税制改革

「資産所得格差と税制のあり方」研究プロジェクト

2016年政策提言

政策提言「税と社会保障のグランドデザインを」(2016年6月)

◆提言の骨子◆

1.所得再分配機能を強化する所得税の課税ベースの拡大

   →  課税ベース拡大により、格差を是正して財源を確保する。

2.支援すべき世帯に控除・給付を重点化

  →  税額控除をベースとした制度で、若者や女性の就労を支援する。 


研究目的

大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」から成るアベノミクスは、円安、企業収益の改善、株高などからデフレ経済脱却に向けて進みつつあるものの、足元には想定外の事態が生じ、また、副作用も懸念されている。  例えば、10月の追加金融緩和は1ドル120円に迫る円安をもたらしているが、輸出の伸びはスローで、逆に円安による輸入物価の上昇が消費の足を引っ張る状況が出てきている。第2の矢である公共事業追加による内需拡大策も、資材や労働者不足から進捗状況に遅れが見られたり、民間需要の足を引っ張る事態が生じつつある。これらの状況は、20年近く続いたデフレ経済の下で、わが国の産業構造、経済構造が変化してきていることを示している。 消費者からみれば、資産効果の恩恵を得られる層にとってはプラスに働く一方、円安などによる消費財の価格高騰も懸念され、資産保有の有無が所得格差を招いてしまうとの指摘もある。 税制は、政府の財源調達のほか、所得再分配等も担う複合的な機能を有す政策手段だが、所得再分配強化による所得・資産格差の防止(具体的には、課税ベースの拡大や累進課税の強化)については、近年の政府税制調査会等での議論は停滞気味である。 本プロジェクトでは、2014年5月に取りまとめた政策提言「ポスト社会保障・税一体改革の税制とは」をもとに、実証研究も含めて問題点の整理、必要な政策などを検討していきたい。

研究メンバー

  • 森信茂樹   東京財団上席研究員 ※プロジェクト・リーダー
  • 田近栄治   成城大学経済学部特任教授
  • 土居丈朗  慶應義塾大学経済学部教授
  • 佐藤主光  一橋大学国際・公共政策研究部教授
  • 小塩隆士  一橋大学経済研究所教授
  • 川出真清  東京財団上席研究員
  • 亀井善太郎  研究員兼政策プロデューサー
  • 三原岳  研究員兼政策プロデューサー
  • 冨田清行 研究員兼政策プロデューサー

2014年度 政策提言

2014年度 検討項目

  • (1) 社会連帯税の創設(税と保険料の算定ベースの統一)
  • (2) 公的年金課税改革
  • (3) 配偶者控除の見直し
  • (4) 課税ベース拡大と経済成長の関連性の分析

2014年度 研究メンバー

    • 森信茂樹(東京財団上席研究員/中央大学法科大学院教授)(プロジェクトリーダー)
    • 川出真清(東京財団上席研究員/日本大学経済学部・経済学研究科准教授)
    • 佐藤主光(一橋大学国際・公共政策研究部教授)
    • 田近栄治(一橋大学特任教授)
    • 土居丈朗(慶應義塾大学経済学部教授)
    • 八塩裕之(京都産業大学経済学部准教授)
    • 鈴木 隆(東京財団研究員兼ディレクター(人材育成事業))
    • 坂野裕子(東京財団研究員)(2014年2月まで研究メンバー)
    • 冨田清行(東京財団研究員兼政策プロデューサー)

これまでの経過

      • <2013年度>
      • 2013年 4月25日 第1回研究会「研究会の進め方について」
      • 2013年 5月16日 第2回研究会「オランダの経済財政と税制」
      • 2013年 6月24日 第3回研究会「法人課税の抜本改革:再論」
      • 2013年 7月18日 第4回研究会「死亡消費税、保険料と税の役割分担」
      • 2013年 9月11日 第5回研究会「フランスの一般社会税」
      • 2013年10月24日 第6回研究会「税と社会保険に関する基礎調査」
      • 2013年12月19日 第7回研究会「中間報告書のとりまとめについて」
      • 2014年 1月30日 第8回研究会「現状の企業年金税制の考え方及び公的年金等控除・退職所得控除の創設経緯と意義」
      • 2014年 3月19日 第9回研究会「遺族年金課税」
      • <2014年度>
      • 2014年 5月29日 第1回研究会「課税ベースと経済格差に関する調査」
      • 2014年 6月26日 第2回研究会「日本の所得税負担の実態について」
      • 2014年 7月25日 第3回研究会「パネルデータ分析について」
      • 2014年 9月10日 第4回研究会「所得格差・貧困について」

