東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.050

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2013.10.02
    ◇◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.050 ◇◆◇
     http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
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■┓ ブックレビュー
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日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気鋭の研究者が紹介し
ます。外交の実務に携わる方々には必須のものばかりです。是非お読みくださ
い。


■『沖縄 基地社会の起源と相克 1945-1956』
鳥山淳(勁草書房、2013年)

評者:平良好利(獨協大学地域総合研究所特任助手)

本書が課題としたのは大きく分けて2つある。まず1つは、沖縄社会にとっ
ての「戦後」とはいったい何なのか、またその「戦後」とはどのような形
ではじまったのか、ということである。本書が対象とした1945年から
1956年という時期は、まさに「〔沖縄〕社会の基本的な構造が軍事基地に
よって大きく規定された時期」であり、だからこそ「『戦後』を考察する
うえで決定的に重要である」、というのが著者の考えである。本書はこの
戦後の出発点を丹念に掘り起すことによって、軍事基地あるがゆえに沖縄
の人々が背負うこととなった「困難」を肌感覚で理解し、沖縄にとっての
戦後とは何かを懸命に模索したものとなっている。いま1つの課題は、こ
うした困難を背負わされた沖縄の人々が、どのように自治と復興を展望し、
その実現を図ろうとしたのか、ということである。その内実を明らかにす
ることによって、沖縄社会に生じた亀裂ないし相克を描き出そうというの
が、本書の試みである。

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http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1191


■『北京烈日 中国で考えた国家ビジョン2050』
丹羽宇一郎(文藝春秋、2013年)

評者:高橋和宏(防衛大学校准教授)

表紙に『北京烈日』と大書されている本書は、一見すると、駐中国大使と
して尖閣をめぐる日中対立の渦中にあった筆者の回顧録かと連想させる。
実際、尖閣をめぐる経緯についても最初の1章分が割かれているが、本書
の意図はそうした「過去」あるいは「結果」を振り返ることにはない。
中国在勤中に示唆を得た「日本にいては見えない事、中国でしか見えなか
った事」をふまえて、日本の「新しい国家像」を描くことに筆者の狙いは
定められている。その意味で、副題の「中国で考えた国家ビジョン2050」
のほうが本書の内容を正確に示しているといえよう。

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http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1192

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■┓ 新刊紹介/リスト
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2013年7月、8月に刊行された政治外交関連の図書を中心にご紹介します。
情報収集や研究などにお役立てください。


▼ 今号のピックアップはこちら
『世界の中のアフリカ 国家建設の歩みと国際社会』
吉川元・矢澤達宏(上智大学出版、2013年4月)
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▼ 新刊リストはこちら↓
7月 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1190
8月 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1194


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           日本外交に関心を持つ方々へ

          北岡伸一(東京財団名誉研究員)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第50号(2013年10月2日発行)

発行元:東京財団 政治外交検証研究会(リーダー:北岡伸一名誉研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      小宮一夫(駒澤大学文学部非常勤講師)
      細谷雄一(慶應義塾大学法学部教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:田中伸子(東京財団社会変革推進プログラムオフィサー)

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