東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビュー Vol.055

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2014.04.09
    ◇◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.055 ◇◆◇
     http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
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▼▽ ブックレビュー

日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気鋭の研究者が紹介し
ます。外交の実務に携わる方々には必須のものばかりです。是非お読みください。


◆『第二次世界大戦 影の主役 勝利を実現した革新者たち』
ポール・ケネディ著・伏見威蕃訳(日本経済新聞出版社、2013年) 

評者:畑野 勇 (公益財団法人 後藤・安田記念東京都市研究所研究員)


本書は、第2次世界大戦での連合軍の勝因について、民間と軍の両方の中小規模
な集団・組織に焦点を当てて分析を行ったものである。たんに指導者の資質や
個々の兵器の性能、あるいは物量に限定することの不可を説き、直面した難題
を解決した上記の人々(著者は「広義の『工学者』」と呼んでいる)の役割を
重視し、ヨーロッパ・太平洋両地域での戦局の転回の原動力であったと指摘し
ている。

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http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1256
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◆『支配への競争―米中対立の構図とアジアの将来―』
アーロン・L・フリードバーグ(佐橋亮 監訳)(日本評論社、2013年)

評者:手賀 裕輔(二松学舎大学国際政治経済学部専任講師)


フリードバーグによれば、中国はアメリカにとってグレーゾーンにある単純明
快には割り切れない存在であるという。なぜなら、「中国は主要な貿易相手だ
が民主主義国ではなく、また現時点において信頼できる友好国でもなければ不
倶戴天の敵でもない」からである。そして「それゆえに、中国の台頭は、物質
的な側面の分かりやすさとは異なり、アメリカの戦略家、さらにアメリカとい
う国家に対して、大きな知的難題を突きつけている」(5頁)のである。この
「知的難題」に真正面から取り組んだ成果が本書であると言える。

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▼▽ 新刊図書・雑誌記事・書評紹介

2014年2月に刊行された政治外交関連の図書・雑誌記事・書評のリストです。
外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。


2月のリストはこちら↓
http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1254

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           日本外交に関心を持つ方々へ

          北岡伸一(東京財団上席研究員)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第55号(2014年4月9日発行)

発行元:東京財団 政治外交検証研究会(リーダー:北岡伸一上席研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
        小宮一夫(駒澤大学文学部非常勤講師)
       細谷雄一(慶應義塾大学法学部教授)
       宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:田中伸子(東京財団社会変革推進プログラムオフィサー)

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