タイプ
その他
日付
2008/7/29

第20弾「国産小麦」(3/5)


3.どこに残っているのか




非常に乾いた地中海地方ですくすくと小麦が育つように、小麦には、日照条件がいいこと、雨が少ないこと、土壌の水はけがいいこと、といった条件が大切である。そのおいしい小麦が育つ良い条件を三拍子、備えているのが讃岐だ。

昭和の頃、香川県とともに「三大小麦の産地」と呼ばれた岡山県や兵庫県も同じ。現在、品種改良と温暖化からか、北海道、福岡、佐賀、群馬・・・の順に小麦の生産が多いが、それらの地域にも共通する条件でもある。

その上、香川県は、日本で圧倒的にうどんの消費量が多い県である。吉原さんによれば、かつて、綾川沿いには、たくさんの水車がめぐり、無数の小さな製粉所が、それぞれが近隣に広がる小麦畑に様々な在来種を育てる農家に対応していた。もっとも多い頃、香川県だけで約3000軒のうどん屋がひしめいていたという。現在では、かなり減ったとは言うものの、それでもまだ約900軒もあるという。

それほどうどん作りが盛んになった理由としては、まず、専売制がひかれるまで、香川県の瀬戸内沿岸は、塩田が盛んだったこと。さらに二つの名産の小麦と塩から、今も残る「かめびし醤油」や「小豆島醤油」のような質の高い醤油が生まれた。

さらに、だしの素材であるイリコも、その原料であるカタクチイワシの豊かな漁場、伊吹島を持っている。すべでの素材が地元にそろっていたことで、これほどまでに庶民の暮らしにうどんが根づいたのではないかという。

しかし、香川県は日本でもっとも小さな県でもある。田畑はどれも小さく、農村の都市化も進んでいる。宅地の間に小さな耕作地が点在している。現在、香川県のうどん作りにはオーストラリア産だけでなく、北海道産の小麦もたくさん使われ、その多くが、量販店の冷凍品や通販、土産などで、ふたたび県外に出ていく。せめて、県内で消費されるうどんの半分でも、地元で賄われるようにはならないものだろうか。