東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.019

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009.06.22
◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.019 ◇◆
      http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
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─ 目次 ─

1. ブックレビュー
  『日台関係史 1945-2008』(川島真、清水麗、松田康博、楊永明著)
    評者:佐藤晋(二松学舎大学国際政治経済学部教授)

  『島津久光=幕末政治の焦点』(町田明広著)
    評者:黒澤良(学習院大学法学部兼任講師)

2. 新刊図書・雑誌記事・書評紹介(2009年4月)

◆ 編集後記

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1. ブックレビュー

このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気
鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のものばかりで
す。是非お読みいただければと思います。


■『日台関係史 1945-2008』
  (川島真、清水麗、松田康博、楊永明著、東京大学出版会)
   評者:佐藤晋(二松学舎大学国際政治経済学部教授)

本書は、4人の研究者の分担執筆による戦後「日台」関係についての本格的通
史である。各分野でそれぞれ高評価を得ている著者らが、大日本帝国崩壊時の
1945年から現在に至るまでの「日台」関係を、ほぼ15年~20年のスパンに分割
して叙述している。しかし本書は、単なる通史的な歴史叙述に加え、それぞれ
の執筆者が論争点を設定して議論を進めるという特徴を持っている。

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 http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=452


■『島津久光=幕末政治の焦点』(町田明広著、講談社選書メチエ)
   評者:黒澤良(学習院大学法学部兼任講師)

幕末維新期にあっては、坂本龍馬や西郷隆盛、桂小五郎など「綺羅星」のよう
な立役者たちに注目し、彼らが声望と実力を兼ね備える以前にあっても、その
動向を過大に評価する歴史叙述を目にすることがある。これに対して、本書の
著者である町田氏は、本質的に歴史を回天させていた「梃子」的な人物として
注目すべき人物に、朝廷にあっては孝明天皇と中川宮、武家にあっては島津久
光の名を挙げる。

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 http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=451

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2. 新刊図書・雑誌記事・書評紹介

4月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリストです。
外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。

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 http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=453

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◆ 編集後記

今回は、戦後日台関係について初めての本格的な通史といえる本を取り上げま
した。

本書は日台それぞれの内政要因にも目配りしています。一九八〇年代の自民党
には安部派・竹下派の協調を背景に、親台派・親中派の路線対立を抑える一種
のバランスが成立しており、それが日台関係の安定を促したと指摘していま
す。それに触発されて、自民党のいわゆる「総主流派体制」が機能した射程に
ついても広く議論がなされました。

最近、台湾(そして薩摩)といったアジアに関する図書が続きました。次回は
眼をヨーロッパに転ずることになりそうです。(五百旗頭)

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日本外交に関心を持つ方々へ
北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第19号(2009年6月22日発行)

発行元:東京財団「政治外交検証プロジェクト」(北岡伸一主任研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)
     松下薫(東京財団広報部)

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