東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.022

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009.11.18
◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.022 ◇◆
      http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
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1. ブックレビュー
 ■『アジア地域主義とアメリカ-ベトナム戦争期のアジア太平洋国際関係』
   (Jo Yanghyeon著、東京大学出版会)
   評者:高橋和宏(外務省外交史料館)

 ■『首相の権力-日英比較からみる政権党とダイナミズム』
   (高安健将著、創文社)
   評者:小宮一夫(東京大学文学部非常勤講師)

2. 新刊図書・雑誌記事・書評紹介(2009年7、8月)

3. 編集後記

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1. ブックレビュー

このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気
鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のものばかりで
す。是非お読みいただければと思います。


 ■『アジア地域主義とアメリカ-ベトナム戦争期のアジア太平洋国際関係』
   (Jo Yanghyeon著、東京大学出版会)
   評者:高橋和宏(外務省外交史料館)

戦後アジア太平洋地域において、「地域主義」が主要な外交テーマとなった時
期がこれまでに3度ある。最初が1960年代半ばの時期で、ASEANやアジア開発銀
行という現在の国際政治経済に重要な地位を占めるに至ったものから、10年足
らずでその役割を終えることとなる東南アジア開発閣僚会議やASPACなどの地
域機構が次々に誕生した。次の時期が冷戦終結と重なる1990年前後であり、日
豪のイニシアティブによりAPECという広域地域協力が成立する一方で、マレー
シアのマハティール首相が提唱したEAEG構想が、米国の強硬な反対により挫折
するというドラマティックな展開をみせたことは、なお記憶に新しい。もっと
も近年ではアジア通貨危機(1997年)により「東アジアの奇跡」が終焉して以
降のアジア通貨基金構想や危機を背景にASEAN+3(1999年)などの地域協力が
進んだことが挙げられる…

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 http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=501


 ■『首相の権力-日英比較からみる政権党とダイナミズム』
   (高安健将著、創文社)
   評者:小宮一夫(東京大学文学部非常勤講師)

立法部の多数派が行政部を支配する議院内閣制は、権力の融合をめざすシステ
ムといえる。それゆえ、議院内閣制下の首相は、三権分立が徹底し、行政権の
みしか付与されていないアメリカの大統領よりも、本来的に「強い」政治権限
を有しているはずである。

しかし、我が国では、首相の権限は各省庁による「分担管理原則」によって制
約され、その権限は「弱い」という議論が見受けられる。はたして日本の首相
の権限は、本当に弱いのだろうか。印象論の域に止まることなく、建設的な議
論を行うためには、具体的な事例の分析が欠かせない。その際、議論に広がり
を持たせるのが比較の視点である…

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 http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=505 

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2. 新刊図書・雑誌記事・書評紹介

2009年7、8月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリスト
です。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。

 7月のリストはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=507

 8月のリストはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=508 

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3. 編集後記

鳩山政権の発足に伴い、一層の注目を集める「アジア共同体」ですが、その焦
点のひとつはアメリカの位置づけです。アメリカは入らないと断言したり、そ
れを修正したりと、新政権の姿勢も定まりません。アメリカ主導のアジア地域
主義から、アメリカは入るか入らないかが議論となる時代へ。この問題の歴史
的文脈を理解する上で、格好の材料となる本を今回は取り上げました。今日的
課題の背景となるだけに、特に直接お手に取る時間がない方々に、本ブックレ
ビューをご利用いただければと思います。(宮城)

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日本外交に関心を持つ方々へ
北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第22号(2009年11月18日発行)

発行元:東京財団「政治外交検証プロジェクト」(北岡伸一上席研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)
     松下薫(東京財団広報部)

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