タイプ
レポート
日付
2012/5/29

インタビューシリーズ「介護現場の声を聴く!」 主な出演者の声〔サービス提供の現状〕

サービス提供の現状


配食など生活支援サービスについて 農協の介護参入歯科治療、口腔ケアの重要性訪問歯科診療機械浴の廃止について業界参入のきっかけ


  • デイサービスの利用者には流動食の人もいる。食事は1回。食事はあらかじめ注文を取るが、噛めない人にはゼリーや刻み食、とろみを提供する。(第31回)

  • 一般的な衣食住のうち、高齢者の「衣」は風呂。風呂に入る回数が少なくなると、汚れて来て疥癬など色々な問題が起きる。綺麗にしとかないと、独居の人が「毎日風呂に入るのが勿体ない」と節約して弱る。(第31回)

  • デイサービスは高齢者を預かって、昼ご飯を食べてお風呂に入れて帰るのが基本。宿泊施設がなかったが、旅行に行けないとか、仕事の長期出張や介護者が病気になった時など1~2日預かって欲しいという「お泊りデイ」のニーズがある。(第31回)

  • お泊りデイサービスと施設系の相違点は住居になるかどうか。老人ホームは住居。預かる期間が1カ月の場合、所謂ショートステイ。しかし、お泊りデイを現状ではやらざるを得ない。(第31回)

  • 介護保険が創設される前、「元気な高齢者が旅行に行くのが不安だから一緒に行く」「疲れたら買い物に行く」などのサービスがあった。現在も買い物サービスが拡大している。(第32回)

  • 最初に建てたデイサービス施設は一般家屋を使っており、民家活用型。今は流行って来ているが、当時としては画期的だった。(第34回)

  • 予防事業の対象者である要支援1~2と、要介護1の境界はアバウト。はっきりしていない。予防対象者を専門的にやるところも出て来ていると聞いているが、私達は一緒。「予防の人だからこれをしましょう」と気張ったことを考えていない。(第34回)

  • その人にとって必要なサービスを提供するのが筋。予防介護の対象者は心身の不具合が軽度なため、自分の力でできる。如何にやりたいこと、できることを引き出して実際にやって貰うことを考えている。(第34回)

  • 私達が世話して高齢者が世話される立場というよりは、予防事業を通じて高齢者自身も何か出来ますよねという考え方。悪化を防ごうとか気張ったことを考えているわけではない。(第34回)

  • 最初の3回ぐらい渋っても「行ってみると意外と良い所だった」という人が多い。早目に環境を利用した方が良い。高齢者になって要介護度が増せば増すほど、適用力は弱まって来るので、新しい環境に適応できる能力

  • 体力があるうちに知っておく。老い支度という意味もある。(第34回)

  •    配食など生活支援サービスについて

  • 従来は生活支援サービスの比率が高かったが、最近は「日中同居で家族が一緒に住んでいる場合は不適正」という流れがある。ただ、要介護2以上の高齢者は家事援助をサポートしないと生活できず、サービスを提供しなきゃならない背景もある。(第27回)

  • 弁当配達は介護保険の対象外。利用者は全て実費。普通の弁当だが、ボリューム的に一般の方が食べると物足りない。高齢者でも食べやすいように柔らかく作っており、塩分が少ない。舌の力で潰せる「柔らか食」を宅配では一番先に取り入れた。(第29回)

  • 高齢者宅への弁当配達は1軒ずつ訪ねるのではなく、配送ルートを3つぐらい作る。5キロぐらいの範囲で利用者を循環して行く。1回当たりの配達は30~40軒程度で、土日を含めた毎日、昼と夜の分で2回ずつ回っており、1日に200食程度を提供する。(第29回)

  • 高齢者宅に配達する弁当のニーズも今までよりも多様化する。好みがうるさくなる。弁当屋も特徴があった方が良い。毎日の日替わり弁当なので、和、洋、中を全部取り入れて、メニューもシーズンごとに変えている。(第29回)

  • 腎臓が悪い人のための低タンパク食のおせち料理が一例。在宅の人はカーテンを開けていないから時間が分からず、朝5時ぐらいに「夕食が届かない」というメッセージが留守電に入り、食事で季節感を出している。(第29回)

  • エアコンを付けられない方もいるので、訪問した時に付ける。夜には消して行く。家族の希望で細かい取り決めがあるが、生命の危険があれば付けたまんまの方もいる。(第29回)

  • 高齢者宅への弁当は直接に手渡しており、安否確認に繋がっている。ケアマネージャーや家族も忙しく、毎回電話したら大変。バイクで回って何かあったら連絡する。離れて暮らす家族も安心。安否確認だけの新しいサービスも生まれて来るかも。(第30回)

  • 今の制度上、独居の方に安否確認は訪問できない。行政も高齢者も助かっている。(第30回)

  • 実際はコストとの兼ね合い。そんなに自費ではサービスを受けることが)できない。しかし、保険適用外だからできる部分はある。歯ブラシやティッシュペーパーのリストがあって、買い物サービスをやっている所もある。(第30回)

