タイプ
その他
日付
2008/4/23

第13弾「鮭のサッチェプ」(2/5)


2.どうやって作られるのか



アイヌの人たちが作る乾した鮭のことを一般的にサッチェプと呼ぶ。サッチェプには2種類あり、塩引きしないものと塩引きしたものとに分かれ、その作り方もさばき方から用途まで異なる。基本的に古い時代に塩引きという方法は使われておらず、塩引きの多くは和人の漁場で大量に魚を出荷するさいにおこなわれたものと言われていて、アイヌの人たちの鮭の保存の多くは、塩を使わず、乾燥または、凍らせるというものだった。

サッチェプは、かつては仕事に出かけるときに数切れほどふところに入れ、歩きながらかじったり、弁当代わりにもしていたようだ。

現在、アイヌ民族博物館で作られているサッチェプは

(1)鮭漁が解禁になる9月から10月に約4000匹を仕込む。白老沖で揚がる雄鮭の内臓を取り除き、新巻の状態(塩蔵)にする。このときの塩加減がひじょうに難しい。

(2)新巻鮭を冷蔵庫で寝かせ、約1ヵ月後の11月下旬から12月上旬に塩を洗い落とし、荒縄で2本を一対にしばりあげる。

(3)12月初旬、野外に作った大きな干し棚やチセ(茅葺きの家)の軒先に鮭を吊るし、冬の乾燥した風に当てて鮭をじっくり干し上げる。




(4)2月中~下旬、寒風干しした鮭をチセの梁に吊るし、さらに約2ヶ月間、囲炉裏の煙で毎日燻す。




(5)表面の皮がカチカチに硬く、中がしっとり熟成する4月ころに完成。




※作り方は以前に地域のお年寄りから聞き取りをしたもの。



上記のように作っているのは、残念ながら白老町のアイヌ民族博物館以外では確認できていない。完成までに少なくとも約7ヶ月を要し、材料も塩のみで作られるサッチェプは、水産会社などで作られている干し鮭「トバ」や「鮭の燻製」とは作り方や材料なども違うため、あえてそれらとは区別している。

サッチェプが作られなくなった要因は、近代以降の同化主義のもとでアイヌの伝統文化が否定される空気が広まったこと、現代のアイヌの人たちの暮らしは、日本人とほとんど変わりなく、サッチェプを作るような暮らし、チセのような囲炉裏がある住まいを失ってしまったことなどであろう。

また、漁業権などにより、アイヌが獲ることのできる鮭の量はごくわずかになったこともある。それでも、アイヌ民族博物館は理事に白老町漁業協同組合が入っていること、また、博物館自体が仲買の資格を有しているため、浜値で相当量の鮭を確保することができるのである。