金融危機後(-2013)

サブプライム問題に端を発した金融危機は、冷戦後の世界経済の構造を大きく変化させる地殻変動の始まりだったかもしれません。金融危機はその後、欧州のPIGS諸国(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン)のソブリン危機に波及し、欧州をはじめとする世界経済はいまだ不安定な状態が続いています。

わが国も、対GDP比ではPIGS諸国を大幅に上回る財政赤字を抱えており、多くの経済学者は、今後10数年以内に日本において財政破綻が生じる可能性があると予想しています。しかし、混迷する国内政治、急速に進む少子高齢化と社会保障費の増大、などの下、財政再建への道筋はいっこうに見えません。

本研究では当初、金融危機後の望ましい世界経済と金融秩序の構造を探るため、今後あるべき金融規制とそれに応じた経済政策のあり方などについて実務家中心の検討を行い、現状把握に努めてきました。そうして得られた情報をもとに、理論的な分析を加え、危機に対応する有効な政策をまとめました。

2011年度においては、金融危機後の財政問題が欧州だけでなく日本においても深刻化していることを受け、ラテンアメリカ諸国など他国における過去の財政危機についてのケース、財政危機についての既存の経済学研究を概観し、財政危機時に備える方策のあり方についての検討をまとめてきました。また、実務家を中心に、金融危機時の対応のあり方についても検討を行ってきました。


プロジェクトリーダー

  • 小林 慶一郎(一橋大学経済研究所教授)

 

プロジェクトメンバー

  • 加藤 創太(上席研究員)
  • その他政府関係者、金融機関関係者、エコノミスト等

 

メンバーによる論考

「今から『日本の財政破綻』を考える:危機で慌てない6つのポイント」(日経ビジネスONLINE 2012年6月8日=外部リンク)
※小林慶一郎・プロジェクトリーダー、加藤創太・上席研究員による日経ビジネスONLINE(購読にはログインが必要です)の記事です。
             
・・・本稿では、日本の財政危機の際の対応策をあらかじめ検討していくべきという点を強調するが、[加速していく]市場[の動き]と[意思決定に時間が必要な]民主主義とのスピード差は、事前の対応策が求められる1つの理由となる。危機時にどのように対応すべきかについて、平常時に時間をかけて政治的な合意を得ておくことは、市場と民主主義との調和という点で有意義であるからだ。同時に、危機が近づいた時に、国民が一体となって断固とした対応の実施を表明することで、危機自体を未然に防ぐという効果も期待されよう。▼続きはこちら(日経ビジネスONLINE=外部リンク)