  • ヘルパーの業務として生活支援が入っており、買い物代行などについても一回家に行って買って戻る。(第30回)

  • 高齢者宅への弁当の食材費は下げられないし、人件費を削れない。全体のパイを広げるしかない。おかずは1000アイテム。3カ月取って全く同じ弁当

  • 食材はない。試食やユーザーのニーズでドンドンと切り替える。(第30回)

  • 安否確認サービスのコストは高齢者宅への弁当代込みという感覚で無償。食事を手渡しするのは基本。ビジネスモデル自体は元々あった。僕がパイオニアという訳じゃないが、安否確認の充実は大切な部分。(第30回)

  • 高齢者宅への弁当を多様化させて美味しい食材を運べるようにサービスを磨きたい。あとは結果として付いて来る(第30回)

  •    農協の介護参入

  • 約700に及ぶ単位農協のうち、介護事業に参入しているのは44%。農協の運営する事業所数は全国で約1050カ所に及ぶ。(第33回)

  • 農村は高齢化し、平均年齢は70歳代。民間参入が厳しい所もあるけど、農協は組合員と一緒に地域社会を作り上げた。株式会社とは違うので、組合員にお礼する意味合いがある。(第33回)

  • 農協は115カ所の厚生連病院を持っている。人口5万人以下の都市が4割。日本赤十字でさえ20%ぐらい。人口の少ない社会保障を支えている。医療・介護など農協は地域で困っていることをやらなければならない存在。(第33回)

  • 早い所では1990年代に入ってからヘルパーを育成しており、10万人を超えている。メディアが取り上げないし、農協も社会貢献を当然視しており、「敢えて言わなくても、地域での活動は当たり前」と思っている。(第33回)

  • 「助け合い」と呼ばれる組合員のボランティア組織があり、「3万7000人ぐらい助けてくれる人がいる。個別に家を訪問したり、手紙を書いたりしている。その中でやっているのが介護保険。(第33回)

  • 農協が進出している介護事業の形態としては、訪問介護、居宅介護、通所介護が多い。(第33回)

  • サービス利用者は組合員に限らず、全国では170カ所ぐらいの通所介護事業所があり、職員は真面目。利用者を裏切るような変な姿は見えない。(第33回)

  • 重度な利用者を民間が嫌がって、行政から要請が来る。社会福祉協議会の撤退後、「農協さん出て来て下さい」と言われる時もある。複合的に事業採算をキチンとやっている所は「最初は赤字かもしれないけどやります」と協力する。

  • 百島(広島県尾道市)という過疎の島は介護施設が整備されておらず、住民が整備を要請したが、行政は財政難で整備を見送った。ただ、農協が資金を出し、行政も初期費用は一緒に出して貰って施設整備を実現させた。(第33回)

  • 百島の施設は常に満杯。島の中で遊ぶ場所や外食する場所がない。彼らのレクリエーションの場になり、人と交流する場になる。それを農協が支えた。採算を度外視して造って、地域で喜んで貰った。(第33回)

  • 大分県では農協が初期投資を負担し、40~50戸の高齢者専用住宅を造った。診療所、老人保健施設、デイケアを整備するとともに、食堂を整備して配食サービスも展開している。(第33回)

  • 社会福祉法人を立ち上げて特別養護老人ホームを設置する農協も約40ある。地域で施設を求められている場合、農協としての事業というよりも、社福に出資して在宅、施設の両方やる。(第33回)

  • 今から入っても後発になるので、本当に拡大できるのか。民間のパイが小さくなると、民間との競合になる。(第33回)

  •    歯科治療、口腔ケアの重要性

  • 冬には誤嚥性肺炎が多い。高齢者は嚥下能力が弱くなっており、食べ物が気道に間違って入って来る。しかし、口の中は雑菌だらけなので、食物が肺に入って肺炎になるリスクが高いといい、原因は全部歯から来る。(第31回)

  • 歯は食べるためだけじゃない。入れ歯で噛んでいる人はボケない。周囲は「どうせ流動食だから使えないだろう」というけど、言葉が発音できないから聞き取りにくい。本人も話さなくなる。(第31回)

  • 脳の刺激が少ない。食べることは命を繋ぐことだから、食べることで色んな刺激があって当然。流動食だけになるとドンドンと弱って来る。(第31回)

  • 歯が健全じゃないと食べたいものは食べられない。入れ歯の具合が悪くてイカのスルメを食べられない高齢者に対して、入れ歯で食べて貰って「美味しかった」と言って貰うのが仕事。(第31回)

  • 食は大事。一人でいる人でもテレビを見ながら食は楽しみ。歯が悪いと楽しみがなくなる。(第31回)

  • 歯茎だけでは噛めない。長い間放置すると、歯茎も弱る。入れ歯を入れるのだって歯茎(=土手)がちゃんとしていないと困る。ツルツルになっていると、安定剤でも外れやすくなる。(第31回)

