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レポート
プロジェクト
日付
2011/9/1

【生命倫理サロン】第7回「報酬付き卵提供OK? ~生殖補助医療法は必要ないか」

⇒ 第7回テーマ: 報酬付き卵提供OK? ~生殖補助医療法は必要ないか

⇒ 開催日時: 2011年8月26日(金)18:00-20:00

⇒ 開催場所: 日本財団ビル2階 第3-4会議室

⇒ 概要説明(ねらい)

日本人女性を報酬付きで海外に連れて行き、卵子を提供してもらって体外受精で子どもをもうけようとする例が出てきたことが報じられました。

カップル間ではなく、第三者から精子を提供してもらって子どもをもうけることは、日本でも長年行われてきています。しかし、負担や危険が大きい卵子の第三者からの提供は、国内ではほとんど行われてきませんでした。

この間日本では、臓器売買事件が二件明るみに出て、移植法違反として起訴されています。ですが生殖補助医療に関する法律はなく、精子、卵子、受精卵の売買は、法的には禁止されていません。

この倫理的・法的空白を埋めるため、厚生労働省の審議会が2003年に生殖補助医療法の制定を求める答申を出しましたが、その後法整備に向けた取り組みは進まず、棚上げにされてきました。

今回は、産婦人科医の澤倫太郎氏をお招きして、生殖補助医療で何をどこまでしてよいのか、いけないのかについて、あらためて話し合ってみたいと思います。


⇒ 議論の展開

◆2010年ノーベル医学・生理学賞(人間の体外受精成功でエドワーズ氏)をどうみたか


◆卵子提供による生殖補助医療について
・日本産科婦人科学会(日産婦)の「見解」は、第三者からの配偶子提供による体外受精を、認めているのか
報酬付きで海外に日本人女性を連れて行き、卵子提供をしてもらう例が出てきたと報じられている。
 日産婦は、不妊治療ツーリズムについて、どう対応しているのか

卵子提供の是非や、提供に対する「補償」のあり方について、産科医としてどのように考えるか
・売買を禁止すべき対象とは

社会としてすべきことは何か
生殖補助医療法は必要か。
 それとも日産婦の「見解」(ガイドライン)は倫理規範として機能しているので十分なのか


◆先端研究を覗く 〜不妊治療の将来は?
・生殖腺の移植、子宮の移植?
・卵巣機能不全患者に対する、脂肪由来幹細胞による卵巣組織の再生治療?
・ES細胞やiPS細胞から分化させた生殖細胞による不妊治療?

⇒ スピーカー紹介
澤倫太郎氏(日本医師会総研研究部長、産婦人科医)

1958年生まれ。1986年日本医科大学付属病院臨床研修をされたのち、2001年には日本医科大学・生殖発達病態学講座・講師。2002年4月1日から2004年3月31日まで日本医師会・常任理事、2006年から日本医師会・総合政策研究機構研究部長。2009年から日本産科婦人科学会・副幹事長、同年、慶応義塾大学産婦人科学教室・客員准教授兼務、現在に至る。


⇒ 聞き手紹介
ぬで島次郎(東京財団研究員) 

⇒ スピーカーからのコメント(セッションを終えて)

医療においては不易の倫理というものはなく、倫理観は時代とともに、技術開発とともに変化する。しかし生殖医療において忘れてはならないことは、子を希望するクライアント夫婦とは全く人格の異なる一人の人間が誕生することである。自己決定に基づく生殖医療であっても、生まれてくる子の同意を得ることはできない。


⇒ 参加者からのコメント

・生殖補助医療というと、当事者の女性の妊娠・出産だけに目がいきがちでしたが、相手の男性、産まれてくる子ども…それぞれの人生に影響を与える問題だと改めて考えさせられました。日本で急速に生殖補助医療が広がっていますが、かなり偏った情報で判断していることを気付かされました。(20代女性)

・不妊治療のような話題は、女性側の意見が多く取り上げられているとの発言があった。女性の子を持ちたいという想いは、母性として説明ができ、男性も協力するのが当然だと思われがちである。しかし、女性に相当なプレッシャーがかかり、出産そのものが最終目標になっていたとしたら、男性は生殖のためにモノとして利用されている気になるのではないか。カップルが同じ気持ちで、治療に臨んでいるとは思えない。男性側に不妊の原因がある場合、これほど子を持つことに執着するのだろうか。非配偶者間の体外受精については、他者の体に負担をかけてまで自分の欲望を満たすことが、果たして幸せなのかと思う。(40代女性)