東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビュー Vol.053

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2014.2.14
    ◇◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.053 ◇◆◇
     http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
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日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気鋭の研究者が紹介し
ます。外交の実務に携わる方々には必須のものばかりです。是非お読みください。


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■┓ ブックレビュー
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■『バチカン近現代史―ローマ教皇たちの「近代」との格闘』
松本佐保著(中央公論新社 中公新書、2013年)
評者:板橋拓己(成蹊大学法学部准教授)

近代国家=国民国家の課題は、世俗国家の形成、宗教と政治の分離で
あった。しかし、国民国家が揺らぎつつある現在、「信者を通じて世界に
影響力を誇るバチカンを、グローバルな存在として注目する意味がある」
と著者は主張する。顧みれば、バチカンの歴史は「『近代化』に真剣に対
応してきた歴史」であった。とくにバチカンの外交は「近代の荒波のなかで
生き残りを賭けた展開でもあった」のである。そこで本書の目的は、「バチ
カンが近代化とどう向き合い、近代化とともに台頭した革命や共産主義と
どう闘ってきたか」を、フランス革命の時代から現在まで辿ることに定め
られる。

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■『3.11: Disaster and Change in Japan 』
Richard J. Samuels
(Ithaca and London: Cornell University Press, 2013)
評者:昇亜美子(政策研究大学院大学 安全保障・国際問題プログラム 研究助手 博士(法学))

3.11という衝撃的な事象は、海外での日本政治への関心を少なからず呼び起
こしたのである。マサチューセッツ工科大学教授で日本研究者のリチャード
・サミュエルズ氏による本書は、3.11が日本政治に与えた影響について、ジ
ャーナリズムにみられるような震災直後の対応に関する短期的な観察だけで
はなく、2012年半ばまでの時期に、国家安全保障、エネルギー、地方自治の
三分野においてみられた変化、改革について本格的な分析を行ったきわめて
意欲的な学術書である。

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■┓ 新刊紹介/リスト
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2013年11月に刊行された政治外交関連の図書を中心にご紹介します。
情報収集や研究などにお役立てください。


▼ 新刊リストはこちら

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           日本外交に関心を持つ方々へ

          北岡伸一(東京財団名誉研究員)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有される
だけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。すなわ
ち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中関係
史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場した
優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第53号(2014年2月14日発行)

発行元:東京財団 政治外交検証研究会(リーダー:北岡伸一名誉研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
       小宮一夫(駒澤大学文学部非常勤講師)
       細谷雄一(慶應義塾大学法学部教授)
       宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当: 田中伸子(東京財団社会変革推進プログラムオフィサー)

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