東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.023

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010.01.21
◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.023 ◇◆
      http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
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1. ブックレビュー

 ■『陸羯南 自由に抗論を代表す』(松田宏一郎著、ミネルヴァ書房)
   評者:山辺春彦(東京女子大学臨時職員)

 ■『吉田茂と安全保障政策の形成-日米の構想とその相互作用 1943~1952
年』(楠綾子著、ミネルヴァ書房)
   評者:中島信吾(防衛省防衛研究所主任研究官)

 ■『同盟の相克 戦後インドシナをめぐる英米関係』
   (水本義彦著、千倉書房)
   評者:宮城大蔵(上智大学准教授)

2. 新刊図書・雑誌記事・書評紹介(2009年9、10月)

3. 編集後記

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1. ブックレビュー

このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気
鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のものばかりで
す。是非お読みいただければと思います。

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 ■『陸羯南 自由に抗論を代表す』(松田宏一郎著、ミネルヴァ書房)
   評者:山辺春彦(東京女子大学臨時職員)

本書の主人公である陸羯南(くがかつなん、1857-1907)は、明治中期に「国
民主義」を唱えたことで知られており、これまでの思想史においては、近代日
本のナショナリストの一典型として取り上げられてきた人物である。これに対
し本書では、羯南の思想が果たしていた機能と、それを支えていた歴史的条件
を明らかにすることによって、彼が引きうけた「政論記者」という役割の解明
が試みられている。

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  http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=536

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 ■『吉田茂と安全保障政策の形成-日米の構想とその相互作用 1943~1952
年』(楠綾子著、ミネルヴァ書房)
   評者:中島信吾(防衛省防衛研究所主任研究官)

今年2010年は日米安保条約の改定からちょうど半世紀という歴史上の節目に当
たる年であるが、本書はさらにそこからさかのぼり、日本が戦争に敗れて占領
を経験し、再び独立国として国際社会に復帰しようとしていた頃、安全保障に
関する枠組みがいかに形成されたのかを総合的に描き出そうと試みた、本格的
かつ重厚な歴史研究である。本書を手に取った読者は、その分量の多さもさる
ことながら充実した内容に目を見張ることになるだろう。

 続きはこちら↓
  http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=531
 
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 ■『同盟の相克 戦後インドシナをめぐる英米関係』
   (水本義彦著、千倉書房)
   評者:宮城大蔵(上智大学准教授)

鳩山民主党政権の掲げる「対等で緊密な日米関係」とはいかなるものか、試行
錯誤がつづく昨今であるが、対米関係のあるべき姿が論じられる際、戦後日本
でときに憧憬の念をもって語られてきたのが英米関係である。

その英米関係の実像を、第二次世界大戦直後から1960年代のベトナム戦争に至
るインドシナ紛争を舞台に解き明かそうというのが本書である。一方で当該時
期の英米は、アジアにおいて決して域外国ではなく、種々の軍事機構や植民地
の存在を通してアジア国際政治で中心的な位置を占めた。本書は英米関係の一
断面とともに、英米を軸とした戦後アジア国際政治史についての優れた著作と
なっている。

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  http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=522

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2. 新刊図書・雑誌記事・書評紹介

2009年9、10月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリスト
です。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。

 9月のリストはこちら↓
  http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=532 

 10月のリストはこちら↓
  http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=533

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3. 編集後記

良い新年をおすごしになったことと存じます。

昨年は政権交代・普天間基地問題・事業仕分けと、政治外交にかかわる様々な
動きがありました。

このメルマガをお読み下さっている皆様の中には、事業仕分けで取り上げられ
た『外交フォーラム』や『ジャパン・エコー』、国際問題研究所などの行く末
をご心配になった方も多いかと存じます。

予算のプロセスが一部可視化されましたが、それに対応し、抗議する様々な業
界やコミュニティのあり方も可視化されました。

このメルマガはそのような集まりの組織化を目指すものではありませんが、広
く外交に関心をお持ちの皆様にとっての、知的インフラストラクチャーとして
寄与できれば幸いです。

前回の配信から少し間があいてしまいましたが、充実した書評が並んでいま
す。お楽しみ下さいませ。(五百旗頭)

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日本外交に関心を持つ方々へ
北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第23号(2010年01月21日発行)

発行元:東京財団「政治外交検証プロジェクト」(北岡伸一上席研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)
     松下薫(東京財団広報部)

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