東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.045

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013.02.21
    ◇◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.045 ◇◆◇
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▼▽ ブックレビュー

日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気鋭の研究者が紹介し
ます。外交の実務に携わる方々には必須のものばかりです。是非お読みくださ
い。


■┓『地方分権改革の政治学 ― 制度・アイディア・官僚制』
┃┃  木寺元著(有斐閣、2012年)
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   評者:黒澤良(学習院大学法学部兼任講師)


「制度」が変化するとはどういうことか、そのメカニズムの解明は、制度を取
り扱う社会科学系の永遠の問いである。この問いを念頭に、本書は、現代日本
の地方制度改革の実証的な分析を通じて、(1)中央地方関係研究、(2)「ア
イディアの政治」アプローチ、(3)官僚制研究、に貢献することを目的に掲
げる。

本書が分析の対象とした1990年代以降に取り組まれた一連の地方制度改革(市
町村合併・機関委任事務廃止・地方交付税改革、出先機関改革など)は、長期
にわたって安定的であった戦後日本の地方自治において、特筆すべき大きな制
度改革であった。

制度改革を分析するにあたって、著者が重視するのは「アイディア」である。
本書は、改革が実現されたケースと、アジェンダにのりながら実現されなかっ
たケースを分かつ要因を、改革の目標設定や、説得・調整に有効な「アイディ
ア」に関わる3つの条件に注目して明らかにする。


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■┓『ドイツ帝国の成立と東アジア 遅れてきたプロイセンによる「開国」』
┃┃  鈴木楠緒子著(ミネルヴァ書房、2012年)
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   評者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)


本書は、19世紀中葉のドイツによる東アジアへの進出を、ドイツ統一の促進と
いう観点から再検討したものである。この促進作用のことを、筆者は「イース
タン・インパクト」と呼んでいる。東アジアの近代史を、欧米がもたらした
「ウェスタン・インパクト」を避けて論ずることはできない。これに対して本
書は、逆に東アジアとの邂逅がドイツに対して持った意味を、発掘しようとし
ている。


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▼▽ 新刊図書・雑誌記事・書評紹介

2012年11、12月に刊行された政治外交関連の図書・雑誌記事・書評のリストで
す。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。


11月のリストはこちら↓
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12月のリストはこちら↓
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           日本外交に関心を持つ方々へ

          北岡伸一(東京財団上席研究員)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第45号(2013年2月21日発行)

発行元:東京財団 政治外交検証研究会(リーダー:北岡伸一上席研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      細谷雄一(慶應義塾大学法学部教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)
     松下薫(東京財団広報渉外担当オフィサー)

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