東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.027

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010.12.09
◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.027 ◇◆
      http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
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1. ブックレビュー

■『冷戦史の再検討―変容する秩序と冷戦の終焉』菅英輝編著
  (法政大学出版局、2010年)
  評者:水本義彦(二松学舎大学専任講師)

■『アジア太平洋と新しい地域主義の展開』渡邉昭夫編(千倉書房、2010年)
  評者:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)

2. 新刊図書・雑誌記事・書評紹介(2010年6、7月)

3. 編集後記

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1. ブックレビュー

このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気
鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のものばかりで
す。是非お読みいただければと思います。

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■『冷戦史の再検討―変容する秩序と冷戦の終焉』菅英輝編著
  (法政大学出版局、2010年)
  評者:水本義彦(二松学舎大学専任講師)

冷戦終結から20年が経過し、近年の冷戦史研究の中心は、1960年代から70年代
にかけての、国際政治の多様化・緊張緩和(デタント)期へと移行してきてい
る。本書も上記期間の冷戦の変容に着目する論考を中心に編集されており、い
ずれも関係各国の政府史料を丹念に渉猟した国際的水準の実証研究である。

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  http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=553

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■『アジア太平洋と新しい地域主義の展開』渡邉昭夫編(千倉書房、2010年)
  評者:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)

最近、アジア太平洋における地域主義の動きが、にわかに活気づいてきている
ように思われる。昨年(2009年)8月の総選挙による民主党・鳩山由紀夫政権
の誕生は、一頃の熱気を失いつつあった東アジア共同体(EAC:East Asian
Community)推進の議論を活発化させた。また、それまでどちらかといえば慎
重な姿勢を崩さなかった自民党政権においても、2008年12月麻生太郎首相の時
代からの日中韓サミットの定例化などは、東アジア地域の凝集性と重要性を一
層高めるものであった。また今年(2010年)は日本がアジア太平洋経済協力
(APEC:Asia-Pacific Economic Cooperation)の議長国となり、貿易やエネ
ルギーや観光分野から財務に至るまで様々な官僚・閣僚レベル会談を重ね、最
終的に11月の横浜での首脳会議での「横浜ビジョン」採択に至った。更には環
太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans Pacific Partnership)という新たな
地域的経済枠組に対して日本が参加するか否かで、積極的な菅直人首相・財界
・経済産業省と、反対派の農林水産省などの間で駆け引きが展開されている。
以上のような流れを顧みるならば、今後もこの潮流は程度の差こそあれ続いて
ゆくものと思われる。

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  http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=679
 
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2. 新刊図書・雑誌記事・書評紹介

2010年6、7月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリスト
です。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。

 6月のリストはこちら↓
  http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=626

 7月のリストはこちら↓
  http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=678
  
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3. 編集後記

米ソ冷戦という単色で塗りつぶされがちな時代にあっても、超大国とその同盟
国との間に微妙な力関係と駆け引きがあったこと(水本書評)、さまざまな国
々が織りなす地域秩序の諸相(林書評)と、国際政治の実相はわれわれがイメ
ージする以上に豊かな示唆とダイナミズムに富んでいることを教えてくれる今
回の二冊の著作でした。(宮城)

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日本外交に関心を持つ方々へ
北岡伸一(東京財団上席研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第27号(2010年12月9日発行)

発行元:東京財団 政治外交検証研究会(リーダー:北岡伸一上席研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      細谷雄一(慶應義塾大学法学部准教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)
     松下薫(東京財団広報渉外担当オフィサー)

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