文明と環境プロジェクト(2008)

実施年度

2008年

文明社会と自然の共存の道を探る ~科学的分析による実証~

いま私たちはこれまでにない文明の大きな転換期にいます。現在の地球環境を環境考古学からみると、2050~70年頃には、現在の自然征服型、大量生産・大量消費型の近代文明は終焉を迎えると考えられます。

そこで、「文明と環境プロジェクト」では、地球環境破壊の深刻化など、文明と環境の間で引き起こされる諸問題を環境考古学の見地から実証的に検証し、新たな環境調和型文明モデルを提示することを目指して、研究を行いました。

日本人は古来、森と水の循環に根ざした稲作文化と魚食文化を有してきました。自然や他者の命に畏敬の念を抱き、中庸の心をもって、自らのエネルギーを大地に投入して田を耕し、自然と共存してきたのです。こうしたライフスタイルや世界観をもつ日本人こそが、新しい環境調和型文明モデルの牽引者なのではないでしょうか。

本プロジェクトでは、こうした認識にたち、混迷した現代の姿を環境考古学の見地から実証的に検証しました。年縞調査や地域調査を、グアテマラ、ベリーズ、バリ、カンボジアといった諸外国や、秋田県目潟・田沢湖などで実施し、気候・環境変動と文明の興亡の関係を総合的に捉え、自然と人間が共存可能な文明社会構築のための叡智を探りました。

研究成果は、安田喜憲著『稲作漁撈文明―長江文明から弥生文化へ』(雄山閣、2009年)で一部発表したほか、自然と人間の共存型文明のあり方を科学的に検証するコンピューター・シミュレーションモデルの検討・開発の土台としました(モデルは現在開発中)。また、これまでの学術調査から、我が国の森林資源において、森と水の循環メカニズムに基づく統合的な保全のための制度が緊急に必要と考え、地下水と水源林保全に関する重要論点と、早急に必要な具体策について政策提言「日本の水源林の危機」をまとめ、2009年1月に発表しました(「国土資源保全研究プロジェクト(水源林保全研究)」として継続実施)。


■成果実績(政策提言)は下記よりご覧ください。

  

プロジェクトリーダー

安田喜憲(上席研究員)

政策プロデューサー

安井美沙子
吉原祥子