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アメリカはイラクをイスラム原理主義者の巣窟にする気か 2003年08月04日
アメリカがイラク軍を倒し、サダムを追放してすでに数ヶ月が過ぎる。やっとのことで首都バグダッドの水道や電力の供給が少し可能になると、サダム派残党とされるイラク人によるテロが起こり、電力供給は途絶えがちになる。 石油の施設については、石油省のビルをはじめアメリカが特別の配慮をしたことから、比較的に破壊を免れ維持されてきていた。それはアメリカ側が早急にイラクの石油を輸出し、再建の費用を捻出しようと考えたからだ。
しかし、実際には電力網が破壊されるのと同様に、石油輸送のパイプラインも破壊され、輸出どころか国内消費向けすら不足がちだ。 サウジアラビアに次ぐ世界第2位の埋蔵量を持つ国が石油に困るという不思議な現象が続いている。イラクのガソリンスタンドの周りは、給油を待つ車が長蛇の列をなし、そのわきではプラスチックのタンクに入れたガソリンを売る商売が横行している。彼らはガソリンスタンドで買ったガソリンを転売して、少しばかりの儲けを手に入れているのだ。
イラクの軍人たちはブレーマー長官就任後、正式に首を言い渡され、以来、つい最近まで給与を受け取れない状態にあった。実際には今でも給与を受け取っていない者や、その給与ではやっていけない者が相当数いると思われる。 このことはイラク国内で最も急がれるべきだった治安の確立ができなかったということだ。従ってイラク国民は生活苦から、電線を盗んで売ったり、工場の設備を取り外して売らざるを得なかった。そればかりか、治安を維持する者があまりにも少ないことから、各種の犯罪がバグッドでは横行している。
アメリカの統治組織はブレーマーの判断に基づき、サダム一派の掃討と水、電気の設備の補修に力を入れたのだが、穴の開いたバケツに水を貯めるようなもので、何時までたっても修理しては破壊され、また修理するという状況が続いている。 こうした状態が続くということは、イラク国民の間に不満が募り、アメリカ軍に対する組織的ではない、個人的な感情の爆発によるテロが起こるであろうことは、誰にも想像できることだ。 そしてその個人的な感情爆発によるテロに対し、アメリカ軍側はサダム一派によるものだ、イランの支援を受けるイスラム組織によるものだ、という組織論をかざしてくる。
そのような判断があるなかでは、元イラク軍幹部に治安維持への助言や協力を求めることは出来ないし、民生安定のための各種対策にバアス党党員であった行政能力の高い国家公務員上級職者を採用することも困難だ。 旧軍、バアス党公務員などの協力が無いなかで、ブレーマー長官は全く新しい協力者として、国外に逃亡していたイラク人たちを取り込んだ。 しかし、彼らはイラク国民にほとんど知られていない存在だった。それらのなかでイラク国民に知られていた数少ない人士たちはのなかには、国外で犯罪に手を染めた者や、つい最近まで犯罪にかかわっていた者たちもいた。
こうした人士を主に集めて出来上がったイラク議会は、当然のことながら国民や国内各組織の反発を受けるものとなる。 反アメリカ的立場のイラク指導者たちの多くは、イラク議会なるまやかしの民主主義推進機関を作る前に国民投票を実施し、イラク国民自らの手で議員を選出すべきだと主張している。 また、議員選出に先駆けて、新たなイラク憲法を制定すべきだと主張している。こうした各派の主張はおおむね正しいといえるだろう。イラク国民が自らの手で憲法を制定し、その憲法に基づいてイラク議会議員を選出し、国家の機構を作っていくということだ。
しかし、こうしたイラク国民の希望と現実は異なり、イラク憲法はイラク国民ではなく、アメリカによって作成されている。そのイラク憲法作成組織にはユダヤ人も含まれ、彼は主導的な立場にいると伝えられている。 アメリカにしてみれば、戦後の日本国憲法があれだけすんなり抵抗無く受け入れられたのだから、イラクの場合もそうであろうということだろう。しかし、イラク国民と日本国民では、社会の構造も性格も全く異なるのだ。アメリカ軍の高官は「日本やドイツで出来たのだからイラクでも出来ないはずが無い、」と豪語しているそうだが、このアメリカ軍高官はまさに現代アメリカの疎な頭脳構造の見本のようなものであろう。
アメリカのラフなイラク統治対策、そのための粗雑な対策検討が生み出した結果は、イラクの全域とイラクのほとんどすべての国民を敵に回すという惨憺たるものだった。同時にイラク国民は幾つにも分断された。 シーア派にはすでに4つから6つもの異なる組織が存在し、各々に主張を展開している。ある組織は強硬なアメリカ軍に対する抵抗闘争の展開を主張し、ある組織はアメリカの占領政策を非難しながらも穏健な立場を今のところ維持している。
しかし、イラク国民の間に分裂と差異はあるものの、アメリカ軍による軍事支配と占領政策に反対する立場に変わりはない。 現在の状況がもう少し悪化し、諸問題の解決の希望が消えた瞬間に、彼らは一斉にアメリカとそれに続く占領軍に対し、敵意の牙を剥き出しにするだろう。 こうしたことから現在のイラクでは、アメリカとそれに続く外国の占領軍に対する憎しみが増大しているということだ。そのことは、アメリカに敵対する者に対しては、頗るつきの寛容さがイラク国民の間では拡大しているということでもあろう。
サダム体制とアメリカとの緊張が高まるなかでは、イラクの地方をベースにしたイスラム原理主義組織の萌芽が見られ、彼らのテロ活動はサダム体制によって弾圧を受けることなく放置されていた。 サダム体制にはそのような小組織に、真顔で対処している余裕がなかったのだ。
それと同様に、現在のアメリカ軍には、あまりにも多くの対処すべき懸案がありすぎて、何を最優先で手をつけるべきか分からないでいるのではないか。 ガス、電気、水道、民主化の実現、イラク議会の運営と臨時政府の立ち上げ、サダム狩り、大量破壊兵器探し、国際世論対応、アラブへの配慮、イラン・シリアによるイラクへの関与の有無確認、バアス党員対応、アメリカ軍兵士の傷病に対する対応、外国軍との協力調整・・・・。
そのような状況は、全体としてアルカーイダはじめとするイスラム原理主義組織のイラク侵入を容易にさせるのではないのか。 それが現実となればイラク国民による反アメリカ軍、占領軍全体に対する抵抗闘争は今後ますます激化すると予測すべきであろう。その予測は頗る現実味を帯びたものだという一言を付け加えておこう。
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