第7回研究会

第7回「税と社会保障の一体化研究-タックスカード(納税者番号制度)-」研究会
日時:平成20年12月15日(月曜日)12時から14時
場所:東京財団会議室A(日本財団ビル3階)
第7回目の会合の議事要旨は以下の通り。

冒頭に新潟大学大学院実務法学研究科・鈴木正朝教授から,納税者番号の議論の前提となるべき基本法の意義と考え方についての説明が示された。続いてその説明に対する質疑応答が行われた。

1、基本法とその考え方について
・納税者番号のような個別の政策と関連する番号制度は,効率的な行政を行うためのものであるとしても,そのままでは理解されにくく,反対も大きくなる可能性が高いために,いかに人権を保障するかを確実に担保したうえで議論を進めていくべきである。全体的な電子政府化という問題意識の中で,番号制度を導入したときに生じうる人権の問題をあらかじめ提示し,その解決案を同時に示す必要がある。
・基本法(仮称)は,人権という憲法に定められたプログラム規定を具現化するものであり,国民の人権を保護するために立法府の行う憲法解釈の提示という性質を持つ。その規範性を強く帯びさせることでふつうの法律よりも頑健な性質を与え,将来的には重要な法規範として憲法に編入する段取りを検討するべきである。
・基本法では,様々な議論がある「プライバシー」の内容を確定し,定式化する努力が必要である。その際に「プライバシー」の権利の対象となる情報を政府の中で洗い出したうえで,複数のデータベースを結合する際の判断基準を作りこむことが求められる。「プライバシー」の内容とこの判断基準を元に,例えば会計検査院が政府の行動について監査することが望ましいのではないか。

2、質疑応答
・法規制の形式はどのようなものが考えられるか?
→あくまでも一般法であり,プログラム規定という性質を持つ人権についての基本的な憲法解釈という性質を持つ
→税・社会保障の個別のデータベース管理については個別法で追加的な規制がありうる
→基本的には政府の行動に対する規制であり,民間の規制までを含めると,民-民の関係で追加的な負担が大きくなりすぎるのではないか
→具体的には個人情報保護法の改正という方向で設計するのはどうか,現在は罰則規定をかけているが最近の省庁の情報流失を見るとモラルに依存することが難しい


・なぜ会計検査院を使うのか?
→金銭を見る仕事がデータベースを見る仕事と絡んでいる
→しかも内閣から独立している,他の省庁から文句は言いにくい
→きちんとした構えを造って,時代の要請がくれば公取のように動くのではないか
→民間部門に対しては権限が及ばないという問題があるが,民間については消費者庁がありうる(既に個人情報保護法は消費者庁に移管する方向),消費者庁については民間NPOに行政訴訟をやりやすくさせるなどの工夫もありうるのではないか

・基本法についての議論を起こす意義は何か?
→たとえば経団連は既に案を出しているが,そこで重要視されているのは効率化の問題で憲法的な議論はない
→また現在のマスコミは,以前の個人情報保護法で明らかになったように本質的な問題提起は必ずしもできていない
→経済界・行政等から論点を出して解決策を議論することが重要ではないか