タイプ
その他
日付
2007/12/17

第5弾「干し柿」(2/5)

2.どうやって作られているのか



歴代将軍家にも献上された堂上蜂屋柿は、干し柿の中でも、もっとも高価な値がついた柿だろう。全体の3割というが、色よく形よく仕上がればひとつ千円、400g以上ならば3千円ともいい、木箱に納まり、お歳暮や贈答品にされる。だが、現場の手間を知るにつけ、その値も高くは思えなくなる。

まず、質のいい干し柿を作るには、元の柿が大きく、肉質も味も良くなければ、その後の努力も徒労に終る。『堂上蜂屋会振興会』会長、堀部庫市さんの畑の木は約100本。背丈は人の背丈ほど。「木をでかくすると病気になりやすい、デリケートな木」だという。そこで接ぎ木の根元には山柿を使う。山柿は実が小さいが原種に近く、病気にも寒さにも強い。











(皮をけずった幹。根元の落ち葉を掃除する)      (黒ずんだもの、下方の垂れたものはすべて自宅用)


蜂屋柿の畑は「年中、手がかかる」。収穫を終えた冬は、翌年もいい実をつけるように肥やしを与える。1~3月、粗皮けずりといい、害虫がつかず、病気にならないよう幹や枝の皮をけずる。5月半ば、摘らい(てきらい)といい、余分な花や実を摘み、6月には芽かき(めかき)といって、枝が錯綜しないよう、余分な新芽を落とす。さらに7月、摘果(てきか)といって、一本の枝に実を一つだけ残す。収穫前は、また、お礼肥(おれいごえ)といって、冬越しの栄養を与える。根元には病気から木を守るため、藁を放射状に敷き、落ちた枯れ葉は、病原菌が発生するので、きれいに掃除。まるで高級ワインの葡萄畑を思わせる。

以下は、蜂屋柿の加工の手順である。

(1)収穫。普通の柿より遅く11月中旬。耳たぶほどの感触になるまで、3~7日、追熟。


(2)皮むき。市田柿などと違い、皮引きを使って手作業。3時間以内に渋おとしのため約20分、硫黄でくん蒸。2果を紐で一連に、10~15日間、風通しのいい日陰で干す。

(3)天日干し。干し台で朝9時頃から夕方4時頃だけ。朝夕の湿気と寒さに当たらぬよう注意。10~25日間。何度も裏返し、両面に風当て、雨が続けば扇風機で代用。ヘタを切りそろえる。






(4)手もみ。皮むき後、20~25日、「天気のよい、実が輝く時間にやる」。湿度が高く「表面がべたべたな時にやると黒ずむ」。親指で優しく摘みながらまわし、一方の手で表面をそっと撫でると、実がやわらかくなる。










(5)ニゴボウキで掃く。数日後、稲穂の先で作ったミゴボウキで表面をそっと刺激する。すると表面に小さな傷ができ、内部の糖分が滲み出し、白く粉をふく。(ニゴボウキ)






              

(6)出荷。さらに数日、天日に干し、12月中旬から完成、出荷。









なお、村瀬家では、木箱に敷く稲わらを親戚から買い、自らで作る。わらを叩き、皮をすぐり、色の悪いものを除けば4割ほどに減る。切りそろえて敷く。「本当は青刈りしたのを干したら、柿がよう映えるんやけど」と琴子さん。道具は自前、干し竿の竹は裏山から、わらもプラスチックなど使わない。そこにも伝統を守る人の美意識がある。