タイプ
論考
プロジェクト
日付
2008/1/7

2008年米国大統領選挙、民主:オバマ氏圧勝、共和:ハッカビー氏勝利でスタート! 

久保文明
(東京財団「現代アメリカ研究プロジェクト」リーダー、東京大学教授)

はじめに

 2008年1月2日から7日にかけて、アイオワ州を訪れた。最大の目的は、現地で1月3日に行われた党員集会を視察することであった。同時に、直前に行われたいくつかの選挙集会にも足を運んだ。選挙後の報道や分析も交えて、2008年のアイオワ州党員集会についての雑感を、以下思いつくままに記したい。なお、現地では朝日新聞アメリカ総局長の加藤洋一氏他スタッフの皆様に様々の便宜を図っていただいた。ここに深く感謝の念を表したい。


1.前日・当日の選挙戦

 2日の夜10時からデモインのHoover High School体育館で開催されたオバマの”Stand for Change Rally”を見学した。かなり大きな体育館で、中央部分は椅子が無く立見席であったにもかかわらず、会場は満員であった。若い人が多かったが、中年・老年の人も多数参加していた。また、チャーリー・クック、ジョージ・ステファノプロス、ティム・ラサートなどの姿も見かけた。押し寄せたメディア関係者の数も凄まじいものであった。
 演説は「変化」を訴えるもので、聴衆を沸かせるテンポやリズムはいま一つであったが、会場にこれだけの数の有権者の足を運ばせるオバマ陣営の力は印象的であった。若者が多いせいもあり、元気のよさ、ノリのよさも特徴であった。

 3日は、党員集会の当日であるが、とくに公職選挙法の規定が存在するわけではないので、候補者は、リラックスして過ごす者、最後まで遊説する者と様々である。党員集会の会場の廊下には、ヒラリー・クリントン陣営からクッキー、サンドイッチ、ミネラル・ウォーターなどの差し入れも置かれていた。オバマ陣営の差し入れは水だけであった。他の候補はとくに何も提供していなかった。このあたりは資金力の差であろうか。夕食時だったので、私もサンドイッチを一つクリントン陣営にお世話になった。

 まず、朝8時半からデモインのUnited Steelworkersの第164支部で開催されたジョン・エドワーズの遊説を覗いた。場所からも予想されるとおり、労働組合員らしい人々が中心に組織した比較的小規模な集会であり、メディア関係者を除くと40-50人程度の参加者であろうか。エドワーズは10分程度の短い演説を行っただけであった。オバマとエドワーズが同じ民主党内であっても、相当異質な層に支持を求めていることが、以上2つの集会を覗いただけでもはっきりと窺えた。

 その後、午前10時半からデモインのダウンタウンにあるPrincipal Financial Groupで行われたミット・ロムニーの集会に参加した。これは主として主催者の社員用の演説会であった。立派なオフィスビル内での豪華な雰囲気に包まれた会合であり、労働組合支部での集会とまったく対照的である。彼の支持が、経済界、都市部にあることを示唆していた。ここで、ロムニーはテロ、健康保険、エネルギー、経済的競争相手としての中国・インドについて語り、アメリカを変えていく必要を力説した。論理的な話で、また落ち着いた語り口であったが、多くの聴衆の心を掻き立てる力はやや弱いように感じた。ロムニーは資金力にものをいわせて走ってきたが、ここに来てハカビーに追撃されている。

 午後12時半から、デモインから1時間弱離れたグリネルという小都市にある退役軍人記念ホールで開催されたマイク・ハカビーの演説会を覗いた。すぐに気がついたのは、子供を連れた女性が多いこと、そしてそれほど豊かではなさそうな、すなわちブルー・カラー労働者らしい人が多いことである。同じ共和党でも、ロムニーの集会とは対照的であった。それほど大きな施設でないこともあるが、70-80人はいたであろうか。メディアも殺到していた。ハカビーの話は人をひきつける。他の候補を支持する人は今夜の党員集会にはむしろ来ないで欲しい、雪かきをする際には、他の共和党候補の支持者の自宅の前に雪を投げ捨てようと呼びかけて、聴衆から爆笑を誘っていた。ハカビーは全体として明るい雰囲気を醸し出す。演説の内容も楽観論が基調である。Great Communicatorといわれたレーガン元大統領と似た面がある。宗教的であるが、同時に税制の簡素化も強く訴えており、経済保守との連携も目指している。


