タイプ
その他
日付
2008/4/9

第12弾「雪菜」(4/5)


4.どこで買うことができるのか


●米沢市上長井雪菜生産組合 JAおきたま米沢支店(12月末~2月末頃まで、雪菜とふすべ漬け)
tel 0238-22-0430 fax 0238-22-0477

 
●ふすべ漬けと雪菜(12月末~2月末)吉田昭市 
tel&fax 0238-38-4693

                 
●『高砂屋』 小野川温泉(12月末~2月末 電話で要確認)
tel 0238-32-2224


5.人物紹介


●吉田昭市さん(72歳)と奥さん【写真左】吉田清志さん(44歳)【写真右】

「人様が、いかにして効率よく、銭金になるものを作ろうとしている時代に、私は、苦労して、苦労して、わざわざ効率の悪いものを作り続けている。馬鹿じゃなかろか、と自問自答しながら、毎日、やっております。」

初めてお会いした時、吉田さんは、そう言って笑った。効率の悪さとは、雪菜の栽培の手間と、質をとれば4分の1ほどになる歩留まりの悪さを指している。それでも「ご先祖さまに授かった大事な地元の宝を、なくしてしまうわけにはいかない」と、吉田さんが中心になり、昭和57年、『上長井雪菜生産組合』を設立。以後、2005年まで組合長をつとめた。その間、「10年かけて、雪菜の質をあげる努力を続けてきた。」生産者によって味にむらがあれば、雪菜の評判は高まらないと考えたからだ。

また、平成9年からは、雪菜のおいしさを、地域の外の人たちにも伝えたいと、地元だけの秘伝とされてきたふすべ漬けの作り方を一般に公開、「ふすべ漬け教室」を開いた。吉田家のふすべ漬けの味には定評があり、その師匠は奥さん。

雪菜ほど旬が短く、はっきりしている野菜はない。年によって、その収量も安定しない。「天候にものすごく左右されるのだけは、手のほどこしようがないな」とつぶやく吉田さんだが、こうして作り続けてきたのも、「地元に根強いファンがいて、毎年、楽しみにしていてくれたから」だという。吉田家では、現在、長男の清志さんが、その後を継いでがんばっている。現在、清志さんもまた、「上長井米生産組合」15人のひとりとして、はえぬきやこしひかりなどの米、きゅうり、遠山カブなども栽培している。また、作家の佐藤誠さんとは、何年も前から交友があり、雪菜の力強い応援団のひとりである。


●奥田政行さん

吉田さんが、「雪菜の普及に最も力になってくれた人」と太鼓判を押すのは、米沢から電車を乗り継いで約3時間半、日本海側の城下町、鶴岡市にあるイタリア料理店『アル・ケッチャーノ』の奥田政行シェフである。「奥田さんが講演にいけば、その先から雪菜の注文がやってくる」というほど。

奥田さんの店は、「地元の食材を85パーセント使っています」と言い切るほどの地産地消を実現しており、その世界中で鶴岡でしか食べることができないイタリアンが評判となって、東京や大阪からも、わざわざやってくる客も多い。それも、ただ地元野菜を使うというだけではなく、自らが足で歩いて見つけたおいしい湧き水や海塩、羊農家や出羽三山の山菜、毎朝、市場で買い付ける鮮魚といったものだ。その上、山形大の江頭教授とは、頻繁に行き来する仲で、珍しい山形の在来野菜も、積極的に料理に盛り込んでいる。

奥田さんのような料理人が、各地で地元の豊かな食材に目覚めていったならば、四季があり、地形も気候も多様な日本の豊かさが、もっと見えてくるだろう。

テレビ番組『情熱大陸』などでも取り上げられ、取材の申し込みも続き、忙しいさかな、この日は、わざわざ、定番メニューの「雪菜こんがり焼きと生ハム」の他にも、ゆずの苦みが雪菜の甘みを引き出している「雪菜とあさりのリゾット」や、シシ肉を稲わらにたとえ、雪から掘り出した場面を演出した「雪菜のすみか仕立て」といった凝った9皿もの雪菜尽くしを作ってくれた。

私も深く感動したが、吉田さんが食べたら、涙ぐみそうだった。

   


【写真 左から】
雪菜こんがり焼きと生ハム、雪菜とアサリのリゾット、雪菜と庄内の牛と豚の手打ちパスタ、雪菜のすみか仕立て


●江頭宏昌さん(44歳)

山形大学農学部助教授。山形大学は『野菜』(法政大学出版局)などの著作を残した在来野菜研究の先駆者、青葉高がかつて教鞭をとっていた名門であり、現在も、在来研究においては定評がある。

生れは福岡県だという江頭助教授だが、焼畑で育てる温海カブや藤沢カブ、西又カブ、そして雪菜、山形青菜、小野川豆もやし、山形赤根ホウレンソウ・・・などなど、あまりにも多種多様な山形県の在来種にすっかり魅せられたそうだ。

2003年、山形大学農学部の教員陣が中心となって『山形在来作物研究会』が発足され、現在、会員数は362名にまで増えた。県外の会員も多い。江頭助教授は、その副会長として忙しい中、奮闘している。

また、昨年は、そのメンバー、13人の研究者が中心となって山形新聞に連載された“やまがた在来作物”を一冊にまとめた単行本『どこかの畑の片すみで~在来作物はやまがたの文化財~』(山形大学出版会)を出版。在来種が、いかにおいしく、貴重な地域の文化であるかを、一般の人にもわかりやすく説いている。

農学部が鶴岡にあることから、『アルケッチャーノ』の奥田シェフとも、在来野菜の農家に足しげく通い、交流を深めてきた。また、生徒たちと焼畑によるカブの栽培を体験するなど、地域の農業と若い研究者の育成にも力を注いでいる。
   
山形在来作物研究会 http://zaisakuken.jp