タイプ
その他
日付
2008/10/22

第25弾「日本ミツバチ」(2/5)


2.どうやって作られているのか



蜂の生態



蜜蜂の不思議については、ノーベル文化賞を受賞したメーテルリンクの古典『蜜蜂の生活』があるが、19世紀末の文学者の観察眼が、科学の手によって検証されるにつれ、神秘の度合いはいっそう深まるばかりである。

たとえば、働き蜂は、すべてメスの処女である。女王蜂と働き蜂を分かつものは、ただ一つ、ロイヤルジェリーだけである。働き蜂が口移しで与えるこの特別食によって、大きな腹部を持つ女王蜂となり、寿命も10倍近くなり、2000から3000個の卵を生み続ける力を得る。しかし、彼女が巣から出るのは生涯に1度か、2度。しかも、体は2倍と重たいが、羽根の大きさは同じで、働き蜂に比べ、ゆっくりしか飛べない。この女王蜂は、巣箱の温度が20度以上になると、受精のために結婚飛翔をする。

また、オスは羽根も大きく、メスより早く飛べるが、受精のためだけに生まれて育ち、女王蜂との交尾の対象となるのは、たった一匹。その後は、働き蜂に巣から引きづり出され、あえなくなる。

そして、4月中旬から5月にかけては、分封といって、群れごと新しい住処を求めて引っ越しする。これがまた神秘の習性で、十分な蜜と3分の1ほどの幼虫を残し、住みなれた居を離れる。大きな群れの場合、3日~一週間後、また分封し、3回目の分封をすることもある。働き蜂が一生かけても集める蜜は、小さじ一杯ほどだが、そのために2~3万回も花と巣箱を行き来するという。その蜜の情報を、蜂が尻振りダンスで伝達し合っている事実を突き止めたドイツの学者、カール・フォン・フリッシュは、73年、ノーベル賞を受賞したが、この他にも巣作りの建築監督、門番などさまざまな役割を誰が決め、どう把握するのか、まだまだ解明されるべき謎は多いという。

この日も、巣箱の入り口で羽根を動かし続けたまま、狛犬のように待機している4匹の蜂を目にした。彼女たちは護衛であり、一説には、巣箱に新鮮な空気を送る換気の係りを兼ねているともいう。


対馬の日本ミツバチの養蜂家の仕事


(1)蜂洞を用意する

大きさは高さ70センチ、内径が22~23センチくらい。現在は、貴重品だったスギやヒノキが安くなり、これを利用できるようになったが、昔は雑木で作ったため、少し小さかったという。生産者の一人、上野弘さんによれば、「木のにおいのぷんぷんする洞では、ちっとも蜂が入ってくれず、2~3年、寝かせた丸太がいい」そうだ。タバコ大の通り道を3つ、大きすぎればスズメバチの侵入を許す。内部に蜜を塗っておく。


 

 


(2)蜂が住みやすい場所を選ぶ

蜂洞を置くのに適した、分封の時に蜂が入りやすい場所は、背後を大木や岩などに守られ、前は見通しのいいところ。雨や夏の直射日光からも守られ、理想的には東向きで朝日があたり、午後は日の当たらない場所。


 


(3)蜜を集めるのは、秋に一度。

西洋ミツバチは、春の開花の頃が中心。日本ミツバチは、洞に一年めは上から下に巣を作り、2年めは下から上げていく。これを、半分、人によっては3分の1蜂刀という専用の道具で切りとり、あとは残しておく。作業は、麻布などを燃やし、くんえん器で煙を吹きかけながら行う。採取した蜜は、香も薬効も失わないように、火入れしない。(市販の蜜、こと輸入ものには、糖度を高めるため、火入れしたものが多い)


 





(4)4月半ば~5月、分封した群れを捕獲する。

「この時期になると群れが、蜂洞の周りを上へ下へと興奮してせわしなく飛び始めるので、だいたいわかるという」。養蜂家は、群れが移動する先を見つけ、それは山の枝だったり、家屋の軒先だったりするが、そこに網をかぶせた蜂籠をぶらさげて、蜂を誘導する。内側に蜜をつけておく。女王蜂が移動すれば、他の蜂もだまってこれに従う。(ビニールなどは熱死することがあり厳禁)対馬では、キンリョウヘンという中国原産のランを誘引花として使う人も多い。


(5)西洋ミツバチの管理式養蜂のように手軽に巣を観察できないが、対馬の養蜂家は長年の勘と巣箱の周りを飛ぶ蜂の様子をこまめに観察し、巣の現状、スズメバチや巣虫などの外敵(熊のいない対馬の二大被害)を把握している。




「対馬市ニホンミツバチ部会」の面々