2.党員集会—アイオワシティ第9選挙区

 アイオワシティは州都デモインから車で2時間弱のところにある。アイオワ大学がある綺麗な学園都市である。私は1985年、この大学にヘンリー・A・ウォーレスの文書を読みに来たことがある。何と22年ぶりの来訪である。

 今回見学したのは、アイオワシティ第9選挙区の民主党・党員集会である。州全体では1781の選挙区がある。高校が会場となっていたが、いくつかの選挙区の党員集会が異なる部屋で同時に開催されていた。ちなみに共和党の党員集会も、同じ高校の異なる部屋で数箇所に別れて実施されていた。

 簡単に予備選挙と党員集会の異同について説明しておこう。民主・共和の両党は本年8月から9月にかけて全国党大会を開催し、そこに各州から派遣される代議員によって公認大統領候補が決定される。アイオワ州に配分された民主党の代議員を、立候補者の間でどのように配分するかを決定する方法が、党員集会である。こんにちでは予備選挙を行う州の方が圧倒的に多い。予備選挙の機能も党員集会と同じである。ただ、予備選挙はただ投票日に投票所に足を運び、票を投ずるだけであるが、党員集会は決められた日の一定の時間、アイオワ州の場合1月3日の午後6時半から8時過ぎまで、会場にいる必要がある。党員集会の方が、はるかに手間のかかる方法であるといえよう。会場には子供室が用意されていることが多いようだが、私たちが訪れた党員集会では、子供を会場に連れて入っていた親も散見された。アイオワ州の場合、共和党は最初に演説などが入る場合があるが、その後は秘密投票であり、比較的簡単な手続きで行っている。民主党は、どの候補を支持するかによって、異なる場所に座り、その後、参加者の15%に満たないグループは解散させられ、他の大きな支持者を得た候補の場所に移る必要がある。その際に、15%以上を獲得した陣営は、積極的に説得・勧誘して、自分の陣営に来るように誘う。その結果が最終的な数字となる。予備選挙と比較すると、党員集会には近隣の人や職場・友人の圧力や視線を気にしながらの支持表明という側面が強い。

 ちなみに、アイオワ州では、事前に民主党員として登録していなくても、当日集会前に民主党員としての登録を行えば、無所属、あるいは共和党員であった人でも、民主党の党員集会に参加できる。逆も同じである。
 私たちは6時前に会場に入ったが、すでにかなりの党員が自分の支持する候補の席に座っていた。最初からオバマとクリントン支持者が多かった。
 定刻の6時半にやや遅れて議事が始まり、参加者は448人、したがって15%の基準値は68人であることが発表された。67人以下のグループは“viable”でないと認定され、解散させられる。

 最初の結果は、オバマ202人、クリントン84人、エドワーズ69人、リチャードソン37人、バイデン19人、クシニッチ12人、ドッド0人であった。また、10-15人程度が、 “uncommitted”の立場を表明する場所に座っていた。ドッド支持者は実際には10人以上いたが、議長の指示がある前に他の陣営に移ってしまい、その結果0とカウントされてしまった(ドッド支持者の一人は、議長から紛らわしい指示をされたので、誤解して他の陣営に多くの人が移ってしまったと説明していた)。結局、上位3人の陣営がviableとなり、この点が確認されてから30分程度の間、説得と勧誘の時間となる。上位3位以内の陣営のprecinct captainと呼ばれる指導者を中心に、かなり入り乱れた形でさまざまな接触が行われる。すぐに解散するグループもあれば、最後まで抵抗するところもあった。

 最終結果は次の通りとなった。オバマ229人、エドワーズ104人、クリントン97人。この地区に配分された代議員は7人であるが、それはオバマ4人、エドワーズ2人、クリントン1人となった。第1次集計から第2次集計にかけての大きな変化は、解散させられた陣営の党員をエドワーズ陣営が多数取り込み、最初はたった2人の差で解散を免れたに過ぎなかったのに、最終的には2位につけたことであろう。それに対してクリントン陣営は第二次の段階で伸び悩んだ。
 子供連れの母親が、帰りがけ、小学生らしいむずかる子供2人に対して、これが民主主義にとっていかに大切な手続きであるか、正面から説明していたのが印象的であった。これだけの時間を割くアイオワ州党員の努力にはそれなりに大きな敬意を表すべきであろう。