  • 入れ歯の有無に関わらず、口腔ケアは必要。入れ歯もしていない人も早く入れ歯を作って食事が出来るようにするのが凄く大事。(第31回)

  • 口の中は雑菌が多く含まれており、放置すると歯と歯茎の間に雑菌が入り込み、歯垢が溜まる。歯茎の直下に血管が走っており、雑菌は脳に回る。だからチャント入れしなければならない。(第31回)

  • 入れ歯は必ず寝る前に外して欲しい。入れ放しになると、雑菌が溜まる。面倒臭いから外さない高齢者もいるが、手入れが悪いと舌に苔が生える。白っぽい雑菌の塊。その場合は舌ブラシで手入れする。(第31回)

  • 治療が終わった人に歯や口の手入れを指導しており、なかなか出来ない人には2~3週間に1回のケアに伺う。(第31回)

  • 施設でケアに対する考え方が異なり、3年前から介護事業所を対象に、口腔ケアの講習会を無料で歯科衛生士が実施している。(第31回)

  • 30~40分の治療とともに、高齢者と会話も交わす。これが独居高齢者のコミュニケーションの機会。「痛い」と言わないと次に来ないから、急に「ここも痛い」と言い出したり、自宅に入ったら必ずお菓子を用意したりしている高齢者も。

  •    訪問歯科診療

  • 歯医者、歯科衛生士、助手がチームを車で周回し、歯の治療に当たる。(第31回)

  • 器具は懐中電灯を含めて全てポータブル。病院で使う機材を揃える。歯を削ったり、歯を抜いたりする全部ができる。埋没している歯の残痕が分からないので、小型のレントゲン装置も持っている。(第31回)

  • 往診する場所は高齢者の自宅。病院や特別養護老人ホームなども対象。(第31回)

  • デイに来ることは「自分で動ける」という解釈。往診は自分で動けない人しか往診しちゃいけない。(第31回)

  • 半径16キロ以内と定められており、規制の意味が分からない。普通の歯医者は乱立している。(第31回)

  • 1日に診療所に先生が4~5人来る。健常の人と違うので、長時間口を開けるのが無理。ベッドで起こすとか、椅子に座って頂くか、助手が首を支える時もあり、診察には30分ぐらい掛かる。(第31回)

  • 実際に回れる数は10~15件程度。施設に行けば移動時間なしに多くの患者を見ることができる。(第31回)

  • 患者との接触は99%がケアマネージャー経由。本当に困っている人を治療したいので、自分で行ける人はダメ。もし往診に不適切と判断されれば診療請求した時に跳ねられる。(第31回)

  • 治療の現場に必ず立ち会う。クレームがありそうな時は必ず同行する。現実にどうなっているかチェックした上で、その場で「こうして下さい」と指導する。(第31回)

  • 年始は「餅や雑煮を食べたい」というニーズが高まるが、往診は1週間に1回。入れ歯を作るには1~2カ月掛かるため、11月ぐらいから言って貰わないと間に合わない。噛み合わせを合わせるには時間が掛かる。(第31回)

  •    機械浴の廃止について

  • 湯船の温度も利用者の好みで変更しており、湯船に入る時間も自分で決められる、家庭浴槽になると介護の作業は大変。利用者が自分でやらなければいけないことも多いが、個浴に入ることが日常生活動作(ADL)の維持向上に繋がっている。。(第44回)

  • 生活の当たり前の動作で毎日やっていると、それがリハビリになって機能が維持されたり、向上したりする。できることは自分でやって頂くし、できなかったことができようになるかもしれない。機械浴の廃止は本当に良かった。(第44回)

  • ・どうしても機械浴がいいという人はそうしたらいい。「個浴に移れば何でもいいんでしょ」というわけではない。利用者と話したり、触れ合ったりすると本来の姿から離れる。形式だけじゃなく裏にあるプロセスや理由の方が大事。(第44回)

  • ・どうしても機械浴がいいという人はそうしたらいい。「個浴に移れば何でもいいんでしょ」というわけではない。利用者と話したり、触れ合ったりすると本来の姿から離れる。形式だけじゃなく裏にあるプロセスや理由の方が大事。(第44回)

  •    業界参入のきっかけ

  • 名古屋市で中高年女性向け任意団体として発足。バブル経済に入る直前から共助的な考え方を取り入れ、成長優先の当時としては先進的。効率優先の社会に歪みを受けやすい人を向いて仕事する理念を掲げ、有料老人ホーム事業に参入した。(第41回)

  • 最初に名古屋市内で建設したのがコーポラティブ方式の自立型シニアハウス。当初は入居者に間取りを決めて貰い、その中の生活は相互扶助が原則だった。(第41回)

  • 大阪で初めての住宅型有料老人ホームを建設したが、開設から24年経った今も満室。中身はサービス付き高齢者向け住宅。当時から入居金方式で終身利用権を売る方法を採っていた。(第41回)

  • 会社のスタンスとしてニーズを追っ掛けて行き、「こういうのがあるといいな」という施設を造ったら、暫らくして制度になる。割と前を走っている。(第41回)


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