東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.016

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.016━2009.2.23━━━━━
     ◆◆ 東京財団 外交史ブックレビュー ◆◆

   編集・発行:東京財団政治外交検証プロジェクト
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

はじめに――日本外交に関心を持つ方々へ
      /北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

-------------------------------------------------------------------

  【第16号 目次】

1.政治外交ブックレビュー

『岸政権期の「アジア外交」―「対米自主」と「アジア主義」の逆説』
                            権ヨンソク著
     /評者 昇 亜美子 (政策研究大学院大学客員研究員、
                      日本学術振興会特別研究員)

『大平正芳―「戦後保守」とは何か』福永文夫著
     /評者 佐藤 晋(二松学舎大学国際政治経済学部准教授)
  
2.特別報告

東京財団政治外交検証プロジェクトメンバーが選んだ2008年の良書 
      /報告者 細谷 雄一(慶應義塾大学法学部准教授、
                   米国プリンストン大学客員研究員)

3.新刊・書評紹介


編集後記

-------------------------------------------------------------------

1.政治外交ブックレビュー

※このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、
気鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のもの ばか
りです。是非お読みいただければと思います。


『岸政権期の「アジア外交」―「対米自主」と「アジア主義」の逆説』
                             権ヨンソク著
     /評者 昇 亜美子 (政策研究大学院大学客員研究員、
                       日本学術振興会特別研究員)

本書は、岸政権期のアジア外交の歴史的展開を、「対米自主」、「アジア主義」、
「独立の完成」という観点から検証することを目的とした外交史研究の成果で
ある。具体的には、岸の東南アジア歴訪、「日印提携」構想、レバノン危機を
めぐる外交、在日朝鮮人の北朝鮮送還事業などについて詳しく論じている。さ
らには…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=402

『大平正芳―「戦後保守」とは何か』福永文夫
     /評者 佐藤 晋(二松学舎大学国際政治経済学部准教授)

本書は、大平正芳の政治的生涯を通じて「戦後保守」の内実を解明しようとす
るものである。大平は、一般に「吉田茂―池田勇人」の系譜を引く「保守本流」
の「嫡子」とされているが、著者によると、大平は「戦後」の価値観を内面化
した政治家であって、さらに「吉田流」の国家運営では対応しきれない1970年
代という大転換の時代を生きた人物であることから…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=401
-------------------------------------------------------------------

2.特別報告

東京財団政治外交検証プロジェクトメンバーが選んだ2008年の良書 
  /報告者 細谷 雄一(慶應義塾大学法学部准教授、
                   米国プリンストン大学客員研究員)

2008年も政治外交分野では数多くの著書・論文が刊行されました。本プロジェ
クトのサブ・リーダーである細谷氏が、昨年の出版傾向を分析し、選りすぐり
の良書を紹介します。

↓本文はこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=397
-------------------------------------------------------------------

3.新刊・書評紹介

2008年11月、12月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリ
ストです。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てくださ
い。

11月分↓
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=403
12月分↓
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=404
-------------------------------------------------------------------

◆編集後記

1950年代、岸信介政権期のアジア外交を、対米自主とアジア外交との「逆説」
として捉えた今回の著作でしたが、振り返ってみれば本研究会、そしてメー
ルマガジンでは、岡本真希子『植民地官僚の政治史-朝鮮・台湾総督府と帝
国日本』(メールマガジン2008年8月号)、保城広至『アジア地域主義外交の
行方:1952-1966』(同9月号)、浅野豊美『帝国日本の植民地法制-法域統
合と帝国秩序』(同11月号)などの著作も取り上げています。

「帝国」としてアジアに君臨しようとした戦前の日本と、アメリカとアジアの
間にあってジレンマを突きつけられたとも見える戦後日本とは、一見隔絶した
ものにも見えます。しかしたとえば岸信介のアジア観には、戦前・戦中に帝国
日本、そして満州国で腕をふるった経験が、陰に日向に影響を及ぼしているこ
とも否めないように思います。

上に挙げた著作の多くはいずれも、真摯かつ学術的な志をもって書かれただけ
に、安易なアナロジーや手軽なメッセージを発することには禁欲的です。そう
であればこそ、これらの著作をどのように繋げて読み解き、今日的課題を考察
する際の手がかりとして展開するか、それは読み手の側に委ねられた知的チャ
レンジかつ楽しみだというべきでしょう。

このメールマガジンを通して多くの方々と、その知的喜びと刺激とを共有でき
ればと願っています。(宮城)

*******************************************************************

政治外交検証プロジェクトニュース 第16号(2009年2月23日発行)
発行元:東京財団政治外交検証プロジェクト(北岡伸一主任研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階 東京財団
http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:
五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
宮城大蔵(政策研究大学院大学政策研究科助教授)

編集担当:
林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科)
相原清(東京財団政策研究部 研究員兼プログラム・オフィサー)

★★外交史ブックレビューの全バックナンバー閲覧、配信登録は、東京財団の
下記のURLからが便利です。
http://http://www.tkfd.or.jp/ml3/

*******************************************************************