 会場で見た印象を思いつくままに記すと以下の通りである。
 まず、オバマ陣営の支持者には若者が目立った。ここは学園都市であるだけに当然といえば当然であるが、冬季休業中であり、どの程度学生が本当に集会に来るかが注目点であった。オバマ陣営はシカゴからバスを用意したとも伝えられた(シカゴに帰省している学生が多いらしい)。precinct captainと呼ばれる役も学生らしい若者が務めていた。ただ、中年・老年の支持者も多く見られた。人種構成的には圧倒的に白人である。ただ、会場全体では数少ない黒人が座っていたのも、オバマ陣営であった。

 それに対して、少なくともこの地域では、クリントン支持者は圧倒的に高齢者であり、支持があまり広がっていないことが感じられた。precinct captainも高齢の女性が務めていた。また、会場で話を聞いたリチャードソン支持の何人かは、クリントンは共和党と同じで、軍産複合体から多額の政治献金を受けている、また立場をころころ変えていて信用できない、彼女の指名は絶対に阻止したいと、強い口調で語った。


3.党員集会—アイオワ州

 以上のように、実際に見た会場では、オバマが圧勝したが、州内でもこの会場ほどではないにしても、予想と大きく異なることが起きていた。オバマの得票率は38%、エドワーズ30%、そしてクリントンは29%であった。共和党でもハカビーが予想を上回る勢いを示し、34%の得票率を記録した。ロムニーは25%、フレッド・トンプソン13%、ロン・ポール10%であった。

 両党を通じて、直前まで勢いを示していたオバマ、ハカビー両候補が、激しい批判を跳ね除けて、予想を上回る強さを示したといえよう。地元紙『デモインレジスター』は直前の12月27-30日に行われた調査結果に基づいて、オバマ32%、クリントン25%、エドワーズ24%という数字を発表し、民主党関係者に衝撃を与えていた。それまでほぼオバマ・クリントン拮抗という調査結果ばかりであったためである。『デモインレジスター』が委嘱した世論調査会社Selzer & Co.(世論調査専門家アン・セルザー(Ann Selzer)が率いる)は無所属・共和党も投票に来ると予想し、彼らも調査の対象にしたため、異なった数字が出た。そして、この手法は他陣営から厳しく批判された。しかし、結果的に、この『デモインレジスター』の数字が最終結果にもっとも近かったし、今回のアイオワ州民主党・党員集会を特徴付けたのは、何よりも歴史的ともいえる高い参加率であり、とくに無所属や初めて参加する者が多数参加したことであった。
 2008年1月4日付『デモインレジスター』によると、これまでの民主・共和両党の党員集会の参加者数は次の通りである。





 この数字だけからも、今回のとくに民主党側の参加者が、いかに多かったたが窺える。新聞報道によると、無所属・共和党員の新規登録者の長蛇の列が出来、登録用紙がなくなった会場、7時までに入場という規則を守ることができなかった会場まで登場した。おそらくクリントンは陣営の予想通りの支持者に参加してもらい、エドワーズも4年前の支持者をかなりの程度確実に獲得したと推測されるが、オバマは選挙プロの常識を超える驚異的な動員力を示した。とくに若者、無所属、初めての参加者で強みを発揮した。参加者の57%が初めての参加であるとCNNの入口調査で答えている(ちなみにアイオワ州の人口は約290万人、有権者数は約210万人、民主党登録者数は約639,000人、共和党登録者は約607,000人、無所属は約809,000人である)。

