第1回研究会

日時:2008年4月4日(金)
場所:東京財団A会議室

第1回会合の議事要旨は次の通り。

 冒頭座長の森信東京財団上席研究員より、本研究会の趣旨を説明、その後別添資料に基づき、納税者番号制度をめざすこれまでの動き、概要等を説明。

1、趣旨について

 ・東京財団では、税と社会保障一体改革を研究するプロジェクトを立ち上げており、実践的な運動としてやってきている。第1弾は、給付付税額控除を検討し、今後も続けているところであるが、第二段として納税者番号制度をとりあげ、導入に向けて世の中に発信し、運動を繰広げて行きたい。
この問題については「総論賛成・各論反対」の傾向がある
 ・以前の納税者番号は総合課税のため,しかし総合課税自体が時代遅れになりつつある
  →税務執行の効率化というだけでは難しく,税調でも実質的な議論が進まない
  →金融所得一元化や損益通産を通じた受益がある政策として仕組めればよいのではないか
  →様々な目的として使える納税者番号ということを考えていきたい
 ・必ずしも税務当局が付番することを考えているわけではない

2、納税者番号についての説明

 森信が作成した下記の3つの資料につき説明。別添資料参照。
資料1、納税者番号制度について
資料2、日本の論点―納税者番号制度
資料3、金融所得の一元化と番号制度

3、最近の番号制度についての説明

(砂原,略)

4、意見交換

 ・法人の問題をどうするか,消費税のインボイスを含めた議論を考えるべきではないか
 ・税務当局としては守秘義務が大変になり,プライバシーの議論に留まらないのではないか
  →しかしプライバシーについての法的な理解が統一されているわけではない
  →番号化する時点でプライバシーの侵害になるとはいえない
  →個別の法(ex. 開示請求,守秘義務…)ごとに個別のシステムを作っていては現場は動かない
 ・どのような仕様で制度設計を行っていくのかが重要になるのではないか
  →行政の能率性という観点だけでは,「何をしていいのか」のロジックがない
  →「統合される」ことが自由の侵害になるという主張はありうる
  →すべてを簡単に統合できてしまうのは問題(なし崩し的に流用できるシステムは問題が多い)
  →最終的には憲法的な(単なる法律レベルではない)抑制が必要になるのではないか
 ・デジタル化された情報を消去することができるのか,またそれを確認するシステムは可能か
 ・ヨーロッパで付番が進んでいない背景としては,ナチスの経験やコンピュータ産業の米依存もある
 ・「国民のための納税者番号」という視点が必要ではないか
  →例えばNPOにお金を流すとか,国民の選択によって歳出改革に結びつきうるようなメリットが必要
  →負の所得税をワークさせることもありうるのではないか
 ・納税者番号の議論と電子政府の議論はどのように関連してくるか
  →e-taxなどでも既に捕捉されている状況で,なぜ納番かという問いに応えられるか
 ・所得捕捉に対する効果をどのように考えるか
  →100万人の個人事業者の申告の適正化に繋がるか,しかしこれはインボイスの議論ではないか
  →名寄せが可能になるという点ではメリット,しかし国税庁にとっては人員削減の可能性もある
 ・地方自治体との関係を考える必要がある
  →分権改革によって単純に地方を使うことはできない
  →個人情報を把握したり,給付を実施するために地方自治体の役割は重要になる

 次回は、関係者からヒアリングを行うことで進めていきたい。