東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.046

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013.03.27
    ◇◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.046 ◇◆◇
     http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
───────────────────────────────────
▼▽ ブックレビュー

日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気鋭の研究者が紹介し
ます。外交の実務に携わる方々には必須のものばかりです。是非お読みくださ
い。


■┓『憲政常道と政党政治 ― 近代日本二大政党制の構想と挫折』
┃┃  小山俊樹著(思文閣出版、2012年)
┗┛
   評者:村井良太(駒澤大学法学部准教授)


本書は著者の博士論文を元にした専門書で、「憲政の常道」という政治標語へ
の考察を手掛かりに、「近代日本における二大政党制の形成と崩壊」を論じ
る。対象とする時期は1900年から1932年までの30年以上に及び、現在で言え
ば、大平正芳首相の死去からの時間にほぼ匹敵する。著者はまず、政党政治や
二大政党制、二大政党間での政権交代などの同義語として扱われることの多い
「憲政の常道」が、実は「きわめて多義的な言葉」であり、「近代日本におい
て理想的な政治像を示すキーワード」であったと指摘する。そして、「憲政の
常道」がおおむね「二大政党による政党政治」を示すことを踏まえつつ言葉の
意味の変遷を「実証的に解明」することで近代日本における政治的変化を照射
する。


続きはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1123
----------------------------------------------------------------------
■┓『蒋介石の外交戦略と日中戦争』
┃┃  家近亮子著(岩波書店、2012年)
┗┛
   評者:光田剛(成蹊大学法学部教授)


本書は帯に「「蒋介石日記」を本格的に使った初の研究成果」とうたわれてい
る。序章3節で紹介されているとおり、2006年にスタンフォード大学フーヴァ
ー研究所で蒋介石日記の公開が始まった。蒋介石の日記の存在は早くから知ら
れていたが、大多数の研究者は「孫引き」の形でしか目にすることができなか
った。本書で詳述されているとおり、今回の公開も完全な公開とは言いがたい
面があるが、ようやく現物を使った研究が可能になったのである。これに、台
湾の国史館での史料整理・公開で新たに見られるようになった史料もあわせ用
いて行われた研究がこの家近亮子『蒋介石の外交戦略と日中戦争』である。


続きはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1124
───────────────────────────────────
▼▽ 新刊図書・雑誌記事・書評紹介

2013年1月に刊行された政治外交関連の図書・雑誌記事・書評のリストです。
外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。


1月のリストはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1112
───────────────────────────────────
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

           日本外交に関心を持つ方々へ

          北岡伸一(東京財団上席研究員)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

**********************************************************************

『外交史ブックレビュー』第46号(2013年3月27日発行)

発行元:東京財団 政治外交検証研究会(リーダー:北岡伸一上席研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      細谷雄一(慶應義塾大学法学部教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)
     松下薫(東京財団広報渉外担当オフィサー)

**********************************************************************