 しかも、オバマの圧勝が州民の95%が白人というアイオワ州で起きたことが画期的であろう。5%を占める黒人の全員が民主党員であり、全員が参加してオバマを支持しても、せいぜい10%程度にしかならないはずである。
 もう一つ付け加えると、オバマは労働組合の全国本部からはどこからも支持を得られていない。これはクリントン、エドワーズと対照的である。クリントンとエドワーズはアイオワ州でも、資金的に、そして選挙戦を支える手足として、労働組合からの支援を得ていた。オバマはそのようなハンディキャップを、若者に対する動員力で補ったことになる。
クリントンにとって、ここでの敗北の衝撃は大きい。「民主党の候補は彼女しかありえない」、「彼女の指名獲得は必然的である(inevitability)」との印象を与える戦略であったが、それはアイオワで早々と水泡に帰した。参加者の半数以上が変化を実現してくれるかどうかを重視すると答え、そのように回答した参加者のほとんどはオバマを支持した。さらに痛いのは、彼女は女性票でもオバマに負けていることである。クリントンは女性票の30%を獲得したが、オバマはそれを上回る35%を獲得した。健康保険問題を重視すると答えた参加者でも、オバマはクリントンを上回る支持を獲得した。17歳から29歳までの参加者では、57%がオバマを支持した(2008年11月投票日に18歳になる者は参加資格がある)。エドワーズも変化を訴えていたことを考えると、実績と能力のクリントンに29%、変化の候補2人に68%という結果になった。僅差であれエドワーズにも敗れて3位というのも、クリントンにとって相当の屈辱であろう。

 この勝利は、オバマに何をもたらすであろうか。党派の枠を超えて、また選挙プロの常識を超えて、集票力、動員力を発揮する候補であることを、彼は少なくともアイオワで実証した。人種構成で不利な土俵でこれだけの成果を示したことも、高く評価されるであろう。
 1月3日の結果は、同日夜から翌日にかけて、新聞・テレビで大きく報道された。とくに注目に値するのは、何回もテレビで放映されたオバマの勝利演説である。これが何回も放映されるだけで、今回の勝利の意味は大きい。文字通りただで、晴れ姿を全国に、そして次の戦場であるニューハンプシャーに向けて放送してもらっていることになる。しかも、オバマはこの機会をとらえて、本来の雄弁を取り戻し、多くの政治評論家を感心させる演説を行った。

 以下に引用したCNNでのデービッド・ガーゲンのコメントにあるように、それは単に政策演説でもアジ演説でもなく、政策の違いや党派の壁を越える含意をもった演説であった。まさにマーティン・ルーサー・キング牧師を髣髴とさせる演説であった。翌日のFOX Newsでも、トニー・スノーが「偉大な演説」と賞賛している。オバマは4日、ニューハンプシャーで同様の演説を行っているが、奴隷制を撤廃し、ファシズムを打ち勝ち、そしてセルマ、モントゴメリーなど南部での人種差別克服を支援してきたアメリカ人、とくに白人の貢献に触れながら、希望と国民の統一・一体性(unity)の実現を語った。ちなみに、彼が語る、なぜ今立候補するのかについての説明としての、”fierce urgency of now, right now”も、キング牧師の言葉と重なり合っている(邦訳『黒人はなぜ待てないか』(みすず書房、新装版、2000年))。オバマは、自分は人種の壁を越えることができることを示し、それによって、硬直した政党対立も溶かすことができると主張する。彼を支持し勝利させることにより、アメリカに誇りを感ずるアメリカ人も、とくに民主党には少なくないであろう。
 今後、民主党員だけでなく、多くのアメリカ人は、普通の政治家以上のものをオバマに感ずるかもしれない。

David Gergenのコメント
I thought Barack Obama's speech was one of the best I have ever heard from him. There were echoes of Martin Luther King in that speech, as well as, of course, echoes of his own convention speech.
But he's doing something more than that. Hillary went -- why she seemed a little plodding against him, she went to the change theme, change, change, change. He -- he went ahead of that. He said, change by unifying, by becoming one country. It was very nationalistic.
And it was -- and there was a sort of implicit message: If I can bring down the barriers between blacks and whites in this country, we can bring down the barriers between Republicans and Democrats.
(http://transcripts.cnn.com/TRANSCRIPTS/0801/03/se.04.html)

 考えてみると、クリントンも、初の女性大統領を目指す。しかし、アイオワの民主党員は初の女性大統領より初の黒人大統領を支持した。その理由は、一般論というよりも、オバマ個人の魅力に負うところが大きいであろう。彼は若者に対して、「一緒に世界を変えよう。一緒に歴史を作ろう」と訴えた。理屈の上では、クリントンも、同様のレトリックを使って選挙戦を展開することはできたはずである。しかし彼女は、「大統領に就任した瞬間から準備万端」(ready on day one)を強調した。ビル・クリントン時代のスタッフに囲まれ、潤沢な政治資金に恵まれた彼女は、政策的に意図的に右寄り姿勢をとってきたことも重なって、多くの民主党員の目には、いつの間にか“establishment”の候補と映っていたように思われる。

