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加西市議会主催「議会改革市民フォーラム『議会基本条例』どう変わる!加西市議会」調査レポート

May 12, 2010

概要

2010年4月24日に開催された加西市議会主催「議会改革市民フォーラム『議会基本条例』どう変わる!加西市議会」に中尾修研究員が講師として参加いたしました。

北海道栗山町議会の議会改革・活性化の背景や経過を説明しました。様々な取り組みの中で特に重要と考えるのは、町民との直接対話を行う「議会報告会」であることと、その意義について、いくつかの他の自治体の実情を紹介しながら解説しました。議会報告会の形式や回数なども様々で正に自治体の多様な実像を示すことになります。ただ、多くの自治体に共通していることがひとつあるとすれば、市民と一体となってつくりあげていく仕組みとその実践です。具体的には、会場の選定は自治会/地区会/地域会などの既存の自治組織を活用したり、設営や準備に市民が携わったりと議会報告会という名称でありながら、実態としては「議会‐市民会議」として運営されている事例が少なくありません。

議会改革の集大成として、全国初の議会基本条例を制定した北海道栗山町議会ですが、これは「議会と町民との約束事」と位置づけしていることが、その趣旨を的確に示しています。約束とは、当事者双方を拘束するものです。議会も市民も議会基本条例に明記されていることは、守らなければなりません。実行すると約束したことは実行しなければ不履行になります。議会の構成員である議員一人ひとりも「自由人」「個人事業主」の意識を改め、「組織の一員」として約束の履行に尽力しなければなりません。一方の市民も実は約束の締結者当事者であります。選挙での投票だけでなく、議会報告会が開催されていなければ、それを要求すること、そして出席することが求められます。法的には主権者である市民を拘束することはできません。しかし、自治の基本的な考え方としては、いわゆる「お任せ民主主義」は許されません。実際、栗山町の議会基本条例には、町民の自治の担い手の責務を明記した「幻の1条」があったと中尾研究員は告白しています。

議会基本条例に明記する様々な仕組み・制度で、反問権・長期行政計画への関与・予算関連政策についての説明資料請求など首長への権限・権能の拡大が議論の中心となることがありますが、議会基本条例の核は市民との直接的な関係強化であます。その結果として首長に対抗しうる政治的発言が増すことを求めることが本来の議会改革の姿です。

なお、当日は中川暢三市長も市民のひとりとして参加されていました。自治体運営により責任ある地位と取り組みに向かう議会の動きに市長が関心を寄せることは、歓迎すべきことと考えます。

<文責:赤川貴大>

    • 元東京財団研究員・政策プロデューサー
    • 赤川 貴大
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