税制の抜本改革と将来像<以前のプロジェクト>

研究目的

      本プロジェクトでは、消費税引き上げを含む法人税・所得税・相続税改革、国・地方の税源の在り方等の抜本的税制改革に向けての考え方を示すとともに、「国家の形」の全体像を提言する。民主党新政権においては、租税特別措置の見直し、納税者番号、環境税などの個別テーマが検討されているが、所得税・法人税・消費税等個別税制の具体象・全体象は未だ示されておらず、当プロジェクトで検討し発信していくこととしたい。 レーガン・サッチャー以降の税制改革は、「課税ベースを拡大し税率を引き下げる」という考え方の下で行われ、大きな成果を上げてきたが、冷戦後の世界では新たな2つの事象が生じてきた。ひとつは、ヒト・モノ・カネが自由に行きかうグローバルな世界の出現で、もう一つは、中進国の台頭・世界経済競争の激化の下で、格差・貧困問題が先進国に広まったことである。 ヒト・モノ・カネが自由に行きかうグローバルな世界では、自国へのヒト・モノ・カネの流入を意図した租税引き下げ競争が行われ、税源の国外流出を防ぐためには、法人税率や所得税率を引き下げざるを得ないことになる。 また、格差・貧困問題の広がりのなかでは、所得再分配機能の強化が必要となるが、税率を引き上げることが困難な中では、低所得者層に限定した減税(税額控除)を社会保障給付と一体的に設計(給付付き税額控除)することが必要となる。 このような2つの制約の下で、先進国は少子高齢化に必要な税収確保を行うという課題を抱えている。そこで、ともすればトレードオフになりがちな「公平な税制」と「効率的な税制」を両立させていくことが課題となる。先進諸国では、税と社会保障の一体化による所得再分配機能の拡充・強化が行われる一方で、税源の国外への流出を防ぐための法人税改革や金融所得の分離・低率課税等の効率税制の構築が始まっている。わが国の抜本的な税制改革は、このような世界の潮流を踏まえて行う必要がある。



      政策提言

「社会保障・税一体改革~身の丈に合った社会保障の充実を求めて」

      (掲載日2012年3月29日)



2008年度から本年度まで実施してきた「税と社会保障の一体化の研究」についてはこちらのまとめページを参照してください。

2.所得税のあり方と給付つき税額控除

      これまでの議論を踏まえ、具体的な給付付き税額控除の設計を行う。 政策提言

「給付付き税額控除 具体案の提言~バラマキではない「強い社会保障」実現に向けて~」

3.税・社会保障共通番号

      番号制度の導入に伴う税制上のメリットを具体的に提言する。

 

4.法人税改革

      グローバル経済のもとで、立地の競争力を高める観点からの法人税改革(課税ベースの拡大とセットの法人税率の引き下げ)を提言する。

 

5.消費課税の改革

      消費税の引き上げに伴う様々な課題を議論する。具体的には、いわゆる逆進性対策、インボイスの議論等である。 論考

「消費税をめぐる5つの論点」

      (掲載日2012年1月25日)

 

6.抜本的税制改革―新たな国家像

      わが国税制の問題点を、個人・法人所得税、消費税、相続税について、それぞれの持つ機能のメリットデメリットを議論する。その中で、所得・消費・資産税のベストミックスを目指す。また、受益と負担のバランスのとれた新たな国家像を模索する。 論考

「復興財源を考える―「日本版復興連帯税」として所得税・法人税への付加税の導入を」

      (掲載日2011年4月6日)

 

<関連する論考/レポート>

研究会・活動報告

プロジェクト・リーダー

森信茂樹

      (上席研究員)

 

プロジェクト・メンバー

    • 西沢和彦(日本総合研究所調査部主任研究員)
    • 小黒一正(一橋大学経済研究所世代間問題研究機構 準教授)
    • 藤森克彦(みずほ情報総研社会保障藤森クラスター主席研究員)
    • 中本 淳(財務省財務総合政策研究所研究部)