 『ワシントンポスト』紙に掲載されているクリス・シリッザによる1月5日付ブログ(http://blog.washingtonpost.com/thefix/?hpid=topnews)は「運動が始まった」と述べ、オバマの選挙戦が月並みな選挙運動でなくなったと断言する。演説の2時間半前から駆けつけるニューハンプシャー州の聴衆、オバマに投票することで、普通の選挙ではなく、より大きな大義、アメリカ政治の根本的な改革運動に参加していると意識し始めた支持者・・・。とくに黒人大統領を実現することそれ自体で、アメリカをより崇高な存在にすることに自ら貢献していると感じている支持者。これに対抗するには、並みの選挙戦術以上のものが必要であろう。

 オバマが優位に立ったことは確かであろう。ただし、まだ先は長い。まだまだ紆余曲折があると予想される。クリントンは何らかの戦略の変更・調整を余儀なくされているが、ニューハンパシャーでの予備選挙まで5日しかない。実質的には3日ともいえる。これで戦略を変えることができるか、変えても効果があるか、難しいところである。もしオバマが、やはり黒人人口の少ない同州でも勝つと、今後サウスカロライナでも楽勝する可能性があり、ますます優位に立つであろう。エドワーズは資金的に、同州で勝利しない限り、さらなる選挙戦の継続が危うくなると評されている。他方で、クリントンには資金力もあるため、今後さらに選挙戦を継続し、2月5日の決戦に賭けるのではないかと思われる。彼女にとっては、当面、ニューハンプシャーで勝利することが最大の課題である。逆転はまだ不可能ではない。オバマにも、政策の各論が弱いことなど、弱点がないわけではない。また大きな失言一つで展開が急変することもありえよう。

 共和党ではハカビーがやはり高い参加率に支えられて、アイオワで衝撃的な勝利を収めた。彼は弁舌も爽やかで、きわめて好感度の高い候補者であり、侮ることはできない。ただ、アイオワの共和党・党員集会参加者はその60%が福音派ないしボーンアゲンといわれる宗教保守派であり、ハカビーの支持基盤もそこにあった。政治資金的に、彼の言葉では、ロムニーに20対1で差をつけられ、メディアの報道では15対1で引き離されていた候補が勝利したことは、たしかに画期的である。ただ、オバマとはある意味で逆に、かなり有利な場所で勝ったことになる。勝利を過小評価することは禁物であるが、これが今後ニューハンプシャーでの勝利につながるか、まだ予断を許さない。むしろ、アイオワでロムニーの勝利を阻止したことの意味が重要であろう。

 ニューハンプシャーでは、追い詰められたロムニーが勝利して生き残るか、復活しつつあるマケインが勢いを示すか、一挙に台風の目となったハカビーが再びメディアの予想を覆して、不利な土俵でも勝利するのかが、注目点であろう。ハカビーは経済政策で、ややポピュリズムに近いところがあり、経済保守派はきわめて批判的である。宗教保守からさらに支持を広げることができるかどうかが興味深いところである。
(2008年1月5日記す)



■アメリカ大統領選挙に先立ち、東京財団現代アメリカプロジェクト(プロジェクトリーダー:久保文明(東京大学教授)プロジェクトメンバー:足立正彦(住友商事総合研究所シニア・アナリスト))では、2008年アメリカ大統領選挙の主要候補者たちの人脈一覧を作成しました。ぜひご一読ください。
なお、下記のとおり誤りがございました。謹んでお詫び申し上げますとともに訂正いたします。
2008.1.15以前に人名録をダウンロードされた方は、合わせて正誤表をダウンロードしてください。

2008.1.8   正誤表【PDF 11KB】
2007.12.13 追加(Mike Huckabee)【PDF 75KB】
2007.11.28 2008年米国大統領選挙主要候補者の選対本部・政策アドバイザー人名録(修正済み)【PDF 3.66MB】