タイプ
その他
プロジェクト
日付
2016/4/1

アメリカ大統領権限分析プロジェクト

目的

 オバマ大統領は、政権の後半において、イデオロギー的な極端な対立から、妥協が難しい共和党が多数を握る議会の抵抗に対して、大統領権限を拡大することで、自らのレガシーとなる政策を遂行または遂行しようとしてきた。たとえば、2014年の中間選挙における民主党の大敗を受けた後、オバマ大統領は、共和党議会が大きく反対して解決の見通しがつかない包括移民法について、大統領権限を根拠に、500万人近い不法移民に合法的地位を与える行政命令を出した。また、オバマ政権は「イスラム国」への空爆については、2015年の一般教書演説で議会の合意を求めてはいるが、大統領権限により実施できるという解釈をとっている。

 

 2016年1月、オバマ大統領は共和党議会が反対する銃規制についても、大統領権限を使ってインターネットなどを通じて銃を販売する業者にも免許の取得や購入者の審査を義務づける新たな対策に乗り出すことを発表した。2009-10年に環境エネルギー法案が廃案になったにもかかわらず、オバマ政権は強力な地球温暖化防止政策を推進している。2015年の米国内でのTPPの議論についても、議会が保持する貿易促進権限を大統領に与えるかどうかという法案の成否に多くの政治エネルギーが費やされた。将来のある時点で歴史を振り返れば、オバマ政権の歴史的な意義は、大統領権限の多用と拡大ということになるかもしれない。

 

 本プロジェクトでは、現代アメリカにおける大統領制の変容、大統領を支える制度の発展、大統領による新たな政策形成、議会と衝突した際の大統領の政策形成を分析することで、オバマ大統領による大統領権限の拡大が、米国の政治と政策にもたらす意味について分析を行う。

 

 

執筆メンバー

久保文明  東京財団上席研究員、東京大学法学部教授

阿川尚之  同志社大学特別客員教授

梅川健    首都大学東京准教授

梅川葉菜  駒澤大学専任講師

菅原和行  釧路公立大学 准教授

杉野綾子  日本エネルギー経済研究所主任研究員

松岡泰      熊本県立大学教授

浅野貴昭  東京財団研究員

渡部恒雄  東京財団政策研究ディレクター兼上席研究員

 

 

▼記事一覧(2016年6月6日より随時更新)

[6]オバマ大統領による政策実現を阻む州司法長官(掲載日:2016/11/4)

梅川葉菜/駒澤大学専任講師

[5]アメリカ大統領研究の現状と課題(2)(掲載日:2016/9/23)

梅川健/首都大学東京都市教養学部法学系 准教授

[4]パリ協定と条約批准手続き (掲載日:2016/9/20)

杉野綾子/日本エネルギー経済研究所主任研究員

[3]憲法から見る大統領の権限(1)(掲載日:2016/8/23)

阿川尚之/同志社大学特別客員教授

[2]アメリカ大統領研究の現状と課題(1)(掲載日:2016/8/1)

梅川健/首都大学東京都市教養学部法学系 准教授

[1] なぜ今、アメリカ大統領の権限についての調査・研究が必要か?(掲載日:2016/6/6)

梅川健/首都大学東京都市教養学部法学系 准教授