信できる日和でした。傘を忘れたメンバーが多かったのもそのためで
しょうか。

二二六事件後に復活した軍部大臣現役武官制についての研究の紹介は、時代
を下って戦争末期の運用をめぐる議論を誘い、さらにはおよそ制度が主体
(例えば陸軍)に与える直接的な権限と間接的な威嚇力の関係をめぐる討議
へと広がりました。

PKOについての論文集を素材にした議論は、平和維持活動の淵源としての
イギリス帝国の再編問題へと遡っていきました。

専門性を横糸、広い視野を縦糸とする書評会、来年度はどのような図柄を見
せてくれるか楽しみです。

今年度のご愛顧に感謝しつつ。

(五百旗頭)

**********************************************************************

政治外交検証プロジェクトニュース 第8号(2008年3月21日発行)
発行元:東京財団政治外交検証プロジェクト(北岡伸一主任研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階 東京財団
東京財団政治外交検証プロジェクト

編集責任者:
細谷雄一(慶應義塾大学法学部准教授)
五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)

編集担当:
林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科)
相原清(東京財団研究部プログラム・オフィサー)

★★外交史ブックレビューの全バックナンバー閲覧は、東京財団の下記のURL
からが便利です。↓
http://www.tkfd.or.jp/ml/

**********************************************************************