第6回研究会

第6回「税と社会保障の一体化研究-タックスカード(納税者番号制度)-」研究会
日時:平成20年11月6日(木曜日)12時から14時
場所:東京財団会議室A(日本財団ビル3階)
第6回目の会合の議事要旨は以下の通り。

冒頭に国士舘大学の酒井克彦教授から,税務行政におけるプライバシーに関する問題点が指摘され,納税者番号制度を導入することが,この問題点の解決に大きく寄与するのではないかという問題意識が説明された。続いてその説明に対する質疑応答が行われた。

1、 現在の税務行政におけるプライバシーの問題
・ 現在の年末調整等の制度は,実はプライバシーの侵害が大きい。社会保険料控除は可能であるとしても,住宅や生損保控除,あるいは特に家族のプライバシーの観点からして人的控除を今後維持するのは難しいのではないか。また,現在の年末調整のために必要な個人情報が広範にわたるのは,納税者番号で基本4情報の開示が問題とされる議論と比べて著しくバランスを欠く。
・ 年末調整の制度は,確かに国や納税者にとって利便性の高い制度であるとしても,現在のように源泉徴収の範囲を広げていくのは源泉徴収義務者が負う受忍義務を過重なものにしている。また,納税者の観点からも,確定申告を行う納税者と年末調整を行う納税者で係争処理の名宛人が異なるのは,制度設計として問題がある。
・ 以上の点を考えると,年末調整制度を簡素化する要請が強まっていくと考えられる。そのときに納税者から確定申告によって精算を行う必要があるが,その数が極めて増えるために電子申告の制度を導入することが必要になるのではないか。

2、 質疑応答
・ プライバシー問題との関連
→現在のところ住基ネットに関する判例が出ている
→基本4情報を住基ネットにつなぐこと,については違憲ではない
→ただし他についてはまだ不明というところまでしか言えない
→こういう観点からも基本法は必要なのではないか

・ この考え方の中での納税者番号のメリットは?
→納番を導入することで源泉徴収義務者の負担を軽減,プライバシーの問題に対応できる
→具体的に電子申告を活用することで実現するのではないか
→また,金融所得についても,「なくてもできる」といっただけで「ない方がいい」といったわけではない,あった方がいい
→(給与所得控除よりも費用が大きい場合の)実額控除の幅も広がるのではないか

・ 社会保険料との関係はどのように考えるか?
→社会保険料の徴収についても年末調整と同様の情報が必要になっている
→むしろこちらの方も変えていかなくてはいけない

・ 金融所得一体化課税について
→現在の議論では,必ずしも納税者番号は必要ではない
→しかし検討されている金融所得確認システムでも同様のプライバシーの問題がある

・ 電子申告の問題としては,やはり調査が問題
→現在では医療費控除は提出しないが,調査の問題がある
→一応上限があるので何とかなるが…また,高額医療費制度でつなげられれば

・ 所得の捕捉は可能か?
→基本的に所得の捕捉については難しいと思われるが
→けん制効果はある,しかし所得捕捉についてはどのような所得を捕捉するかについて各論をやっていく必要がある
→この点については消費税の事業者番号などの方が効果があるが,プライバシーの話を焦点化すると事業者の問題は出てきにくい

・ 番号としてはどのように利用するべきか
→ここまではどういう情報を取るために使うのか,という議論
→納番をどこまで使うのか,という外延を確定する
→(金融)資産についての調査,預金残高??